蒼翼のフリューゲル“Two beyond dimensions.”   作:フルス・シュタイン

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2章⑲突破不能領域

―――開戦―――

 

火が、走る。

その瞬間――

宇宙は閃光に埋め尽くされた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

連合軍宇宙艦隊。

「全砲門、開放!」

叫びと同時に。

光。

爆炎。

弾幕。

母艦からは、

ミサイル

ビーム砲

レールガン

ありったけを、叩き込む。

 

出し惜しみはない。

できない。

後がない。

 

同時にバスターアームズ隊も動く。

突撃。

群れを成し、敵へと雪崩れ込む。

爆発。

破壊。

消滅。

それでも、

押される。

数が違う。

密度が違う。

 

全ての兵士が奮戦する。

「撃て! 撃ち続けろ!」

「一秒でも長く持たせろ!」

その意志は、

生きるために。

絞り出す、最後の力。

 

 

 

同時刻。

蒼が走る。

ブラウフリューゲルtypeⅡは、

敵陣深部へ直接転移する。

敵の真っ只中へ飛び込む。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ギアノイドに状況を把握させる時間は与えない。

出現と同時にユーヤが動く。

「砲門展開!マルチプルビット射出!」

「フルバーストショット!」

弾丸とビームの雨

ブラウフリューゲルの時よりも多数増えた砲門。

その乱れ撃ち。

増えたにもかかわらず、全ての砲門がギアノイドを捉える。

同時の精密射撃。

その精度は極限に達していた。

ギアノイドに逃れるすべはない。

ギアノイド大隊深部。

ギアノイドの分厚い壁。

そこに大きな穴が空く。

 

ギアノイドからしたらブラウフリューゲルtypeⅡは異物。

明らかに異質な存在。

 

「……遅い!」

ギアノイドから反撃が来る前に更に動く。

斬る。

撃つ。

消える。

ナイトランサーシステムが発動する。

短距離転移。

出現。

撃破。

再転移。

残像すら残さない。

追いつくものは、何もない。

 

ブラウフリューゲルtypeⅡのその背。

張り付く影がある。

リョウイチだ。

蜘蛛型ユニット。

機体に固定されている。

 

ユーヤとリョウイチの間に通信が飛ぶ。

「振り落とされるなよ」

「大丈夫だ、気にするな」

「戦闘に集中しろ」

 

リョウイチも集中する。

戦闘と同時に――

情報収集。

至近距離での解析。

内部構造。

量子波。

 

だが、異常。

全面。

ギアノイド。

ギアノイド。

ギアノイド。

壁。

壁。

壁。

ユーヤはつぶやく。

「……多すぎるだろ」

いくら高性能でも――

単騎でどうにかなる密度ではない。

 

それでも、

止まらない。

止まれない。

目的はただ一つ。

だが、

ユーヤが少し焦りを見せる。

「……まだか、父さん!」

「エリスはどこだ!」

「真の中枢はどこなんだ!」

リョウイチが答える。

「……少し待て!」

その声に――余裕はない。

焦っている。

明かに。

「情報が多すぎる……!」

「処理しきれない……!」

初めて、

その声が揺れる。

天才科学者。

すべてを掌握してきた男が――

追い詰められている。

ユーヤはそれでも、前を見る。

そして決意する。

「……いいさ」」

静かに。

「待つ、何秒でも、何分でもな!」

宣言する。

「いくらでも耐えるさ」

 

信じているからだ。

父の演算を。

そして――

その先にいる“彼女”を。

 

蒼の英雄は、止まらない。

たとえ――

世界そのものが壁になろうとも。

 

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