とあるマンションの一室。リビングにこたつと籠の中のみかんという定番のセットを用意して、テレビ画面を見ている者たちが居た。
「ふぁ」
その中でもテレビが一番よく見える正面に座っている、十代後半くらいの明るい茶色の髪をしたどてら姿の少年が眠そうにあくびをした。
「あ、ちょっとマスター寝ないでください。あと一時間くらい我慢すれば新年ですから」
そのあくびをした少年に反応するように、周囲でなにかを片付けるように動いていた白く丸い体の絵にかいたような幽霊が少年の肩を揺さぶった。
少年がちょっと迷惑そうに揺さぶられていると。
「そもそも粘る方が馬鹿馬鹿しい気がするニャン」
少年の膝元から声がした。
そこに居るのは青い毛並みをした猫で、面倒そうに白い幽霊を見ている。
「そういえば、蕎麦を食べていませんよね?」
そう声をかけてきたのは少年の左前に座っている銀色の毛並みをした九本の尻尾を持った狗だ。ただし、四足ではなく二本足で動き、諸々の動作が人間と似ている。
「うどんは食べたわよ」
その問いに答えたのは、狗の向こう側に座っている蜘蛛の足のような特徴的な髪形に、白塗りの化粧をした人物だ。諸々の動作は女性的なのだが、声がかなり低くその声だけがその人物が男だということを特徴づけている。
「……紅白見るのも二回目?」
少年の正面、こたつの向こう側から声がした。しかしその姿はない。それは気にもせずに幽霊が答えた。
「確かそうだったはずです。去年は豪雪地帯もびっくりな大雪のせいで酷いことになりましたけど」
雪女たちも自重してくださいよねと小声で続けた幽霊をよそに少年は再度あくびをした。
「眠い」
「氷結食らわせたら起きますか?」
狗が目を細めて右手? を構えた。するとその手の中に火の玉のように冷気が集まってきた。
「それはむしろ止めニャン」
少年の膝元で面倒くさそうにしていた猫が狗の方を睨み付ける。すると狗はやれやれといった感じで冷気を収めた。
「マスター、なにか目覚ましになるもの飲みます?」
「……そうやって体温めてるから眠くなるんじゃ」
「とはいっても冷やしすぎもダメよね」
少年について彼らが好き放題言っていると、少年が眠気を振り払うように頭を振って立ち上がった。猫はコロリと一回転してしまう。
「もー、僕は眠いけど起きてるから! なんか淹れてくる」
そのままキッチンの方へ向かって行った。その様子を見て幽霊は嬉しそうにうんうんと頷く。
「マスターが起きられたようでなにより」
「確か新年おめでとうとかメールするって言ってたニャン」
「それより先にワタシたちに言うのが先というものでしょうに」
「……とりあえず、明けたらオレ寝る」
「あら、明けるまでは起きるの?」
「去年は冬眠で寝落ちたからリベンジ」
少年が戻ってくるまでの間、彼らは思い思いに過ごすことに決めた。
そして、五分ほどで少年が戻ってくる。少年はお盆にマグカップを五つ乗せてきた。
「ただいまー。ココア淹れてきたよ」
「マスター、手伝います」
少年の元に幽霊が寄っていく。
「別に大丈夫だよ。あ、もうそろそろ十二時だ」
「あー、そうですね。今年は去年みたいな大騒動は勘弁願いたいです」
ほんと濃ゆい一年でしたよねぇと感慨深そうに幽霊が呟くと、少年は苦笑いをして言った。
「そこは周りの友達に期待しないとね」
「なにかあったらオレが守ってやるニャンよ?」
「そういったときにこそ呼んでくださいね」
「……助けるから、頼ってほしい」
「当然じゃない」
「ありがと、でも一番は不祥事案件が発生しないことだよねー」
「悲しいことに無理なような気もしますよ」
幽霊が言うと、少年は少し遠い目をした。
「言わないでほしかったかな。明日はお婆ちゃんに挨拶に行く予定だからケマモト行くんだよねー」
「どう頑張っても回避不可ですよね。それ」
幽霊が言ったのと同時にテレビが新年の訪れを告げた。
「あ、年明けたね」
「あけましておめでとうございます。マスター」
「おめでとうニャン」
「おめでとうございます」
「……おめでとう」
「おめでとうね」
「うん、おめでとう。みんなもあけましておめでとう、今年もよろしくね」
あけましておめでとうございます。ホントはきっちり00:00に投稿予定でした。
むしろほぼ一年経ったのによく顔を出せたなぁと今更ですけど。
さて、流行には乗るもの! と思ったもののなんか斜め上に乗っかった気分です。
正規のメンバーがほぼ居ないという大幅な問題点が多々発生してますが、新連載(出来たら)ネタ晴らしやりますね。
では、今年もいい一年でありますように。