機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 宇宙世紀0088 最強のニュータイプは妹達を救うため、指先一つで宇宙世紀の歴史を貫く   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

22 / 24
レベル6(神ならぬ身にて天上の意志に辿り着くもの)

宇宙世紀0088年。小惑星基地アクシズ。第23極秘研究ラボを包囲するテレスティーナ直属のMS部隊に対し、あたしたち治安維持部隊(ジャッジメント)は総力戦を挑んでいた。

 

あたし、エルピー・プルは、キュベレイMk-IIのコクピットで激しいGに耐えていた。

 

「ローレン先生! 待ってて、今すぐそこをこじ開けるから!」

 

ラボの隔壁を守るのは、テレスティーナが極秘に調整していた自律型MS――量産型サイコ・ガンダムの試作機群。彼女はその機体に、意識不明の子供たちの脳波を並列化したサイコミュ・リンクを組み込み、後のバグにも通じる無慈悲な自律防衛システムを構築していた。

 

「プル、無駄よ。その機体のファンネルは、このレベルシックス・シフトが展開するサイコ・フィールドの前では、ただの鉄屑に過ぎないわ!」

 

テレスティーナの嘲笑と共に、キュベレイMk-IIのファンネルが次々とコントロールを失い、火花を散らして落下していく。

 

「……っ、ファンネルが動かない!? 脳波を、外から書き換えられてるの……!?」

 

「お姉様! 私(わたくし)が盾になりますわ! ゲーマルクのメガ粒子砲で、フィールドに穴を空けます!」

 

キャラ・スーンのゲーマルクが、全身の砲門を解放して絶叫に近いプレッシャーを放つ。けれど、子供たちの脳波を並列演算ユニットとして利用した絶対防御は、ゲーマルクの火力すらも無慈悲に無効化していく。

 

その時、ローレン・ナカモトの通信が、強制割り込みであたしのモニターに映し出された。

 

「……プル、落ち着くんだ。あの子たちの脳波を逆流させているマスター・ユニットの周波数を、今からミリィの端末へ送る。キュベレイMk-IIのバイオ・センサーを受信モードに切り替え、君の感応波であの子たちの悲鳴を……優しさで上書きするんだ!」

 

「ローレン先生……! わかった、やってみる!」

 

あたしはレバーから手を離し、そっと目を閉じた。

計器の数字を見るんじゃない。空間に漂う、機械の一部にされたあの子たちの怯えた色を感じ取るんだ。

 

「ミリィ、中和コード、送って!」

 

「了解! プルさんのバイオ・センサーを中継して、アクシズ全域のサイコミュ・チップに安らぎの波を強制パッチします!」

 

ミリィ・チャイルドの指先が、高速でキーを叩く。

キュベレイMk-IIの肩部バインダーが展開し、機体から青白いだけじゃない、虹色の輝きが溢れ出した。

 

「……みんな、もういいよ。もう、頑張らなくていいんだよ!」

 

あたしの祈りが、キュベレイMk-IIを介してラボ全体を包み込む。

その瞬間、無敵を誇ったサイコ・フィールドが霧のように消散した。

 

「な……なんですって!? 私のレベルシックス計画――強化人間を神の領域へ至らせる理論が、たかが子供の情緒ごときに阻まれるというの!?」

 

「テレスティーナ! あんたには一生わからないよ。この力が、誰かの涙を止めるためにあるんだってこと!」

 

あたしはキュベレイMk-IIを急加速させ、機能停止した量産型サイコ・ガンダムの群れを潜り抜けた。

標的は、テレスティーナの待つ司令センター。

 

宇宙世紀0088年。

力と力のぶつかり合いの果てに、あたしたちはようやく、あの扉の向こう側にいる仲間たちの声に手を伸ばした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。