2026年4月、篠原澪は武刺大学経済学部の2年生になった。
2月20日に20歳になったばかりだが、大人になった実感はあまりない。少なくとも、江古田のアパートの六畳間で、ミニテーブルに肘をついて預金残高を睨んでいる今はそうだった。
「……10万円かあ」
スマホの家計簿アプリに表示された数字を、もう一度見る。
見直したところで増えるわけではない。
家賃に電気、ガス、水道、通信費。4月は大学の教材も買ったし、食費だって必要になる。武刺大学までは近いので交通費はそれほどかからないが、それを差し引いても余裕があるとは言い難かった。
「バイト、増やすかなあ……」
スマホをミニテーブルへ伏せる。
窓の外から、自転車のベルと人の声が聞こえてきた。駅の周りにはいくつも商店街があり、学生向けの店も多い。大学の帰りに夕飯を買うには便利な街だった。
今日も帰り道で豆腐ともやしを買ってきた。
安かったからだ。
冷蔵庫の中には卵もあるので、今夜の食事はどうにかなる。問題は明日以降だが、それについては明日の自分に頑張ってもらうことにする。
「……よし」
何も解決していない。
それでも澪は顔を上げた。
六畳間には大学の教科書やプリントのほか、工具箱、磨きかけの真鍮の部品、ギターケース、読みかけの本が置かれている。片づいているとは言えないものの、澪にはどこに何があるのか分かっていた。
だから、これは散らかっているのではない。
作業の途中なのだ。
「そういうことにしておこう」
自分で納得したところで、ギターへ手を伸ばした。
大学では、こうはいかない。
人が嫌いなわけではなかった。話しかけられれば普通に話すし、必要なら笑う。ただ、自分から人の輪に入るとなると途端に難しくなる。
2年生になっても、そのあたりは変わっていなかった。
4月の武刺大学は、新入生と勧誘する上級生で賑わっている。新緑のキャンパスを歩いていれば、去年の自分を思い出すこともあった。
あの頃、隣にいた女子から声をかけられたことがある。
「経済学部なんだ。私も」
「そうなんだ」
「じゃあ、授業かぶるかもね」
「へえ……」
そこで会話が終わった。
今なら分かる。
あれは、もう少し何か返す場面だった。
しかし当時の澪は、相手の表情が微妙に固まったところでようやく気づき、
「すみません、ちょっと」
と、その場から逃げた。
何が「ちょっと」だったのかは、1年経った今でも分からない。
その点、ギターは楽だった。
音を外せば分かるし、リズムがずれれば直せばいい。理由もなく会話が止まることはない。
何曲か弾いたあと、澪は今度は工具箱を引き寄せた。
ペンチで銀線をつまみ、少しずつ曲げていく。力を入れすぎると形が崩れるので、指先で様子を見ながら調整する。
「こっちは素直なんだけどな」
つい口に出してから、自分で笑った。
金属と人間を比べるのもどうかと思う。
以前、大学で自作の髪留めを褒められたことがあった。
「それ、かわいいね」
あの時は本当にうれしかった。
だから翌日、使った材料と作り方を詳しく説明した。
相手は最初こそ興味深そうに聞いていたのだが、途中から笑顔が少しずつ薄くなった。
今なら、それも分かる。
たぶん「ありがとう」で終わってよかった話だ。
「次は気をつけよう」
次の機会があれば、だが。
その時、スマホがけたたましく鳴った。
緊急地震速報だった。
「えっ」
反射的に立ち上がった直後、床が揺れた。
澪はミニテーブルへ手をつく。壁際のギターケースが倒れ、カラーボックスの上に積んでいた本が一斉に畳へ落ちた。
「ちょっと、待って!」
もちろん揺れは待ってくれない。
数十秒ほどして、ようやく部屋が静かになった。
澪はしばらくそのまま動かず、もう揺れないことを確かめてから息を吐いた。
