押し入れの向こうは異世界でした   作:Brooks

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第77話 真壁式レベリング

 

 真壁久忠が商人になった、という事実だけで、押入商会侯爵領事業所の朝は十分に濃かった。

 

 机の上には、昨日の戦闘記録、負傷者の手当記録、ミラの書いた物資表、ピナが畳み直した布包み、トルが並べた伝言札が置かれている。窓から入る夏の朝の光は明るいのに、室内にはまだ昨日の戦いの疲れが沈んでいた。

 

 澪は、その机の前で椅子に座ろうとして、先に手をついた。

 

 座る、という動作の前に、身体が机を必要とした。

 

 それだけで、ミラが顔を上げた。ピナも布を畳む手を止める。トルは「大丈夫ですか」と言いかけて、昨日から覚えたばかりの待機を実行した。言葉が出る寸前で止まったので、口が半分開いたままになる。

 

 澪は、自分でも嫌な予感がして、そっと自分を鑑定した。

 

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篠原 澪

 分類:人間/異界渡航者

 現在ジョブ:商人

 レベル:11

 状態:疲労残り/集中低下

 疲労度:74%

 注意:連続判断作業により精度低下の恐れ

 注意:休息推奨

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「まだ七十四……」

 

 表示された数字に、澪は小さく青くなった。

 

 昨日、城壁の上でゴブリンキングを鑑定し、収納からバリスタを出し、負傷者を見て、スキルポイント相談までして、真壁が商人になって帰ってきた。その全部が、まだ体の中に残っている。

 

 真壁は、澪の顔色と鑑定表示を見ると、迷わなかった。

 

「澪君、今日は帰りなさい」

 

 静かな声だった。

 

 冷たくはない。だが、反論の隙間も少ない声だった。

 

「え、でも、昨日の後始末が」

 

「君が倒れれば、後始末どころではない」

 

 澪は口を開いたまま止まった。

 

 正論が、朝から強い。

 

「でも、私がいないと、まだ色々と」

 

「いない間は、リュシア君、セルマ君、親方たち、マルテ君を頼る」

 

 真壁は、澪の言葉を遮らず、ただ先に置いた。

 

「君一人で抱える商会では、長く持たない」

 

 その言い方は、昨日の侯爵家相手の交渉よりも少しだけ柔らかかった。柔らかかったが、重さは同じだった。

 

 澪は机に手をついたまま、小さく抵抗した。

 

「でも、私がいないと収納が」

 

「今朝、私も初歩の収納を得た。子どもたちもいる。すべてを君が運ぶ必要はない」

 

 トルがすぐに手を上げた。

 

「僕も収納できます」

 

 ミラが即座に補足した。

 

「分類はまだ低いです」

 

「そこは今言わなくても」

 

 トルが少し傷ついた顔をした。

 

 真壁は、むしろ感心したように頷く。

 

「弱点を言える仲間は貴重だ」

 

「褒められてますか」

 

「たぶん」

 

 ピナが小さく言った。

 

 澪は笑いそうになったが、笑うにも体力がいるらしく、肩だけが少し揺れた。

 

 真壁は立ち上がり、押し入れの方を見た。

 

「今日は休みなさい。これは命令ではなく、商会を続けるための助言だ」

 

「助言が命令みたいに聞こえます」

 

「よい助言は、ときに命令より逃げ道が少ない」

 

「そこを自覚してるんですね」

 

「自覚のない助言ほど、始末に悪い」

 

 澪は、ついに諦めた。

 

 マルテがすでに記録帳へ何かを書いている。

 

「マルテさん、何を書いてます?」

 

「澪、疲労度七十四により帰宅。真壁判断」

 

「それ、書かなくても」

 

「重要です」

 

 澪は言い返せなかった。

 

 ミラとピナが、帰宅用に澪の荷物を整え始める。トルは「送ります」と言いかけて、真壁の視線を受けて止まった。

 

「送る場所まで走る必要はない。澪君は門を通れば帰れる」

 

「そうでした」

 

 澪は押し入れの前まで行き、振り返った。

 

「本当に、何かあったら呼んでくださいね」

 

「何かある前に片づける」

 

「それはそれで怖いです」

 

 真壁は、少しだけ目を細めた。

 

「休みなさい、澪君」

 

 その声だけは、本当に優しかった。

 

 澪は、しぶしぶ押し入れをくぐった。

 

   

 

 

 澪がいなくなった後、事業所は一瞬だけ静かになった。

 

 机も、記録箱も、時計も、注文票も、いつも通りそこにある。だが、澪が座っているべき椅子が空いているだけで、子どもたちは少し落ち着かない顔をした。

 

 ミラは鉛筆を持ったまま、何を書くべきか迷っている。ピナは布包みを整える手を止め、トルは押し入れの襖を見ている。マルテだけが、記録帳を閉じずに待っていた。

 

