どうも、常夏鳳梨です。
今回はみんなが大好きこと、ジャガイモが主役の回です!!
というか、全世界の人間の中でジャガイモが嫌いな人って居るのかな?
そこのところ、どーなんだろ?
ジャガイモ。
それは保存も効く上にどんな場所でも育ちやすいことから、グスタフ王の治世の際に広く普及した野菜である。
そのためか、飽きる程にジャガイモを食べながらも結局はその味に焦がれるオーク達は少なくはなく、その立ち位置はまさに故郷の味と言っても過言ではなかった。
オルクセン国内において、もはやヴルスト並みといっても過言ではない程に人気を誇っているジャガイモは、ベレリアンド戦争時においてもよく食べられていたためか、その味に慣れ親しんだ軍人の中には闇エルフも居た。
もちろん、ディネルースも戦時中においてはジャガイモで腹を満たした軍人の一人であるためか、今後のことを考えた上でのヴァルダーベルクでのジャガイモの品種改良を進めていた。
例えば、しっとりとした食感が特徴で煮物に最適なタイプの〈
栗のような甘さで煮崩れしにくく、ねっとりとしたタイプの〈暁の目覚め〉──などなどの品種が生み出されたことにより、オルクセン連邦はジャガイモの品種改良という面においては、他の国々よりも一歩二歩先に進んでいた。
そのことに対し、ヴァルダーベルクの代表者となりつつあった闇エルフこと、グルティナ・モリエンドはこう語っている。
ジャガイモの可能性を舐めたらアカン──と。
「そういうわけで、カルトッフェル・フェストを始めてみたんです!!」
そして、今現在のヴァルダーベルクではそのジャガイモが主役のイベント──もとい、カルトッフェル・フェストが行われていた。
このイベントは、元々はヴァルダーベルクで収穫したジャガイモの産直市として行われるはずだった。
けれども、今年に入ってからジャガイモがあまりにも多く収穫されたため、急遽ジャガイモ料理を味わえる産直市という形で路線変更したことにより、今に至るのだとか。
そのため、駅前の広場には野菜としてのジャガイモを売るマルシェはもちろんのこと、オルクセン国民の好物とも言えるジャガイモ料理を売る屋台もそれなりになったため、イベント会場にはジャガイモ好きなオークやコボルト、ドワーフ達で溢れかえっていた。
その光景をグルティナの話を聞きつつ見ていたもう一人の闇エルフこと、ディネルースは女王として微笑ましそうな顔をしていて、彼女の方を見ると一言
「──やはり、ジャガイモの力は凄いな」
ジャガイモを目当てにヴァルダーベルクにやって来た国民達に対し、微笑ましいとばかりの様子でそう言っていた。
この地にジャガイモが多く実ったように、オルクセンもまた発展し続けている。
今も昔も色んな問題や壁はあれども、夫であるグスタフ・ファルケンハインが築いた礎はそう簡単には消えはしない。
だからこそ、ディネルースは彼亡き後のオルクセンの発展と成長を静かに見守ってきたのである。
ただし、その彼女自身に苦悩が無いわけではなかった。
何故ならば、あれ程までに世界の平和を願っていたグスタフの思いとは裏腹に、今現在の世界情勢は複雑化の一途を辿っていたからである。
十三日間危機を発端にした冷たい戦争に、約50年前にキャメロット連合王国とロヴァルナ連邦が介入した南道洋での戦争。
世界的な感染症の流行が終息し始めたかと思えば、今年の一月にキャメロット側の首相として就任した男──もとい、とある不動産王が各国に課した様々な関税により、国家間での対立がチラホラと目立ち始めていたりと、どうにもこうにも平和なようで平和ではない空気になってきていたため、ディネルースは女王としてそのことを憂いていたのである。
もしかすると、今の時期は生命力の強いジャガイモのように辛抱強く耐える期間なのかもしれない。
長命種として時代の流れを見てきたからか、心の中でそうボヤくディネルース。
だがしかし、それはそれとしてカルトッフェル・フェストを満喫しようと思ったのか、彼女はグラティナに案内される形でイベント会場を歩いていた。
カルトッフェル・フェストの会場では、ジャガイモの蒸しパンであるクネドリーキはもちろんのこと、コンソメ・酢・オイルとジャガイモを和えたオルクセン風ポテトサラダ。
更には、最近若者の間で流行っているフレンチポテト──もとい、トルネードポテトの姿もあり、それを見たディネルースがルンルン気分になったのは言うまでもない。
「昔から色々なジャガイモ料理があったとは言え、ここ数年は更にジャガイモ料理の種類も増えているな」
「はい!!そうなんです!!だからこそ、ジャガイモの品種改良が捗るんです!!」
グルティナがニコニコと微笑みながらそう言った瞬間、だろうなと声を漏らすディネルース。
ここ数年のヴァルダーベルクの発展の裏には、グルティナを含めた闇エルフ達の汗と涙が滲むような努力が隠されていた。
その努力により、多くの野菜の品種がヴァルダーベルクの地で誕生してはオルクセン全土に広まり、この国の豊かな食事情を支えていたのである。
それはジャガイモも例外ではなく、オルクセン連邦に住まうオーク達の好みに合わせたことにより、多種多様な料理に合うジャガイモが開発されては普及していった結果、今となってはオルクセン原産のジャガイモが国際的に注目されつつあったとか。
そのためか、最近はジャガイモ農家の闇エルフやオーク達が忙しくしているとグルティナが語ると、それを聞いたディネルースはさっきまで抱いていた国際情勢へのモヤモヤが吹き飛んだようで、その顔には優しい笑顔が浮かんでいた。
ちょうどその時、グルティナはジャガイモ関連のことであることを思い出したようで──隣に居るディネルースに向けてこう言った。
