ひぐらしのなく頃に〜後祭り編〜 作:村人A
赤坂さんに連絡を取ったのは、二日後のことだった
大前提として協力はしたいが、条件は二つ。今後の話し合いには葛西さんを同席させることが一点。それともう一つは、こちらの目的にも協力して欲しいということ。
協力事項について説明したい旨を連絡し、その日の夜に赤坂さんと再び合流した。
場所は俺の部屋。赤坂さんに隠したところで、どうせすぐに割り出されるだろうという詩音の判断だ。隠し続ける方がかえって不信感を生む。むしろ、彼ならとっくに調べ済みだろうという読みもあった。
葛西さんは詩音の隣に、いつもの無表情で立っている。赤坂さんが入ってきた瞬間、二人の視線が合った。警視庁公安部の刑事と、園崎家の番頭。立場としてはほぼ対極だ。
軽い挨拶と握手が交わされた。言葉こそ少なかったが、互いに何かを察したような──値踏みとも、確認とも取れる間があって、それが終わると二人とも自然に表情を緩めた。俺なんかには考えも及ばないような、玄人にしか分かり合えない何かがあるのだろう。
腰を落ち着けてから、まず俺が口を開いた。
「梨花ちゃんの件──全面的に協力したいと思ってます。俺としても、真相は知りたい。彼女は大切な仲間だったから」
「ありがとう」
赤坂さんが優しげに頷いた。
「私も同じです。協力できることは協力します」
詩音が続けた。赤坂さんへの警戒が完全に消えたわけじゃない。でも、反対はしない。それが今の詩音の精一杯の誠意だった。
「ありがとう。心強いよ」
赤坂さんが静かに言って、俺たちを交互に見る。
「もう一つの頼みというのは?」
詩音が一呼吸置いた。遠回しにする気はないのだろう。
「北条悟史という少年の件をご存知ですか。昭和五十七年の綿流しの日に雛見沢で失踪した、当時中学生の男の子です。興宮署の大石刑事が、一連のオヤシロさまの祟りの調査の一環として、その失踪を独自に追っていました」
赤坂さんの目が、わずかに動いた。
「私達は、彼の──悟史くんの行方を調べてます。その調査に協力してほしい」
「……なるほど」
思案するように視線を一旦下に落として。
「つまり、君たちは大石さんの当時の捜査資料が欲しいというわけか」
理解が早い。詩音と俺は視線だけ交えつつ、頷いた。
流石に渋るか。少なくとも、即答はないだろう。とはいえ、なんとか手掛かりに繋がる糸口が欲しい。切り口を変えてでも、赤坂さんには協力を──
「構わないよ」
「……え?」
即答だった。
詩音が、ぽかんとした顔になった。葛西さんも、珍しく眉をわずかに上げている。俺も、思わず赤坂さんの顔を見た。
「その件は梨花ちゃんの事件──いや、もっとその先に繋がる可能性がある気がするよ。私としてもどんな手掛かりでも今は欲しい」
赤坂さんが続けた。
「私は、大石さんとは面識があるんだ。だから、話はそこまで難しいということはないと思う……ただ記録そのものの持ち出しとなると少し難しいかもしれない」
まぁ、それはそうだよな。機密文書なわけだし……
「だから、内容を私が記録して、全て伝えることはできる。それでよければ」
俺たちは顔を見合わせた。赤坂さんは決して保身に走っているわけじゃない──それに利害が一致しているのであれば何かを隠したり、嘘をついたりはしないだろう。
「……それで十分です」と詩音が静かに言った。
その後、梨花ちゃんのことを赤坂さんに説明した。境内で見つけた時の状況。その直前に何があったか。最後に梨花ちゃんを見た日のこと。橋から落ちるまでの、あの夜の全部。