 真壁は、空いた椅子を見ない。

 

「では、残った者で回す」

 

 それだけで、空気の形が少し変わった。

 

 その時、リュシアが事業所に入ってきた。朝から市場側の様子を見ていたのか、腰には小さな帳面、手には畳んだ地図を持っている。

 

「澪は帰したの?」

 

「帰した。あの状態で働かせるのは、道具の扱いとしても人の扱いとしても品がない」

 

 リュシアは一瞬だけ目を丸くし、それから少し笑った。

 

「言い方は変だけど、同意する」

 

「変でも伝わればよい」

 

「伝わるけど、毎回少し刺さるね」

 

 真壁は答えず、マルテの方へ向いた。

 

「昨日の記録を見せてもらえるか」

 

 マルテは、待っていたように記録帳を机へ置いた。

 

「こちらです。ゴブリン出現位置、逃走方向、町人の目撃情報、負傷者の出た場所、農場側の道、林の入口、水路沿い、古い倉庫跡までまとめています」

 

 真壁は記録帳を開いた。

 

 その指が、紙の上をゆっくり動く。

 

 昨日、最初に単独ゴブリンが現れた道。城壁外で群れが崩れた方向。町人が見た小さな影。負傷者が出た場所。畑へ続く道。水路の曲がり。林の入口。古い倉庫跡。

 

 真壁は紙の上に、細い線を引いた。

 

「逃げたものを放置すれば、次は畑と荷車を狙う」

 

 リュシアの顔から笑みが少し消えた。

 

「昨日ので終わりじゃない?」

 

「敗残兵は、飢えた時が厄介だ」

 

 真壁は静かに言った。

 

「軍であれ魔物であれ、群れが崩れた後に残るものは、規律より腹で動く。農場、街道、荷運び、子ども。柔らかいところへ行く」

 

 ピナが布を握った。

 

「畑に入られたら困ります」

 

「荷車も困るね」

 

 リュシアが低く言った。

 

 トルが身を乗り出す。

 

「じゃあ、行くんですか」

 

「行く。だが、走って探すのではない」

 

「走らないんですか」

 

「走って探せば、見つける前にこちらが見つかる」

 

 トルは、分かったような分からないような顔をした。

 

 そこへ、セルマが薬袋を肩にかけて入ってきた。昨日より少し遅れての登場だが、手にはいくつかの小袋と、錬金道具の入った箱がある。

 

「澪抜きで、ずいぶん進めるね」

 

「澪君を休ませるために進める」

 

 真壁が当然のように答える。

 

 リュシアが肩をすくめた。

 

「それ、澪が聞いたらまた働こうとするよ」

 

「だから聞かせない」

 

 セルマはそこで笑った。

 

「いいね。澪には内緒で澪の仕事を減らす。たぶん一番難しい錬金より難しい」

 

 真壁はマルテの記録帳を閉じ、机の上に地図を広げた。

 

「目的は町周辺の安全確認。逃げたゴブリンの発見。正面戦闘ではなく、誘導と無力化。子どもたちは前線に出さない。雷は距離と合図を決めて使う」

 

 セルマは持ってきた小袋を机に並べる。

 

「匂い袋、音袋、色布、刺激の強い煙を少し出す袋。危ない手順は省いてある。置けば目印や誘導になる程度」

 

 リュシアは地図の端を押さえた。

 

「撤収する道と、水を置く場所は私が見る。物を置くなら、盗られそうな荷に見せる方が寄ってくるかもね」

 

 ミラが記録を始める。

 

 ピナは縄と布と水袋をまとめ、トルは雷を撃つ気満々の顔で立っている。

 

 真壁はその顔を見た。

 

「トル君」

 

「はい」

 

「君は合図まで待つ」

 

「まだ何もしてません」

 

「顔がしている」

 

 ミラが小さく頷いた。

 

「していました」

 

「ミラ」

 

 ピナも頷いた。

 

「していました」

 

「ピナまで」

 

 真壁は、わずかに口元を緩めた。

 

「よい。行こう」

 

   

 

 

 出発前に、真壁は自分を鑑定した。

 

 澪がいないため、いつものように澪の鑑定に頼ることはできない。真壁は自分の鑑定:1で確認し、ミラにも横から補助してもらう形にした。

 

 ミラは少し緊張していた。

 

「私の鑑定で補助します」

 

「頼む」

 

 真壁は静かに目を閉じ、すぐに開いた。

 

