ケイとドーナツと相性の話

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ケイちゃんを連れてミセスドーナツ(ミセド)に来た先生。
ドーナツに目を輝かせる彼女に、飲茶を勧めてみる先生だったが…


第1話

“結局、汁そばと炒飯でお腹いっぱいになっちゃったね。”

 

「はい……何だか勿体ないことをしてしまった気がします。」

「いえ、勿論そばも炒飯も美味しかったのですが。」

 

“ふふっ、ケイちゃんに気に入って貰えたなら良かったよ。”

 

「誰がケイちゃんですか。……と、ここまでで大丈夫です。」

 

“部室まで送るよ。日も暮れてきたし”

 

「1人で大丈夫です。子供扱いしないでくださ……ああもう、分かりましたよ。そんな悲しそうな顔しないでください。」

 

──────────

 

“到着!”

 

「……ってここ、ゲーム開発部の部室じゃないですか。私の所属は違います。」

「まさか先生、勘違いしてるんじゃ……」

 

“いやぁ、実はね……”

 

ガチャ

 

「あ、先生!遅かったじゃーん!ケイもほら、早く入って!」

「うわーん!ケイ、助けてください!モモイは役に立ちません!」

「ちょっ、酷くない!?」

 

「……先生?どういうことですか?」

 

視線が痛い。

 

────────────

 

「……はあ。なるほど、3人プレイ用ゲームのテストプレイを手伝って欲しい、と」

「それならそうと、言ってくれればよかったんです。」

 

“ごめんね、嫌がるかなと思って…”

 

「?嫌がるわけないでしょう。私だってゲームはまぁ、その嫌いじゃない、ですし。」

「でも3人プレイなら、人数は足りてるはずでは?」

 

「それが…わたし、ユズ、アリスの3人でプレイしていたんだけど…」

 

「ユズが強すぎてテストプレイになりませんでした!アリスもモモイもボッコボコです!」

 

「このゲームは3人で協力するゲームなんだけど、プレイヤーの実力差がありすぎると上手くいかなくってさ…」

「ミドリにも声かけたんだけど、次のイラスト描いてて忙しそうだったし…」

「それで、先生とケイを呼んだってわけ!」

 

「まあ、確かに私、アリス、先生なら実力差はそんなにありませんね。」

「分かりました。少しなら手伝いましょう。それで、どんなゲームなんですか?」

 

「ありがとうございます、ケイ!」

「これは、3人で協力して数々のミッションをこなしていくゲームです。さらに、最後までクリアすると──」

 

「プレイヤー間の相性を出してくれます!」

 

───────────

 

「ちょっと待ってよ、ケイ!」

 

「離してください!私は帰ります!」

「なんで先生なんかと相性を測らなければならないんですか!」

 

“ひどい!”

 

「大体、私はアリスの従者です!アリスとの相性は100%で間違いありません!」

「測らなくても分かります!それでいいでしょう!?」

 

「いえ、それじゃダメなんです。ケイ!」

「パーティメンバーの不仲は、解散イベントのフラグです。アリスは勇者として、イベントの出現を阻止しなくてはなりません!」

「この機会に、2人には仲良くなって欲しいです!」

 

「い、いえアリス、別に仲が悪いわけでは…」

「…………」

「~~~!!分かりました、分かりましたよ!やればいいんでしょう!?」

 

“ありがとうケイちゃん!”

 

「誰がケイちゃんですか!?」

 

────────────

 

〈GAME CLEAR!〉

 

「やりました!ゲームクリアです!」

 

“手が痛い…”

 

「はぁ、はぁ…これ、難しすぎませんか?」

「大体なんで協力ゲームでボタン連打対決があるんですか…どういう意図なのか分かりません。」

 

「ほら、競い合えば友情が深まったりするじゃん?」

 

「だからって5分は長すぎます!」

「コントローラー壊さないように加減するの大変なんですからね、まったく…」

 

「……!相性結果が出ました!えーっと……」

「!!」

「パンパカパーン!ケイとアリスの相性は完璧!100%です!」

 

“すごい!!”

