病弱な白洲の姉   作:脱力戦士セシタマン

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 トリニティ☆スタイル

 書き溜めだけどヤケクソで稿を投げます。実質連投。連投したので次の更新遅れるかもしれません。




トリニティの洗礼(?)

 

 

 いよいよ退院の日が来た。

 

 私は漸く病人服からいつもの格好に戻れる。でも私はそのまんま同じ格好、というわけではなかった。

 私は少しでも息苦しくない様にスカーフを首に巻く(クラバットって言うらしい)のは前はやらなかったけど、今はもうすっかり元気になったし、付けたほうが見栄えがいいから今日は付けることにした。本当はベストとかあったほうがもっとカッコいいのかもしれないけど、戦う為に出たから無一文で買えるわけがないので諦めた。

 

 と言うか入院費ってどうなるんだろう?セイアがなんとかしてくれるのかな?でも期待するのはあまりに不躾なので、一応借金をする算段位は立てておかないとね。

 そう考えながらも綺麗ながらもシリンダーを変えただけの錆びていた時よりは動きが滑らかだが新品よりは鈍い『Memento mori』をジャケットの内ポケットに入れ、私はセイアの元へ向かった。しかし病室の扉を開けるとセイアはベッドで眠っていた。

 

「?……これは……」

 

 ベッドのすぐ近くの書類を出した引き出しの上に、私宛の手紙が置いてあった。どうやらセイアが書いたみたいだ。私はセイアの手紙を軽く一読してから手紙をジャケットの胸ポケットに仕舞った。

 

「……あっ」

 

 私はふと胸ポケットに入れたままにしていたアズサの白い羽根を取り出す。多分今の私には最も大切なお守りだ。これからどれ程時間が取れるかは分からないけれど、

 

 私はセイアの手紙の内容に従って私はティーパーティーのトップの元へと向かった。手紙の内容曰く、セイアが雇っているという扱いになるみたい。トリニティは随分と広いが病のない身体の私はそれをものともせずに示された場所についた。そこはティーパーティーの建物らしく、私がセイアの手紙を門番らしき人に見せるとティーパーティーの一員らしき人が出てきた。

 

「はじめまして。セイア様からお話は聞いています。どうぞ中へ」

「ありがとうございます」

 

 そう言われ、私は中へと案内された。建物の中はシンプルながら華やかさがあり、美しく整然としていながら無機質さを感じさせない感じだった。

 意外とアリウスの廃墟となった建物もこんなふうに昔は綺麗だったのかもしれない。まあ、そんな事を考えても当時の綺麗さを見ることはないんだろうけどね。少なくともあのマダムという生徒を苦しめたい(実際どうかは知らないけど)あのドSババアがトップにいる限りはそんな綺麗になることなんてないだろう。

 

「綺麗だ……」

「以前の環境ではこういったものは見られなかったでしょう」

 

 トリニティ流の皮肉なのかな?と思ったけど、あんまり悪意を感じる言い方じゃなかったから、そのままの意味で受け取っておくことにしよう。

 

「そうですね……肺の病があって余計外に出ることができなかったので」

「その翼は……まさか」

「はい。肺がんで。幼い頃から肺を悪くしていました」

「そんな……」

 

 案内してくれてる子はどこか心配しているような感じだった。まあ、昔起きたことに関しては忘れる主義だから大して気にしてはいないんだけど、興味があるなら答えないと失礼だろう。

 

「一体どうして……治療はされなかったのですか?」

「元いた所に治療設備は整っていなかったので……それに私は親がいなくて、妹を養わないといけなかったのであっても治せませんね」

「っ!」

 

 私はそう肩を竦めブラックジョークを言うけれど、なんか私を案内してる子の顔が曇ってる気がする……ちょっと素性を明かしすぎたかな。過去をよく見たセイアは心苦しいと言っていたけど、ちょろっと明かすのも良くはないのかもね。

 

「……ここですか?」

「えっ?あ、そうですわ」

 

 ちょっと呆けていた気がするけど大丈夫かな?……少し心配にはなったけど、私はそのまま中に入った。

 中はバルコニーみたいになっていてそのまま外が望めるようになっている部屋だった。その奥の方で茶菓子の乗った机の側に座り紅茶を啜っている人が見えた。恐らくセイアが書いた手紙にあったフィリウス分派のトップだろう。

 

「はじめまして。貴方がセイアさんの言っていた方ですね」

「まあ、そうです」

 

 そう言うこの人はなんだか調子が悪そうだった。何と言うか、目の隈がひどいと言うか……まあ、忙しいんだろうね。

 

「だ、大丈夫ですか?……」

「あぁ……いえ、大丈夫ですよ。少し仕事が立て込んでいるだけです」

「そ、そっか……」

 

 まあそうだよね……エデン条約で色々忙しいっていうのにあのピンクゴリラが裏切り者で後始末とかどうとか増えたらね。

 