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真壁久忠

 分類:人間/異界漂着者

 現在ジョブ:商人

 レベル:1

 前職:指揮官 Lv14

 前職影響:あり

 状態:初実地運用前

 既得スキル:商才:1

 既得スキル:鑑定:1

 既得スキル:収納:1

 既得スキル:交渉:7

 既得スキル:指揮:7

 既得スキル:軍略:6

 既得スキル:異界適応:3

 成長候補:索敵補助

 成長候補:危険物資管理

 注意:商人ジョブとしては初期段階です

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 真壁は表示を見て、少しだけ満足そうに頷いた。

 

「商人一日目としては、悪くない」

 

 リュシアが地図を畳みながら言う。

 

「普通の商人一日目は、残敵掃討に行かない」

 

「ならば、記憶に残る初日になる」

 

 トルが目を輝かせた。

 

「かっこいいです」

 

 ミラが横から言った。

 

「商人としては変です」

 

 ピナが縄を結び直しながら続けた。

 

「でも、必要です」

 

 セルマが小袋を薬箱へ戻しながら笑う。

 

「必要なら仕方ない、でだいたいの変なことは始まるんだよね」

 

 リュシアがため息をついた。

 

「澪の周り、だいたいそれだよ」

 

 真壁は事業所の扉へ向かった。

 

「必要なことを、必要なだけ行う。それだけだ」

 

「その『必要なだけ』が濃いんだよ」

 

 リュシアの言葉を背に、一行は町外れへ向かった。

 

   

 

 

 町の外は、昨日より静かだった。

 

 門から少し離れると、戦いの音はなくなり、代わりに夏草を揺らす風と、水路の細い流れが聞こえてくる。畑の土は乾きかけているが、ところどころに昨日の踏み跡が残っていた。押し倒された草、泥に残った小さな足跡、折れた粗末な棍棒の欠片。

 

 真壁は、しゃがみ込んだ。

 

 土に指を触れ、草の倒れ方を見る。顔を近づけすぎず、全体を見る。江古田の古道具屋で壺を見ていた時と、どこか同じ目だった。

 

 ミラが横で鑑定する。

 

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ゴブリンの痕跡

 分類:魔物痕跡

 状態:新しい

 方向:林の入口方面

 数:複数

 注意:一部、負傷個体あり

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「新しいです。複数。林の入口方面」

 

 ミラは表示を読み、すぐに記録しようとした。

 

 真壁が軽く手を上げる。

 

「今は要点だけでいい。記録は後で整える」

 

「はい」

 

 ミラは少しだけ悔しそうに鉛筆を止めた。

 

 真壁は地図を見るリュシアへ視線を向ける。

 

「記録と合う」

 

 リュシアは頷いた。

 

「この先は林と畑の境目。水路もある。隠れる場所は多いね」

 

 セルマが足元の草を見た。

 

「放っておくと畑に入る」

 

 ピナが水袋を抱え直した。

 

「荷車の道にも近いです」

 

 トルが前へ出かけた。

 

 真壁の声が飛ぶ。

 

「先頭は私。君は合図まで待つ」

 

「また待機ですか」

 

「待つ者がいるから、誘導が成立する」

 

 トルは、今度はすぐに口を尖らせなかった。

 

「誘導のための待機ですか」

 

「そうだ」

 

「それなら、少し分かります」

 

 ミラが小さく書きかけた。

 

 トルがそれを見た。

 

「今、何を書こうとしました?」

 

「トル、待機理由を理解」

 

「書かなくていいです」

 

「重要です」

 

 マルテがいなくても、記録係は増殖するらしい。

 

   

 

 

 最初の索敵は、うまくいかなかった。

 

 林の入口は、思ったより音が多い。風で葉が擦れ、細い枝が鳴り、足元の枯れ葉が靴の下で鳴る。ゴブリンの気配を探すには、こちらの音が邪魔だった。

 

 トルは本人なりに静かに歩いているつもりだった。

 

 だが、本人なり、である。

 

 枯れ枝が折れた。

 

 トルが固まった。

 

「今のは、枝が勝手に」

 

「枝は勝手に折れない」

 

 ミラが小声で言った。

 

 ピナはピナで、誘導具の布包みを綺麗に整えすぎていた。角が揃っている。縄もきれいに巻かれている。美しい。だが、準備が少し遅い。

 

 ミラは痕跡を見つけるのは早いが、見つけるたびに記録しようとして周囲を見るのが遅れる。

 

 しばらく進んだところで、真壁は手を上げた。

 

「止まろう」

 

 一同が止まる。

 

 トルは今度こそ音を立てなかった。少し得意げだった。

 

 真壁は三人を見た。

 

「ばらばらに優秀でも、列にならなければ遅い」

 

 リュシアが地図を見ながら苦笑した。

 

「それ、商売にも言えるね」

 

 セルマも頷く。

 

「薬作りにも言える。材料が全部良くても、順番が悪いと台無し」

 

 真壁は役割を組み直した。

 

