市の一角では、まだ人の声が重なっていた。
真壁が収納から出した棚の前で、村の薬師が月白石粉の小袋を二つ並べている。札を読み比べ、湿気のない方を右へ、薬師確認が必要な方を左へ置いた。農家の男は荷締め麻紐を軽く引き、ほつれの少ない束を選ぶ。職人は杉箱破片を裏返し、釘を抜けば当て木に使えるかどうかを指で確かめていた。
荷が届いた、というだけではなかった。
重さが分かり、状態が分かり、使い道が見えると、人は迷わず手を伸ばす。澪はその動きを眺めながら、胸の奥に小さなざらつきを感じていた。
助けた。
それは確かだ。
けれど、助けた品が村の仕事に組み込まれていくたび、押入商会の名前まで一緒に村の中へ入っていくように見えた。
村の市の責任者が、薬師の女と荷車の男を連れて戻ってきた。責任者は日に焼けた顔をきちんと引き締め、真壁とリュシア、そして澪の前で深く頭を下げる。
「本当に助かりました。あの荷が戻らなければ、今日の市は半分止まっていました」
薬師の女も、胸の前で手をそろえた。
「月白石粉を全部捨てずに済みました。銀葉草も、苦蓬草も、混ざらずに残った分が使えます」
荷車の男は、まだ少し青い顔をしていたが、声だけは戻っていた。
「車輪を壊した時は、もう駄目だと思いました。ありがとうございました」
真壁は、静かにうなずいた。
「荷は、届いて初めて荷となる」
責任者が、感心したように目を伏せた。
澪は黙っていた。ここで突っ込むと、真壁の言葉がさらにありがたい感じになってしまう。村の空気が、真壁の言い回しを変に受け止めてくれるのが問題だった。
責任者の合図で、村人たちがいくつかの品を運んできた。
乾いた薬草の包みから、青く苦い匂いが立つ。淡い黄色の蜜蝋片は布袋の中で小さく擦れ、村織り麻布は素朴だが目が詰んでいた。燻製兎肉を包んだ油紙からは、香草と煙の匂いが漏れている。土を払った保存用根菜、白く乾いた塩板片、小さな革袋に入った硬貨も並べられた。
澪は、それらを見てから、リュシアを見た。
リュシアの顔が、礼を受ける顔から、仕入れを見る顔に変わっていた。
「リュシアさん、それ謝礼を見る顔じゃなくて、仕入れを見る顔です」
「よく見てるね」
「認めるところですか」
「村は金だけで払うとは限らないよ。むしろ、産物の方がありがたい時もある」
「ありがたい、ですか」
「街で売れるからね」
「今、値札が見えてますよね」
「少しね」
リュシアは悪びれない。
真壁が、村織り麻布を手に取った。指で織り目を確かめ、端の織りムラを一度だけ撫でる。
「品は道を持つ」
澪は真壁を見た。
「今の“道”は比喩ですか。事業計画ですか」
「両方だ」
「返事が一番怖いやつです」
リュシアが、燻製兎肉の包みを少し持ち上げる。
「これは売れるね」
「判断が早いんですよ」
「香草の匂いがいい。酒場なら話が早い」
「もう持ち込み先まで出てる」
責任者は、そのやりとりを聞きながら、少し身を乗り出した。
「次の市にも、ぜひ来ていただきたい。出店の場所はこちらで用意いたします。今日のことは村の者が見ていますから」
澪は足元の土を見た。
また、話が前へ進んだ。
真壁はすぐには答えなかった。責任者の顔を見て、薬師の女を見て、まだ棚の前に集まる村人たちを見ている。その沈黙の間に、澪は真壁が何を測っているのかを少しだけ分かってしまった。
一度きりの礼ではない。
次に来る場所。次に必要な物。次に守るべき信用。
「場所をもらえるなら助かるね」
リュシアが半歩前へ出た。
「ただ、次に来る時は、今日みたいな間に合わせじゃなく、先に必要な物を聞いてからの方がいい」
「聞いてから来てくださるのですか」
「行商人は、そういうものだろう?」
リュシアが真壁を見る。
真壁は静かにうなずいた。
「不足を知らねば、荷は選べぬ」
責任者は深く頭を下げた。
澪は、その姿を見て、反論の言葉を探した。けれど、うまく見つからなかった。村の人たちは助かっている。リュシアは売れる物を見ている。真壁は次の道を見ている。筋は通っている。
筋が通っている話は、止めにくい。
ただ、澪にはまだ、その筋の先で生きていく覚悟まではなかった。
村を出る支度を始める頃、真壁は村の産物の一部をリュシアへ渡す分として取り分けた。
大きな棚は出さなかった。
そこは、澪も少し安心した。少しだけだった。なぜなら、真壁の手元には、すでに小袋や包みが整然と並んでいたからだ。
乾燥銀葉草は百グラムずつ。蜜蝋片は五百グラム。村織り麻布は扱いやすい分量にまとめられ、燻製兎肉は油紙ごと重さを測られている。保存用根菜は三キロごとの袋になっていた。
