ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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なんだお前チビが悪いってのか。

 

〜ダイダロス通り 地下水路〜

 

「さ〜てと…ベルの方どんな感じです?ヘスティア様」

 

『うーん、鍵と手記はあっちに渡ったけど、大切断(アマゾン)君が見張ってるからベル君も動くに動けない感じさ』

 

「そうですか…部隊の動きは?」

 

『冒険者は順調に釣られてるけど、ロキ・ファミリアの部隊は今の所は動きが少ないね…多分、相手も決めきれて居ないんだろう。』

 

「流石にあからさま過ぎましたかねぇ…よし、第二波を。俺はベルの所に行きます」

 

『分かった。ヘルガ君はどうする?』

 

「アルルを回収させてアステリオス探させて下さい」

 

『分かった』

 

ぶっちゃけ、南東の扉の防衛部隊さえ退かせれば後は何とでもなるのだ。相手側に俺達の作戦はほぼバレているだろうが、バレたらバレたで良い。バレても相手側が動かざるを得ない『詰み』を作れればそれで良い。問題は…。

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン…」

 

『今の所目撃情報は無いけど……』

 

「出たらすぐに言ってください。アイツに扉の方に行かれるだけで詰みだ」

 

『…分かった。気をつけるんだよ?』

 

「はい」

 

アイツだけは自由にしてはならない。アイツはヤバい。だが、先ずは…。

 

「ベルを自由にする」

 

 

 

〜ダイダロス通り 南東〜

 

「ね〜ね〜。ゼノス…だっけ?どんな人…人?まあいいか、人達なの?」

 

「えーっと…個性的で一概には言えないですね…」

 

えぇ…何か死ぬ程お喋りしてるやん。仲良しなんか?

 

「あの〜…?」

 

「あ、アイズの弟君だ!」

 

「……」

 

「うわ凄い嫌そうな顔」

 

おっと失礼。思わず顔に出してしまった。

 

「私達ティオナ・ヒュリテ!よろしく!」

 

「ロイ・ヴァレンシュタインです…はぁ。」

 

「ヴァレンシュタインって言うと露骨にため息でますね…」

 

当たり前やろあのバカ姉貴だぞ?

 

「ちょっとお話しようよ〜!どうせ暇でしょ?」

 

「暇って…そうですけどぉ…」

 

「敬語禁止!」

 

「…そうだけどさ」

 

「よし!」

 

グイグイ来るなぁ…どっかのアーディに似てる。

 

「君強いよね〜何歳?」

 

「13だけど」

 

「13!?」

 

「えっ僕より歳下…?」

 

「えっ歳上だったのお前…」

 

ちっすベル先輩お世話になっておりまっす!肩でもお揉みしましょうか…あっ良いですか。

 

「歳下に見えなかった…」

 

「老けてるってのかベル先輩このヤロウ」

 

「ゾワって来るのでベル先輩は止めてください」

 

「アッハイ」

 

歳上に逆らってはいけない。特にエルフ(リュー・リオン除く)

 

「確かに13に見えないかも〜」

 

「老けてるってのかこのヤロウバカヤロウ」

 

「身長的な意味で〜」

 

「わァ…あ…!」

 

「泣いちゃった!」

 

そんな言わんでもええやん…泣くぞ?(手遅れ)

 

「あはは…神さまと同じくらいですもんね」

 

「残念ちょっと負けてるんだ」

 

「えぇ…チビすぎない?」

 

なんだチビが悪いってのか。でもフィンさんには勝ってるよ!小人族(パルゥム)と比べる時点で終わってる?それはそう。

 

「さて…これからどうしよっかなぁ…ティオナさん見逃して下さいよぉ〜」

 

「え〜。フィンに怒られるじゃん。元々乗り気じゃないけどさぁ…」

 

「ならこっちに付いてくださいよぉ…後で何でもしますから!」

 

「何でも?今何でもって言ったよね?」

 

「ベルが」

 

「ロイさん!?」

 

悪いなベル。異端児達の為の尊い犠牲になってくれ。

 

「うーん…でも、やっぱりそっちと一緒に行くのはなぁ…」

 

「異端児達含めて見逃してくれるだけでも」

 

「それなら…」

 

お、行けるか?