赤坂さんは黙って聞いていた。メモを取りながら、でも視線はずっとこちらに向けていた。それでいて、俺が呑まれそうになる場面では、さりげなく水を勧めたり、一度話を止めて間を置いたりしてくれた。そのフォローが、さりげなくて助かった。
「ありがとう、前原くん。非常に参考になったよ。今度は私からの協力の番だね……少しだけ時間をくれないか」
そして、更に二日後。
赤坂さんから準備完了との連絡があり、改めて俺の部屋で顔を揃えた。赤坂さんはテーブルに着くなり、鞄から一冊のノートを取り出した。几帳面な字が、びっしりと並んでいる。
「大石さんの捜査資料、そしてメモの内容をまとめてきた。順を追って話させてほしい」
俺たちは自然と背筋を伸ばす。
「まず、北条玉枝の殺害事件について──これは皆さんも報道等でご存知だと思うけど、事件後に犯人が逮捕されている」
詩音と図書館で事件を調べている時に地元紙の切り抜きで目にした。確か、薬をやってる男だったか。犯行を自供したとの報道だったが……俺も詩音も、コイツは犯人では無いと考えている。
「警察としてはその線で捜査を進め、事件は解決という扱いになった。ただ──大石さんのメモには、その逮捕に対して強い異議が記されていてね、『碌な証拠もなく自供のみの逮捕である。真犯人は別にいて、この男は罪を被せられている』と。刑事課に直訴したそうだけど、課長から却下された。そこで一旦、捜査メモの日付の更新が止まっている」
「真犯人……それは」
「うん。北条悟史くん、と大石さんは考えていたようだ」
……だろうな。しかし、上から却下されたら動けない。普通ならここで手を引くのだろうけど。
「更に、逮捕された被疑者が、起訴される直前に獄中死している」
それも、確か新聞にあったな。地方紙のわずか数行の記事──いわゆるベタ記事だった。
「自殺と断定されているね。喉に遺物を詰まらせての窒息死。その後は規則通り、被疑者死亡のまま書類送致で、署としての捜査はそこで終結している」
起訴直前に、獄中死。自殺──か。どうも逮捕から不自然な事が連続している気がする。それは誰にとって、都合が良いことなのか。
「大石さんはその後も、単独で北条くんの行方を追い続けていたようだ。別件の合間に、という形のようだけど……」
「大石は……私には進展もないとしか言いませんでしたけどね」
「捜査終結から少し時間が空いてるからかな。なにか、彼の中で再調査をするきっかけがあったのかもしれない。ともかく、雛見沢と興宮の両方で聞き込みを続けているけど、しばらくは成果なし。そういう記録が続いているけれど」
赤坂さんがページをめくった。
「転機があったのは、その年の冬のこと。ここからが本題だ」
詩音が、かすかに体を前に傾けた。
「興宮地区内での聞き込みから、たまたま目撃情報が得られた。金髪の少年が大きなクマのぬいぐるみを抱えて、男性の車に乗り込む姿を見たという証言でね」
「それって……!!」
クマのぬいぐるみ。
詩音の息が、ほんの少し止まった。俺も、それが何を意味するか分かった。沙都子へのプレゼント。悟史が最後まで持っていたはずのものだ。
「目撃者はその日が自分の誕生日だったため、日付を正確に覚えていたようだ。時期としては──園崎詩音さん、あなたが悟史くんのためにアリバイを証言して、署に連れて行かれたその日の直後と一致すると資料にはあったよ」
……つまり、本当に悟史が失踪する直前だ。
「つ、連れ去られたって……こと?」
「いや、目撃証言によると、彼は男性と親しげに話していて、そのまま車に乗って雛見沢の方面へ移動したらしい」