そして、それぞれに札が付いていた。
澪は一枚を見た。
品名:乾燥銀葉草 重量:100g 品質:良 注意:乾燥均一/他草混入なし/街側薬師向け
隣にも同じ調子で並んでいる。
品名:蜜蝋片 重量:500g 品質:良 注意:異物混入なし/封緘・灯火用に使用可
品名:村織り麻布 重量:1.2kg 品質:可 注意:端に織りムラあり/袋材・包み布向き
品名:燻製兎肉 重量:800g 品質:良 注意:乾燥良好/香草風味/早めの販売推奨
品名:保存用根菜 重量:3kg 品質:可 注意:小傷あり/食用可/長期保存は不向き
「真壁さん」
「何かね」
「作業が早いです。謝礼が包装済み商品になるまでの時間が短いです」
「店で扱うなら、分けておいた方がよい」
「理屈が正しいのがまた困るんですよ」
リュシアは乾燥銀葉草の袋を持ち上げ、札を読んでいた。最初だけ呆れた顔をしたが、すぐに目が変わる。どこへ置くか、誰に声をかけるか、いくらなら売れるかを考える顔だった。
「これだけ書いてあるなら、店に並べやすいね」
「便利に慣れる速度が早すぎます」
「便利なものには慣れるよ」
「商人の順応性が怖い」
リュシアは燻製兎肉を別に置いた。
「これは酒場に話を持っていける。香草風味なら早いね。蜜蝋は工房と薬師。銀葉草はセルマにも見せたい。根菜は小傷ありなら値を少し抑えて、まとめ買い向きにする」
「リュシアさん、今の十秒で販売計画が三本立ちました」
「三本で済ませたよ」
「済ませた扱いなんですか」
真壁が満足げにうなずいた。
「よい商人だ」
「褒める方向が完全に同業者です」
「共同で扱うからね」
リュシアは小袋を並べ直し、真壁と澪を見た。
「売れた分は半分ずつ。こっちで値付けと店売りをする。そっちは運びと仕分け」
「折半の決まり方が、会社の会議より早いです」
「遅くすると揉める。商売は、終わった後の分け方で揉めるんだよ。最初に決めておいた方がいい」
「急に実務が強い」
「実務だからね」
「明快だ」
真壁が言う。
「真壁さんも納得する速度が行商人です」
リュシアは笑い、袋を自分の収納へ入れていった。真壁ほど大きくはない、と本人は言うが、手つきに迷いがない。店で売る物、セルマに見せる物、日持ちしない物、後で値を決める物。それぞれが、リュシアの中で場所を持っていく。
澪は、真壁の手元に残った控えと、リュシアの収納へ消えていく袋を見比べた。
運ぶ人がいる。売る人がいる。買う人も、たぶんいる。
困ったことに、全部つながっている。
「……筋が通ってるのが腹立ちます」
「腹を立てるところかい?」
リュシアが笑う。
「止めにくくなるんです」
真壁は、紙に村の名を書き足した。
「止める理由が弱いということだな」
「そういうところです」
澪はそう返したが、声にはいつもの勢いが少し足りなかった。
真壁は迷っていないように見える。
けれど、本当に迷っていないのか。それとも、迷えるほど道を持っていないのか。
その違いを、澪はまだ聞けなかった。
帰りのハイエースは、荷室がほとんど空だった。
荷車の男は村に残った。市の責任者や荷受け係に説明し、残った荷の整理をしなければならない。真壁と澪とリュシアだけが乗り込み、村の入口を後にした。
夕方の光が、街道の土を斜めに照らしている。
澪は後部座席から窓の外を見た。行きは、見知らぬ道だった。門の外は真壁の地図にも白く、荷車の男の案内と、轍と、リュシアの勘を頼りに進んだ。
今は違う。
澪には見えない。
けれど、真壁の中には、もうこの道がある。
ハイエースが走り出してすぐ、澪は違和感を覚えた。
揺れが少ない。
真壁が飛ばしているわけではない。エンジン音はむしろ落ち着いている。速度も無理に上げていない。けれど、止まらない。小さな迷いがない。行きに少し跳ねた場所で、車体が先に逃げる。ぬかるみの手前で自然に角度を変え、橋の前では速度がすっと落ち、渡り終えるとすぐに戻る。
真壁の視線は、道の先を拾っていた。
轍の深さ。ぬかるみの端。橋の板の継ぎ目。分岐の石の標識。林から落ちた枝。坂に入る前の土の色。
一度通った道の線と、現実の道が真壁の中で重なっているのだろう。澪には見えないが、運転の滑らかさだけは分かる。
「……早くないですか」
真壁は前を見たまま答えた。
「道を覚えた」
「それだけですか」
リュシアが窓の外を見ながら、目を細めた。
「違うね。速いんじゃない。詰まってない」
