機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 〜あたしはニュータイプ、指先ひとつで宇宙世紀を撃ち抜く電撃使い〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「──こうして、テレスティーナは正式にジャッジメントの手に拘束された」
イリアの報告を聞きながら、あたしは、ようやく肩の力を抜いた。
「彼女の背後にいた組織についても、現在、ネオ・ジオン内部で本格的な調査が進められているわ。……あなたたちの活躍のおかげよ」
「あたしたち、というより……みんなで戦ったから」
あたしは、隣に座るキャラ、ミリィ、ジュドー、そしてミーを見渡した。
「……お姉さま。あの夜のこと、私、一生忘れません」
「私も、あんな緊迫した状況、初めてでした」
「俺は、まあ、力仕事しかできなかったけどな」
「……姉さん、無事で、よかった」
ミーが、あたしの手を、そっと握った。
数日後、施設のプル・シリーズの子どもたちが、あたしたちのために、小さなパーティーを開いてくれた。
「これ、みんなで作ったの」
ミーが、手作りのケーキを差し出す。少し不格好だが、心のこもった味だった。
「わあ、美味しい……!」
「よかった……」
パーティー会場には、賑やかな笑い声が響いていた。あたしと同じ顔をした、たくさんの少女たちが、それぞれの名前を持ち、それぞれの笑顔で、この場を彩っている。フェブリも、子どもたちの間を、嬉しそうに跳ね回っていた。
「……本当に、みんな変わったね」
「はい。……姉さんのおかげ」
コンスタンス博士も、パーティーに顔を出し、穏やかな表情で子どもたちを見守っていた。
「この光景を見ていると、私も、この仕事をしていてよかったと思うわ」
「これからも、この子たちのこと、よろしくお願いします」
「もちろんよ」
ヴァイスとロクも、少し遅れて会場に姿を見せた。
「……よう。遅くなった」
「ヴァイスにいちゃん!」
子どもたちが、一斉にヴァイスに駆け寄る。彼は、相変わらず不器用な様子で、それでも優しく、子どもたちの相手をしていた。
「……あんた、ずいぶん、丸くなったね」
あたしがからかうと、ヴァイスは、ばつが悪そうに視線を逸らした。
「……うるせえよ」
その隣で、ロクが、小さく笑っていた。
夜が更けても、パーティーは続いた。キャラは相変わらず賑やかに振る舞い、ミリィは端末片手に写真を撮り続け、ジュドーは子どもたちに囲まれて、なぜか手品を披露している。
「……あんた、そんな特技もあったんだ」
「昔、暇つぶしに覚えたんだよ」
あたしは、その光景を眺めながら、静かに微笑んだ。この夏、たくさんの戦いがあった。悲しいことも、辛いこともあった。でも、その先に、こんなにも温かい光景が待っていたことを、あたしは、心から嬉しく思った。
「……ねえ、みんな」
あたしは、集まった仲間たちに向かって、声をかけた。
「これからも、よろしくね。どんな困難が待っていても、みんなとなら、乗り越えられる気がするから」
「もちろんですわ、お姉さま」
「いつでも、お手伝いします」
「……ま、成り行き次第だけどな」
「……うん。ずっと、一緒」
イリアも、少し離れた場所から、その光景を、静かに見守っていた。
「……プル。あなたは、本当に、良い仲間に恵まれたわね」
「うん。……イリアも、その一人だよ」
「あら、光栄ね」
イリアが、珍しく、柔らかい笑みを浮かべた。
夜空には、久しぶりに見る、満天の星が瞬いていた。人工太陽の光ではない、本物の星々。それは、まるで、これから続いていく、あたしたちの新しい物語を、静かに祝福しているようだった。
パーティーの終盤、ミーが、あたしにそっと耳打ちした。
「……姉さん、みんなでお祝いの言葉、考えたの。聞いて」
子どもたちが、声を揃えて、あたしに向かって叫んだ。
「姉さん、いつも、ありがとう!」
その一言に、あたしの目頭が、じんわりと熱くなった。
「……ありがとう、みんな。あたしこそ、ありがとう」
――長い夏が、終わろうとしていた。でも、あたしたちの物語は、まだ、始まったばかりだ。
この先、どんな困難が待ち受けていたとしても、この温かい絆があれば、きっと乗り越えていける。あたしは、星空の下で、そう確信していた。
パーティーが解散したあと、あたしは、一人、施設の中庭に残っていた。夜風が、心地よく頬を撫でる。
「……姉さん、まだ、ここにいたの」
ミーが、そっと近づいてきた。
「うん。……ちょっと、星を見てた」
「……私も、一緒に見ていい?」
「もちろん」
二人並んで、夜空を見上げる。無数の星々が、静かに瞬いていた。
「……姉さん。これから先も、こうやって、ずっと一緒にいられる?」
「うん。……あたしがいる限り、ずっとね」
「……約束」
「約束」
小さな指切りを交わしたあと、ミーは、満足そうに微笑んだ。あたしは、その笑顔を見つめながら、心の中で、あらためて誓いを新たにした。
――これから先、どんな戦いが待っていたとしても、あたしは、この子たちと一緒に、必ず乗り越えていく。
夜空の星々が、まるでその決意を、静かに見守っているかのようだった。長い夏の物語は、こうして、新しい未来への一歩を踏み出したのだった。