 

「ん〜…分かった。でも、アルゴノゥト君じゃなくて君が良いかな。ちゃんと時間は取るから、終わったらちょっと付き合ってよ!」

 

「えぇ…分かりました」

 

「ホッ…」

 

おいホッとすんなリトル・ルーキー。お前の知り合いだろうが。

 

「じゃあね!あ、フィン達には内緒で!」

 

「はい。じゃあ、終わったらで」

 

「うん!またね〜!」

 

ふーっ……コレはデカいぞ。戦闘無しで行けた。

 

「……えっと、これからどうします?」

 

「……どうしようか」

 

「えぇ…?」

 

「こんなに早く終わるとは思わんかったからノープランなんだよ」

 

だって戦闘になるって思ってたんだもん。短くても10分超えると思ってたんだもん。

 

「ヴェルフの所に加勢に行くのは…マズいですよね」

 

「全面戦争になるからなぁ…」

 

ティオナが抜けてくれたので戦力差はある程度縮んだものの、依然として開いているのは変わりない。そして今から加勢して万が一があった時、全滅する事になる。

 

「…結局、待機ですかね?」

 

「そうだなぁ…」

 

皆頑張ってくれてるのに二人だけボーッとするのは申し訳ない気持ちでいっぱいだが、仕方ない。ベンチに座って暇を潰した。

 

 

 

〜異端児視点〜

 

霧が立ち込める丑三つ時。迷宮街の一角に、月光に照らされた石の翼が広がった。

 

「行くぞ」

 

『ああ。頼むぜ、グロス君!』

 

眼晶(オクルス)から快活な処女神の声が響く。息を大きく吸い込んだ。

 

「ウォォォォォォォォォォッ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

石竜(ガーゴイル)だあっ!!」

 

冒険者達が耳を抑える。Lv.5相当の咆哮(ハウル)は効くだろう。

 

「神ヘスティア、ロキ・ファミリアは…」

 

『やっぱり、動かないな…バレちゃったかな?』

 

「なら、このまま例の地点を目指すぞ。大人数で動けば、冒険者達も対応せざるを得ない筈…リド達と合流する」

 

『分かった。くれぐれも気をつけてくれ。』

 

「あぁ」

 

第二段階だ。

 

 

〜ロキ・ファミリア本陣〜

 

「団長!西にガーゴイルがモンスターの一団を引き連れて現れました!リザードマンの一団と合流、東進しています!」

 

「本隊か…?いや、駄目だ。本隊であるか以前に、見逃すには多すぎるな。アキ!本陣の防衛部隊を連れて出撃してくれ!此処には最低限の人員だけで良い!」

 

「了解っ!」

 

武器を持ってアナキティが飛び出す。事前に予想していたのか、動きは早かった。フィンは…机の端に置いてある手記に目を移す。

 

「……頼るしかないか。コレに」

 

「団長…大丈夫ですか?偽物の可能性も…」

 

「あぁ。偽物かもしれない。むしろその可能性が高いだろう。だが、本物である可能性も否定しきれない」

 

ロキ・ファミリアの勝利条件は鍵の入手。そして肝心の鍵の行方は分からない。万が一逃がしてしまった異端児達の中に、鍵を持った者が居たら?そう考えると、一人でも逃がす訳にはいかない。

 

「それに、ロイは何処にいる…?」

 

ロイ・ヴァレンシュタインの動向も気になる。ロキ・ファミリア側からしたら一番放っておいてはいけない存在だ。彼に防衛部隊を狩られるだけでキツくなる。数々の可能性がフィンの頭の中に浮かんでは、消えていく。

 

「………よし。リヴェリア達フェアリー・フォースに通達。内容は…」

 

 

〜連合側本陣〜

 

『こちら斥候!緊急通達です!九魔姫(ナイン・ヘル)率いるフェアリー・フォースが南西の扉の防衛を放棄!異端児達を強襲しました!』

 

「何だって…!?」

 

マズい。ヘスティアの頭にはその言葉しか浮かばなかった。フェアリー・フォースについての情報共有は既に連合側でされている。Lv.6、九魔姫(ナイン・ヘル)率いるエルフで固められた集団。それが強襲してきたら…無理矢理にでも助けに行かざるを得ない。そして今空いている戦力は…。

 

「……っ、仕方ないか…ベル君、ロイ君!聞こえるかいっ!」

 

『神さま、どうしたんですか!?』

 

『ん?どうしたんです?』

 

「リド君達が襲撃された!至急応援に向かってくれ!」

 

『そんな…!分かりました!ロイさんは…』

 

『……いや、待てベル。ヘスティア神、俺が行きます』

 

「何で!?ロイくんは隠れてた方が相手にとってマズいんだろう!?」

 

『そうなんですけどね…お師匠相手なら俺だけの方がまだ良い』

 

