もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら 作:名無しのマネモブ
明日は用事があるので代わりに本日2回目の投稿としました。
「……ううむ」
マカリオスが屋敷に母親の墓を作って祈りを捧げている頃、宮殿ではエウリュステウス王がとある事で頭を悩ませていた。
「チッ、この候補もダメだな。私に忠誠を誓う家臣の娘で、娘もあの阿呆と結婚する事に乗り気なようだが」
エウリュステウス王が頭を悩ませていたのは自分が一番信頼し重用している家臣マカリオスの事についてであった。
「だが普通の人間の娘では耐えられないだろう。却下だ……ああもう、何故私があの愚図の縁談を組んでやらんといかんのだ!?いや必要な事だとはわかっておるが!」
臣下の縁組を決めるのは王の仕事とはいえ面倒であり、イライラしたエウリュステウス王は周囲の物に八つ当たりしつつも引き続き候補を探していた。そんな王に迷惑をかけているマカリオスはというと……
「えーい!」
「うわーやられたー」
子供達に取り巻かれていた。子供に押されたマカリオスは大袈裟な動きで倒れこんだりして子供達に人気の遊び相手となっており、もしエウリュステウス王が見ていたら額に青筋を浮かべつつもその場では見逃すが、その後制裁されるくらい吞気な様子を見せていた。
「……相変わらず吞気な男だ。だが一目見てわかるほどに強くなってるな」
最初の難行をこなしミュケナイに帰還したアルケイデスは呑気なマカリオスを見て苦笑するも、マカリオスが強くなっているのを瞬時に見抜き感心していた。
「おおアルケイデス殿か。最初の難行を完了させたのだな」
「ああ、これから王に報告に行こうと思ってな。ネメアの獅子はかなり手古摺ったぞ」
「それはスゴイ。大したものだなぁ」
ヘラクレスの言葉を聞いたマカリオスは素直に称賛しており和やかな雰囲気になっていたが……
「ぎゃーアルケイデスだー食べられるー!?」
「わーにげろー!?」
「ま、まってよみんなぁ!」
「うえぇーーっこわいよーーっ!」
「びええぇぇん!」
アルケイデスを見た子供達がパニック状態となり一目散に逃げだしていた。まあ狂乱したアルケイデスを見たらトラウマになってしまうのも無理はない話である。
「その、怒らないでやってくれ」
「……怒るわけがないさ。あの時発狂していた私を見ていたのなら子供達が怯えるのは当然の事だ」
アルケイデスは子供達に怖がられるのも仕方ないと受け入れていたが少し悲し気な表情を浮かべており、マカリオスは思わず同情して慰めていた。
「今度子供達に伝えておくから安心してくれ。発狂しなければアルケイデス殿は俺よりも優れている素晴らしい勇士なのだとな」
「それは擁護しているのか?……いや、貴様としては擁護しているつもりなのだろうな」
「ほう、嫁探しか」
「ああ、我が王の御手を煩わせて申し訳ないと思っている」
屋敷にて自分の近況について話すマカリオスは申し訳なさそうな顔をしていたが、アルケイデスはこの勇士がモテないとはどういう事なのかと疑問に思っていた。
「ミュケナイの守護者と呼ばれる貴様なら引く手あまただろうに、やはり生まれの問題か?」
「俺が奴隷生まれで敬遠されているのはあると思う。だが偶に向こうから求婚してくる女もいるぞ。ミュケナイにやってきたアマゾネスの戦士とか、わざわざ俺に会いに来たアマゾネスの弓使いとか」
「アマゾネスばかりではないか。まあ彼女達なら貴様の生まれなど気にしないだろうな」
「しかし王に断りなく結婚はできないと断ったのだが、せめて子種がほしいとせがまれて大変だった。王にどうすればよいかと尋ねたら何故か二人共追放処分となったのだが、あんなに好意を向けられたのに応えられず申し訳ない事をした」
「ふむ、貴様も色々あったのだな」
マカリオスの話を聞いていたアルケイデスはこの能天気な男も色々大変なのだなと苦笑する。
「しかし貴様は奥手だな、女性に手を出すくらい別に責められる事はないだろうに。むしろエウリュステウス王も貴様が子供を作る事を望んでいるのではないか?」
アルケイデスはふと疑問に思った事を尋ねる事にした。今のマカリオスになら抱かれたい女などいくらでもいるだろうし、エウリュステウス王も自分に仕える半神に子供を作らせる事を躊躇う理由はないはずだと。
「いや、うむ。俺としても自分の家族を持ちたいとは考えているのだが」
「いるのだが?」
「俺の体質がちょっと、いやちょっとではなく問題なのだ」
そう言って困った顔を浮かべたマカリオスは体に雷光を纏わせる。
