機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 〜あたしはニュータイプ、指先ひとつで宇宙世紀を撃ち抜く電撃使い〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
その夜、あたしは、いつになく静かな緊張感を持って、ジャッジメント第7支部へ向かった。イリアからの、急な呼び出しだった。
「プル。……テレスティーナの残党の動きが、活発化しているわ」
イリアの声は、いつになく硬かった。
「……詳しく聞かせて」
「フェブリの一件以降、都市各所で、不審な通信の傍受記録が増えている。……そして、これを見て」
イリアが差し出した資料には、都市の地下深くにある旧施設の見取り図が描かれていた。
「……これ、何」
「〝ダークサイド〞と呼ばれる、旧ネオ・ジオン時代の秘密研究区画。……レディオノイズ計画とはまた別の、より古い実験の痕跡が眠っているらしい」
「もっと古い実験……?」
「ええ。……そして、そこに、テレスティーナが潜伏している可能性が高いという情報が入った」
あたしの背筋に、冷たいものが走った。
「……行くしかない、よね」
「危険よ。今回は、単独では動かせない」
「わかってる。……でも、放っておけない。あの人が、また子どもたちを利用しようとしてるなら」
イリアは、しばらく黙り込んだあと、静かに頷いた。
「……いいでしょう。ジャッジメント第7支部として、正式に調査団を編成する。あなたも、その一員として」
「うん」
「ただし、今回は、私やキャラだけじゃなく、他の支部との連携も必要になるわ。相手の規模が、これまでとは違う」
『プルさん、〝ダークサイド〞に関する追加情報が入りました。……どうやら、そこには〝革命〞という単語が、何度も出てくるんです』
ミリィの報告に、あたしとイリアは、顔を見合わせた。
「革命……? 何を、企んでるの」
「わからないわ。……でも、ただの実験施設の再興じゃない。もっと大きな、都市そのものを揺るがすような計画かもしれない」
その夜、あたしは、久しぶりに強い不安を覚えた。今までの戦いとは、何かが違う予感がした。
「……キャラ、ミリィ、ジュドー。みんなに、話しておきたいことがある」
翌日、あたしは仲間たちを集め、これまでの経緯を全て伝えた。
「……危険な話ですわね」
キャラの声にも、緊張が滲む。
「でも、お姉さまが行くなら、私も参ります」
「私も、情報支援なら任せてください」
ジュドーも、静かに頷いた。
「俺は戦力にはならないかもしれないけど、……何かの役に立てるなら」
あたしは、仲間たちの顔を見渡して、深く息を吸った。
「……ありがとう、みんな。この闇の奥に、何が待っているかわからない。でも、一緒に、確かめに行こう」
その場に、ミーとロクも駆けつけてきた。
「……姉さん、私たちも、力になりたい」
「危ないから、あんたたちは待ってて」
「……でも」
「大丈夫。……ちゃんと帰ってくるから。約束する」
ミーは、しばらく躊躇っていたが、やがて、小さく頷いた。
「……わかった。……待ってる」
窓の外、いつもより暗く見える夜空を、あたしはじっと見つめていた。この先に待ち受ける戦いの重さを、あたしは、まだ正確には測りかねていた。
その夜、イリアが、あたしを呼び止めた。
「プル。……一つ、確認しておきたいことがあるの」
「なに?」
「もし、今回の相手が、これまで以上に強大な組織だったとしたら……あなたは、それでも前に進む?」
あたしは、少し考えてから、しっかりと頷いた。
「うん。……怖くないって言ったら嘘になるけど、逃げるつもりはない」
「そう。……その答えが聞けて、安心したわ」
イリアは、微かに微笑んだ。
「私たちも、全力で支える。……だから、一人で抱え込まないで」
「うん、わかってる」
夜の静けさの中、あたしたちは、これから始まる戦いへの覚悟を、あらためて心に刻んでいた。
その夜遅く、あたしは一人、部屋の窓辺に座り、フェブリの記録映像のことを思い返していた。
「……ダークサイド、か」
イリアが語った、初期のニュータイプ研究の記録。強制的に覚醒させられ、心を壊された、名もなき被験者たち。テレスティーナは、そんな悲劇を、再び繰り返そうとしている。
「……絶対に、止める」
端末が鳴り、ミリィからの通信が入った。
『プルさん、まだ起きてますか』
「うん、起きてるよ」
『念のため、皆さんの装備の点検、明日の朝までに終わらせておきますね。……何が起きても、対応できるように』
「ありがとう、ミリィ。頼りにしてる」
『任せてください。……プルさんたちのことは、私が、必ず支えますから』
その頼もしい言葉に、あたしは少し勇気づけられた。窓の外の暗い夜空を、もう一度見上げる。この闇の向こうに、どんな真実が待っているのか。あたしは、まだ知らなかった。
翌朝、支部に集まった仲間たちの表情は、いつもより引き締まっていた。
「……準備、できてる?」
「もちろんですわ、お姉さま」
「私も、いつでも支援できます」
「俺も、覚悟はできてる」
ジュドーの言葉に、あたしは少し驚いた。
「ジュドー、あんた、危険なのわかってるの」
「ああ。……でも、俺の力が役に立つかもしれないなら、行かない理由はない」
その真剣な表情に、あたしは頷いた。
「……わかった。頼りにしてる」
イリアが、最後の作戦確認を行った。
「〝ダークサイド〞への潜入経路は、こちら。……くれぐれも、単独行動は避けて」
「うん」
みんなの顔を見渡しながら、あたしは、あらためて、この仲間たちと共に戦えることの心強さを噛みしめていた。