尚部屋に帰らされた星歌さんは枕を濡らしながら一人で寝ました。

おおおおお久しぶりです!!!!(うるさい
実に四か月ぶりの投稿。それに今回投稿したこのss。いずれ参加予定のぼざろ合同誌に載せる用に書いたものでしたが通らなかったので供養みたいなものです。本当ごめんなさい。
書きかけのぼ虹ssはあるのですがイマイチ書き進められず、気が付けば5月になってしまいました。/(^o^)\ナンテコッタイ
ちなみに結ロ14でぼざろ飯テロ合同本にも参加させて頂いてました。何も書いてなかった訳ではありません。

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第1話

「おーい虹夏、ぼっちちゃん。今日はもう上がりなー」

「はーい」

「は、はい。お疲れさまでした」

 

 店長さんから声を掛けられてタイムカードを切る。

 STARRYでのバイトを終えるといつも風の様に帰る私だけど今日は違っていた。

 

「ぼっちちゃん、今日はお泊りしてくれるんだよね? 美味しいから揚げ作るから楽しみにしててね!」

「は、はい。虹夏ちゃんのから揚げ楽しみです」

 

 そう、今日は虹夏ちゃんのお家にお泊りする予定になっている。今日の朝、虹夏ちゃんからロインが来て、

 

『明日学校お休みだし今日バイトが終わったらお泊りしない?』

 

 というメッセージが届いて、虹夏ちゃんのお家にお泊りになった。

 正直誰かのお家にお泊りって緊張するけど、でもお誘いを断るなんて出来ないし、……でもそれだけじゃなくて。不思議だけど虹夏ちゃんが何だか寂しがってる様に感じて、気が付いた時には

 

『分かりました』

 

 とメッセージを返信していた。

 

「お姉ちゃんも今日はお仕事あんまり長引かせないでね。折角ぼっちちゃんが来てくれるんだから」

「わーってるよ。必要な入力だけして今日は閉めて帰るから。ぼっちちゃんまた後でな」

「あ、はい」

 

 そう言っていつもよりも何故か気合を入れてパソコンを入力している店長さんに挨拶をして、私と虹夏ちゃんはSTARRYの上にある虹夏ちゃんのお家へと上がっていった。

 それから虹夏ちゃんのから揚げを食べて、お風呂から上がると何故かスマホのカメラを向けてきた店長さんに虹夏ちゃんがアイアンクローをして、三人でゲームをして、寝る時間になると店長さんが今日は虹夏ちゃんの部屋で一緒に寝ると言い出し、虹夏ちゃんが店長さんを部屋から叩き出した。

 

「まったく。ごめんねぼっちちゃん。お姉ちゃん舞い上がっちゃってて」

「そ、そうなんですね」

 

 そんなに虹夏ちゃんと一緒に寝たかったのかな?

 

「じゃあもう寝ようか。一緒のベッドでいいよね?」

「え!? で、でも私みたいな防臭剤くさい女が一緒に寝るなんて万死に値するのでは……」

「する訳ないでしょ。それに、何かぼっちちゃんの匂いって安心するんだよね。前にリョウの家に皆でお泊りした時もぼっちちゃんのお陰ですぐ眠れたし」

「そ、そうなんですか?」

 

 そ、そういう事なら良いのかな。それに私も虹夏ちゃんの匂い好きだし、一緒に眠れるのならこれ以上ないくらい幸せなのは間違いない。

 

「で、ではお言葉に甘えて……」

「うん。じゃあ、ほら」

 

 虹夏ちゃんが先にベッドに潜ると布団を捲って手招きして、

 

「一緒に寝よ?」

 

 と、ベッドにお誘いしてきた。……何だろう。何だかすっごいドキドキして、まるでイケないことをするみたいだ。

 誘われるままにベッドに入ると虹夏ちゃんがお布団を掛けてくれる。……すっごい良い匂いだぁ。

 

「えへへ、シングルだからちょっと狭いね」

「で、ですね。やっぱり私は下で……」

「だーめ。ほら、もっとこっち」

「わ、わわ!?」

 

 虹夏ちゃんが私の手を引いて引き寄せる。

 

「そんな端っこじゃなくて良いから。こうやってくっついて寝たら大丈夫でしょ?」

「あびゃ……、ひゃい……」

 

 ダイレクトに虹夏ちゃんの匂いが……! これはもはやお金を払うレベル!

