蒼翼のフリューゲル“Two beyond dimensions.”   作:フルス・シュタイン

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2章③同質

沈黙が、重い。

 

量子化。

転移。

次元粒子の隠された能力。

そもそも一人の科学者が、

ここまで技術革新を進められるものなのか。

 

「……なんなんだ」

低く、

押し殺した声。

「じゃあなんだよ……俺たちが普段使っている次元粒子は…いったい…何なんだ」

 

視線を蜘蛛型ロボットへ向ける。

逃げ場はない。

 

「ブラウフリューゲルは……次元リアクターは……次元粒子ってのは……」

 一拍。

 言葉を選ぶように。

「そもそも、何なんだ」

 

迷いはない。

「説明します」

蜘蛛型ロボットは淡々と告げる。

「次元粒子とは、本来、地球上には存在しない外部由来のエネルギーです」

ユーヤが驚愕の表情を浮かべる。

「外部…地球上には存在しないだと…?」

理解が、わずかに揺らぐ。

 

「ギアノイドが活動する際に観測されるエネルギー反応と同一のエネルギーです」

 

静止する。

その一言が、

深く突き刺さる。

 

「次元リアクターとはその粒子を人為的に制御・循環させる装置です」

 

つまり――――

「簡潔に言えば、ギアノイドの構造を模倣し、利用する機関です」

 

同じ。

根源から。

完全に。

 

「……つまり」

ユーヤ声が、かすれる。

「ブラウフリューゲルは……バスターアームズは…ギアノイドと同じ力で動いてるってことか」

 

「はい、肯定します」

 

 

長い。

重く、

逃げ場のない時間。

 

 

戦っていた相手。

その力。

それを――

自分は使っていた。

 

拳が、震える。

「……じゃあ父さんは…最初から全部わかってて……」

 

蜘蛛型ロボットは続ける。

「関谷リョウイチは、ギアノイドの性質を解析し、対抗するために同質の力を選択しました」

 

「未知の存在には、同質の力でしか対抗できないと判断したためです」

 

選択。

その一手が、

すべてを決定づけた。

 

ユーヤは目を閉じる。

過去と、

現在を、

一度、切り離すように。

そして――

開く。

過去の疑問の答えにたどり着く。

 

「……そうか」

 

視線を蜘蛛型ロボットへ向ける。

迷いは、もうない。

 

「ブラウフリューゲルの図面…戦闘データの更新…最適化……」

 一歩、踏み出す。

「全部、お前がやってたのか」

 

一瞬の間。

 

蜘蛛型ロボットは告げる。

「正確には、関谷リョウジの意思を継承したシステムによるものです」

「私は、その実行端末です」

 

父は、いない。

だが――

“残っている”。

意志として。

設計として。

この場所に。

 

静かに、呟く。

「……どこまで仕込んでんだよ」

 

人類とギアノイドの境界は、

すでに――

曖昧になっていた。

 

ユーヤは深呼吸をする。

心を落ち着ける。

(今俺が受けている説明は…人類の根幹を揺らすものだ…)

覚悟を決めてその続きを聞く必要があった。

 

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