「あ、そうだ!!最近開発された品種を使った【カルトッフェルプッファー】があるんですけども──食べます?」
「何!?」
グルティナがそう言った瞬間、思わずその言葉に食い付くような反応になるディネルース。
彼女のその様子を見たグルティナは、長い時が経ってもなお姉様は変わらないなと思いつつ、ディネルースをその屋台へと案内した。
【カルトッフェルプッファー】とは、すりおろしたジャガイモを使用したパンケーキのような軽食である。
オルクセンではグスタフ王の治世から愛されてきた料理で、主に屋台飯や朝食の定番として親しまれていたためか、女王であるディネルースもまたそれなりに食べていたため、割と馴染みのある食べ物であった。
ただし、それはあくまでグスタフが生きていた頃の話で──女王として即位してからはあまり食べる機会がなかったため、食い付くような反応になっていたのだった。
そんな彼女を尻目に、グルティナが案内した先にあったのは【カルトッフェルプッファー】を売っている屋台で、そこには揚げ焼きされたであろう【カルトッフェルプッファー】が並んでいた。
それを見たディネルースは目を輝かせていたが、グルティナの微笑ましそうな視線に気がついたことにより、恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
なお、それを見た屋台の店主(オーク)は彼女の正体がディネルースだと気がついていなかったのか、グルティナと同じように微笑ましそうな顔になっていた模様。
「おぉ──確かにこれは美味そうな【カルトッフェルプッファー】だな」
そう呟いた後、屋台にて出来立ての【カルトッフェルプッファー】を注文するディネルースとグルティナ。
そして、そのまま二人は別の屋台でジュース系の飲み物を買った後、【カルトッフェルプッファー】を片手にそのままテーブル付きの木製のベンチへと移動していた。
【カルトッフェルプッファー(エルフサイズ)】
すりおろしたジャガイモと玉ねぎを使った惣菜系パンケーキ
ヴァルダーベルクでは林檎ジャムを乗せて食べるスタイルらしい
「ほぅ、この【カルトッフェルプッファー】は林檎ジャム付きなのか」
「と言うよりかは、ヴァルダーベルクではこの食べ方が主流なんです」
彼女の疑問に対してグルティナがそう言うと、ますます興味を示すディネルース。
ディネルースが今まで食べてきた【カルトッフェルプッファー】は、塩胡椒などの味が基本のシンプルなモノであった。
だからこそ、林檎ジャムをトッピングした【カルトッフェルプッファー】に興味を示したようで、ナイフとフォークで一口大に切った後に臆することなく一口食べた。
揚げ焼きにしたことにより、溢れ出るのは生地に使用されたジャガイモと玉ねぎ本来の甘み。
その味を引き立てる塩胡椒やナツメグの風味に加え、ソース代わりにトッピングした林檎ジャムの爽やかな甘みもあってか、揚げ焼きだからこそのコッテリ感が中和されていたため、ディネルースはこれは美味いぞとばかりの顔になっていた。
「──この【カルトッフェルプッファー】は中々に美味いな」
「フフッ、そう言ってくださるだけでも嬉しいです」
そう言った後、美味しそうな様子で料理を堪能しているディネルースに対し、微笑みながら林檎ジュースを飲むグルティナ。
この【カルトッフェルプッファー】という料理は、ヴァルダーベルクでは家庭料理としてよく食べられていた。
ありふれた料理とは言えども、それでも家庭によっては様々なトッピングをされることしばしばあり、まさに家庭の味と言っても過言ではなかった。
それは、白エルフ達による迫害と民族浄化という名の虐殺により、故郷を追われる羽目になったグルティナと同じだったようで、このヴァルダーベルクの地に暮らし始める形で根付いて以降、彼女にとって【カルトッフェルプッファー】は馴染み深い料理となっていたのである。
だからこそ、彼女はこの【カルトッフェルプッファー】をディネルースに対して勧めたのだとか。
「この林檎ジャムのおかげで、【カルトッフェルプッファー】を飽きることなく食べることが出来るとは──よく考えられた料理だな」
そうボヤきつつ、【カルトッフェルプッファー】を完食するディネルース。
そして、オレンジジュースを飲みながらカルトッフェル・フェストに出ている様々な屋台を見ていた彼女は、今年もジャガイモが豊作だなと思っていたのだが──ふと、今回食べた【カルトッフェルプッファー】の味が気になったのか、グルティナに向けてこう尋ねた。
「そういえば──この【カルトッフェルプッファー】には最近開発された品種のジャガイモが使われていると言っていたが、これはどんな品種なのだ?」
彼女がそう尋ねると、グルティナはニコッと笑ったかと思えば──待ってましたとばかりな様子となった後、隣に居るディネルースに向けて笑顔を見せながらこう言った。
「そうですね──簡単に言えば、【カルトッフェルプッファー】用に開発された品種です!!」
そういうわけで、【カルトッフェルプッファー】の他に様々なジャガイモ料理を満喫する形で食べた後、カルトッフェル・フェストを楽しんだディネルースは、そこで行われていたジャガイモの詰め放題に挑戦したのだが、結果的に物凄い数のジャガイモをゲットしたためか、料理長からメッタメタに怒られていたとか。
ちなみに、そのジャガイモの一部はシュヴェーリンを含めたディネルースの昔の知り合いに分けたのだった。
@YamiDonguri
カルトッフェル・フェストに行ったぞい!!
そんでもって、【カルトッフェルプッファー】を食べたぞい!!
#オルクセン飯
【本日のメニュー】
☆カルトッフェルプッファー(林檎ジャム乗せ)