機動戦士ガンダム とあるアクシズの超電磁砲 〜あたしはニュータイプ、指先ひとつで宇宙世紀を撃ち抜く電撃使い〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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こういうことにはみんな積極的なんですよ

潜入捜査というのは、要するに「見つかったら終わり」というスリル満点のかくれんぼだ。あたしはかくれんぼが得意だ。監視兵をまくのが特技だから。……最近は、敵の潜入者を1人、まくのを手伝ってる側だけど。

 

宇宙世紀0088年。ジャッジメント第7支部。地下街には、平穏な表の顔とは裏腹に、どす黒い熱気が渦巻いていた。あたし、エルピー・プルは、ミリィの潜入用プログラムを仕込んだ端末を手に、ダウンタウンの路地裏に立っていた。……そして、その隣には、フードを目深にかぶったジュドーの姿もあった。

 

「プル。本当にいいのか、ジャッジメントのお前が、俺なんかと組んで」

 

「いいの。あんたの妹も、あたしの妹達も、行き着く先は同じアジトなんだから。それに——あんた1人で突っ込んで返り討ちにあうほうが、あたし、寝覚めが悪いもん」

 

『プルさん、聞こえますか。周囲の監視カメラはダミー映像に差し替えました。……こういう裏工作には、みんな積極的なんですよ、私。……じゃなくて、気をつけて。そこから先は、正規軍の目も届かない無法地帯です』

 

「ミリィ、さらっと本音漏れてたよ」

 

あたしのバイオ・センサーが、ずっと微弱なノイズを拾っている。誰かが泣いているような、それでいて何かに飢えているような、不快な感応波の残響。その隙間に、あの波長——プル・シリーズの誰かの気配が、混じっていた。

 

背後で、黒マントを羽織ったキャラが鼻息荒く宣言する。……そう、キャラにだけは、ジュドーの正体を明かして、味方に引き入れた。彼女は「お姉さまの決めたことなら、地獄までお供しますわ」と、二つ返事だった。

 

「お姉さま、そして……お姉さまのお認めになった殿方。わたくしが背後を完璧にガードいたします。不埒な輩は消し飛ばして差し上げますわ——ジャッジメントですのっ!」

 

「潜入中だから!声が大きいってば!あと、こそこそする場面で決め台詞やめて!」

 

辿り着いたのは、ジャンク・エリアの薄暗いバー。軍からあぶれた少年兵や刺激を求める若者が溜まっている。彼らの瞳は一様に虚ろで、それでいて不気味に爛々と輝いていた。理由は、首筋の——青白く発光する小さなチップ、レベルアッパー。

 

「……これがあれば、あたしも“あっち側”に行けるの?」

 

震える手でチップを弄ぶ少年に、ニヤニヤ笑いながらそれを売りつける男がいた。

 

「ああ、行けるとも。最新の感応波拡張デバイスだ。ニュータイプになれない凡人のお前でも、宇宙(そら)の意志を感じ取れるようになるんだぜ」

 

「……嘘ばっかり」

 

気づいたら、あたしは物陰から飛び出していた。男のチップから、どす黒い思念波が漏れているのを、はっきり捉えていたから。

 

「そのチップ、偽物だよ。力をくれるんじゃなくて、みんなの心を少しずつ壊して、別の何かに変えてるだけなんだから」

 

「なんだこのガキ、ジャッジメントか!」

 

スタンガンを抜こうとした瞬間、あたしのプレッシャーが弾けた。放った感応波が衝撃となってグラスを粉砕し、男を壁まで吹き飛ばす。同時に、少年兵たちのレベルアッパーが一斉に共鳴し、キィィィンと不快な高周波を上げ始めた。

 

『プルさん、下がって!装着者の脳波が急激に同期しています。……これ、単なるデバイスじゃない。装着者を媒介に、巨大なサイコ・フィールドを構築しようとしているんだわ!』

 

ミリィの悲鳴に近い警告。その時、バーの奥から、圧倒的に冷酷な笑い声が響いた。

 

「……ほう、検体番号001か。やはり天然のニュータイプ原型(オリジナル)は、この程度の擬似波(ノイズ)には惑わされないというわけだ」

 

暗闇から現れたのは、白衣を纏った痩身の男——ネオ・ジオンの技術士官、ローレン・ナカモト。瞳の奥に、狂気にも似た知的好奇心が宿っている。

 

「ローレン……ナカモト。あんたが、これを作ったの」

 

「これは救済だよ、プル。選ばれた者にしか許されない宇宙(そら)の認識を、すべての人間に解放する。……そのためには、多少の犠牲(バグ)は避けられないがね」

 

「……あんた、プル・シリーズも、攫った子たちも、この“実験”に使うつもりなの?」

 

ローレンの口元が、笑みの形に歪んだ。

 

「シリーズ体は優秀な“演算装置”。非能力者の子どもは、その演算を回すための“燃料”。……1万人の凡人の脳を束ねる最終調律には、君と同じ波長を持つ個体が、どうしても必要でね」

 

「——っ!!」

 

彼が端末を操作すると、レベルアッパーを付けた若者たちが、操り人形のようにあたしたちを取り囲み始めた。

 

「さあ見せてくれ。純粋なニュータイプ原型が、1万人の凡人の意志(ネットワーク)に、どこまで耐えられるのかを」

 

あたしの隣で、ジュドーが拳を握った。「……リィナも、あの中にいるんだな。プル、やるぞ」

 

——アクシズの闇が、ついに牙を剥いた。

 

あたし、エルピー・プル。みんなの心を道具にする奴も、あたしの妹達も、この子の妹も、部品にしようとする奴も——絶対に、絶対に許さないんだから。

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