蒼翼のフリューゲル“Two beyond dimensions.” 作:フルス・シュタイン
群がる小型ギアノイドをかき分け中枢へ向かう。
確実に――近づいていた。
だが、それは、あまりにも唐突に現れた。
中枢防衛層。
群体の奥。
明らかに、これまでとは違う。
動き。
密度。
圧。
すべてが、一段階上だ。
過去に戦った最適化個体。
それが中枢を守るように布陣している。
“質”が違う。
そして中枢個体。
立体に触手が生えたような形状。
巨大。
未だかつてない大きさ。
“質量”が違う。
中枢本体から伸びた触手のようなものも、こちらをとらえている雰囲気。
だが、関係ない。
ブラウフリューゲルが突入する。
最適化個体に向けたライフルの連射。
しかし、全て躱わされる。
反応が――
読まれている。
ユーヤの感覚が警鐘を鳴らす。
「…クソ!」
最適化個体が動く。
速い。
ブラウフリューゲルを墜とすため向かってくる。
そして――激突。
ブレードライフルを構えての鍔迫り合い。
しかし、機体が大きく弾かれる。
「っ……!」
押された。
真正面から。
だがすかさず反撃する。
ブレードブラスター。
発射。
命中する。
だが――貫かない。
即座に反転し、ブレードライフルで一閃する。
1体撃破。
しかし、まだいる。
複数体。
連携し、包囲してくる。
応戦する。
だが、最適化個体の間を縫ってくるように中枢個体の触手が振り下ろされる。
「⁉…クッ…」
紙一重で回避する。
ユーヤは冷静に戦況を分析する。
(……まずい)
このままでは押しきれない。
距離を取る。
背部スラスター、全開。
強引に間合いを切る。
ブレードブラスター、収束ビームランチャー(レーヴァテイン)を構える。
狙いは――中枢方向。
(中枢にダメージが入れば突破口があるかもしれない…)
最大出力。
標準は完璧。
トリガーを引く寸前。
必中の予測軌道。
だが――
遮断される。
最適化個体が割り込む。
ブレードライフルで受け止め、弾き返す。
体勢が崩れるがそれでも強引に標準を合わせる。
収束ビームランチャー(レーヴァテイン)発射。
二筋の収束ビームが中枢へ直撃。
しかし――
貫かない。
(……硬すぎる)
体勢を立て直し、間髪入れずブレードブラスターの照準を中枢へ向ける。
しかし、最適化個体が迫る。
間合いを、詰めてくる。
「⁉…邪魔だ!」
チャージ済みのブレードブラスターで受け止める。
だが、弾かれる。
手元からブレードブラスターが離れる。
回転しながら――
宇宙へ。
漂う。
まだ、撃てたはずだった。
フルチャージ状態を維持したまま。
(……くそっ)
ユーヤは悪態をつきたいがそんな暇はない。
(最適化個体が邪魔だ…せめて数を減らさないと)
急加速。
一体と距離を詰める。
距離ゼロ。
インパクトショット改、発射。
直撃。
1体を粉砕する。
その隙を逃さないように。
触手が飛来する。
避ける。
またも紙一重で。
そして、ビームソードを突き立てる。
触手とビームソードが同時に爆散する。
だが――
まだ数が多い。
包囲される。
完全に囲まれる。
逃げ場はない。
「蒼の英雄が……押されている!?」
艦隊にざわめきが走る。
誰もが理解する。
蒼の英雄にも余裕などないと。
呼吸が荒いユーヤ。
視界が揺れる。
警告音が鳴り止まない。
それでも、止まらない。
止まるわけにはいかない。
「ハアハア…ブレードビット展開!」
三本のブレードビットを射出。
最適化個体の包囲網を破るため飛翔する。
タイミングをずらしスローイングブレードナイフ改も投擲せず直接射出。
最適化個体の死角からの飛来。
しかし、これもかわされる。
「クソ…いい加減落ちろ!」
同時刻。
連合軍宇宙艦隊も危機的状況にあった。
終わりの見えない戦いはまだ続く。