赤き血の英雄、悪を穿つ。   作:ただねこ

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タイトルって要る?


11話

「皆ーー!朝のHR(ホームルーム)が始まる、席につけー!!!」

 

 

「ついてるよついてねーのおめーだけだ」

 

「おはよう」

 

「相澤先生!」

「先生おはようございます!!」

「無事で良かったです」

「肘が崩れた程度だったからな。そこは渡我のおかげだ。あいつがあの黒い敵を足止めしてくれていたからな」

「……」

 

相澤先生は、肘の治療に少し時間がかかるらしい。”崩れる”という、あまりないことが起きたから、一旦の様子見をしているそうだ。

 

「さて、敵の撃退お疲れ様だ。だが、まだ戦いは終わってない」

 

「!?」

 

「戦い?」

「まさか……」

「また敵が!?」

 

「雄英体育祭が迫ってる!!」

 

 

「クソ学校っぽいの来たああああああああ!!!!!!!!」

 

 

……声でかいって。

 

 

・・・・・

 

 

敵に侵入されたものの、雄英としては危機管理体制の盤石さを示す考えだそうだ。警備も例年の5倍。

 

「……なにより、ウチの体育祭は最大のチャンスだ。敵ごときで中止にしていい催しじゃない」

 

雄英体育祭は、今や日本のビッグイベントの1つとして数えられる。嘗て「スポーツの祭典」として君臨していたオリンピックに代わって台頭してきたのが、雄英体育祭。

そして、全国のトップヒーローも()()()()()()で来る。勿論雄英の警備も兼ねて。

 

資格修得(そつぎょう)後はプロ事務所にサイドキック(相棒)入りが定石だもんな」

「そっから独立しそびれて万年サイドキックも多いんだよね。上鳴あんたそーなりそう。アホだし」

「くっ!!」

「当然、名のあるヒーロー事務所に入れば経験値も話題も大きい。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」

 

年に1回、計3回しかないビッグイベント。逃す意味など微塵もない。

 

「気引き締めてけよ。今回は例年よりも多くのヒーローが見に来てる。その分チャンスは多いと思え」

「「「はい!!!」」」

 

 

・・・・・

 

 

「よ、緑谷」

「渡我くん!もしかして一昨日の?」

「ああ。予定は空いてるか?」

「もちろん!えっとね……明後日なら空いてるよ!」

「わかった。雄英は休みの日も申請すれば体育館使える*1し丁度いいな。後で先生に紙を貰ってくるか」

「ありがとう!」

 

その後、緑谷はオールマイトに呼ばれてお昼を食べに行った。ついでにオールマイトに頼んで、体育館の使用申請書を貰っておいたので完璧だ。

 

「……渡我、隣いいか」

「!」

 

いつも通りまぐろ丼を食べていると、珍しい紅白の髪が目に入る。

 

「どうした、。珍しいな、お前が俺と食事なんて」

 

 

・・・・・

 

 

「蕎麦好きなのか」

「ああ」

 

……気まずい。なにげにナチュラルボーン天然だからな、コイツ。意外と絡みづらい。

 

「何かあったのか?」

「……俺はお前に負けた」

「……戦闘訓練か。炎使わなかったのはなにか理由あるのか?」

「ああ。……親父がな」

 

……轟の口から語られたのは、父であるエンデヴァーからされ続けた個性の育成。エンデヴァーの個性である「ヘルフレイム」は強力だが、使えば使うほど熱が身体に籠もって身体能力が鈍くなるという弱点があった。

そんなエンデヴァーのもとに産まれた轟の個性は、「半冷半燃」。左で燃やし、右で冷ます。エンデヴァーの問題を解決した、複合型の個性。

 

だが、エンデヴァーは轟に対して厳しい訓練を課した。常にNo.1を目指し続け、それを諦めたエンデヴァーは、轟に夢を託した。その結果、妻に手を上げ、精神的に追い詰め病院に隔離させてしまったのだそう。轟の顔にある火傷は、精神の摩耗した母親から浴びせられた煮え湯だそうだ。

 

──全ては、「轟焦凍という人間にオールマイトを超えさせるため」。

 

でも、轟はそんなエンデヴァーが気に入らなかった。母親譲りの個性……氷のみで結果を出すようになった。

 

 

……おっっっっっも。

これ俺が聞いていいやつか?

いや、轟が話してくれたのなら、蔑ろにするべきじゃない。

 

「話してくれてありがとう、轟。……まさか、これで「情けをかけるな」なんて言うつもりじゃないよな?」

「……ああ。そうだよ。俺はお前をねじ伏せて、体育祭で優勝する。親父を否定する……!」

 

……ということだそう。なんともまあ悲しい人生だ。

 

「じゃあ、今のままじゃお前は俺に勝てねえな」

「!!」

「その精神性じゃヒーローにはなれねえよ、轟」

「んだと……」

「たしかに氷は使い勝手がいい。範囲を決めやすいし、拘束力も高いからな。でも足りない。お前が優勝するには、文字通り全てを使わなければならない」

「……」

 

滔々と過去を話していたさっきの声から一変、こいつは鋭い目つきで俺を睨んでいる。

 

「文字通りだ。全部使え。これは俺の持論だが……ヒーローになりたいならまずは絶対に折れない自己を創るべきだと思ってる。これは自己犠牲だとか、復讐心だとか……そういう負の感情じゃない、未来の中で在りたい自分をゴールにしろ。そして、やがてそれを超えていく。だからPuls Ulrta(更に向こうへ)なんだよ」

「……っ」

「それがわかんねえならお前はヒーローになるな。もう少し見つめ直せ。本当になりたいヒーローがなんなのか。そこに行き着くためにすべき事を考えろ」

 

……俺が言えることでもねえか。

 

「ごちそうさま。……ほら、授業までもう少しだ。はやく蕎麦食ったほうがいいぞ」

「……ああ」

*1
独自設定。ここでは休みの日でも”ヒーローになるための訓練”という名目で、申請すれば体育館や演習場の仕様が許可されます。なお、雄英の敷地は広大のため、一度に何十組も使うなんてことも多いんだとか。

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