「表現が的確すぎます」
「止まってないし、迷ってない。こういうのは速いよりいい」
「それ、商人の評価ですよね」
「もちろん」
車は急いでいる感じがしない。だが、無駄に止まらない。行きに荷車の男が迷いながら指した分岐も、真壁は自然に進んだ。ぬかるみを避ける時も、橋を渡る時も、まるで先に道が手元へ来ているようだった。
「速さとは、乱暴に進むことではない。止まらぬことだ」
「真壁さん、今のは名言風の運転技術です」
「実用だ」
「実用なら余計に強いです」
リュシアが笑った。
「でも、商人にはそっちの方が大事だよ。速く走って荷を壊すより、止まらずに着く方がいい」
「二人とも同じ方向を見てるのが分かってきました」
「いいことじゃないか」
「代表取締役としては、胃に来るいいことです」
ハイエースは、行きよりも静かに街道を戻っていく。
澪は時計を見た。まだ決定的な差ではない。それでも、積み重なる小さな差がある。止まるはずのところで止まらない。揺れるはずのところで揺れない。迷うはずのところで迷わない。
便利なものは怖い。
しかも、真壁が使う便利なものは、だいたい商売と安全と次の仕事に結びつく。
澪は窓の外へ視線を戻した。
真壁は、これを生きる道として見ているのかもしれない。
江古田に部屋はある。食器も、寝る場所も、現代の服もある。けれど、それは真壁がこの世界に根を下ろしたという意味ではない。彼にはこちら側の過去がない。大学も、履歴書も、親に説明できる人生もない。
だから、押入商会が道になる。
そう考えた瞬間、澪は少しだけ息を詰めた。
自分には、まだ戻る場所がある。
真壁には、作るしかない場所がある。
その違いを、澪は今までちゃんと見ていなかった。
街へ戻った時、帰りは行きより少し短く済んでいた。
真壁は無茶をした様子がない。車体も乱れていない。リュシアも、行きより疲れた顔をしていない。むしろ、窓の外を見ながら何かを考えている顔だった。
人目につきにくい場所にハイエースを停めると、澪は真壁の前に立った。
「……見ます」
「必要あるまい」
「必要がある時の顔を、今しています」
リュシアが横で笑った。
「鑑定される顔ってあるのかい」
「真壁さんの場合はあります。何か増えている時の静けさです」
「ひどい評価だ」
真壁はそう言ったが、抵抗はしなかった。
澪は息を整え、真壁を見る。
鑑定の感覚が、目の奥で開いた。
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真壁久忠
分類:人間/異界漂着者
現在ジョブ:行商人 Lv2
前職:商人 Lv11
前々職:指揮官 Lv14
前職影響:あり
状態:高集中/移動後/地図更新中
疲労度:28%
基礎能力値:変化なし
体力:76
筋力:62
器用:81
知力:86
判断:95
精神:95
集中:89
既得スキル:商才 4/鑑定 9/収納 9/交渉 8/指揮 7/軍略 6/体術 4/威圧 5/異界適応 4/地図 1
新規スキル:移動加速 1
注意:移動加速1は、移動時の無駄を軽減する。速度上昇は軽微。停止回数、迷い、疲労、荷揺れを減らす。
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澪は、しばらく黙った。
やっぱり出ている。
しかも、名前がよくない。真壁に渡してはいけない言葉が、何の遠慮もなく鑑定結果に出ている。
「取れちゃってるじゃないですか」
「初荷を終えたからだろう」
「受け止め方が穏やかすぎます」
リュシアは、鑑定内容を聞いて納得したようにうなずいた。
「荷を運んで、道を覚えて、時間に間に合わせた。行商人としては、まあ正しいね」
「納得する速度が商人なんですよ」
「これは納得するよ。行商人が初荷を終えて、道に関わる力が伸びたんだ。変じゃない」
「変じゃないのが問題です」
真壁は、鑑定表示の内容を聞いて、少しだけ目を細めた。
「移動加速、か」
「名前だけで真壁さん向けすぎます」
「よい名だ」
「ほら、気に入りました」
その言葉に、真壁はほんの少し笑った。
派手に喜んではいない。だが、価値を理解している顔だった。澪はそれが一番困る。
「速くなるって言っても、馬鹿みたいに走る力じゃないんだろうね」
リュシアが言った。
「おそらく、無駄が減る」
真壁は帰り道を思い出すように言った。
「止まる前に道の悪さが分かる。曲がる前に車体の向きが整う。橋の前で、落とす速度が少なくて済む」