 

「明日貯金全てお渡しします……」

「いらない」

 

 即断。

 それからドキドキしながらも目を瞑るけど中々寝つけずにいると、ぽつりと虹夏ちゃんが喋りだした。

 

「あのさ、今日ぼっちちゃんにお泊りして欲しいって言った理由なんだけどさ」

「あ、は、はい」

「偶に、偶にだよ? お母さんの事思い出して寂しくなっちゃうんだ」

 

 お母さん……。そっか、虹夏ちゃんって普段明るくてしっかりしてるから忘れそうになるけどお母さん亡くしてるんだよね。

 

「小さい頃はお姉ちゃんに一緒に寝て貰ってたけど何だか恥ずかしくて……。でも、ぼっちちゃんになら何だか甘えてもいいかなって。何でだろうね? ぼっちちゃんもお姉ちゃんだからかな?」

 

 あはは、と照れ臭そうに笑う虹夏ちゃん。……そうだよね。寂しくない訳ないよね。

 虹夏ちゃんをギュッと抱きしめる。

 

「わぷ。ぼっちちゃん?」

「わ、私なんかで虹夏ちゃんが少しでも寂しくなくなるならいつでも呼んでください。急に、とかでも大丈夫ですから」

「……うん、ありがと、ぼっちちゃん」

 

 大好き。そう呟いて虹夏ちゃんが私の背中に手を回して眠りについた。……私も落ち着いてきて、虹夏ちゃんの眠りに包まれながら意識が閉じていった。

 

◇◇◇◇

 

「ん、んぅ……?」

 不意に目を覚ます。あれ、何か暗いような明るいような……? 時間は……? あれ、時計は? っていうか、あれ? 私いつの間かジャージを着てる……? パジャマで寝たよね?

 

「あれ? ぼっちちゃん?」

 

 気が付くとベッドを抜け出していた虹夏ちゃんが高校時代着ていた制服と、いつもの髪型をしていた。

 

「ぼっちちゃんも来ちゃったんだ」

「え? ど、どういう意味ですか?」

「んー……。説明が難しいな。取り合えず行きながら話すから。ぼっちちゃんも来てくれる?」

「は、はい」

 

 虹夏ちゃんに手を引かれて部屋の扉を開けるとそこは虹夏ちゃんのお家のリビングではなく、不思議な原っぱが広がる空間がそこにはあった。

 

「こ、ここは……?」

「行こ。ぼっちちゃん」

「え、あ、はい」

 

 虹夏ちゃんがなんの躊躇いもなく私の手を引いて歩き出す。

 暫く歩いているとどこかの学校が見えてきた。

 

「ここは……?」

「下北沢高校だよ。私とリョウの母校だね」

 

 ここがそうなんだ。考えてみると一度も二人の学校まで行ったこと無かったもんね。

 

「ここに向かってたんですか?」

「うぅん。ここじゃないよ」

「じゃ、じゃあどこに向かってるんですか? というよりここって……」

「ここはね、私の夢の中、だと思う」

「ゆ、夢の中ですか?」

「うん。偶にすっごい寂しくなってる時にこういう夢を見るんだ。こうやって歩いてると今までの大切な場所が出てくるんだ」

「大切な場所……」

「うん。そうして夢の中を旅して、目的地まで歩き続けるの。……ほら、次が見えてきたよ」

 

 虹夏ちゃんが指を差すと、見覚えのある公園が見えてきた。

 

「ここって、虹夏ちゃんと出会った……」

「うん。ぼっちちゃんと出会った場所だね。今でもあの日の事はハッキリ覚えてるよ」

「わ、私もです」

 

 ここが出てきたって事は虹夏ちゃんは私と出会ったこと大切って思ってくれてるんだ。うへへ。

 

「ほらほら、何ニヤニヤしてるの? 早く行くよ」

「は、はい」

 

 それから歩くとまた知らない学校が見えてきた。

 

「ここは私の通ってた中学校。ここでリョウと初めて会ったんだよ」

「そ、そうだったんですね。……って、あれ?」

 虹夏ちゃんの着てる服がさっきと違う? 別の学校の制服っぽい。それに虹夏ちゃんの幼い顔つきが更に幼くなってるような……。

 

「誰の顔が子供っぽいって?」

 

 エスパー!?