「ミラ君は痕跡鑑定だけに集中。記録は短く、後で整える。リュシア君は地図と経路。ピナ君は退路と足元、道具の置き場。トル君は決めた区間だけ動く。勝手に先へ出ない。セルマ君は匂い袋と音袋を置く位置。私は全体を見る」

 

 トルが手を上げた。

 

「雷は」

 

「合図まで待つ」

 

「やっぱり待機です」

 

「雷を撃つ時間は短い。待つ時間が長い。なら、待つのが本体だ」

 

 トルはものすごく納得しにくそうな顔をした。

 

「雷なのに」

 

 ミラが小さく言った。

 

「雷待機」

 

「それ、変な名前です」

 

 ピナは少し笑った。

 

「でも、分かりやすいです」

 

 役割を絞ると、動きは変わった。

 

 ミラは鑑定だけに集中し、リュシアが地図へ印をつけ、ピナが足元と戻る道を見て、トルは決められた範囲だけを動いた。セルマは小袋を置く場所を真壁に確認し、真壁は全員の位置と風向きを見ていた。

 

 しばらくして、ミラが顔を上げる。

 

「奥に反応があります。でも、近づくと逃げると思います」

 

「では、近づかない」

 

 真壁は静かに言った。

 

   

 

 

 セルマが匂い袋を取り出した。

 

 中身は詳しく聞かない方がよさそうな匂いだった。腐ったわけではない。だが、鼻の奥へ引っかかる強さがある。セルマは慣れた手つきで袋の口を整え、リュシアが用意した古い布と一緒に置いた。

 

 リュシアは、その布の置き方を少し変えた。

 

「荷物を置き忘れたように見せるなら、きれいに置きすぎない方がいいね」

 

 真壁がそれを見る。

 

「商人としては、盗られそうな荷に見せるわけだな」

 

「そういうこと。中身があるように見えた方が寄ってくる」

 

「品がない罠だが、相手も品を問わぬ」

 

 セルマが音袋を近くの低い枝へかけた。風で揺れると、袋の中で小さな石がかすかに鳴る。大きな音ではない。けれど、林の中では気になる程度の音だった。

 

 真壁は、子どもたちの位置を確認した。

 

「人を囮にするのは最後の手だ。今日は物で十分だ」

 

 トルが少し残念そうにした。

 

「僕が走って引きつけるとかは」

 

「しない」

 

「まだ最後の手じゃないですか」

 

「最後の手は、使わずに終わるのが一番よい」

 

 ピナが退路を確認し、ミラが目を細めた。

 

「鑑定します」

 

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潜伏反応

 分類:魔物気配

 数:三

 状態:警戒/空腹

 反応:匂い袋へ接近中

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「三。警戒、空腹。匂い袋へ接近中」

 

 ミラの声が少し硬くなる。

 

 ピナは足元の石をどけ、トルの立つ位置を指で示した。

 

「ここから先へ出ないでください。戻る時はこっちです」

 

「分かってます」

 

「昨日までは分かってても走ってました」

 

「今日は分かってます」

 

 トルは雷を撃ちたくて、肩に力が入っている。だが、足は動かしていない。

 

 真壁は林の奥を見ていた。

 

「まだだ」

 

 茂みが揺れる。

 

 小柄な影が一つ、二つ、三つ。汚れた皮膚、粗末な棍棒、昨日の群れから逃げたらしい傷。ゴブリンたちは匂い袋を見て、周囲を警戒しながら近づいた。

 

 トルの指先に、小さな光が走る。

 

「まだだ」

 

 真壁の声は変わらない。

 

 ゴブリンが匂い袋へ寄る。三体の距離が狭まる。棍棒を持つ手が下がり、意識が袋へ向いた。

 

 真壁の目が細くなる。

 

「今」

 

 トルが雷を放った。

 

 同時に、ミラとピナの補助の雷が横から薄く走る。大きな爆発ではない。空気が一瞬だけ白く震え、ゴブリンたちの身体が硬直した。三体は棍棒を落とし、草の上に崩れた。

 

 澪が見たらたぶん「強すぎませんか」と言うだろう。

 

 だが、真壁はすぐに鑑定を促した。

 

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ゴブリン

 分類:魔物/小型人型

 状態:麻痺/戦闘不能

 脅威度:低下

 注意:再起動前に処理が必要

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「麻痺。戦闘不能。脅威度低下」

 

 ミラが読み上げる。

 

 真壁は頷いた。

 

「仕事として終わらせる」

 

 その後の処理は淡々としていた。

 

 必要以上に見せず、騒がず、近づく者を決め、確認し、終える。トルは少し緊張していたが、目をそらさなかった。ピナは布を握り、ミラは記録した。リュシアは数を確認し、セルマは周囲の気配を見た。