俺と詩音は思わず顔を見合わせる。自ら、車に乗り込んだ?親しげに話していたと言う事なら……知り合いなのは間違いないだろう。
「男性の特徴は──メガネをかけていて、黒いワイシャツ。髪は茶髪。それ以外の特徴は掴めていない」
メガネ。黒いワイシャツ。茶髪。
俺の頭の中で、その特徴が誰かに重なりかけた。でも確信が持てない。
「大石さんはこの目撃情報から、ある人物に当たりをつけたようでね。すぐに足を運んでいる場所がある」
赤坂さんがノートから目を上げた。
「入江診療所だ」
息を呑む音が、俺からした。いや、詩音も同じ反応をしていたはずだ。
入江診療所。監督の、病院。つまり……
「大石さんは、この一緒にいた人物を、雛見沢村の入江医師だと考えたみたいだ。メモによれば、証言を得たその日に診療所を訪れている」
「監督、が……?」
詩音は目に見えて動揺しているようだった。だから視線だけ合わせにいく。まだ何も決まってる話じゃないんだ、落ち着け、と。彼女は少しだけ瞬きを多めにした後、静かに頷いた。
「大石さんは入江医師に対して、悟史くんが失踪直前に一緒にいたとの目撃があるという伝え方をしたそうだ。鎌をかけた形での質問だったけど──入江医師の返答は、全く知らない、の一点だった」
赤坂さんは続ける。
「更に、同僚の鷹野三四さんが、その日の入江医師のアリバイを証言している。日付、時間まで記載されたカルテを持ち出してきてね。そしてそのカルテに書かれている時間は、悟史くんが車に乗り込んだとされる時間と完全に一致していた」
カルテにまで残っているなら、それはれっきとしたアリバイだろう。なら、やはり監督ではなかった?
「筆跡も確かに入江のものだったと、大石さんのメモにはある。警察の立場からすれば、これ以上踏み込む根拠がない」
赤坂さんがノートを閉じた。
「ただ──大石さんは入江医師らを最後まで疑ってたようだ。『まるで、聞かれることを見越していたようだ』とね。ここで北条くんに関する記録は終わっている」
何ともいえない空気が流れる。これは……どう判断したらいいのだろう。
「飽くまでこれは大石さんの仮説だ。決めつけるのは早いけど……」
赤坂さんが一度、言葉を切った。
「大石さんは冷静で、一つ一つ可能性を排除していく理知的なタイプの人だ。まぁ、ダム戦争後の事件で少し変わってしまったようだけど……この場合は、僕でも同じように入江診療所に当たりをつけただろうと思う」
赤坂さんの言葉に被せるように、今度は葛西さんが口を開く。
「詩音さん、それに前原さんも。飽くまでこれは推測です。それも、失踪直前に最後に会っていたかもしれないのが入江先生かも、というだけの話です」
そう言ってから、葛西さんも少し間を置いて続ける。
「しかし──私も、大石刑事の違和感には同感できる部分があります。どうも、周到すぎる」
「ええ、私も同意見です。この情報だけで判断するのは危険ではありますが、入江医師が北条くんの行方の真相に関与している可能性は高い」
どうやら、二人は大石刑事の読みに同調しているようだ。けど……
「ちょっと待ってください。監督には、明確なアリバイがあるじゃないですか、それも時間まで一致するって」
なのに、なぜ──そう口にすると、詩音が軽く息を吸う音が聞こえた。先ほどの動揺はもう鳴りを潜めているらしい。
「……圭ちゃん。一年前の、五月二十五日。午後二時ごろ、どこで何をしていたか覚えてますか?」
「え?」
突然なんだ。
「どうしたんだよ詩音、急に」
「いいから、思い出してください」
「……それは」
去年の五月二十五日……そんなこと突然言われても。なにか特別な日だったらしたか?