「俺はこうやって自分の身体に雷を纏わせる事ができる。これは自分の意志で操っているが、厄介な事に興奮した時も無意識に雷を纏ってしまうようでなぁ」
「ああ、そういう事か……それは難儀な体質だ。貴様の雷光は普通の女には耐えられないだろうな」
マカリオスの言葉を聞いたアルケイデスはマカリオスが女を抱くのに消極的な理由を理解する。無意識のうちに抱いている女を殺しかねないのは確かに問題だなとアルケイデスは納得し思わず同情してしまうのであった。
「うーん、どうすればよいのだろうか」
ヘラクレスの難行の報告に付き添っていたマカリオスはその後ミュケナイ市内にある広場にて自分の嫁となる女性をどうすれば見つけられるのか考え込んでいた。
「はぁ、俺の雷に耐えられる女性はいないものだろうか?」
「おやおや、そこの君は何か悩み事があるのかな?」
「えっ」
無意識に零した言葉を聞かれたマカリオスが周囲を見回すと、顔を隠した占い師らしき女性がすぐ傍にいる事に気付く。
「ああ、独り言を聞かれてしまったのか。下らない愚痴を聞かせてしまい申し訳ない」
「いやいや、謝らなくてもいいとも。君が悩んでいるのを見て気になってね。よければ私に相談してみないかな?」
「それはありがたいが、貴方は何者だ?」
「私は通りすがりの優しい占い師だよ。名前は…キルコスでいいか。私に敵意はない事は君も察しているだろう?」
「むぅ」
キルコスと名乗る女占い師は如何にも怪しい人物であったが、女占い師に敵意はない事は確かでありマカリオスも疑う事はなかった。
「占い師かぁ。まあ物は試しに聞いてみるのもいいか。よろしく頼む」
「うんうん素直だねぇ。私を信じて相談してくれた君にはご褒美に特製麦粥をあげようじゃないか。ささ、どうぞどうぞ」
「それはありがたいが、貴方はいつも麦粥を持ち歩いているのか?」
麦粥を押し付けてくる変わった女占い師に困惑しつつもマカリオスは贈り物を無駄にしてはいけないと麦粥を食べてみる。
「おっ、これは美味いな!」
「ウフフ、それはよかった。お代わりはあるからいっぱいお食べ。食べながら話してくれていいからさ」
「おお、それはありがたい。それで私の悩みだな……」
予想以上に美味だった麦粥に舌鼓を打ったマカリオスは、女占い師の好意に感謝しつつ自分の悩みについて相談する事にした。
「……それで私は嫁となってくれる女性を探しているのだ」
「そうかそうか、半神の君も大変なんだねぇ。しかし特製麦粥を食べて平然としているなんて君はスゴイな」
自分の悩みを話し終えたマカリオスはすっきりした表情を浮かべており、女占い師は自分の麦粥を大量に食べても平気な顔をしているマカリオスを見て感心していた。
「しまった、食べ過ぎてしまった。浅ましい姿を見せてしまい申し訳ない」
「謝る必要はないよ。君が美味しそうに食べる姿を見て私も嬉しかったしね……でもいくら大神の血を引いた半神といってもまったく効いてないのはスゴイなぁ……ただの悪戯のつもりだったけど、うん、気に入ったよ」
麦粥を完食してしまったマカリオスは謝罪するも女占い師は笑って許す。そして女占い師は上機嫌な声でマカリオスに予言をする。
「予言しよう。君の嫁となる人物はすぐに現れるだろう。君の雷に耐えて家事も得意な素敵な女性がね」
「おおっ、それはよかった!ありがとう占い師の人よ!」
「フフッ、疑わず信じてくれたのは嬉しいけどちょっと心配になってくるなぁ……まあいいさ、これからはもう君を寂しくはさせないよ」
自分に嫁が来てくれると聞いたマカリオスは無邪気に喜んで女占い師に感謝し、女占い師はあっさり信じてくれたマカリオスに苦笑しつつ姿を消したのであった。
「そういうわけで私に素敵な嫁が来てくれる事になったのだアルケイデス殿。まあ対価として死後は何処かの島に行く事になるらしいが多分大丈夫だろう。これで王の御手を煩わせる事もなくなってよかったよ」
「……………うむ、なるほど、やはり貴様は筋金入りの阿呆だな。この後すぐミュケナイを出るつもりだったが気が変わった。その不審者を捕まえるまでは貴様の屋敷に滞在する事にしよう」
「えっ」
FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。
ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。
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