とんでもない事をサラッと言い放つ問題児(ロイ)にヘスティアは目を回した。念のため確認する。

 

「君は自分が今、何を言ってるのか分かっているのかい!?相手はLv.6、九魔姫(ナイン・ヘル)とその精鋭達だよ!?それを一人で!?」

 

『ええ。任せてください。戦闘不能にはなりませんし、後の戦いにも響かせません。お願いします』

 

一体何処から湧いてくるんだこの自信は…。ヘスティアはそう思いながら頭を抱える。と、言うのもこの作戦の前、一度アストレアと話す機会があったのだ。その時に、彼の事を任されている。かなり問題児だからくれぐれも目を離さないでくれ、と。その言葉の意味を今、真の意味で理解できた気がする。

 

(ベル君と同じようなちょっとヤンチャな良い子だと思ったけど、ヤンチャ度はベル君以上じゃないか…!)

 

とは言えヘスティアはあまり強い言葉は出せない。他所の派閥(ファミリア)の子だし、この作戦を立てたのも彼だからだ。舌戦で勝てないであろう事は承知の上。ならば…。

 

「……っ〜!!分かった!でも、必ず無事で帰ってくるんだよ!?ボクが怒られるんだからなボクがっ!!」

 

『了解です。失礼します』

 

もはやヤケクソ。此処で無理に止めて爆発されるよりかは良いと言う判断(言い訳とも表現可能)である。後で起こるであろう展開を想像し、ヘスティアは錠剤の頭痛薬を飲み込んだ。

 

 

〜リヴェリア視点〜

 

「逃がすな!」

 

「アルクス・レイっ!!」

 

「グうっ!?」

 

ガーゴイルの翼を光の矢が掠める。…強い。Lv.5、いや、6にも届くかもしれない。あの時は万全ではなかったか。レフィーヤの魔法を至近距離で避けるとは…。

 

「ヤバイぜグロス!一旦散開を…!」

 

「できるかそんなモノ!分断されて嬲り殺しがオチだ!」

 

あちらも紛糾しているな。もっと掻き乱す。

 

「2陣、放て!」

 

「はっ!」

 

火が、雷が、石礫が。魔法の雨が迫る。

 

「受け止めろっ!」

 

リザードマンが素早く指示を出し、盾で防ぐ。…ほぼ全員に盾が配られている。背後にヘファイストス・ファミリアが居るからか…。

 

「大盤振る舞いだな…矢、放て!」

 

「オラあっ!」

 

最後尾のリザードマンが剣で叩き落とす。だが、数はこちらが上。このまま…と、思ったその時だった。薄霧に包まれた視界が更に更に白くなる。噎せ返るような不快感が広がった。

 

「キャッ!?」

 

「これは……ゲホッ。」

 

くっ、吸い込んでしまった。足元を見ると…、紙袋…?破れて、何か粉が…。

 

「……ケホッ、リヴェリア、様!何か毒でしょうか…ケホッ!」

 

「……いや、これは」

 

紙袋を拾い上げる。麦のマーク。

 

「……小麦粉だと?」

 

何故こんな物が…いや、こんな事をするのは…!

 

「全員備えろ!何処から来るか分からないぞ…っ!?」

 

その時、金色の羽根が一枚落ちてくる。それと同時に…。

 

「これはっ!?」

 

「全員固まって動くな!防御陣形!」

 

大量の紙袋が降ってきた。

 

 





ロイ・ヴァレンシュタイン

陰険キチガイ黒フード蛮族。またはクソチビ。具体的に言えばヘスティアに惜敗するレベル、小人族と比べないと自尊心を維持できないレベルの低身長。ダンジョンの中では成長期に必要な栄養素を十分に確保するのが難しかった。5年前は神々の間ではおねショタハーレムとか言われていたが、恐らくこれからも変わらないだろう。なおアストレア・ファミリアの団員達には好評のようだ。本人はめっちゃ気にしてるけどね。



リュー・リオン

ポンコツエルフ。8歳下に完全に舐められている。アストレア・ファミリアが壊滅しなかったし、アーディも生存しているので原作よりもポンコツが加速している。料理は相変わらず死ぬ程マズい。ツラと性格が良くて強いのが唯一の救い。


ヘスティア

(他所の)神さま。ロイ君の事をヤバい奴だと理解し始めた。アストレアに渡された頭痛薬をこの作戦の間は手放せなくなるし、今後の展開を考えてヤケクソになる。ベル君はこうはならないでおくれよ…?(若干手遅れ)
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