機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 〜あたしはニュータイプ、指先ひとつで宇宙世紀を撃ち抜く電撃使い〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「今年のアクシズ研究発表会、テーマは〝ニュータイプ技術の未来〞だそうです」
ミリィが、ジャッジメント支部の掲示板を見ながら報告した。
「へえ、あたしたちも、何か出さないといけないの?」
「はい。第7支部からも、代表として一つ、研究発表をする必要があるそうで……白羽の矢が、私たちに立ちました」
「……え」
「プルさんのバイオ・センサー技術と、キャラさんの機動戦闘理論を組み合わせた、新しい戦術理論を発表してはどうか、というのが、イリアさまのご提案です」
キャラが、腕を組んで頷いた。
「お姉さまと共同研究だなんて、光栄の極みですわ」
「……いや、まあ、悪くないけど。ちゃんとまとめられるかな」
発表準備は、想像以上に大変だった。データの整理、資料の作成、発表原稿の暗記。慣れない座学作業に、あたしは何度も音を上げそうになった。
「……ミリィ、これ、あってる?」
「あ、そこの計算式、ちょっと違いますね。……感応波の増幅率は、こちらの数式を使うべきかと」
「……うう、難しい」
ジュドーも、なぜか手伝いに来ていた。
「俺、専門知識は皆無だけど、力仕事なら任せろ」
「力仕事って、資料の運搬くらいしかないよ……」
「それでも役に立つならなんでもいい」
準備期間中、ミーとナナも、施設から差し入れのお菓子を持って、応援に駆けつけてくれた。
「姉さん、頑張って」
「みんなで作ったクッキーだよ」
「わあ、ありがとう。……元気出た」
小さな手作りのお菓子に、あたしは心から励まされた。疲れた身体に、甘さがじんわりと染み渡る。
賑やかな準備期間を経て、いよいよ発表会当日を迎えた。会場には、都市中の研究者や軍関係者が集まっている。
「……緊張する」
「大丈夫ですわ、お姉さま。私が隣にいます」
キャラの言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。二人は、壇上に立ち、これまでの研究成果を発表し始めた。
「私たちが提案するのは、バイオ・センサーによる感応波の精密制御と、近接戦闘における連携理論の融合です――」
あたしとキャラの息の合った発表に、会場から次第に、感嘆のどよめきが上がり始めた。
発表後、質疑応答の時間になると、一人の研究者が手を挙げた。
「大変興味深い研究ですが……この理論、実戦での再現性はどの程度、保証されていますか?」
あたしは、少し考えてから、しっかりと答えた。
「実は、先日の……いえ、詳細は機密ですが、実戦の中で、既にこの連携理論の有効性は証明済みです」
「なるほど……説得力がありますね」
発表は、大成功のうちに終わった。会場を後にすると、イリアが満足げに微笑んでいた。
「よくやったわね、二人とも」
「イリア……ありがとう。緊張したけど、なんとかなった」
「あなたたちの絆が、そのまま理論として結実した。……素晴らしいことよ」
その夜、あたしたちは、発表会の成功を祝って、ささやかな夕食会を開いた。ミーとナナ、ヴァイスとロクも招かれ、賑やかな笑い声が、部屋いっぱいに響いていた。
「……こんなに大勢で祝ってもらえるなんて、思わなかった」
「お姉さまの功績ですもの。当然です」
「私も、写真をたくさん撮っておきましたよ」
「……ま、悪くない夜だな」
みんなの笑顔に囲まれながら、あたしは、この一年で、どれだけ多くの繋がりを得られたかを、しみじみと実感していた。
コンスタンス博士も、遅れて夕食会に顔を出してくれた。
「発表、見に行けなくてごめんなさいね。……でも、大成功だったと聞いたわ」
「はい、おかげさまで」
「あなたたちの理論、実は、他の支部からも問い合わせが来ているのよ。……近いうちに、もっと大きな舞台で発表することになるかもしれないわね」
その言葉に、あたしとキャラは、思わず顔を見合わせた。
「……それは、また緊張しそうですわね」
「うん……でも、悪くない」
窓の外、夜のアクシズが、いつもより輝いて見えた。研究発表という、これまでとは違う形の「戦い」を乗り越えたことで、あたしは、また少し、成長できた気がしていた。
夕食会がお開きになったあと、あたしは、片付けをしながら、ミリィに声をかけた。
「ミリィ、今日は本当にありがとう。あんたのサポートがなかったら、発表、絶対に失敗してたと思う」
「そんな、大げさですよ。……でも、そう言っていただけると、嬉しいです」
「これからも、頼りにしてるからね」
「はい、もちろんです」
キャラも、片付けを手伝いながら、満足げに微笑んでいた。
「今日は、本当に良い一日でしたわね」
「うん。……こういう日常が、ずっと続けばいいのにな」
その願いを口にしたとき、あたしの胸には、ふと、これから先の未来への、確かな希望が灯っていた。
イリアが、最後に片付けを手伝いながら、ぽつりと言った。
「今日のあなたたちの発表、正式な記録として、支部に保管することにしたわ。……きっと、後輩たちの励みにもなるはずよ」
「……そう言ってもらえると、光栄だな」
「これからも、その調子で頑張りなさい」
「うん、ありがとう、イリア」