「びっくりした……」
倒れたギターケースを起こし、畳へ散らばった本を拾う。
表紙には異世界だの商会だの物流だの、似たような単語が並んでいた。
「……偏ってるなあ」
自分で買った本なので、誰にも文句は言えない。
本を重ね直そうとした時、頬を風が撫でた。
澪は手を止める。
「ん?」
窓は開いている。
しかし、風が来た方向が違った。
押入れだ。
もう一度、冷たい空気が流れてきた。
築年数の経ったアパートなのだから、多少の隙間風くらいなら不思議ではない。それでも、襖の向こうから風が吹いてくるというのは妙だった。
しかも、何か匂う。
澪は鼻を動かした。
草と土の匂いに混じって、肉を焼いたような香ばしい匂いがする。
「……なんで?」
押入れへ近づく。
襖の合わせ目から、細い光が漏れていた。
室内の照明ではない。
もっと明るい。
外の光に見える。
澪はその場にしゃがみ込んだ。
押入れの中には、布団と衣装ケースが入っているはずだった。それ以外のものを入れた記憶はないし、まして外へ通じるような工事をした覚えもない。
触らない方がいい。
そう思う。
それでも、目の前から風が吹いてくる以上、見なかったことにもできなかった。
澪はしばらく襖を見つめたあと、そっと引き手へ指をかけた。
「……開けるだけ」
自分に言い聞かせて、少しずつ開く。
襖の向こうにあったのは、押入れではなかった。
「……え?」
石畳が見える。
その先には建物の壁があり、木の扉や樽が並んでいた。頭上には青空まで広がっている。
遠くから人の声が聞こえた。
澪は無言で襖を閉めた。
数秒待つ。
もう一度開ける。
同じ景色があった。
「いやいやいや……」
今度はもう少し開けてみる。
やはり石畳だ。
風が吹き込み、草と土と焼いた肉の匂いがする。
見間違いではなかった。
「……異世界?」
口にすると余計に馬鹿らしく聞こえた。
しかし他に説明できる言葉も思いつかない。
澪はスマホをつかんだ。
押入れ 向こう 別世界。
検索する。
小説や怪談、都市伝説ばかりが出てきた。
「そうじゃなくて」
検索語を変える。
押入れ 風。
押入れ 光。
押入れ 外が見える。
今度は隙間風や湿気、襖の立て付けについてのページが並んだ。
「立て付けで青空が見えたら、もう押入れじゃないでしょ」
スマホを置く。
誰かに相談することも考えた。
家族。
大学の知り合い。
管理会社。
頭の中で順番に名前を浮かべてみたものの、どう説明してもまともな話になりそうにない。
「押入れを開けたら、知らない町につながってました」
試しに言ってみる。
自分で聞いても怪しい。
「無理だなあ……」
それに、こんな話を真っ先に電話できる相手が思い浮かばないことにも気づいてしまった。
少しだけ胸が重くなる。
子どもの頃、怖い夢を友達へ話したことがある。
自分には大事件だったのに、相手にはただの夢だった。説明すればするほど温度差が広がり、最後には話したこと自体が恥ずかしくなった。
それ以来、変な話ほど人にはしづらい。
澪は押入れへ視線を戻した。
「……自分で調べるしかないか」
いきなり向こうへ入るつもりはない。
まず、本当に物を通せるのか確かめる。
キッチンから割り箸を1本持ってきた。
襖を少し開け、石畳の方へ伸ばしてみる。
何も起こらない。
しばらくして引き戻しても、ただの割り箸だった。
次にメモ帳から紙を小さくちぎり、向こう側へ落とした。
紙は石畳に落ちた。
その直後だった。
小さな手が伸びてきた。
「えっ」
子どもがいた。
小学校の低学年くらいに見える。手首には赤い紐が巻かれ、指には土がついていた。
子どもは落ちていた紙を拾い、表と裏を眺めたあと、興味をなくしたように捨てた。