「あの……お名前を伺っても……?」

「失礼しました。私はフィリウス分派のリーダーとなる『桐藤ナギサ』と申します」

「私は白洲の姉……『白洲レン』?です……」

 

 あーダメだ。最近貰った名前だから名乗りなれない。先にアズサの姉って言うふうに名乗ってしまう。呪いの影響とは言え名前がないことに慣れていないのは些か可笑しく映るだろう。

 

「?」

「ごめんなさい、名乗り慣れていなくて」

「いえいえ、大丈夫ですよ。些細は承知済みですので。それより、本題に」

「……分かりました」

「セイアさんの方で既に手続きは終わらせてあるそうなので籍はティーパーティーにいることになる……のですが」

 

 まあそうやすやすとは信じてくれるはずないよね。アリウスって敵対陣営が、しかもセイアという今一番体調がよろしくないとされる重役のお手伝いさんになるんだから。

 

「……まあ信用に値するかってこと?」

「いえ、そこは大丈夫です。セイアさんの事は信用しているので」

「?……じゃあどういう事?」

「トリニティ生徒としての細則と作法についてある程度理解していただこうかと」

「成る程」

 

 ということでお勉強というわけだ。まあ、お勉強は得意なので兎に角覚えるだけ。細則はそういう本を用意していてくれたらしく、作法に関しては口頭でのナギサ様の説明を速記でメモしておいた。

 

「必須なのはこれぐらいですか……」

「ありがとうございます」

「その他に関しては周りが優しく教えてくださるかと」

「分かりました」

 

 そして私は部屋を後にした。

 

「ナギサ様との面会は終わったみたいですね。では寮に案内します」

「ありがとうございます」

 

 それから私はまず寮に案内された。と言っても私が持ってるのなんて殆どなかったから、場所がどこか覚えるだけなんだろうけど。そう言われて案内された建物は相変わらず古風ながらきれいで、人が暮らす場所にしては随分見た目がいい場所だった。

 

「ここの部屋です」

 

 そう言われ扉を開くと一人で暮らすには少し広いくらいの寮個室だった。寮って言ったら何人かが同じ部屋に入ってる物と私は雑誌で知ったけど流石はトリニティ、お嬢様学校故に一人一部屋でしかも広い。

 日用品は……まあ流石に用意されてないよね。あとで買い揃えないと。お金は……なんとかして工面しないと。生憎稼ぐ方法は幾つか知ってる。そのうちどれだけトリニティで許されるかは分からないけど…………

 

「あ、日用品なら今日の昼に届くそうです」

「……そうなんだ」

 

 早くない?と言うかセイアはそういうのも用意してくれたのか……ありがたい。セイアには感謝しきれない程の恩ができてしまってるが、ここまでされると馬車馬のように働かされても文句は言えないね…………

 

 

 

 まあ、それからトリニティの敷地の中を軽ーく案内してもらって一周して、これからお世話になる人に挨拶しに行ってる内に夜になってしまった。

 

 

 

「今日はありがとう御座いました。態々私の為に……」

「いえ、いいのですよ。あ、そうです。折角ですからご夕食、外で一緒にいかがでしょうか?」

「…………」

 

 行きたいには行きたいんだけど私には返せるものが本当に何もない。

 

「その……行きたい気持ちは山々なのですが、私は生憎無一文で……」

「いえ、勿論私の奢りですよ。転入祝い……ということで」

 

 何か怪しい気がする。これが本当の善意なのかトリニティの洗礼をしに来てるのかよくわからなかった。やる理由は無くはないが人によってはやる程でもない理由だから、正直な話判断に困る所……しかし断って『失礼に当たる』とされても困る。うーん……2分1(にぶいち)だけど行くほうがいいに賭けよう。

 

「……分かりました。お願いします」

「良かったです。それでは行きましょう!あぁ、そうです。お名前、ずっと聞いてませんでしたね」

「あっ……確かに」

「お伺いしても?」

「私は……白洲レンです」

 

 今度こそ違和感なく名乗れた。これからこうやって名乗れるように色々と練習しておかないとね……

 

「私は芥見リエですわ♪」

「改めてよろしくお願いします」

 

 そして私とリエさんは、夜のトリニティを歩く事になった。夜のトリニティは街灯に溢れ、知ってはいたが初めて見るその光景に少し私は目を輝かせた。

 

「ここにしましょう」

 

 そう言って連れられた場所は個人営業のような少し高級そうな雰囲気を纏った洋食屋だった。私達が入るとそこまで混んでいない為かすぐに二人用の向かい合わせの席に案内された。

 

「どれでも好きなものを頼んでいいですよ」

 

 と、リエさんは言うが私の感覚だと食事にかける値段としてはどのメニューも頭がおかしいレベルで高かった。これだけの値段で食パンが何斤買えるか……まあそういう事は考えない方がいいかもしれない。私は値段が安い訳でも高いわけでもない、メニューの中で一番中間位の値段に当たりそうなハンバーグを選んだ。

