幸せカナコの殺し屋生活と西尾維新の人間シリーズとのクロスオーバー短編です。
Twitterで見た零崎カナコ概念がおもろかったのですが書いてる人を見つけれなかったので自給自足をしています。

西尾維新作品は追えてる作品少ないのでニワカですが許して欲しい

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誰も書いてねぇの!?こんな面白そうな設定を!?俺がこれ以上駄文を生成する前に書いてくれ!そして教えてくれ!


零崎叶織の人間生活

西野カナコ

 

元OL

 

現殺し屋

 

現在は待遇面は非常にホワイトな殺し専門小企業にて社長、および先輩社員の桜井と共に日夜依頼相手を秘密裏に抹殺しているが、稀にニュースとなり世間を騒がせる爆殺などもしてしまうようだ。

殺し屋としては3流だが、殺しの才能だけは一流。

自在に気配を消し、どんな場所でもどんな相手でも殺す。その比類なき殺人の才能をもって、裏の世界でどんな相手でも殺す『K』として活動するプレイヤーである。

 

最も、彼女は裏の世界では浅瀬も浅瀬。新人も新人のヒヨッコである。それ故に、真の深層、裏の裏、奇天烈で強烈で強力で凶悪な、そんな殺し名や呪い名が跋扈する世界では、彼女程度の異常さは日常的なものだ。

 

これは、そんな彼女が自身の異常を自覚させられ、血のつながりではなく『流血』によるつながりを持つ。そんな日の話である。

 

 

 

 

『本日未明、□△県○×市を騒がせる暴走族、その一団が○×橋下で殺害されているのが発見されました。

目撃者はおらず、近隣住民の話では真夜中にけたたましいエンジン音と怒号は聞こえていたが、突如止んだ。という情報が上がっています。

また、殺害の凶器は鋭利な刃物とされており、被害者は全員頸から切り落とされていることから、地元警察は犯人は現在捜索中とのことですが、この犯人は全国を渡り歩いている連続殺人犯と同一人物の可能性が高く、犯人捜査は難航する見通しです。近隣住民の皆さんは不要不急の外出は避け、自身の安全を守る行動をとってください。』

 

「ゲロこわ」

 

カナコは朝のニュースを見ながら肩にカエルの幻覚を乗せて呟いた。

 

──私なんかが言えることじゃないけどこんな目立つ殺し方するなんて殺し屋失格でしょ!私がこんな殺し方しちゃったら桜井さんに「殺すぞ」ってまた怒られちゃう!しかもよりにもよって現場が職場と家の近くなんだよなぁ──

 

「はぁ……会社行こ。この怖い人殺す依頼来てないかなぁ」

 

西野カナコ、元OL、現殺し屋。

卑屈で根暗な彼女だが、相手を殺せる立場になることで、あらゆる相手と対等なコミュニケーションが取れるようになるというイカレた女である。

 

そんなイカレた女が自宅を出て、会社に向かう。

その途中、ソレは居た。

 

長身痩躯を背広で着飾ったその男は手足が異様に長く一瞬針金細工の様な印象を抱かせる。

眼鏡にオールバックで纏めた長髪は見るものに清潔感と同時にファッション的不信感を匂わせた。

 

「西野カナコちゃんだね」

 

上から覗き込み、ニコリと笑いかけるその男の顔を、カナコは恐る恐る見返した。

先ほどまで道の先に立っていた筈なのに、ほんの一瞬、瞬きをした隙に彼はカナコの目の前まで来ていたのだ。

 

「ど、どどどどちら様でしょうか?」

 

動揺したカナコがカバンの中の銃に手を伸ばしながら訪ねた。そして、その男はその手を掴み、騎士が女王の手に口づけるのと同じような気品ある動作で片膝をつき、カナコを見上げた。

 

「はじめまして、私は零崎双識というものだ。家族からはレンやお兄ちゃんと呼ばれている。キミも私のことはお兄ちゃんと呼んでくれたまえ」

 

──イヤイヤイヤイヤロップイヤー!変態だ!この人絶対変態だ!それかヤクザの皆さんが嫌いって言ってる薬物中毒の人だ!こんな人の多い場所で殺したら桜井さんに殺される。一旦、逃げよう──

 

「わぁ!そうなんですね!じゃぁ私会社があるので!」

 

