蒼翼のフリューゲル“Two beyond dimensions.”   作:フルス・シュタイン

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2章⑱集結

宇宙は、静かだった。

だが―――

その静寂の奥で。

確実に。

“終わり”が近づいている。

 

ギアノイド。

観測史上、最大規模の群体。

その進軍。

人類は、それを迎え撃つため、すべてを集めた。

 

宇宙空間。

連合軍宇宙艦隊。

無数の艦。

バスターアームズ。

補給船。

その全てが、ここにある。

 

これが、本当に、

“最後の戦力”。

 

地上の守りはない。

ゼロ。

その意味。

降下された瞬間、終わる。

 

次元粒子も最低限を除き、かき集め艦隊の運用にまわした。

地上には、無防備な次元リアクタープラントがあるだけ。

敵の“餌”だ。

 

条件は最悪。

だが、

引けない。

艦隊先頭

鋼の巨艦――

戦艦ヴェスペリオン

その姿がある。

だが、今回は違う。

配置は旗艦ではない。

別の艦が、指揮を執る。

 

ヴェスペリオンは――――最前線

つまり突撃位置。

 

決戦前の配置確認。

ゲンゾウはためらいなくそれを選択した。

「……後ろにいる意味はない、ブラウフリューゲルがいないならなおさらだ」

「母艦として後方待機する必要は無い」

事実。

この艦は、艦隊最大火力。

当然結論は、前に出る。

反対するものは誰もいなかった。

 

ヴェスペリオン艦橋。

指揮を執る男。

ゲンゾウ。

その隣に火器管制。

ナツキ。

 

ヴェスペリオン発信前にゲンゾウ、ナツキは親子として会話をしていた。

ゲンゾウのさとすような声。

「ナツキ…やっぱりお前は地球に残れ」

言い終わる前にナツキが拒否する。

「いやよ!今回は絶対に一緒に行くわ」

困った顔をするゲンゾウ。

「ナツキ…」

ナツキの決意は変わらない。

「後悔はしたくないの」

ゲンゾウはしぶしぶ納得した。

「…わかった」

 

今は無言。

もはや語ることはない。

覚悟は同じ。

 

戦闘開始まで、残りわずか。

 

第二次ギアノイド宇宙侵攻。

まもなく始まる。

空気が張り詰める。

 

 

同時刻

別の場所。

地下施設

静かに佇む機体――

ブラウフリューゲルtypeⅡ

蒼き翼の二代目。

そのコクピット。

ユーヤ。

リョウイチより通信が入る

「準備はいいか?」

即答する。

「当然だ」

 

胸元に手を入れる。

取り出す。

赤いリボン。

握る。

 

あの日。

あの時間。

全部取り戻す。

 

静かに。

だが確かに。

「……今から会いに行く」

 

リョウイチより戦闘開始後の指示が出る。

「まずは目先の戦闘だ。敵陣深く切り込め。エリスの詳細座標を探る」

ユーヤは短く回答。

「了解」

ブラウフリューゲルtypeⅡ起動。

システムが唸る。

次元粒子が満ちる。

そして最後の出撃宣言。

覚悟は決まった。

 

「ブラウフリューゲルtypeⅡ――」

一拍。

「出る!!」

 

人類の命運を賭けた戦いと、

一人の少年の願いが、交差する。

最終決戦――

その幕が、今、上がる。

 

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