 

「当然です。私とアリスですから。」

 

「アリスと先生の相性は…90%!わあっ、すごく良い相性です!」

 

“当然。私とアリスだからね。”

 

「……それ、私のマネですか?似てないのでやめてください。」

 

「えへへ。アリスと先生はとても仲良しという事ですね!嬉しいです!」

「…あっ!ケイと先生の相性も出てます!えーと……」

 

「わあっ、凄いです!95%!とってもとっても仲良しですね!」

 

「!!!」

「ち、違います!これは…これは、何かの間違いです!」

「私は、別に、先生なんか…!」

 

“え~?私はケイちゃんと仲良しで嬉しいけど?”

 

「~~!!!」

「せ、先生を殺して私も死にますっ!!!!」

 

──────────

 

「いつの間にか外も暗くなっちゃったね…ケイ、今日は泊まっていきなよ~」

 

「えっ、でもそんな急に…」

 

“たまにはいいんじゃないかな。皆が夜更かししないよう、見てあげて。”

 

「そういう事でしたら……そうですね、今日は泊まるとしましょう。」

 

「先生は一緒に泊まらないんですか?アリス、先生ともっとお話したいです!」

 

「!?」

 

“ごめんね、私は帰って仕事があるから…”

 

「そうですか…残念です。」

「また今度、一緒にお泊まり会しましょうね!」

 

“もちろん!そのときはケイちゃんも一緒にね!”

 

「誰がケイちゃんですか!ほら、早く帰ってください!仕事があるんでしょう!?」

 

──────────

 

(先生が帰ってからも、アリスたちとゲームで遊んで、お喋りして……)

(……もう、皆寝てしまいましたね。)

(先ほどまで騒がしかったのが、嘘のよう。)

 

「ふあぁ……私もそろそろ寝ますか…」

 

ぐ~きゅるる。

 

「!?」

(そうだ…今日はミセドで中途半端に食べたせいで…)

 

(少しお行儀悪いですが…何か食べられそうなものは……)

(……?)

 

(これは…ドーナツ?あっ、メモに何か書いて──)

 

“おつかれさま。皆で食べてね。”

 

「………」

「……もう、この人は…」

 

「あーっ!ケイ何それ!?ドーナツ!?」

 

「!? モモイ!?」

 

「いつも私たちには夜中に食べちゃダメ、って言いながら自分だけ食べるの!?インチキ!!」

 

「ち、違いますこれは…」

 

「ドーナツ!?ドーナツがあるんですか!?」

 

「お姉ちゃん、うるさい……」

 

「うぅん…?どうしたの…?」

 

「ああっもう、皆起きちゃったじゃないですか!」

「まったくもう…今日だけ特別です。せっかくですし皆で食べましょうか。」

 

「やったー!私コレね!」

 

「あーっ!モモイ ズルいです!」

 

「じゃあ私はコレにしようかな。アリスちゃん、よかったら半分こしよう?」

 

「じゃあ私はコレ、かな。ふふっ、夜にドーナツなんて、何だか罪の味…」

 

「ケイ、牛乳出して!牛乳!」

 

「はいはい。仕方ないですね…」

「…えっ、牛乳ですか?モモイが牛乳なんて珍しいですね。」

 

「えーっ、ケイ知らないの?ドーナツと牛乳は相性抜群なんだよ!」

 

「はい!アリスも大好きな組み合わせです!」

 

「……好きなら、普段から飲んでください。余りまくってるんですから。」

 

「分かってないな~、ケイ。こういうのはペアリングと言って…」

 

 

はいはい、と聞き流しつつ、自分も席に着く。

(………相性抜群、ですか…)

 

かじったドーナツは確かに、少しだけ、罪の味がした。


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