「まあ、そうなるよね」
澪は思わず呟いた。
写真を撮ろうかと思ったが、スマホを向こうへ出すのは怖い。
落としたら取り返せない。
代わりに机の上にあった30cmの透明定規を手にした。
これなら、なくしても買い直せる。
襖の隙間から、定規をゆっくり伸ばす。
子どもが気づいた。
じっと見ている。
もう少し前へ出したところで、突然その手が伸びてきた。
「あっ」
定規をつかまれた。
「ちょっと、待って。それは」
澪も引く。
子どもも引く。
押入れを挟んで、定規の引っ張り合いになった。
何をやっているんだろう、と考えた時、子どもが何か言った。
知らない言葉だった。
それなのに、意味だけは分かった。
「……え?」
驚いて手の力が緩む。
その隙に定規を奪われた。
「あっ!」
子どもは数歩下がり、透明な定規を胸に抱えた。
澪は追いかけることもできず、押入れのこちら側から見ているしかない。
「持っていかれた……」
30cm定規1本。
高いものではない。
だが、妙な敗北感が残った。
それ以上に気になることがある。
言葉だ。
聞いたことのない音だったのに、何を言われたのか分かった。
「どうなってるの……」
結局、その日はそれ以上試せなかった。
ギターを持っても集中できず、工具箱を開いても作業が進まない。頭に浮かぶのは石畳と、定規を抱えて逃げた子どものことばかりだった。
夜になると、押入れの向こうから昼間とは違う音が聞こえ始めた。
鐘が鳴り、荷車らしい車輪の音が通り過ぎる。人の話し声や笑い声に混じって、遠くから商売をしているらしい声も聞こえてきた。
市場なのだろうか。
怖い場所なら、襖を閉めて二度と開けなければいい。
けれど、聞こえてくるのは誰かが普通に暮らしている音だった。
それがかえって気になった。
澪はなかなか眠れなかった。
◇ ◇ ◇
翌日、武刺大学へ行っても、押入れのことは頭から離れなかった。
講義中は教授の話を聞き、ノートも取ったつもりだったが、ふと気づくと余白に昨日見たものを書き込んでいた。
石畳、市場らしい場所、赤い紐を巻いた子ども。そして持っていかれた30cm定規。
言葉が通じたことも気になる。
「篠原さん?」
「はいっ」
名前を呼ばれて、慌てて顔を上げた。
教授の質問には何とか答えたものの、隣の学生が少し笑っている。
恥ずかしい。
昨日から変なことばかりだ。
講義が終わると、周囲で昼食の相談が始まった。
いつもならそのまま帰るところだが、今日は特に迷わなかった。
早く押入れを確かめたかった。
◇ ◇ ◇
大学を出て、江古田の商店街を抜ける。
昼どきなので、定食屋や惣菜屋の前には学生の姿が多かった。揚げ物の匂いが漂い、ドラッグストアの店先には特売品が並んでいる。
いつも通っている道だ。
それなのに今日は、文房具や日用品が妙に目についた。
昨日までなら気にも留めなかった小さな鏡や裁縫道具、爪切りまで気になる。
少し先には、何度も使ったことのある百円ショップもあった。
「……いや、まだ何も分かってないし」
自分に言い聞かせ、そのままアパートへ戻った。
外階段を上がり、部屋へ入る。
玄関脇の小さなキッチンを抜ければ、見慣れた六畳間だ。
ただ、壁際の押入れだけは、昨日までとはまるで違って見えた。
澪はミニテーブルの上へスマホを置いた。
「これは置いていこう」
財布も隣に置く。
学生証や保険証まで向こうへ持っていく必要はない。
リュックには水とハンカチ、飴、メモ帳、ボールペンを入れた。少し迷ってから、安全ピンと爪切りも加える。
最後に、自分で作った小さな真鍮のペンダントを手に取った。
売るつもりはない。
向こうの人が見たら、どんな反応をするのか少し気になっただけだ。
