「私が来た!!!」
「待ったよヒーロー。社会の
鬼気迫る表情から漏れ出る、凄まじい気迫。
(あれが、
直感で、「ああ勝てないな」と思ってしまった。そんなことを思う間に、緑谷たちと先生もろとも、脳無から離れたところに避難させられていたから。
パワーも、
……いや、そんなことを思うんだから戦闘狂だとか言われるんだけどさ。
「オールマイト、あの黒いのは脳無と呼ばれる敵です。パワーは貴方並、緑谷のパンチでびくともしない耐久性を持ってます」
「……他には?」
「俺の血は毒のようになってるので。弱らせてます。恐らく……回復するかと」
「再生持ちか、SHIT!」
そのまま脳無へと突進……という名の超速移動とともに繰り出されたパンチは、脳無には効いていないようだった。
「効かないのはショック吸収だからさ。脳無にダメージを与えたいなら、ゆうっくりと肉を抉り取るのが効果的だ……まあ、あのガキが何かしてくれたせいでコンデションが少し悪いが……いいだろう。やれ脳無」
「わざわざサンキュー!!そういうことならやりやすい!!」
……いや、なんでバックドロップが爆発みたいになるんだよ。物理がおかしいだろ物理が。
「……相澤先生?」
「あの手だらけは俺がやる。お前ら避難してろ」
「……っ、はい。行こうあす……梅雨ちゃん、峰田くん、渡我くん!」
「おう!」
「わかったわ」
「……先生、ちゃんと帰ってきてくださいね」
「ああ、わかってるよ」
モヤのやつに飛ばされたクラスメイトも続々と戻って来るのを13号先生も確認していたらしく、安堵した。
「……緑谷?」
「ううん!なんでもないよ!」
「そうか。何かあったら言えよ」
「うん、ありがとう」
……そういや、緑谷あの時のパンチ──
「なあ、緑谷」
「うん?」
「さっきのパンチ、腕壊れなかったな」
「そうなんだよ!さっき無意識のうちにブレーキがかかったのか、腕が壊れなくって……」
また解説モードに入ろうとしたので、一旦制してから話に戻る。
「無意識でも制御できたなら話は早いな。空いてる日があったら教えてくれ」
「え?」
「個性のコツでも教えるよ」
「ほんと!?ありがとう渡我くん!!」
「いいってことよ。……さ、他の先生も来たみたいだし、委員長の通り並ぼうか」
「うん!」
ふと、オールマイトの方を見やる。
脳無に摂取させた俺の血が効いていない。
……解毒が個性なのか?にしては身体も膂力もおかしい。
──複数個性?
いや、そんなはずない。どんな個性を持った親が子供を持とうが、全く系統の違う複合型個性を持った子供が産まれることはない。片方の親の個性が発現するか、何かしら似た要素が混ざったものになるはずだ。
あの超パワーと解毒、そしてショック吸収。今思いつく限りでも、3つの個性を持ってる。そんなもの聞いたことがない。
造られた?いや、あんなのどうやって造るんだよ。
ていうか生物って造れるのか?
「チッ」
頭が纏まらねえ……血使いすぎたか?血液パック節約したのが裏目に出たか……。
「オールマイトは……」
ああ、脳無殴り飛ばしてくれた。モヤと手だらけも帰ったみたいだし、一旦並んで、そしたら……
「……すまん緑谷、ちょっと寝る」
「え?渡我くん?」
「貧血って伝えといて」
そのまま、ぐらりと緑谷の方向に倒れた。
・・・・・
「……ぁ」
保健室。前に緑谷を連れて行った時に見た景色。
血が巡る感覚がある。少し輸血されたらしい。
「起きたかい、渡我少年」
「……オールマイト」
「少し血が足りなさそうだったから、輸血させてもらったよ。それなりに時間は経ってるから、もう動いて大丈夫さね」
「リカバリーガール……そうだ、皆は?」
そう聞くと、2人とも優しい笑みで伝えてくれた。
「取り調べも終わって、今頃帰ってる頃だ。動けそうならそのまま退院だよ」
「そうですか……ありがとうございました」
「渡我少年、私も君に助けられた。あの黒い敵と戦ってくれた、と」
「!」
「私からも礼を言うよ。ありがとう」
……オールマイトって、こんな子供にも頭を下げるのか。
「はい。……また明日来るので、その時はよろしくお願いします」
「ああ!気をつけて帰れよ!」
「はい。さようなら」
その後、校門で待っていた相澤先生にも挨拶をした。
「すまなかった、渡我。お前まで戦わせた」
「いいですよ別に。俺が勝手にやったことですし」
「それもそうだな。それはそうと、明日は反省文を書かせる。いいな」
「わかってますよ」
「ならいいんだ。気をつけろよ」
というわけで、この世界のオールマイトはあまり無理せずに敵連合を退けることが出来ました。飯田らの奮闘もあって、13号先生の背中も無事です。よかったね。その分合宿でツケを払ってもらうことになるから準備しててね。