 

 終わった後、トルが息を吐いた。

 

「雷、役に立ちました」

 

「合図を待ったからです」

 

 ミラが言う。

 

「固まってからでした」

 

 ピナも言う。

 

 真壁は、倒れたゴブリンではなく、子どもたちの顔を見た。

 

「待った雷は、走った雷より強い」

 

 トルは少し考えてから、頷いた。

 

「それ、ちょっと分かります」

 

   

 

 

 初回の無力化が終わった直後、真壁の前に表示が出た。

 

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真壁久忠

 分類:人間/異界漂着者

 現在ジョブ:商人

 レベル:1 → 2

 前職:指揮官 Lv14

 前職影響:あり

 既得スキル:商才:1

 既得スキル:鑑定:1

 既得スキル:収納:1

 成長:索敵誘導:1

 成長:危険物資管理:1

 獲得SP:1

 未使用SP:1

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 真壁は表示を眺めた。

 

「商人らしからぬ上がり方だな」

 

 リュシアが腕を組む。

 

「商人って何だったかな」

 

 セルマが薬袋を閉じながら言った。

 

「少なくとも、今日の商人はゴブリンを誘導してるね」

 

 真壁は少しも動じない。

 

「需要があれば、商いは形を変える」

 

 ミラが真面目に聞いた。

 

「それは商才ですか」

 

 リュシアが顔をしかめた。

 

「たぶん違うけど、否定しにくい」

 

 トルが頷いた。

 

「商人はすごいです」

 

「今日のこれを商人の基準にしないで」

 

 リュシアがすぐに釘を刺した。

 

 真壁は周囲を見渡し、初回の動きを頭の中で組み直していた。

 

「探すのではない。出てこざるを得ない場所を作る」

 

 リュシアが地図を広げる。

 

「商売の客寄せに似ているね」

 

「客なら歓迎するが、これは返品不可だ」

 

 トルがぽつりと言った。

 

「返品不可のゴブリン」

 

 ミラが反射的に鉛筆を動かしかける。

 

「記録しないでください」

 

「今のは記録しません」

 

 ミラは少し残念そうだった。

 

 真壁はリュシアの地図に指を置いた。

 

「マルテ君の記録と町人の目撃情報で逃走方向を絞る。ミラ君は痕跡鑑定。リュシア君は畑、水路、林の境目を見る。セルマ君の袋で誘導。ピナ君は退路と足元。トル君は決められた区間を伝令。雷は合図で使う」

 

 言葉は短いが、位置が決まる。

 

 人と物と情報が、真壁の声で並べ替えられていく。

 

 リュシアは、その様子を見て小さく笑った。

 

「澪がいたら、便利って言いながら頭抱えるね」

 

「だから休ませた」

 

 真壁はもう一度、林の奥を見た。

 

「次へ行く」

 

   

 

 

 そこからの一日は、妙に手際が良かった。

 

 最初の畑の端では、ミラが折れた草の向きを鑑定し、リュシアが畑へ入らせない位置を選び、セルマが匂い袋を置いた。ピナが畦道の石をどけ、トルが決められた場所まで伝令に走り、戻ってきて合図を待った。

 

 二体のゴブリンが出てきた。

 

 雷。

 

 無力化。

 

 確認。

 

 記録。

 

 次。

 

 水路の影では、一体が逃げようとした。

 

 トルが走りかけたが、真壁が指を一本上げただけで止まった。代わりに、トルは決められた区間を回り込み、リュシアが退路を完全には塞がず、町へ向かわない方向へ流した。

 

 雷。

 

 無力化。

 

 確認。

 

 記録。

 

 次。

 

 古い倉庫跡では、四体の反応があった。

 

 トルは四体まとめてやれるという顔をしたが、真壁は首を横に振った。

 

「一度に多く出すな」

 

「でも、雷なら」

 

「効率とは、多く抱えることではない。失敗しない数を繰り返すことだ」

 

 セルマが頷いた。

 

「錬金の釜と同じだね。入れすぎると、全部だめになる」

 

 リュシアも地図に印をつける。

 

「仕入れも同じ。一度に抱えすぎると、運べなくなる」

 

 トルはピナを見た。

 

「雷も同じですか」

 

 ピナは少し考えた。

 

「たぶん、同じです」

 

 倉庫跡では、セルマの音袋で一体ずつ外へ出した。ミラが数を読み、ピナが足元を確認し、トルが合図まで待ち、雷で無力化する。

 

 繰り返すたびに、動きが整っていく。

 

 最初は真壁がすべて指示していた。

 

 だが三度目には、ミラが「この痕跡は古いです」と言い、ピナが「ここは戻る道が狭いです」と先に示し、トルが「ここまでなら走って戻れます」と区間を自分で確認した。

 