 ハンバーグなんて食べた事がなかったが、私が知る限りでは肉をすり身状にして固めて焼いたものの筈だ。一体どのようなものなのだろう?そんな好奇心を抱きながら、ハンバーグを待った。

 

「そう言えば、レンさんはテーブルマナーは知っていますか?」

「ご心配いりません。バッチリです」

「!?…………一体どこで!?」

 

 昔の私は知識に貪欲で、テーブルマナーに関しては知ってる。使うことなんてないと思ってたけど、行儀と言うのは人が人である為に必要なものだ。私達は幾ら卑しい身分とて人であることを捨てたくはなかったから、私は律儀にテーブルマナーは守っていたかな。寝込むようになってから守れていたかは、覚えてないけど。

 

「本です」

「本!?……なんと勉強熱心な……」

「姉として妹の手本でありたかったので、これは習得したいなと思って身に付けました。まあ、知識がないと養うなんてできなかったので、その過程で教養も一緒に……というわけです」

「すごいですね……」

 

 そうこう話している内にハンバーグなるものが来た。饅頭のようなカタチに纏められソースのかかっているそれをナイフで切り、私は所作に不備がないように気をつけながらも口に運ぶ。

 

「ん〜♡……っ!///」

 

 あまりの美味しさに私は思わずらしくない艶っぽい声を漏らしてしまい、すぐに恥ずかしくなって赤面した。こんな声が出せるなんて私はびっくりだ。

 

「…………………」

「その……さっきのは見なかったことにしてほしい……です///」

「ふふっ……」

「?……」

 

 リエさんはどこか微笑ましいというような顔で赤面する私を見ていた。

 

「いえ……凛々しいお方と思っていましたが可愛らしい一面がおありだと」

「///」

 

 そんな事を言われると困る。私は誰かから褒められる経験が皆無に等しく確実に他意がある前提だったから。だからこそこうやって他意のない微笑ましいというような感想を言われると困るし気恥ずかしい。

 

「こんなに美味しいものは生まれて初めてです……///」

「あらあら……」

 

 正直そんな微笑ましいみたいな反応だと余計恥ずかしい。なんだか私が子供みたい……17にもなってこんな反応されるとは思いもよらなかった。けど、やっぱりリエさんは騙すとかはしない人みたい。

 こうして私はリエさんと雑談しながら食事を楽しんだ。マジで美味かった。いつの日かアズサとこのお店に食べに行きたいな。

 

「それではまた明日ですね。明日から授業があるので忘れ物はしないように気をつけてくださいね」

「勿論です」

「授業が終わったら私の所に来てください。セイア様の現状が秘密となっている今、仕事は山積みです……」

「……」

「仕事の説明はまた明日するのでまた明日、ですね」

「そうですね。また明日お願いします」

「それではごきげんよう〜」

 

 そう話して、私とリエさんはそれぞれの寮に帰った。寮に戻ると幾ら軽くなったと言えど病み上がりで疲れているらしかった。

 私は温かい水の出るシャワーで身体をきれいにした。アリウスにいた頃はシャワーを浴びれない日だって普通にあったから本当に浴びれるだけ有難いのにお湯が出るとかもう、感涙するレベルで嬉しかった。

 

 そう言えば挨拶回りしてた時やリエさんを見てて思ったけど思った以上に私への悪意は少ないように感じた。なんでかな?と思ったけど、多分単純に脆弱フォックスのセイアに腕っぷしが保証されていて且つ頭もそれなりな人がボディガード兼セイアの事務仕事の手伝い係をするってなれば、別に大した権力は持ってないしそこまでなのかな?

 まあ何はともあれ権力争いに巻き込まれる事は無さそうだし、良かった良かった。頭が切れる方といえど権力争いは嫌いだし苦手だからね。

 

 私はメモの内容に一通り目を通し、明日の支度を終えた。そして私はベッドの寝心地がどれほどのものか少し期待しつつ、私はベッドに飛び込んだ。ふかふかで身体が沈むような────

 そこで私の思考は途絶え、再び目が覚める頃には外は明るくなっていた。最早入った瞬間に寝落ちさせられると寝心地も感じられないじゃんと悲しくなったのはここだけの話である。

 






 因みにリエ氏はサンクトゥス派ナンバー2位の人の想定です。セイア様の代理をしている関係で表面上はリエのお手伝いということにしなきゃいけなかったんですね。

 因みに今のセイアには仕事が流れてこないのと先にティーパーティーの現場に慣れてほしいというのも込みでセイアはレンをティーパーティーに送ってます。一応手紙にも『職務の一環としてセイアの暇潰しにも付き合ってね』とも書いたので時折病院のセイアの所に行ったり予知夢ワールドでおしゃべりとかしてもらう予定です。(あくまで予定)

エデン条約3章やってほしい?

  • やれ。書け。というかそういう流れだろ。
  • それより平和回を量産して……!
  • セイアとイチャイチャしろ!
  • アズサとイチャイチャしろ!
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