...さて、威勢よく脳内で啖呵を切ったは良いがまず何から始めようか。
私が今から無謀にも特攻作戦でもしようものならあの大人どころかその辺の一般兵にすら蜂の巣にされかねない。
このまま考えていても仕方がない。一度状況を整理しよう。
①I'm dying
奴らに胸を撃ち抜かれたために心臓が活動を停止しかけているのだ。ではなぜ生きてるかって?答えは簡単。車のエンジンを流用し心臓の代わりに血液を全身に送ってるのだ。だがこれは応急処置に過ぎず残された時間は一週間と言ったところだ。やつらもそれをわかっているのか、そこを契約のタイムリミットに設定した。
おっと、契約の話をしていなかったな。
『命を助ける代わりに新兵器 (ミサイル:エリコ)を開発、提供する』
これが私とヤツ、ベアトリーチェと名乗る大人と交わした契約だ。正直守られる気はしないがな。
②How to escape
ベアトリーチェどころかそこら辺の生徒とすらまともに渡り合えない私では到底正攻法での脱出は不可能に思える...が、それについては良い案を既に思いついている。
..昔からヘイロー持ちと戦う方法は模索していたが、ついにそれを形にするときがやってきた。
そう、『外骨格』だ。パワードスーツと言っても良い。
奴らを退け、脱出し、帰還する。これを我が身一つでこなすにはこれしかない。
▲▽▲
そうと決めてからは早いものだった。
「その部品はそっちだ! それはこっち!」
幽閉される直前まで実演をしていたミサイル__エリコの残骸達を私の指示通りに並ばせたた後、「一人でないと集中できなくてね」といい生徒らを部屋から追い出す。
さて、作業開始だ。
「……まずは電源。そして、神経伝達を動力に変換するインターフェース。理論はミレニアムの1年次で完成させていた。まさか、自分の命を繋ぐために使うことになるとはな」
私は震える手で、胸からエンジンに繋がったケーブルを弄る。
本来なら、私のようなヘイローを持たない軟弱な人間に、パワードスーツの強烈なフィードバックは耐えられない。衝撃で骨が砕けるか、神経が焼き切れるのが関の山だ。
だが、今の私には後がない。
ヘイローがないという欠陥、そして心臓が止まりかけているという絶望。
それが今、私にあまりにも分の悪い賭けを受け入れさせるための土壌となっていた。
「ヘイローがないならないなりに、やりようはあるはずだ...!」
私はエリコの残骸から取り出した高純度のエネルギー伝導体を、粗末な鉄板に溶接していく。
火花が散る。視界が火花で白く染まるたび、あの日、入学式で浴びた拍手の少なさを思い出した。
誰も信じていなかったのだ。
圧倒的な武力こそが、対等な対話を可能にする唯一の手段であることを。
アリウスの少女たちの銃弾は、私の理想がまだ「重さ」を伴っていなかったことを教えてくれた。
ならば、ここで証明してやろう。
力こそ絶対的なものであるということを。
「……第1段階、アクチュエーターのテストだ。出力、30%」
ガチリ、と重厚な金属音が響く。
廃材を組み合わせて作った無骨な腕のパーツが、私の意思に反応して油圧式に駆動した。
剥き出しの配線、荒々しい溶接痕。およそスターインダストリーズの製品とは思えない醜悪な外見だが、そこには確かな殺意と生存本能が宿っている。
「いいぞ……これなら、岩盤だろうが、ヘイロー持ちのガキだろうが、まとめてブチ抜ける」
私は作業の手を休めない。
残された時間はそう長くない。
だが、十分だ。
「ベアトリーチェ、君は一つ大きなミスをした」
私は、溶接用のゴーグルを跳ね上げ、監視カメラの向こう側にいるであろう影に向かって不敵に笑った。
「私に材料と時間を与えたことだ。それが、君たちの平和を終わらせる棍棒になるとも知らずにな」
暗い工房に、再び火花が舞う。
鉄の塊が、少しずつ、だが着実に、復讐の産声を上げ始めていた。
書き始めてしまったものはしょうがないので投稿します...