機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 宇宙世紀0088 最強のニュータイプは妹達を救うため、指先一つで宇宙世紀の歴史を貫く 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
宇宙世紀0088年。小惑星基地アクシズ。第23極秘研究ラボを包囲するテレスティーナ直属のMS部隊に対し、あたしたち治安維持部隊(ジャッジメント)は総力戦を挑んでいた。
あたし、エルピー・プルは、キュベレイMk-IIのコクピットで激しいGに耐えていた。
「ローレン先生! 待ってて、今すぐそこをこじ開けるから!」
ラボの隔壁を守るのは、テレスティーナが極秘に調整していた自律型MS――量産型サイコ・ガンダムの試作機群。彼女はその機体に、意識不明の子供たちの脳波を並列化したサイコミュ・リンクを組み込み、後のバグにも通じる無慈悲な自律防衛システムを構築していた。
「プル、無駄よ。その機体のファンネルは、このレベルシックス・シフトが展開するサイコ・フィールドの前では、ただの鉄屑に過ぎないわ!」
テレスティーナの嘲笑と共に、キュベレイMk-IIのファンネルが次々とコントロールを失い、火花を散らして落下していく。
「……っ、ファンネルが動かない!? 脳波を、外から書き換えられてるの……!?」
「お姉様! 私(わたくし)が盾になりますわ! ゲーマルクのメガ粒子砲で、フィールドに穴を空けます!」
キャラ・スーンのゲーマルクが、全身の砲門を解放して絶叫に近いプレッシャーを放つ。けれど、子供たちの脳波を並列演算ユニットとして利用した絶対防御は、ゲーマルクの火力すらも無慈悲に無効化していく。
その時、ローレン・ナカモトの通信が、強制割り込みであたしのモニターに映し出された。
「……プル、落ち着くんだ。あの子たちの脳波を逆流させているマスター・ユニットの周波数を、今からミリィの端末へ送る。キュベレイMk-IIのバイオ・センサーを受信モードに切り替え、君の感応波であの子たちの悲鳴を……優しさで上書きするんだ!」
「ローレン先生……! わかった、やってみる!」
あたしはレバーから手を離し、そっと目を閉じた。
計器の数字を見るんじゃない。空間に漂う、機械の一部にされたあの子たちの怯えた色を感じ取るんだ。
「ミリィ、中和コード、送って!」
「了解! プルさんのバイオ・センサーを中継して、アクシズ全域のサイコミュ・チップに安らぎの波を強制パッチします!」
ミリィ・チャイルドの指先が、高速でキーを叩く。
キュベレイMk-IIの肩部バインダーが展開し、機体から青白いだけじゃない、虹色の輝きが溢れ出した。
「……みんな、もういいよ。もう、頑張らなくていいんだよ!」
あたしの祈りが、キュベレイMk-IIを介してラボ全体を包み込む。
その瞬間、無敵を誇ったサイコ・フィールドが霧のように消散した。
「な……なんですって!? 私のレベルシックス計画――強化人間を神の領域へ至らせる理論が、たかが子供の情緒ごときに阻まれるというの!?」
「テレスティーナ! あんたには一生わからないよ。この力が、誰かの涙を止めるためにあるんだってこと!」
あたしはキュベレイMk-IIを急加速させ、機能停止した量産型サイコ・ガンダムの群れを潜り抜けた。
標的は、テレスティーナの待つ司令センター。
宇宙世紀0088年。
力と力のぶつかり合いの果てに、あたしたちはようやく、あの扉の向こう側にいる仲間たちの声に手を伸ばした。