手を振り払い、走って逃げて、角を曲がれば気配を消す。いや、カナコが世界から消えた。

双識と名乗った男は、それを見て追うのを諦めたようだ。

 

「……ふむ、困った妹だね。彼女は私たちと同じ零﨑だと思うのだけれど、彼女に自覚は無いようだ。となると、私が仲間で家族で血賊だと示す方がいいかもしれないね」

 

零崎双識、殺人鬼。

血ではなく流血によってつながる一賊、零崎一賊が長兄。他者に試験を課し、勝手に合格不合格を割り振り、不合格者を殺し、合格者も稀に殺す。そんな歩く災害である男が、西野カナコの為に試験を実施しようとした。

 

 

 

 

 

「零崎だと……⁉おい、その変態は本当にそう名乗ったのか!」

 

ところ変わって、殺し専門の小企業スマイルエージェンシーにてカナコは社長に朝イチで異常者の報告をしたが、社長が珍しく大きい声を出して慌てていた。

 

「え、あの人有名人なんですか!?変態なのに!?」

 

「変態性が有名なわけじゃねぇがな。

ふむ、桜井、コイツに殺し名の話はしたのか?」

 

「流石に知ってるだろうと思って話してねえっす。」

 

社長と桜井の視線がカナコに集まる。

ブンブンと首を横に振るカナコに二人はため息をついた。

まあ確かに考えてみれば元広告代理店のOLであるカナコが、裏の世界の殺し名のことを知るタイミングなんて存在しないというのはわかるのだが、この会社に応募できた時点で裏の人間に違いないという先入観がこの状況を作り出していた。

 

「殺し名っつうのは全部で7名いる。7名と言っても1名が組織の時もあるから何とも言えんがな。

 

強さや勢力数によって序列が決められててな。

1位頼まれたら殺す匂宮

2位主君の為に殺す闇口

3位理由なく殺す零崎

4位正義のために殺す薄野

5位みんなの為にころす墓森

6位綺麗にするために殺す天吹

7位運命に背くものを殺す石凪

西野が声かけてきた零﨑っつうのは数は全部で20人前後しかいないと言われているが、ぶっちゃけこいつらが一番やばい」

 

「ど、どうやばいんですか」

 

「こいつらは血のつながりのない殺人鬼連中が最後に笑って死ぬために組んだ徒党だ。

血ではなく流血で繋がる一賊っていう触れ込みらしくてな、一人に手を出すと、残り全員で相手の一族郎党皆殺しにして禍根を絶つっていうイカレた思想持ちだ。」

 

「ゲロこわ」

 

カナコは社長の説明を聞いて再び肩にカエルの幻覚を乗せた。

なんでそんな異常者が自分の手を取って、あまつさえお兄ちゃんなどと呼ばせようとしてくるのかが本当にわからなかった。

 

「お前は本当に変な奴に好かれるな……

にしても零崎がいるっつうなら今ある依頼を片付けたらしばらく大人しくするぞ。アイツら最近は掃除屋に頼むようになってきたみたいだが、まだまだ甘い処理のことが多くて今朝のニュースみたいなことも起こりかねん。

 

桜井、また暫く西野とツーマンセルで行動しろ。なんかあったらおまえの判断で動いていいが、出来るだけ穏便に済ませろ」

 

「分かりました」

 

「……桜井さん穏便にできます?」

 

「殺すぞ」

 

──ムリムリムリカタツムリ!桜井さんが穏便なんて出来るわけないじゃん!私がしっかりしなきゃ……──

 

肩に今度はカタツムリの幻覚を出現させたがそれどころではない。

桜井の口癖が「殺すぞ」だと思っているカナコにとって、よく分からないがやばい人と桜井が穏便に済ませれるとは思えなかった。

だからこそ、自分がしっかりしないとまた自分のせいで会社に迷惑がかかってしまう。それは今のカナコにとって最も避けたいものだった。

 

「幸いにも今日の依頼が済めば警察が落ち着くまでは大人しくできる筈だ。さっさと潜る為にも景気よく目立たずに殺してこい」

 

「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、社長からの激励を元に桜井と共に殺しの準備をしたのが数時間前だ。