……綿流しの一ヶ月くらい前か。雛見沢に引っ越してきたばかりの時だ。引越してきた日は正確に覚えている。二十二日だ。だからその三日後……いや、それだけしか覚えてないな。じゃあ、分校に初めて投稿したのは……そうだ、二十六日だ。と言うことは。
「……そうだ、二十五日は登校日の前日だから、興宮の街に出かけたはずだ。外で飯食って、その時間は……多分、書店にいた」
「では、書店にいたと証明できるものはありますか?レシートとか」
「え?そんなもん持ってねぇよ」
貰ってたとしても、もうとっくに無くしちまったはずだ。
詩音はこちらを見ながら、予想通りだと頷いた。
「最近の予定ならいざ知らず、数ヶ月前の予定って思い出すのすら大変なはずです。たまたま圭ちゃんは分校への転校初日っていう大きなイベントがあったから覚えてたみたいですけど、普通の人は違います。まして、レシートとか記録をすぐに出せる人なんて普通はいない」
「そりゃまぁ……あ、」
……そう、か。それが、皆が周到すぎると言っていた理由か。
「もし、今の質問してすぐにレシートとかが出てきたら、圭ちゃんはなんて思います?」
「……その質問を予想して、準備してたって思うよな」
御名答。そう言ってウインクする詩音。
そうか、監督はその質問を警察からされることを見越していたって事か。鷹野さんも口裏を合わせてたって、そういうことか?でも、まさか……あの二人が?どうして?
「驚いたな。園崎さん、君は随分と説明が上手いんだね」
「いえいえー。私も昔ちーっとだけマッポ相手に嘘のアリバイ証言しちゃったことがありましてね。その時思ったことというか、経験則です」
「ははは……その件は、聞かなかったことにしておくよ」
苦笑いする赤坂さん。
嘘のアリバイって……それこそ悟史を庇うための嘘をついた時だよな。警察相手にそんなことをさらっとバラすのは、やはり良い度胸してるよお前。
「けどさ、確かに違和感はあるとは思うけどよ。でも病院だろ?記録が残ってるのは、むしろ普通っていうか」
「確かにその通りだね」と赤坂さんが頷いた。
「ただ、メモにある大石さんが違和感を感じたというのは、それなりの理由があるはずだ」
「……いくら病院でも」
葛西さんが静かに続く。
「そもそもそんな質問をされたら、まず意図を聞き返す気はします。記録を調べるのにも時間はかかるはず。それを最初から知らない、そしてすぐにカルテでアリバイを示されたなら──用意していたと感じるのも無理はないかもしれません」
「……確かに」
じゃあやっぱり……監督たちが?いや、決めつけるのは尚早だと葛西さんに言われたばかりじゃないか。飽くまで可能性の一つとして考えるべきだろう。
「まぁここで結論は出ないにしても、筋読みをしてみようか」
「筋読み?」
赤坂さんは人差し指を立てて、俺たちを見回す。
「仮に、入江医師が北条くんと最後に一緒にいたとして、その理由は?そしてその場合、彼はどこにいたのだと考えられる?」
「……」
監督が悟史と一緒にいた理由、か。野球チーム絡みか?悟史と監督の接点で真っ先に思い浮かぶのはそれだが。あまりにも状況との乖離がある。詩音の方を見るが、怪訝な表情で黙り込んでいた。思い当たる節がパッと浮かぶようには見えないな……
悟史と監督の接点は他には……俺には思い浮かばないな。なら接点を考えるんじゃなくて、監督や悟史個人のことを切り離して考えてみるか?
