機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 宇宙世紀0088 最強のニュータイプは妹達を救うため、指先一つで宇宙世紀の歴史を貫く   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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とある二人の新人研修

宇宙世紀0088年。

小惑星基地アクシズ、医療・研究セクター。

 

あたし、エルピー・プルは、調整槽から上がったばかりの身体を拭きながら、検査官が読み上げる無機質な数値を聞いていた。

 

「検体番号001、エルピー・プル。感応波放射強度、極めて良好。バイオ・センサーとの同調率、前回比4%向上……」

 

白衣を着た大人たちが、あたしのことを見て兵器としての価値を品定めしている。今日は軍のパイロット候補生と、その周辺の年少兵全員に義務付けられた、ニュータイプ適性再検査(システムスキャン)の日だ。

 

「お姉様! 私の数値、ご覧になりました? お姉様への愛が高まりすぎて、脳波のグラフがハート型を描くところでしたわ!」

 

検査着姿のキャラ・スーンが、測定器を振り切らんばかりのプレッシャーを放ちながら抱きついてくる。

 

「もう、キャラ! 今はミリィからの通信を待ってるんだから」

 

あたしの腕にある携帯端末から、可愛らしい呼び出し音が鳴った。

 

「プルさん、キャラさん。そちらの検査データ、こちらでも受信しました。……相変わらずお二人とも、異常なまでの感応波数値ですね。少しは平均値を分けてほしいくらいです」

 

画面越しに話すのは、治安維持部隊(ジャッジメント)の通信管制を担当しているミリィ・チャイルドだ。彼女はあたしたちの後方支援役として、アクシズの複雑な情報網を自在に操るオペレーターの天才として、この第7支部の運営を支えている。

 

「ミリィ! 検査が終わったら、リィナも呼んでパフェ食べに行こうよ!」

 

「はい、了解しました。……あ、でもその前に。メッチャーさんの再検査結果が、また芳しくなかったみたいで……」

 

ミリィの表情が少し陰る。あたしたちが検査室を出ると、廊下の隅で項垂れているメッチャー・ムチャを見かけた。

 

「……またカテゴリーF(非適合)か。これじゃあ、いつまで経ってもマシュマー様をお支えするパイロットにはなれない。ジュドーやプル、あんなガキどもにさえある力が、なぜ俺には無いんだ!」

 

メッチャーが漏らした言葉は、選民思想を掲げるネオ・ジオンにおいて、最も重く苦しい現実だった。ニュータイプ能力の有無が、ここでは人間の階級そのものとして扱われてしまう。

 

「そんなに焦らなくたっていいのに。メッチャーは、メッチャーでしょ?」

 

あたしが声をかけると、彼は気まずそうに顔を背け、足早に去っていった。その時、彼の胸ポケットから、不自然なほど強い人の悪意が混じった磁気反応を感じた。

 

「……ねえミリィ。アクシズの地下区画で最近流行ってるっていう、擬似感応波拡張プログラム……通称レベルアッパーの噂、本当なの?」

 

端末越しのミリィが、真剣な顔でキーを叩き始めた。

 

「……現在調査中です。軍のメインフレームを介さずに、個人の脳波を擬似的に同調させ、ネットワーク化した脳に演算を肩代わりさせるという非合法プログラム。……もし実在するなら、非能力者の精神を破壊しかねない代物です」

 

その時、アクシズの居住区モールで爆発的な感応波の乱れが発生した。

 

「プルさん、緊急事態です! 居住区第4モールで、原因不明のサイコミュ干渉が発生! 付近の作業用プチ・モビルスーツが暴走しています。……発信源は、メッチャーさんの所持しているデバイスです!」

 

「ミリィ、誘導をお願い! キャラ、行くよ!」

 

現場へ急行すると、メッチャーが非合法なヘッドセットを装着し、目を見開いて震えていた。彼の力への渇望が、プログラムによって増幅され、周囲の機械に悪意となって伝播している。

 

「治安維持部隊ですわ! 貴方のその醜い欲望、私が愛の鉄拳で解体して差し上げますわ!」

 

キャラが暴走するプチ・モビルスーツを制圧する間に、あたしは通路の端子パネルに手を触れた。

 

「ミリィ、バックアップして!」

 

「了解! プルさんのバイオ・センサーを、私の管制端末経由で直接メッチャーさんのデバイスにリンクさせます。……プルさん、今です!」

 

あたしの純粋な感応波が、ミリィの情報処理に導かれ、暴走するネットワークへのノイズ・キャンセラーとして叩き込まれた。電子の奔流の中で、あたしはメッチャーの、誰かに認められたいという悲痛な叫びに触れた。

 

「……大丈夫。そんなものに頼らなくても、あたしが側にいるから!」

 

あたしの意志がサイコミュ・リンクを駆け抜け、デバイスの電源回路を強制的に焼き切る。メッチャーは力なく崩れ落ち、あたしの腕の中に収まった。

宇宙世紀0088年。この基地には、力を持つ者と、持たざる者の深い断絶がある。

 

「プルさん、メッチャーさんのバイタル、安定しました。……良かったです」

 

通信越しのミリィの安堵した声。あたしたちには、この日常を守るための、それぞれの力がある。

 

「さあ、ミリィも合流して。パフェ、食べに行こう。みんなで一緒に」

 

あたしは、眠りについたメッチャーの頭を撫でながら、ジュドーたちが待つ店の方を見た。

 

あたし、エルピー・プル。この力が、誰かを孤独から救うためにあるのだと、あたしは今日、確信したんだ。

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