時刻は昼過ぎ、今回の依頼対象はとある専業主婦だった。

依頼対象は坂下 真由 27歳の女性。

依頼人はその旦那坂下 努 29歳の男性。

依頼理由は妻、坂下 真由の日常的なモラハラと不倫。

依頼人が営業先に向かう車内にて、不倫相手と共にラブホテルに入る対象を目撃した。ということらしい。

 

酷い話かもしれないが、ありふれた話だ。何故やったのか、どういう気持ちなのか、そういった事を勘案するのは桜井やカナコといった殺し屋の仕事ではない。

故に、そういった事情をよく深堀りするのはカナコの趣味、あるいは好奇心みたいなものなのだが、今回はそれをカナコの望む形で満たすことが出来なさそうだった。

 

なぜなら、対象の家に潜入した際に家の中にはもうひとり誰かが居たようだったから。

イレギュラー、異常事態。だがないこともないことだ。

桜井へとチャットで報告を入れて中にいる人物を探る。

話し声的に聞こえるのは対象の坂下 真由の声と、今朝聞いた男の、零崎双識の声だった。

 

「真由さん、普通である。それはただ普通であるというだけで、とても幸せなことなのですよ。

普通というのは他者に迷惑をかけないということで、他者に愛されるということなのです。私のような初対面の男に言われたくないかもしれませんがね、私のようなモノに言わせてもらえれば、普通に生きようと思えば生きれる人が、自ら普通をかなぐり捨てて悪の道に走るというのは、少々ばかり気がたってしょうがないワケですよ。

一体全体なんで不倫なんてしてしまったんですか?」

 

「アンタに関係ないでしょ!大体一体全体悪いのは旦那なのよ!口を開けば仕事仕事で仕事に仕事!帰ってくるのは数日に一度で、私が話し合おうと言ってもごめん以外言わないのよ!?これで何を分かり合えるわけ!?」

 

「ふむ、なるほど。つまり真由さん、ご主人が全て悪く、貴女には一切非がないという考えなんですね」

 

「当たり前でしょ!私のどこが悪いって言うわけ!?」

 

「どこが悪い。ですか、色々ありますよ」

 

ひとしきり、坂下 真由のヒステリックを受け止めた双識は揚々と頷き、立ち上がるのがわかった。

潜入し、息を潜め、気配を殺し、存在感を消しているカナコはリビングのドア越しに聞き耳を立て桜井に報告していれば、その隠れているドアが前触れなく双識によって開け放たれた。

 

「え?」

 

唖然とするカナコを上から見下ろし、ニコリと笑みを向けた双識はそのまま見せつけるようにカナコに背中を晒し、坂下 真由に向き直り言葉を続ける。

 

その背広から特徴的な巨大な鋏を出しながら。

 

「貴方の悪い所は先ず持って頭が悪い。結婚式をあげた時に如何なる時もご主人を愛すると誓ったはずです。なのにそもそも離縁前に不貞行為をする判断の悪さがある。

つけ加えるなら性格が悪い。ご主人に貴女を理解してもらおうとするくせに、貴方はご主人を理解しようという努力はする気がない。

後は間が悪い。何かをやらかすなら私のようなモノがこの街に居ない時にやるべきだったし、解決しておくべきだった。

さらに言えば運が悪い。

私という殺人鬼が新たな妹に見せる、魅せる手本として、都合がいい所にいる悪だった。

 

つまるところ、何が言いたいかと言うとですね。

坂下 真由さん、貴女は試験に不合格だったという事です」

 

そう言って零崎 双識は、その特徴的な鋏──ハンドル部分を手ごろな大きさの半月輪の形にした、鋼と鉄を鍛接させた両刃式の和式ナイフを二振り、螺子で可動式に固定した合わせ刃物──その名も自殺志願(マインドレンデル)を持って、朝のニュースにて報道されていた被害者たち同様に、素っ首を斬り落とす。いや、切り落としせしめたのだった。

 

「さて、カナコちゃん。職場の先輩にも挨拶は必要かい?見て、看て、観てくれたと思うけれど、私は君の同族で、君は私達の一賊だ。自覚は芽生えてきた頃かな?」

 

たった今人を殺したのに、それがまるで当たり前の日常な様な振る舞いをみせる双識は、その鮮やかな殺人の手際に見惚れたカナコに目を合わせてそう呟いた。




(坂下真由──不合格)

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