 

「あ、でもぼっちちゃんも変わってるよ。ほら、着てる服見てみなよ」

「え? あ!? こ、これ中学の時の……!」

 

 頭も触ってみると髪が短いし、胸も喜多ちゃんや虹夏ちゃんと同じくらいになってる! 軽い! 足元が見える!

 

「誰の胸が小さいって?」

「ごめんなさい!」

「まったくまったく。……まぁつまりこれまでの過去を旅して戻るにつれて、私達もその頃の姿に戻っていくんだ。ぼっちちゃんまで戻るとは思わなかったけど。

「な、なるほど」

「でもショートのぼっちちゃんも可愛いじゃん。起きたら髪切ろうよ」

「いやそれはちょっと……」

 

 私の人様にお見せ出来ない顔を隠せる今の長さが気に入ってるからそれはごめんこうむりたい。

 それからも虹夏ちゃんの過去の道を一緒に旅して、虹夏ちゃんが初めて見た店長さんがライブしたライブハウスや、小学校、そして虹夏ちゃん達が昔住んでいた一軒家のお家も通り過ぎ、私と虹夏ちゃんの姿は小学生の頃になって、虹夏ちゃんの髪型もいつもと少し違っていつものリボンで髪を纏めていた。

 

「け、結構歩きましたね……」

「うん。でもここまで来たらもうすぐ……。あ、着いた! ほら、あそこ!」

 

 虹夏ちゃんが目を輝かせて指を差した方向を向く。あれは、虹……? というより虹の橋?

 

「ここのてっぺんが目的地なんだ。この先にいつも通りなら待ってくれてる人がいるんだ」

「待ってくれてる人、ですか?」

「うん。さ、行こう」

 

 虹夏ちゃんが小さくなった手で私の手を引いて虹の橋を登り始める。……結構長いなこの橋。

 そしてヒイヒイ言いながら橋を登っていくと、頂上に人影が見えてきた。あれは、誰だろう? 知らないお姉さんだ。でもどこか店長さんや虹夏ちゃんに似てるような……。

 そう考え込んでいると。

 

「お母さん!」

 虹夏ちゃんがその人に向けて走り出していった。お母さん、って、あの人が虹夏ちゃんのお母さんなんだ。

 

「虹夏、久しぶり」

「うん!」

 

 お母さんへと抱き着く虹夏ちゃん。遅れて私も追いつく。

 

「今日はぼっちちゃんも来てくれたんだ!」

「ぼっちちゃん……? あ、虹夏がお墓参りの時によく話してくれる子ね。初めまして、ひとりちゃん」

「あ、えと、は、はじめまして……」

 

 うぅ、初めて会う人とお話しするの緊張する……! で、でも何だか笑ってる顔がお母さんに少し似てるかも。

 

「虹夏からよくひとりちゃんの事よく聞いてるのよ。いざって時にすごく頼りになって……」

「ちょ、ちょっとお母さん! 本人に言わないでよ! もう!」

「あらあら、うふふ。ごめんなさい」

 

 むー、と頬を膨らませる虹夏ちゃん。うへへ、可愛い。

 虹夏ちゃんはお母さんに抱き着いたまま、普段の事を楽しそうに話し始めて、虹夏ちゃんのお母さんも嬉しそうにそれを聞いていた。私はそれを邪魔したくなくて、それを静かに聞いていた。

 それからどれくらいの時間が経ったのか、暗いのか明るいのかよく分からない世界が明確に明るくなり始めていた。

 

「……虹夏、そろそろ時間ね。私ももう戻らなきゃ」

 寂しそうに虹夏ちゃんの背中を優しく叩く虹夏ちゃんのお母さん。だけど虹夏ちゃんは。

「やだ!!」

 