「なら当たりだよ。荷を揺らさず、疲れを減らして、同じ道を少し早く行ける。行商人には十分すぎる」
「地味に強い、という一番厄介なやつです」
「派手な力より商売向きだね」
「商売向きなのが、また厄介です」
真壁は、街の外へ続く道の方を一度見た。
その目には、澪には見えない地図があるのだろう。村から街へ戻る線。橋、ぬかるみ、分岐、標識。そこへ、移動の無駄を減らす感覚が重なる。
「道は、少し速くなるらしい」
「真壁さん、道を成長コンテンツみたいに言いましたね」
「違うのかね」
「違うと言いたいのに、鑑定結果が邪魔をします」
澪の声には、疲れと諦めが混じっていた。
移動加速一。
派手ではない。空を飛ぶわけでも、消えて移動するわけでもない。けれど、真壁の行動範囲を静かに広げる力だった。
怖いのは、スキルそのものではない。
その力が、真壁の生きる場所を少しずつ形にしていくことだった。
リュシアの店に戻る頃には、通りの光が夕方の色に変わっていた。
店先では、布を畳む音と、木箱を動かす音がする。リュシアは入口の台を空け、真壁から受け取った村の産物を並べ始めた。乾燥銀葉草、蜜蝋片、村織り麻布、燻製兎肉、保存用根菜、乾燥塩板片。どれも袋詰めされ、札が付いている。
リュシアは完全に店の顔だった。
「売れた分は半分ずつ。こっちで値付けと店売りをする。そっちは運びと仕分け」
「ちゃんと商売になってる……」
澪は、店の台に並ぶ袋を見ながらつぶやいた。
「初荷の後始末だ」
真壁が言う。
「後始末が商流になっています。普通の顔で言わないでください」
「商流って言葉、嫌いじゃないね」
リュシアが反応した。
「拾わないでください。いま私の逃げ道として出した言葉です」
真壁は、預けた品の控えを紙に書いていた。村の名前、品名、数量、品質、リュシアへの預け分、折半の条件。澪はその手元を見る。ちゃんと会社の控えになっている。
これはもう気分ではない。
記録された商売だ。
「本当に折半でいいんですか」
「あんたたちは運んだ。仕分けた。次の道も作った。私は街で売る。半分でちょうどいいよ」
リュシアは、蜜蝋片の袋を店の奥へ運びながら言った。
「乾燥銀葉草はセルマに見せる。燻製兎肉は早めに酒場へ。麻布は袋材に使いたい店に声をかける。根菜は長期保存向きじゃないから、値を間違えないようにする」
「もう売る先が決まってる……」
「全部じゃないよ。決まってない分を、これから決めるんだ」
「未定部分まで前向きです」
真壁は、控えの紙を一枚澪へ渡した。
「押入商会控えだ」
「こういうところだけ会社として丁寧なんですよね」
「会社だからな」
「そうでした。逃げ場のない正論でした」
澪は紙を受け取った。
紙は軽い。
けれど、手の中に残る重さは、紙の重さではなかった。
真壁は、この控えを自然に作る。リュシアは、自然に売り先を考える。村の責任者は、自然に次の市の場所を用意すると言った。
自分だけが、まだそこに立つ準備をしていない。
澪は、そのことを誰にも言わなかった。
江古田の六畳間に戻ると、畳の匂いがした。
エアコンの低い音が部屋の中に残っている。押し入れの戸は何事もなかったように閉じていて、古い燭台の神さまは布に包まれたまま、いつもの場所に収まっていた。
澪は靴を脱ぎ、六畳間へ上がった瞬間、肩の力が抜けた。
異世界の土埃も、市の声も、ハイエースの揺れも、ここにはない。ないはずなのに、手の中にはリュシアとの控えがあり、真壁は隣で村の名前と次回市の日付をメモしている。
「江古田に戻ってきたのに、話が全然終わった気がしません」
「道ができたからな」
「現代側で聞くと、道という言葉が急に重いです」
古い燭台の神さまが、どこか満足げに見えた。
もちろん喋らない。動かない。光もしない。けれど、澪にはそう見えた。
「神さまも納得顔をしないでください」
返事はない。
澪は鞄を置こうとして、床に出しっぱなしになっていた大学の資料に気づいた。履修関係のプリントの端が少し折れている。持ち物のメモもある。日付も、そこに普通に印刷されていた。
真壁の手元には、村の市の控えがある。
澪の足元には、大学の資料がある。
真壁の紙には、異世界で生きるための道が書かれていた。
澪の紙には、まだ学生として戻れる日常が書かれていた。
その二つが、同じ六畳間の床にある。
澪は、しばらく見比べた。
どちらかを選んだわけではない。
けれど、どちらにも明日が続いている。
澪は大学の資料を拾い上げ、深く息を吐いた。
「……明日から大学です」