「何しに行くんだろ、私」
自分でもよく分からない。
異世界を冒険したいわけではない。
ただ、昨日から気になって仕方がないのだ。
玄関で靴を履き、そのまま六畳間へ戻る。
自分の部屋の押入れへ行くのに靴を履く。
妙な感じだった。
襖を開ける。
昨日と同じ石畳がある。
人がいないのを確認して、右足を出した。
靴底が石へ触れる。
「……ほんとにつながってる」
昨日は部屋の中から見ていただけだった。
今日は自分の足が向こうにある。
一度振り返る。
襖の向こうには江古田の六畳間が見えた。
ミニテーブルも、工具箱も、置いてきたスマホもある。
戻れる。
それを確かめてから、澪はようやく両足を石畳へ移した。
「おい」
「ひゃっ」
すぐ後ろから声をかけられた。
振り向くと、大柄な男が立っている。
「おまえ、どこから来た」
「あ……」
困った。
江古田、と言っても通じないだろう。
かといって、押入れから来ました、と答えるわけにもいかない。
「東の方からです」
「東のどこだ」
「ええと……かなり東です」
男が怪訝そうな顔をした。
当然だと思う。
自分でも何の説明にもなっていないと言うほかない。
男は澪の服や靴を見回した。
「妙な格好だな。旅の者か?」
「はい」
答えてから、少し迷う。
「……たぶん」
男の眉間に皺が寄った。
余計なことを言った気がする。
それでも男はそれ以上追及せず、
「盗みはするな。揉め事も起こすな」
とだけ言った。
「はい」
そこは素直にうなずけた。
澪としても、揉め事など起こしたくない。
人の多い方へ歩いていくと、やがて店が並ぶ場所へ出た。
布の日除けの下に、パンや干した魚、毛皮、木の食器、革紐、鉄製品、薬草などが並んでいる。客と店主が声を交わし、あちこちで値段の相談をしていた。
「市場なんだ……」
昨日聞こえていた声は、やはりここからだったらしい。
澪はゆっくり歩きながら店先を見る。
最初に気になったのは針だった。
数本まとめて売られているが、太さや長さが微妙に違う。先端の形も揃っておらず、少し曲がっているものもあった。
隣の店には小さな鏡がある。
覗けば顔は映るものの、角度を変えると輪郭が歪んだ。
「これで毎朝、前髪見るのは嫌かも……」
口にしてから、今考えることではない気もした。
それでも、見ているうちに違いが気になってくる。
釘も刃物もちゃんと使えそうだ。
ただ、形が揃っていない。
現代では当たり前だと思っていたことが、こちらでは当たり前ではないらしい。
そこで、リュックの中に入れた爪切りを思い出した。
小さくて、丈夫で、形が揃っている。
こちらではどう見えるのだろう。
取り出そうか迷っていると、近くにいた男が声をかけてきた。
「さっきから何を見ている?」
「え?」
商人らしい男だった。
視線が澪のリュックへ向く。
「何か持っているのか」
澪は少し迷ったあと、爪切りを取り出した。
「これは何だ?」
「爪を切る道具です」
「爪を?」
「はい」
男は受け取ると、何度かレバーを動かした。
「これだけで切れるのか」
「切れますよ」
「見せてみろ」
「ここでですか?」
男は当然のようにうなずいた。
仕方なく澪は爪切りを受け取り、自分の親指の爪へ当てる。
ぱちん。
小さく爪が切れた。
男の表情が変わった。
「ほう」
もう一度爪切りを手にし、今度はさっきより真剣に眺めている。
しばらくして、男は懐から硬貨を1枚出した。
「これで譲れ」
銀色の硬貨だった。
澪は爪切りと硬貨を見比べる。
価値が分からない。
高いのか安いのかも分からないし、交換していいものかどうかも判断できない。
経済学部に通っていても、通貨の価値そのものが分からなければどうしようもなかった。
「……分かりました」