 強くしがみついた。

 

「ずっとここにいて! 私もずっとここにいるから!!」

「虹夏……」

 

 涙をポロポロと零す虹夏ちゃんを見つめるお母さん。

 

「虹夏、また寂しくなったらここに来るから。だから、ね?」

「やだやだやだ!!」

 

 絶対離さないと言わんばかりに必死に抱き着く虹夏ちゃんを見てると胸が苦しくなってくる。それはそうだよね。お母さんと一緒にいられるんだから離れたくないのは分かる。……だけど。

 

「に、虹夏ちゃん。戻りましょう」

「やだ! ぼっちちゃんまで、なんで!!」

「だ、だって、店長さんひとりぼっちになっちゃうから」

 

 は、と泣き止む虹夏ちゃん。

 

「わ、私も虹夏ちゃんがいないと辛いです。寂しいです。そ、それに私達、まだ、旅の途中じゃないですか」

「旅の、途中? 何言ってるの? ここがゴールだよ?」

「ち、違います!」

 

 虹夏ちゃんの手を握る。何故かさっきよりも小さく感じるけど今は気にしていられない。

 

「店長さんの分まで有名になって、STARRYを大きくするって夢の旅の途中じゃないですか」

「あ……」

「私達のゴールはそこです。お母さんがいる場所まで輝きが届くくらい大きな場所にしましょう!」

「……私、その話をした事あったっけ?」

「え? 虹夏ちゃんが私に話してくれたじゃないですか」

「うぅん。そっちじゃなくて、お母さんまで届く場所って……」

 

 それ、お姉ちゃんが言ってた……。って小さく言う虹夏ちゃん。それは、よく分からないけど。

 

「あ、あの。虹夏ちゃんのお母さん。もう少しだけ時間大丈夫ですか?」

「え? ええ」

「あ、ありがとうございます。あ、あの、虹夏ちゃん」

 

「ライブ、しましょう」

 

「ラ、イブ?」

「はい! 今、ここで、虹夏ちゃんの夢を叶える為の結束バンドを見せましょう!」

「そ、そんなこと言ったって。私達二人だけじゃ……」

「大丈夫です!」

 

 握った虹夏ちゃんの手を両手で包み込む。何の根拠もないけれど。でも。

 

「絶対、大丈夫です」

「ぼっちちゃん……」

 

 虹夏ちゃんが私の手に引かれて、お母さんから離れてくれた。離れた虹夏ちゃんは、いつもの見慣れた姿に大きくなっていた。私もいつの間にかいつもの冴えないピンクの芋ジャージに戻っていた。そうか、さっき虹夏ちゃんが更に小さく感じたのは私が先に戻ってたからだったんだ。

 

「ぼっちちゃんはさ、ホント、ズルいよ。いつも肝心な時にだけカッコよくて……」

「そ、そうですかね? 私なんて全然……」

「うぅん。カッコいいよ」

 

 う、うへへ。そ、そうかな?虹夏ちゃんにカッコいいって言われるとメチャクチャ嬉しい。

 

「ほらほら、だらしない顔でニヤニヤしてたら台無しだよ。ライブ、するんでしょ?」

「あ、はい!」

 

 気が付くと私の手にはギターが、虹夏ちゃんの傍にドラムの準備が出来ていた。

 

「お母さん、聴いてて。私達の音楽」

「……うん。聴かせて、虹夏」

 

 虹夏ちゃんがドラムに座る。私も、チューニングを合わせる。

 そして準備が出来ると虹夏ちゃんを見て頷きあう。

 

「聴いてください。『UNITE』」

 

 カッ、カッ、カッ、と虹夏ちゃんがスティックでタイミングを取り、演奏を始める。

 UNITE。お母さんに届けるならこの歌しかない。虹夏ちゃんが全てを込めてドラムを叩きながら歌う。私も、必死に虹夏ちゃんのドラムに合わせてギターを掻き鳴らす。今ここには私と虹夏ちゃんしかいないんだ。虹夏ちゃんがドラムと歌に集中出来るように私がカバーしないと!

