機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 宇宙世紀0088 最強のニュータイプは妹達を救うため、指先一つで宇宙世紀の歴史を貫く 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0088年。小惑星基地アクシズ。
「盛夏祭」の余韻を切り裂くように、基地各所で原因不明の構造振動が発生していた。それは物理的な衝撃を伴わず、隔壁が内側から弾け飛ぶという不気味な現象――「サイコミュ共振(ポルターガイスト)」と呼ばれた。
あたし、エルピー・プルは、キュベレイMk-IIのコクピットで、その震源を探していた。
「……っ、まただ! ミリィ、今の感じた!?」
「はい、プルさん! 居住区第12ブロックに強力な感応波(サイコウェーブ)のスパイクを確認! これ、地震なんかじゃありません。誰かの思念が、基地構造材の各所に残留しているサイコミュ・チップと共鳴して、物理エネルギーに変換されているんです!」
移動指揮官機を操るミリィ・チャイルドが、モニターに表示される異常な波形を指し示す。
その時、司令室から強引な割り込み通信が入った。送り主は、軍科学技術局から派遣されたテレスティーナ・ライフライン。
「治安維持部隊(ジャッジメント)の諸君、ご苦労様。ここからは我々『検体保護部隊』の管轄よ。君たちのような旧型のバイオ・センサーを積んだ機体では、この乱雑開放(ポルターガイスト)の波に呑まれて自壊するのがオチだわ」
テレスティーナが操る重装甲MS――試作型量産サイコ・ガンダムが、あたしのキュベレイの横を不遜に通り過ぎていく。
「なによあいつ……。あたしのキュベレイをバカにして!」
「お姉様、落ち着いて! 私(わたくし)のゲーマルクのセンサーも、あの女の機体から吐き気のするような冷たいプレッシャーを感じておりますわ!」
キャラ・スーンが警告を発する。
その直後、過去最大級の振動がアクシズを襲った。居住区の巨大な支柱が、見えない力にねじ切られ、住民たちの悲鳴がバイオ・センサーを通じてあたしの脳内に流れ込んでくる。
「……違う。これ、テレスティーナの言ってることと違う! このプレッシャー……泣いてるんだ。誰かが、助けてって叫んでる!」
あたしはテレスティーナの制止を無視して、キュベレイMk-IIを急加速させた。
辿り着いたのは、かつてローレン・ナカモトが管理していた第13隔離セクター。
そこでは、テレスティーナの部下たちが、意識不明の子供たちが眠る培養槽を、無骨なクレーンMSで運び出そうとしていた。
「やめて! その子たちをどこに連れて行くつもり!?」
あたしがキュベレイのビーム・サーベルを抜こうとした瞬間、凄まじい衝撃波があたしを弾き飛ばした。
それは、運び出されようとしている子供の一人――エリザベスの無意識が放つ、暴走した感応波だった。
「……っ、あの子が……ポルターガイストの正体なの……?」
「フフ……いい反応ね。そうよ、彼女たちは『置き去り(チャイルドエラー)』。未完成なニュータイプたちの脳波を繋ぎ合わせれば、このアクシズそのものを動かすことだって可能になるわ」
テレスティーナの冷笑が通信に混じる。
その時、あたしは闇の中に、キュベレイMk-IIと全く同じ……けれど、凍りつくような殺意を放つプレッシャーを感じた。
(……プルツー!)
赤い瞳の少女が、黒き巨神サイコ・ガンダムMk-IIのコクピットからあたしを見下ろしている予感。
ポルターガイストは、単なる事故じゃない。大人たちが新しい兵器を作るための、残酷な実験の産物だったんだ。
宇宙世紀0088年。
救いたかった日常が、再び戦いの渦に巻き込まれていく。
「……ミリィ、キャラ! あたし、あの子たちを絶対に見捨てない! どんなに大きな力が相手でも、あたしが止めてみせるんだから!」
あたし、エルピー・プル。
キュベレイMk-IIのバイオ・センサーを怒りの赤に染めて、あたしは巨大な陰謀の渦中へと飛び込んでいった。