 リュシアは地図に印を増やしながら、少し感心したように言った。

 

「澪がいなくても、回るもんだね」

 

 セルマが肩をすくめる。

 

「澪がいたら、全部見ようとして倒れるよ」

 

「だから休ませた」

 

 真壁は三度目の同じ答えを返した。

 

   

 

 

 昼を少し過ぎた頃、子どもたちの前に表示が出た。

 

 最初にミラが固まった。

 

「出ました」

 

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ミラ・セイル

 現在ジョブ:商人

 レベル:4 → 5

 既得スキル:鑑定:3

 既得スキル:収納:3

 既得スキル:雷:8

 既得スキル:商才:1

 成長:痕跡鑑定:1

 成長:敵数記録:1

 獲得SP:3

 注意:レベル5到達ボーナスを含みます

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 ミラは、表示を読み終えてから、静かに息を吸った。

 

「痕跡鑑定……敵数記録……」

 

「向いてるね」

 

 リュシアが言う。

 

 ミラは小さく頷いた。

 

「見落としを減らせます」

 

 次にピナが表示を見た。

 

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ピナ・ロッテ

 現在ジョブ:商人

 レベル:4 → 5

 既得スキル:収納:4

 既得スキル:鑑定:2

 既得スキル:雷:8

 既得スキル:商才:1

 成長:安全範囲確認:1

 成長:誘導具管理:1

 獲得SP:3

 注意:レベル5到達ボーナスを含みます

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 ピナは、自分の足元、布袋、戻る道を順に見た。

 

「安全範囲確認……」

 

 真壁が頷く。

 

「君は、人が転ぶ前に石を見る。よい能力だ」

 

 ピナは少し照れたように、布袋を抱え直した。

 

 最後にトルが表示を見て、眉を寄せた。

 

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トル・バッカ

 現在ジョブ:商人

 レベル:4 → 5

 既得スキル:収納:3

 既得スキル:鑑定:2

 既得スキル:雷:8

 既得スキル:商才:1

 成長:区間移動:2

 成長:雷待機:1

 獲得SP:3

 注意:レベル5到達ボーナスを含みます

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「雷待機って、また待機ですか」

 

 真壁はまじめに答えた。

 

「待てる雷は価値が高い」

 

「待つと褒められる世界になってます」

 

 ミラが即座に言う。

 

「トルには良い世界です」

 

 ピナも頷いた。

 

「たぶん」

 

「たぶんじゃなくて、もっと強く褒めてください」

 

 トルは不満そうだったが、口元は少し緩んでいた。

 

 自分ができることが増えている。

 

 それは、本人にも分かっているのだ。

 

   

 

 

 午後の掃討が終わる頃、今度は真壁に表示が出た。

 

 子どもたちがそれぞれ役割を覚え、リュシアが地図と物資を回し、セルマが誘導具を調整する中で、真壁は一日中、全体を見ていた。敵の位置、子どもたちの距離、退路、誘導具の残り、処理済み地点、次の候補地、帰還時刻。

 

 彼は雷を撃っていない。

 

 だが、雷を撃つ場所と時間を決めていた。

 

 彼は荷を大量に運んでいない。

 

 だが、人と物の流れを組んでいた。

 

 だから表示は、子どもたちより重かった。

 

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真壁久忠

 分類:人間/異界漂着者

 現在ジョブ:商人

 レベル:2 → 6

 前職:指揮官 Lv14

 前職影響:あり

 状態:残敵掃討指揮完了/商人職急速適応

 疲労度:48%

 体力:74 → 75

 筋力:60

 器用:76 → 78

 知力:83 → 84

 判断:93 → 95

 精神:93

 集中:84 → 87

 既得スキル:交渉:7

 既得スキル:指揮:7

 既得スキル:軍略:6

 既得スキル:礼法:6

 既得スキル:美術眼:6

 既得スキル:古物鑑定:5

 既得スキル:威圧:5

 既得スキル:書類読解:3

 既得スキル:現代知識:2

 既得スキル:異界適応:3

 既得スキル:商才:1 → 3

 既得スキル:鑑定:1 → 3

 既得スキル:収納:1 → 2

 成長:索敵誘導:1 → 3

 成長:危険物資管理:1 → 3

 成長:小隊運用:1 → 2

 成長:戦場物流:1

 成長:撤収判断:1

 成長:残敵掃討指揮:1

 獲得SP:6

 未使用SP:7

 注意:商人ジョブとして異例の実戦経験を獲得しました

 注意:前職指揮官の経験が商人職の人員配置・物資運用・危険判断へ接続されています

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 ミラが表示を読み上げる声だけが、少し震えていた。

 

「商人レベル、二から六……」

 

 トルが目を丸くした。

 

