鉄屑ヴィラン 作:鉄子の部屋
遅れた
「どーもぉ、ピザーラ神野店ですぅ」
ヴィラン連合アジトのBARにピザが届いた。もちろん誰も頼んでいない身に覚えのない配達だ。
「...」
鉄屑が配達員を“スクラップ”にするために扉に近づいた瞬間。オールマイトが壁を破壊し中へと突入してきた。
「黒霧、ゲート!」
「先制必縛!ウルシ鎖牢!」
黒霧が個性を発動させようとするがシンリンカムイによりヴィラン連合全員が捕縛されてしまう。
「チィ...!んなもん...!」
「...」
荼毘は炎で木を焼こうとし、鉄屑はシンリンカムイへと鉄屑を飛ばそうとする。
「はやんなよ、大人しくしとけ小僧ども」
しかし、グラントリノの一撃を喰らった荼毘は気絶。鉄屑は身に纏った鉄屑のおかげで気絶は免れたが視界が揺れ動きだせずにいた。
「黒霧ィ!持ってこられるだけ持ってこい!.....どうした!黒霧!」
「すみません死柄木弔...!所定の位置にあるはずの脳無が...無い!」
ヴィラン連合の戦力、脳無が設置されている場所は、すでに他のヒーローにより破壊されており制圧されている。
「ここで終わりだ、死柄木弔!」
「まだ...始まったばかりだ...!黒霧ィ!ゲート開け!鉄屑ゥ!時間稼げ!」
ゲートを開こうとする黒霧とようやく視界の揺れがおさまった鉄屑。しかし、ヒーローが黙って見逃すわけがない。エッジショットが二人の体を通り、弄り、気絶させる。
気絶した鉄屑の個性が解かれ鉄屑に埋もれたカチューシャをつけた一人の青年が気絶しながら現れる。これにはヒーロー側も驚きを隠せない。カチューシャをつけていることに驚いているのではなく鉄屑の中身がまだ成人していない子供だったことに驚いている。
しかし、やることは変わらない。ヴィラン連合をここで終わらせる。一片たりとも油断をしないヒーロー。それでも、想定外は起きる。
「脳無!?何もないとこから!?」
「どんどん出てくるぞ!」
空間に泥が出現し、泥から脳無が這い出してくる。そして、内側からも泥が溢れ出す。
「べあっ...!?」
「マズイ!全員持ってかれるぞ!」
口から溢れ出した泥がヴィラン連合全員を包み込んでいく。駆け出した時には、もう遅い。爆豪勝己含めたヴィラン連合は何処かへと転送された。
オール・フォー・ワンという巨悪の逮捕、逃走されたことによりより名が広がったヴィラン連合。そして、平和の象徴の喪失。たった一夜にして世間は変わった。
平和の象徴の喪失による世間の不安定化、それに合わせて増幅する事件。世間は否が応でも変わらなければならない。これから始まる平和の象徴が居ない日本に。
そして、世間が変わるようにヴィランたちも変わっていく。憧れ、ヒーローを目指す子供のように、ヴィラン連合にあてられたヴィランたちが暴れる。理由がなんだろうとヴィランが増えているのは事実。少しずつ社会は崩れて行っている。
さて、そんな話題の渦中のヴィラン連合は寂れた廃工場にてとある人物を待っていた。
「とんだ大物連れてきたな?トゥワイス」
「大物とは皮肉が効いているな、ヴィラン連合」
死穢八斎會の若頭、オーバーホールがヴィラン連合の前へと現れた。
「それにしても他にメンバーは居ないのか?」
「あぁ、この“錆びれた”廃工場に適任がいるからな。それに護衛が少ない方が誠意があるだろう?」
「...」
今回、この寂れた廃工場にいるのはリーダーの死柄木と“錆びれた”金属を身に纏った鉄屑だけだ。
「...まぁいい、それで計画はあるのか?計画の代わりに妄想をプレゼンされてはこっちが困る」
「...お前、仲間になりに来たんだよな?」
少し不穏な空気が流れ始める。オーバーホールを連れてきたトゥワイスがおどおどし始め、鉄屑は金属音がならないよう耳を傾け話を聞いている。
「ステイン...マスキュラー...ムーンフィッシュ...一級品の駒をすぐに落としている。イカれた人間10人余りをまともに操れないのに勢力拡大...コントロールできない力を求めて何になる」
繋げて、
「目標を達成するには計画がいる。そして俺には計画がある。今日は別に仲間に入れて欲しくて来たんじゃない」
「トゥワイス、ちゃんと意思確認してから連れて来い...それで、お前は何を言いたい?」
死柄木が促す。
「計画の遂行に莫大な金がいる。俺たちに投資する物好きなんていない。ただ、名が膨れ上がったお前たちがいれば話は別だ。俺の傘下に入れ、お前たちを「...鉄屑、コイツを帰らせろ」...交渉決裂か...」
「...」
命令された鉄屑が動く。それに合わせて“錆びれた”廃工場の中身が飛び始め空中を旋回し始める。
死柄木に命令されたのは“コイツを帰らせる事”、鉄屑はまずはこちらと向こうを断絶する事にした。
空を飛ぶ鉄屑がオーバーホールとヴィランを断絶するように地面へと突き刺ささる。トゥワイスが若干情けない声をあげているが気にせず個性を操作する。
天井に鉄屑を何本か差し込み個性を強めれば鉄屑の体が上へと引きずられる。空中で止まり視界を確保した鉄屑はオーバーホールへと鉄屑を飛ばす。
オーバーホールは舌打ちしながら後ろへ飛び回避する。それに合わせて鉄屑が弾幕のように地面へと刺さり込んでいく。
もうすぐ壁際へと追い詰めれようとした時、壁が破壊され複数の影が廃工場へと乗り込んでくる。鉄屑は様子見をするために一度鉄屑の発射を止め冷静に戦力を把握する。
「危ないところでしたよ、オーバーホール」
「遅い...!!」
イラつくように呟くオーバーホールは、一度息を整え死柄木へと話しかける。
「こうなると冷静な判断は欠く、幸いにも互いに被害は無い。頭を冷やして後日また話そう」
そう言うとオーバーホールとその他は背を翻し廃工場を去って行った。
鉄屑も空中にとどまる必要が無くなったため個性を操作して地面へと降り立ち死柄木とトゥワイスを見る。
死柄木はオーバーホールが去って行った方向をじっと見つめ何かを考えているようでトゥワイスは、安直な行動が大ごとに発展した事に少し自責の念が見えた。
鉄屑はそんな二人を見ても特に何もせずただ死柄木の命令を待つだけだった。
マグ姉生存ッッッ!!!