「そう、か」
声がこぼれる。
そうだ、俺はその可能性について詩音に考えを話していたじゃないか。だって監督は“医者”なんだから。
「……悟史を診察するため、とか」
「え?」
詩音が目を丸くしてこちらを見上げている。
「あの時悟史は……とことん追い詰められてた。俺は……赤坂さんの前でこんな事を言うのは気が引けるけど、アイツが叔母を手にかけたと思ってる」
「……」
「そこまでの精神状態で、大石刑事にも任意同行目前まで追い詰められた。結果的に、詩音に助けられたけど……もう精神を保つのでいっぱいいっぱいだったはずだ」
「──あ」
数日前、図書館で話したことを思い出す。
『レナは錯乱したあと、学校の友達を傷つけちまったって話だったよな。例えば悟史ももう精神状態が限界にきちまって……精神が落ち着くまで誰とも会わないように一時的に隔離された、とか』
『……でも、例えば病院とかなら親戚には連絡がいくはずです。いくらなんでも、無償で連絡もしないような場所なんて』
『まぁ、そうだよな。悪い、これは飽くまで俺の憶測だ』
詩音も思い出したのだろう。
「監督がなんでその場にいたのかは分からねぇけど、そんな悟史の様子を知ったら、診療所に連れてくと思うんだ」
「……嘘」
「飽くまで憶測だぞ?だけど、憶測ついでにいえば……もし、監督が悟史の凶行を聞いていたら、匿うことも考えるんじゃねぇかなって。診療所、じゃあバレるから、どこかほかの関係先とかに入院させて、秘密裏に匿うことだって」
入院させる。そしてその事実は外部には伝えない。そんな都合のよい展開があるのかと考えていたが、監督の元ならそれが可能だ。しかし、その場合……監督はずっと俺たちに、詩音に嘘を付いていたことになる。ずっとそばに、すぐ近くに悟史がいたかもしれないのに……
詩音の表情は若干青ざめているようにも見える。監督への怒りか、自分への怒りか。或いは両方か。
一方の赤坂さんはしばらく黙ったまま、数回頷いていてから、こちらに目を向けた。
「良い筋読みだね、前原くん」
「いえ……」
褒められてこんなに嬉しくないこともない。むしろ、こんな推測頼むから外れてくれとさえ思う。
「詩音、飽くまで推測だ。冷静に、な」
「……分かってます。そこまで鉄砲玉じゃないですよ」
詩音は目を閉じたまま何度か深呼吸をしてから、ゆっくりと肩を力を抜いた。
しかし、監督が関与していたとして、だ。ここからどう進める?入江診療所は今や封鎖された雛見沢村の中にある。関係者だって、誰もいない――皆もうしゃべることだってできないんだ。
「今の話を聞いていて……一つ、思い当たることがあります」
葛西さんが、静かに口を開いた。
「最近、耳にした話なんですが――大災害がある前日に、雛見沢から運び込まれてきた男性が一人いるそうです。
かなり精神的に不安定で、支離滅裂な言動を繰り返しているということで、園崎系列の精神病院に隔離されたそうなのですが」
「支離滅裂?」
「ええ、大災害が起きる前日に、園崎組の事務所に駆け込んできた、と、支離滅裂な発言を繰り返して、あげく自傷行為までし始めたそうなので……ウチの連中は薬中だと決めつけて、系列の精神病院に放り込んだ、と。我々幹部にもすぐに報告はありませんでした」
一体この話の真意はなにか、それは葛西さんが続けた言葉で明らかになる。
「その男は、入江診療所の元スタッフだったそうです」
「なッ」
入江診療所のスタッフ?ってことは、監督の部下ってことか。
「葛西。その人物は、まだ生きているんですか?」
「私も話を聞いたのは先週でしたが、まだ隔離入院中と」
詩音はすぐに俺を見る。「今すぐにでも会いにいくぞ」と。その瞳には既に力強さが戻っていた。俺もすぐに頷いて返す。貴重な手がかりになるかもしれないのだ、面会しない手はないだろう。
「葛西さん、その支離滅裂な言動というのはどんなものだったんです?」
「えぇ。本当によく分からない『大災害は政府の陰謀だ』とか『あれは決まった大量殺人だ』という話をしていたと」
「なんです、それ。そんなアッチ系の人なんですか」
「ですので、ウチのモンも気味悪がって病院に押し付けたようですね……」
支離滅裂というか完全に陰謀論者ってことか……まともに話が通じるか怪しくなってきたな。
「詳しくは聞いてるわけではないですが……まともに話が通じる状態ではないかもしれません。意思疎通は難しいかもしれません」
「それでも構いません、手がかりが目の前にあるのに手をこまねく理由はないです」
詩音はきっぱりと言い切って、立ち上がる。彼女の言う通りだ、少しでも可能性があるならば動くべきだ。
「その人物の面会、私も同行させていただいてもいいだろうか」
「……もちろん、問題ありません」
赤坂さんの言葉にうなずいてから、詩音は俺たちを見回した。
「全員で、行きましょう」
ストックが切れたので、少し時間が空いてしまいます!よろしくお願い致します!