「僕たちより上がってます」

 

 リュシアが地図を畳みながら言った。

 

「当然だよ。今日の商人一日目は、人と物と雷とゴブリンを全部並べ替えてたからね」

 

 真壁は表示を眺め、低く呟いた。

 

「商人とは、なかなか忙しい職だな」

 

「今日のは商人というより、討伐隊長だよ」

 

 リュシアが言う。

 

 真壁は少し考えた。

 

「しかし物と人を配った。商人の範疇でしょう」

 

「否定しにくいのが嫌だね」

 

 セルマが腕を組んだ。

 

「澪がいたら、ここで頭を抱えてたね」

 

「だから休ませた」

 

 真壁は平然と言った。

 

 リュシアは表示の下を指差した。

 

「未使用SP、七つあるよ。使うのかい」

 

 真壁はすぐには答えなかった。

 

 地図、匂い袋、音袋、ミラの記録札、ピナの布、トルが握っていた伝言札を順に見た。

 

「使うべき時に使わぬ力は、帳簿に眠る金と同じだ。役に立たん」

 

 リュシアが笑った。

 

「その言い方、商人っぽいね」

 

「ならば、少しはこの職にも馴染んできたということだな」

 

 ミラが聞く。

 

「商才を上げるんですか」

 

 真壁は首を横に振った。

 

「商才は今、交渉と美術眼で補える。足りぬのは、こちらの品物を正しく見る目と、持ち運ぶための手だ」

 

 リュシアが頷いた。

 

「鑑定と収納だね」

 

「そうだ。商人として、まずはそこを外すべきではない」

 

 真壁は迷わなかった。

 

----------------------------------

真壁久忠

 分類:人間/異界漂着者

 現在ジョブ:商人

 レベル:6

 未使用SP:7 → 2

 割振:鑑定:3 → 4

 消費SP:3

 割振:収納:2 → 3

 消費SP:2

 既得スキル:商才:3

 既得スキル:鑑定:3 → 4

 既得スキル:収納:2 → 3

 結果:品物・人物・危険物の価値判断精度が上昇しました

 結果:小型荷物・書類・道具類の収納運用が実務域に入りました

 残SP:2

 注意:商才は交渉・美術眼・前職指揮経験により補助されています

----------------------------------

 

「残り二つは使わないんですか」

 

 トルが首をかしげる。

 

「商才を次へ上げるには足りん。足りぬものに無理に使うより、残す」

 

「残すのも商人ですか」

 

 トルが聞くと、リュシアが即答した。

 

「かなり商人だね」

 

 真壁は頷いた。

 

「交渉だけできても、品を見誤れば商いは崩れる。品を見ても運べなければ、やはり崩れる。ならば鑑定と収納だ」

 

 セルマが感心したように言った。

 

「戦う商人じゃなくて、危ない場所でも商売を壊さない商人、って感じだね」

 

 真壁は少し考え、それから静かに頷いた。

 

「悪くない定義だ」

 

 ミラは表示を記録しながら、真面目に言った。

 

「商人としては変です」

 

 真壁は否定しなかった。

 

「変わった商会には、相応の商人が要る」

 

   

 

 

 夕方、町外れの最後の地点で、ミラが鑑定した。

 

 水路の向こう、林の影、古い倉庫の裏、畑の端。見える範囲と、今日回れる範囲は確認した。

 

----------------------------------

町近辺の魔物反応

 分類:周辺確認

 対象:ゴブリン残敵

 反応:なし

 痕跡:古いもののみ

 注意:遠方の再侵入には見張り継続が必要

----------------------------------

 

 ミラは表示を読み上げた。

 

「町近辺の魔物反応、なし。痕跡は古いもののみ。遠方の再侵入には見張り継続が必要」

 

 リュシアは地図を見下ろし、印を一つずつ確認した。

 

「今日見られる範囲は片づいたね」

 

 セルマが薬袋を肩にかけ直す。

 

「無傷で終わったのは大きい」

 

 ピナは布袋の数を確認し、使ったものと残ったものを分けた。トルはまだ少し動きたそうにしている。

 

「まだ走れます」

 

 ミラがすぐに返す。

 

「走れるうちに帰るんです」

 

 ピナも言う。

 

「昨日学びました」

 

 トルは納得いかない顔をした。

 

「待機の次は帰還ですか」

 

 リュシアが地図を丸めながら言った。

 

「いい商人は帰ってくるんだよ」

 

 真壁も頷く。

 

「余力を残して終える。これも仕事だ」

 

「仕事、多いですね」

 

 トルが言う。

 

「商人ですから」

 

 ミラが言った。

 

「商人、すごいです」

 

「今日の商人を基準にしないで」

 

 リュシアが二度目の釘を刺した。

 

