赤き血の英雄、悪を穿つ。   作:ただねこ

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10話

「私が来た!!!」

 

 

「待ったよヒーロー。社会の(ゴミ)め」

 

 

鬼気迫る表情から漏れ出る、凄まじい気迫。

 

(あれが、オールマイト(No.1)……)

 

直感で、「ああ勝てないな」と思ってしまった。そんなことを思う間に、緑谷たちと先生もろとも、脳無から離れたところに避難させられていたから。

パワーも、敏捷性(アジリティ)も、何一つ勝てる気がしない。

 

……いや、そんなことを思うんだから戦闘狂だとか言われるんだけどさ。

 

「オールマイト、あの黒いのは脳無と呼ばれる敵です。パワーは貴方並、緑谷のパンチでびくともしない耐久性を持ってます」

「……他には?」

「俺の血は毒のようになってるので。弱らせてます。恐らく……回復するかと」

「再生持ちか、SHIT!」

 

そのまま脳無へと突進……という名の超速移動とともに繰り出されたパンチは、脳無には効いていないようだった。

 

「効かないのはショック吸収だからさ。脳無にダメージを与えたいなら、ゆうっくりと肉を抉り取るのが効果的だ……まあ、あのガキが何かしてくれたせいでコンデションが少し悪いが……いいだろう。やれ脳無」

 

「わざわざサンキュー!!そういうことならやりやすい!!」

 

……いや、なんでバックドロップが爆発みたいになるんだよ。物理がおかしいだろ物理が。

 

「……相澤先生?」

「あの手だらけは俺がやる。お前ら避難してろ」

「……っ、はい。行こうあす……梅雨ちゃん、峰田くん、渡我くん!」

「おう!」

「わかったわ」

「……先生、ちゃんと帰ってきてくださいね」

「ああ、わかってるよ」

 

モヤのやつに飛ばされたクラスメイトも続々と戻って来るのを13号先生も確認していたらしく、安堵した。

 

「……緑谷?」

「ううん!なんでもないよ!」

「そうか。何かあったら言えよ」

「うん、ありがとう」

 

……そういや、緑谷あの時のパンチ──

 

「なあ、緑谷」

「うん?」

「さっきのパンチ、腕壊れなかったな」

「そうなんだよ!さっき無意識のうちにブレーキがかかったのか、腕が壊れなくって……」

 

また解説モードに入ろうとしたので、一旦制してから話に戻る。

 

「無意識でも制御できたなら話は早いな。空いてる日があったら教えてくれ」

「え?」

「個性のコツでも教えるよ」

「ほんと!?ありがとう渡我くん!!」

「いいってことよ。……さ、他の先生も来たみたいだし、委員長の通り並ぼうか」

「うん!」

 

ふと、オールマイトの方を見やる。

脳無に摂取させた俺の血が効いていない。

……解毒が個性なのか?にしては身体も膂力もおかしい。

 

 

 

──複数個性?

 

 

 

いや、そんなはずない。どんな個性を持った親が子供を持とうが、全く系統の違う複合型個性を持った子供が産まれることはない。片方の親の個性が発現するか、何かしら似た要素が混ざったものになるはずだ。

あの超パワーと解毒、そしてショック吸収。今思いつく限りでも、3つの個性を持ってる。そんなもの聞いたことがない。

造られた?いや、あんなのどうやって造るんだよ。

ていうか生物って造れるのか?

 

「チッ」

 

頭が纏まらねえ……血使いすぎたか?血液パック節約したのが裏目に出たか……。

 

「オールマイトは……」

 

ああ、脳無殴り飛ばしてくれた。モヤと手だらけも帰ったみたいだし、一旦並んで、そしたら……

 

「……すまん緑谷、ちょっと寝る」

「え?渡我くん?」

「貧血って伝えといて」

 

そのまま、ぐらりと緑谷の方向に倒れた。

 

 

・・・・・

 

 

「……ぁ」

 

保健室。前に緑谷を連れて行った時に見た景色。

血が巡る感覚がある。少し輸血されたらしい。

 

「起きたかい、渡我少年」

「……オールマイト」

「少し血が足りなさそうだったから、輸血させてもらったよ。それなりに時間は経ってるから、もう動いて大丈夫さね」

「リカバリーガール……そうだ、皆は?」

 

そう聞くと、2人とも優しい笑みで伝えてくれた。

 

「取り調べも終わって、今頃帰ってる頃だ。動けそうならそのまま退院だよ」

「そうですか……ありがとうございました」

「渡我少年、私も君に助けられた。あの黒い敵と戦ってくれた、と」

「!」

「私からも礼を言うよ。ありがとう」

 

……オールマイトって、こんな子供にも頭を下げるのか。

 

「はい。……また明日来るので、その時はよろしくお願いします」

「ああ!気をつけて帰れよ!」

「はい。さようなら」

 

その後、校門で待っていた相澤先生にも挨拶をした。

 

「すまなかった、渡我。お前まで戦わせた」

「いいですよ別に。俺が勝手にやったことですし」

「それもそうだな。それはそうと、明日は反省文を書かせる。いいな」

「わかってますよ」

「ならいいんだ。気をつけろよ」




というわけで、この世界のオールマイトはあまり無理せずに敵連合を退けることが出来ました。飯田らの奮闘もあって、13号先生の背中も無事です。よかったね。その分合宿でツケを払ってもらうことになるから準備しててね。
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