 だけど、どうしてだろう。必死にギターを弾いているともう一つギターの音が、そしてベースの音が聴こえてきた。

 顔を上げて横を見るとそこにはいなかった筈の喜多ちゃんとリョウさんがいて、一緒に演奏してくれていた。気が付けばいつもの結束バンドで弾いていた。

 ああ、今私達、繋がってる……。

 

 ――繋いで君に届ける――

 

 アウトロまで弾き終える。虹夏ちゃんが歌い終える。息を切らしながら隣を見るとさっきまでいたリョウさんと喜多ちゃんはいなくなっていた。

 

「はぁ、はぁ……。お母さん、どうだった……?」

 

 満身創痍で虹夏ちゃんがお母さんに尋ねる。お母さんは拍手をしながら。

 

「すっごく良かった。虹夏、大きくなったわね」

 

 と、涙を流していた。

 

「……私もう大学生だよ? そりゃ大きくなってるよ」

「うん。だけどここに来る虹夏はいつも小さかったから。やっと大きくなった虹夏を見られたわ」

 

 虹夏ちゃんのお母さんが私を見る。

 

「ひとりちゃん、ありがとう」

「い、いえそんな」

「虹夏はここに来るといつも泣いて離れなくて不安だったけれど、貴女が支えてくれるならきっと大丈夫ね」

「……うん。ごめんね、心配かけて」

「謝らないで虹夏。謝らないといけないのは貴女達を遺しちゃった私の方だもの」

 

 私の隣に来た虹夏ちゃんが私の手を握る。私も虹夏ちゃんの手を握り返した。

 

「もう大丈夫。今度はもっともっと大きくしたお姉ちゃんのライブハウスから、お母さんに歌を届けるから」

「うん。楽しみにしてる。……ひとりちゃん。虹夏の事、よろしくお願いします」

「あ、は、はい! 頑張りま……!」

 

 違う、頑張るじゃなくて……!

 

「ま、任せてください!」

「はい。自慢の娘をよろしくお願いします」

 

 ――じゃあ楽しみに待ってるわ――

 

 そう優しく言い残して、お母さんは消えていった。

 

◇◇◇◇

 

「ん、んぅ……。眩しい……」

 

 カーテンの隙間から差し込む朝日が私の顔に直撃する。もう朝か……。

 何だか変な夢だったな……。虹夏ちゃんと夢の中を旅してお母さんに会いにいくなんて。

 

「ん……」

 

 抱きしめあったまま眠っていた虹夏ちゃんが私の腕の中で身じろぎする。うへへ、可愛い……。

 思わず虹夏ちゃんのサラサラの綺麗な髪を撫でていると虹夏ちゃんが目を覚ました。……涙の跡?

 

「に、虹夏ちゃんおはようございます」

「おふぁよ~……。へへ……」

「ど、どうしたんですか?」

「ん~……、すっごく良い夢見たんだ。いつも最後は少し寂しいんだけど、今日のはすごく嬉しかった」

「そ、そうだったんですね」

 

 も、もしかして同じ夢を見てた? ……まさか、そんな訳ないよね。

 するとスマホにロインが通知音を二回鳴らした。リョウさんと喜多ちゃんからだ。結束バンドのグループロインに二人のメッセージが表示される。

 

『今日すごく良い夢見た。忘れないうちに合わせたい』

『良い夢を見たんですけどもっと上手に弾けるようになりたいです! 急ですけど今日練習できませんか!?』

 

 虹夏ちゃんと顔を合わせると吹き出してしまった。

 

「ご飯食べようか。その後準備して、皆で練習しよう」

「あ、はい」

 

 本当は今日は二人でのんびりする予定だった。だけど、そんな暇は無いよね。だって。

 

「ぼっちちゃん」

「はい」

「私達の夢の旅はまだまだこれからだから。だから、これからもよろしくね!」

「はい!」

 

 そうして私達はまた、夢の旅路へと歩き出す。だけど今度は過去ではなく未来へ。

 だけどまずは、虹夏ちゃんの美味しい朝ご飯を食べてからでもいいよね?


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