機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 宇宙世紀0088 最強のニュータイプは妹達を救うため、指先一つで宇宙世紀の歴史を貫く 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0088年。小惑星基地アクシズ。
サイコミュ共振による物理破壊現象――ポルターガイストの調査権をテレスティーナ・ライフライン率いる検体保護部隊に奪われ、あたしたち治安維持部隊(ジャッジメント)第7支部には、待機命令が下されていた。
あたし、エルピー・プルは、第7支部の屋上で、ミリィ・チャイルドと並んで星の見えない人工の空を見上げていた。
「ねえミリィ。テレスティーナって女の人、どうしても信じられない。あいつの放つプレッシャー、ローレン先生とは全然違う……冷たくて、嫌な感じがするんだ」
「プルさん……。私も調べてみました。あの検体保護部隊、表面上は事故調査を目的としていますが、その予算の出所は軍の第13開発局……つまり、ニュータイプ研究所の直轄なんです」
ミリィ・チャイルドが差し出した端末には、驚くべき事実が記されていた。
テレスティーナは、一年戦争時に連邦軍で強化人間の礎を築いた科学者の血筋。彼女たちが今探しているのは、共振を止める方法ではなく、暴走した感応波を兵器に転用するための完成された検体だったんだ。
「……あの子は? ローレン先生の教え子の、エリザベスはどこに連れて行かれたの?」
「テレスティーナが隔離保護という名目で連れ去りました。でも、搬送記録によれば、彼女が向かったのは病院ではなく、居住区の地下深くにある中央演算ユニット、通称、第23ラボです」
その時、第7支部にキャラ・スーンが血相を変えて飛び込んできた。
「お姉様! 大変ですわ! 私(わたくし)の愛のセンサーが、軍の極秘回線を傍受いたしました! テレスティーナは、あの子供たちの脳を並列化し、アクシズ全域のサイコミュを強制制御するための生体触媒にしようとしていますわ!」
キャラの報告に、あたしの全身に電気が走った。
かつての事件でローレン先生が踏みとどまった一線を、あの女は平気で踏み越えようとしている。
「……ミリィ、場所を特定して。あたし、あの子たちの声が聞こえるんだ。ずっと泣いて、助けを呼んでる……」
「了解しました。プルさん、アクシズのメインシャフト第5層、旧型サイコミュ試験場……そこが彼女たちの拠点です。でも、そこには軍の自動防衛システムが……」
「そんなの、あたしが全部壊してあげる! 行こう、キャラ!」
あたしは、かつてローレン先生が残した、子供たちのための安らぎのプログラムを握りしめた。
大人の身勝手な実験のために、また誰かが涙を流すなんて、あたしが許さない。
宇宙世紀0088年。
光の裏側に潜んでいた、アクシズの真の闇。
あたしたちと同じ造られた命を、使い捨ての部品として扱う奴らから、あたしはみんなを奪い返してみせる。
「……待っててね。今、助けに行くから!」
あたし、エルピー・プル。
あたしのバイオ・センサーは、もう迷わない。
暗闇の奥に囚われた仲間たちの声を目指して、あたしは真っ直ぐに駆け出した。