機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 〜あたしはニュータイプ、指先ひとつで宇宙世紀を撃ち抜く電撃使い〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

42 / 43
勉強会

「……で、なんであたしまで勉強会に参加してるの」

 

あたしは、キャラとミリィ、そして相変わらず居座り続けているジュドーに囲まれて、テーブルに広げられた教材を見つめていた。

 

「お姉さま、来月に控えたパイロット適性の学科試験、記憶してますか?」

 

「……あ」

 

そういえば、そんな試験があった。実技はともかく、学科の座学がどうにも苦手なあたしだった。

 

「ジュドーさんも、たまたま居合わせたので、お誘いしましたの」

 

「いや、俺は別に……暇だったからついてきただけで」

 

ジュドーは、少し照れくさそうに頭を掻いた。

 

「じゃあ、まずは軌道力学の基礎から。……プルさん、この公式わかります?」

 

ミリィが、端末に表示した数式を指す。あたしは、頭を抱えた。

 

「……ぜんぜんわかんない」

 

「大丈夫です、順番に説明しますね」

 

ミリィの丁寧な解説が始まる。だが、数式を追ううちに、あたしの頭は、次第に眠気に襲われ始めた。

 

「……ふわ……」

 

「お姉さま、寝てはいけません」

 

「うぐ、ごめん……ミリィの声、子守唄みたいで」

 

「褒めているのか、貶しているのか、微妙です」

 

そんな和やかなやり取りに、ジュドーが小さく笑った。

 

「……意外だな。プルって、めちゃくちゃ強いパイロットのイメージだったのに、勉強はてんでダメなんだな」

 

「……うるさいなあ。あんたはどうなの、Ζガンダムまで乗りこなしてるくせに」

 

「軌道力学の教科書なんざ、開いたこともねえよ。俺のは、全部、身体で覚えたやり方だ」

 

「それはそれで、すごいと思うけど」

 

キャラが、その様子を見て、少し不服そうな表情を見せた。

 

「ジュドーさん、お姉さまと随分親しくなられましたわね」

 

「今更かよ。この夏、散々世話になった仲だろうが」

 

「私は、お姉さまの側近として、些細な変化も見逃しませんの」

 

「……キャラ、それ、ヤキモチ焼いてるみたいだよ」

 

「や、ヤキモチだなんて……! 私はただ、お姉さまをお守りする義務がありますから……!」

 

賑やかなやり取りが続く中、勉強会は、予想以上に長引いた。休憩がてら、ミリィが淹れてくれたお茶を飲みながら、あたしはふと、テーブルを見渡した。

 

「……なんか、こういう時間、悪くないね」

 

「同感ですわ、お姉さま」

 

「私も、こういう賑やかな時間、好きです」

 

「……ま、俺も、悪くないよ」

 

夜が更ける頃、あたしの頭には、少しだけ、公式が入ってきたような気がした。

 

「……今日は、ありがとう、みんな」

 

「お礼を言うのはこちらですわ。お姉さまと一緒に過ごせて、幸せでしたもの」

 

「私も、楽しかったです」

 

「……まあ、俺も、悪くなかったよ」

 

賑やかな夜が、静かに更けていった。この何気ない日常が、あたしにとって、何よりも大切なものだと、改めて感じた夜だった。

 

解散したあと、ジュドーだけが、少し遅くまで残っていた。

 

「……なあ、プル」

 

「ん? どうしたの」

 

「あんたたちって、いつもこんな感じなのか。……賑やかで、なんか、いいよな」

 

「……そう?」

 

「ああ。……エゥーゴにいた頃は、あんまり、こういう時間、なかったから」

 

その言葉には、どこか懐かしさと、微かな寂しさが滲んでいた。あたしは、少し考えてから、微笑んだ。

 

「じゃあ、これからも、いっぱい来なよ。リィナも一緒に。あんたも、もう、あたしたちの仲間なんだから」

 

「……今更、言うことかよ、それ」

 

「なによ、素直に喜びなさいよ」

 

その言葉に、ジュドーは、少し驚いたように瞬きをした。それから、ゆっくりと、頷いた。

 

「……ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

片付けを終えたテーブルの上には、まだ、教材やノートが散らばっていた。あたしは、それを片付けながら、明日からの試験勉強のことを考えて、小さくため息をついた。

 

「……明日も、勉強会、やる?」

 

「もちろんですわ、お姉さま。合格するまで、付き合いますので」

 

「頼もしいけど、ちょっと怖いよ、それ」

 

くすくすと笑いながら、あたしたちは、片付けを続けた。ミリィが、最後に部屋の明かりを消しながら、ぽつりと呟いた。

 

「……こうして、みんなで過ごせる時間、大事にしたいですね」

 

「うん、ほんとに」

 

窓の外には、いつも通りのアクシズの夜景が広がっていた。だが、その何気ない景色さえも、今のあたしには、かけがえのないものに思えた。

 

「……そうかよ」

 

窓の外、夜のアクシズの光が、静かに瞬いていた。この賑やかな日常が、これからも続いていくことを、あたしは、心の底から願っていた。

 

試験当日、あたしは、緊張しながらも、これまでの勉強会の成果を、しっかりと発揮することができた。

 

「……できた、と思う」

 

「お疲れ様でした、お姉さま」

 

「私も、微力ながら、お手伝いできてよかったです」

 

「……まあ、俺は見てただけだけどな」

 

「ううん、みんながいてくれたから、頑張れたんだよ」

 

試験結果は、数日後に発表されることになっていたが、あたしは、結果がどうであれ、この過程そのものが、大切な思い出になったと感じていた。

 

「……ねえ、今度は、何を一緒に頑張ろうか」

 

あたしの問いに、キャラが、目を輝かせて答えた。

 

「もちろん、いつでも、お姉さまと一緒なら、なんでも大歓迎ですわ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。