 夕暮れの光が、畑道を長く伸ばしている。朝には不安だった町外れの道が、少しだけ静かになっていた。安全になったと断言するには早い。けれど、少なくとも今日、見える範囲の残敵はいない。

 

 真壁は町の方を見た。

 

「戻ろう。報告までが仕事だ」

 

 トルが小さく言った。

 

「帰還も仕事」

 

 ピナが頷く。

 

「報告も仕事」

 

 ミラが記録した。

 

「帰還、報告、仕事」

 

「それは記録するんですね」

 

 トルが言うと、ミラは真面目に返した。

 

「重要です」

 

   

 

 

 澪は、現代側で少し眠った。

 

 布団に倒れ込んだ記憶はある。スマホの通知を見ないように裏返した記憶もある。目を閉じると、城壁とバリスタとゴブリンキングと鑑定表示が順番に出てきたが、それも途中で溶けた。

 

 目が覚めた時、部屋の光は夕方に近かった。

 

 身体はまだ重いが、朝よりはましだった。

 

 そっと自分を鑑定すると、疲労度は下がっていた。完全回復ではない。それでも、七十四という数字ではないことに少し安心する。

 

 澪は水を飲み、軽く食べ、迷った末に押し入れの前へ立った。

 

「少しだけ。様子を見るだけ」

 

 誰に言い訳しているのか、自分でも分からなかった。

 

 押し入れを通ると、向こう側の空気は夕方の匂いがした。

 

 事業所へ行くと、机の上に記録帳が積まれていた。

 

 いつもより多い。

 

 嫌な予感がした。

 

 扉を開けると、真壁、リュシア、セルマ、ミラ、ピナ、トル、マルテがいた。全員、無事そうだった。無事そうではあったが、妙に充実した顔をしていた。

 

 真壁が澪へ振り返る。

 

「近辺の残敵は片づけました」

 

 澪は、しばらくその言葉を理解できなかった。

 

「はい?」

 

 マルテが記録帳を開いた。

 

「本日の記録です。索敵地点、誘導回数、無力化数、負傷者なし、町近辺の魔物反応なし。ミラ、ピナ、トル、真壁のレベルアップあり」

 

 澪は机に近づき、記録を見下ろした。

 

 畑道。

 

 水路。

 

 林の端。

 

 古い倉庫跡。

 

 誘導回数。

 

 無力化数。

 

 負傷者なし。

 

 子どもたちの商人レベル四から五。

 

 真壁の商人レベル一から六。

 

 鑑定四。

 

 収納三。

 

 残SP二。

 

 澪は頭を抱えた。

 

「私が寝ている間に、何をしているんですか」

 

 真壁は平然としていた。

 

「君を休ませた」

 

「その結果がこれですか」

 

 リュシアが笑う。

 

「でも、町の近くは安全になったよ」

 

 セルマも頷いた。

 

「怪我人も出てない」

 

 トルが少し誇らしそうに胸を張る。

 

「僕、待てる雷になりました」

 

「情報量が多い」

 

 澪は椅子に座った。今度は、倒れ込むようにではなく、自分で選んで座った。

 

 机の上には、押入商会が自分抜きで動いた証拠が並んでいる。

 

 それは、とても良いことだった。

 

 澪がいなくても、リュシアがいて、セルマがいて、マルテが記録し、ミラが見て、ピナが整え、トルが待てるようになり、真壁が全体を組める。

 

 とても良いことだった。

 

 とても良いことだったのだが、真壁久忠が商人レベル一から始めた初仕事は、近辺のゴブリン残敵を一日で殲滅することだった。

 

 澪は記録を見下ろし、しばらく黙った。

 

「押入商会は……」

 

 そこまで言って、言葉を探す。

 

 真壁が待っている。リュシアはにやにやしている。セルマは笑いをこらえている。ミラとピナは真面目な顔で、トルは褒められる準備をしている。

 

 澪は深く息を吐いた。

 

「私が思っていたよりも、ずっと危ない方向へ自走し始めています」

 

 真壁は、少しだけ満足そうに言った。

 

「自走する組織は強い」

 

「方向です。方向が問題なんです」

 

 トルが手を上げた。

 

「でも、僕は待ちました」

 

 澪は、トルを見た。

 

 そして、少しだけ笑った。

 

「そこは、偉いです」

 

 トルの顔がぱっと明るくなった。

 

 ミラが記録した。

 

「トル、待機を褒められる」

 

「それは記録してください」

 

 トルが胸を張る。

 

 澪はもう一度、机の上の記録を見た。

 

 押入商会は、勝手に止まらなかった。

 

 それは、きっと良いことなのだ。

 

 ただし、止まらなかった結果が真壁式レベリングだったことについては、あとで神様に小声で文句を言ってもいい気がした。

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