結局、硬貨を受け取った。
手のひらに、ずしりとした重さが残る。
売れた。
その事実に少し遅れて実感が追いついてきた。
うれしい。
けれど、すぐに周囲の視線が気になった。
何人かがこちらを見ている。
同じ物を持っていないか聞かれたらどうしよう。
この硬貨を狙われたら。
そんなことを考え始めると、急に心細くなった。
「ありがとうございました」
男に頭を下げ、澪はその場を離れた。
走るほどではない。
ただ、普段より少し早足だった。
人の少ない路地へ入ったところで、見覚えのある子どもを見つけた。
「あ」
昨日の子だ。
壁際にしゃがみ、透明なものを手にしている。
30cm定規だった。
澪に気づくと、子どもはすぐに背中へ隠した。
「それ、私のなんだけど」
子どもは首を横へ振る。
「だめ」
「返してくれない?」
「だめ」
即答だった。
澪は困ってしまった。
昨日は勢いで取られたものだ。
返してもらう権利はあると思う。
けれど、子どもは定規を大事そうに抱えていた。
「そんなに気に入ったの?」
尋ねると、子どもはしばらく黙ったあと、定規を澪へ見せるように持ち直した。
「これは、すごくまっすぐだ」
「まっすぐ?」
「こんなにまっすぐなの、見たことない」
子どもが指で定規の縁をなぞる。
澪は市場で見た針や釘を思い出した。
現代なら、30cmの透明定規など珍しくもない。
江古田の百円ショップへ行けば、似たようなものはいくらでも売っている。
それが、ここでは違うらしい。
澪はしばらく定規を見ていたが、やがて諦めた。
「……じゃあ、大事にして」
子どもが驚いたように顔を上げる。
そして、小さく礼を言った。
昨日まで自分の机に転がっていた定規を、誰かが宝物のように抱えている。
不思議な感じだった。
物そのものは何も変わっていない。
置かれた場所が変わっただけだ。
◇ ◇ ◇
押入れを抜けて六畳間へ戻ると、澪は畳の上へ座り込んだ。
「……疲れた」
向こうにいる間、思った以上に緊張していたらしい。
見慣れたミニテーブルや大学の教科書、工具箱を眺めていると、ようやく肩の力が抜けてきた。
少し休んでから、受け取った銀貨をミニテーブルへ置く。
冷たくて、思ったより重い。
「本当に売れたんだ……」
江古田ならどこにでも売っている爪切りが、押入れの向こうでは銀貨になった。
その時、置いていたスマホの画面が光った。
家賃の引き落とし予定を知らせる通知だった。
「……あ」
澪はスマホを見る。
次に銀貨を見る。
もう一度スマホを見る。
「これ、家賃には使えないよね」
当たり前のことに今さら気づいた。
向こうではお金なのだろう。
しかし江古田のコンビニでは使えない。大学の食堂でも無理だろうし、銀行口座へ入金する方法も分からない。
異世界につながったからといって、現代側の生活費まで解決するわけではなかった。
それでも、澪は銀貨を指先で転がしながら考える。
市場で見た針や鏡。
爪切りを見た商人の顔。
そして「すごくまっすぐだ」と言って定規を抱えていた子ども。
帰り道に見た江古田の商店街が頭に浮かんだ。
あそこには、こちらでは珍しくもない日用品が山ほどある。
「……もしかして」
ミニテーブルへメモ帳を引き寄せた。
何を持っていけば売れそうか。
まだ価値も相場も分からないのだから、考えたところで答えは出ない。
それでも、爪切りが売れたのは事実だった。
澪はしばらく悩んだあと、スマホを手に取る。
検索欄へ入力した。
江古田 百円ショップ 営業時間。
検索結果が表示される。
「……私、また行く気なんだ」
自分で気づいて、少しだけ呆れた。
ミニテーブルの上では、異世界から持ち帰った銀貨が1枚、部屋の明かりを反射していた。