前方メインヒロイン面ボクっ娘ニーカ姐さん 作:比較的質量が軽いタイプの蟹
話の展開の関係で、アニメ版のネタも入れていきます…
ハロー=ワールド。ドーモお元気ですか? ボクは今日も基本的に
てなわけで、ボク、ニーカ・コヴァレンコフ。
身長148センチメートルの、まあ、小さいお姉さんなのである。……お姉さんったらお姉さんなのである。大人の。
基本的に、
休んでるわけじゃなくって、土日のぞいた残り2日は副業の方に手を出してるってだけなんだケド……。
「ま、どーでもいいけど広報、どする?」
「とりあえず初稿通りでいいんじゃない? サーバーもうちで持ってるから、差し替えしてもまあいいでしょ」
「かねぇ~~~~」
かねぇ~、とか友人にならってうねりながら、ボクはカタカタとタイピング。
旧グランド・セントラル駅近くの某所の某高層ビル、なんだかオシャレーな感じの外観の一室に、小さくボクたちは事務所を構えていたのだ。
友人のオリヴィア(なんかめっちゃすらっとしてて黒服大好きな子、苗字はプライバシーなのでひとまず割愛)とやってる3Dプリンターの小物製造請負会社のお仕事で、ボクはとりあえずちゃちゃっと出力された生成物のエッジを調整中。
今とりあえず作ってるのはいわゆるマニア向けのロボット玩具に取りつける、ファンメイドなアイテムっぽい何か。個人用で使うらしく、3Dモデル自体はお客さん側で作ってあるんだけど、いざ出力するときに設計通りにうまくいかないので、それに合わせて大本のモデルを調整中だ。
たんにプリンターの種類が(異界由来のも含めて)安物で、積層した時に想定よりも太ったり垂れたりして上手く整形できないってことなんだケド、ま、お金取ってる以上はそれなりに真面目にやるのである。
まあそれは、おいて、おいて。
「ちょっときゅーけー。おー肩凝るわー、ボクも年かー?」
「若いって若いって」
「かねーん。
……って、ピザまだこないねぇ、オリヴィ」
「道混んでるのかしら? んー、わからん」
「お腹空いたぜぃ」
ぶぅ、と唇を尖らせるボク。
かれこれ一時間くらい前に出前を頼んで、いつもならニ十分しないで飛んでくるんだけど、今日に限ってはえらく遅い。
まあピザ自体は異界技術あるからすぐ出来上がるので、問題は運搬の方だったりはするんだけど。いくら距離がそこまで遠くないとはいっても、ここは地獄の窯の底に沈みしニューヨーク=ヘルサレムズ・ロット。
道が普通に運航できるとは思わない方が良いのはわかる。
わかるケド、お腹はすくのだ。
とかわいのわいの色々考えてると「ポー、ポー、ポー」みたいなあからさまな電子音というかブザー音というかが響き渡る。入口のインターコムが押されたらしいってことで、はいはーいとちょうど席を立ったボクが向かった。
「はいはい出ますよーぅ、と?」
「はい、こんちわ────す?」
あらま。
レオナルド。レオナルド・ウォッチ。
最近ボクの所属する|秘密結社<ほんしょく>の方に入ってきた新人クンの、もじゃもじゃ糸目クンだ。
手元には《ドニノ》ピザのケース。両手で出来る限り地面と平行になるように持ち運んできててて、そういうところ几帳面さあってポイントちょっとあげちゃうゾ?
とりあえずいつも通り「やほー」とニヤリと笑って手を挙げると、レオナルドは「あ、お、おはようございます!」と元気に返事した。小さい子かな? 何緊張してんだか。
本日のお召し物は上たんなる白シャツの肩までそでまくりしたのと、下はいつもの作業着を雑にまとめて縛ってる。若干おへそが見え隠れするようなチラリな感じだケド。
まあ、私の体型が体型なのでお色気はお察しだネ。
しかし、地上五十階、エレベーターと階段で登ってきたろうレオナルドはヘトヘトな感じのレオナルド。
息整えるくらいの休憩がてら、ということで、雑談してあげようじゃないかナ。お姉さん的には。
「バイト?」
「あ、はい……! 流石に
「あー、まあそりゃあね~。……どうせ勝手に使われてるんでしょうと邪推しておく。ザップにタカられて、女遊びとかギャンブルとか」
「あ、アハハ……」
「クズは平常運転として、給料の半分くらいは妹さんに仕送りしてるんだっけ。家賃とかも考えると、やっぱ大変だネ。……今度おごる? バーガー」
「だ、大丈夫っス!」
だから何故そうリアクションが元気なんだか。
別に大人のお姉さん相手に緊張してる訳でもないだろキミ。
ボク、身体は女性的には貧相だし身長も君より小さいわけだしサ。
「いや、なんか、そーゆー特別扱いみたいなのはちょっと……」
「フーン。……ま、気にしなくてもいいんだケド。後輩なんだし」
「後輩って、正式にはニーカさん所属じゃないって言ってましたよね?」
「とはいえあのビルの地下にボクのラボあるし。細けぇことは気にしなーい、気にしなーい」
軽いっスね……と、レオナルドは苦笑い。あんまり色々気にしすぎると、この街ってハゲるの確定だと思うから、これくらいは処世術、処世術。
仕事は仕事、苦役から開放されたら楽しいことやって……、ザップみたいな
「はい、じゃあサインと料金……」
というわけで受け取り手続きしながら、雑談を続けるボクとレオナルド。基本的にはカード支払いだからまあそれは良いとして、こういうサインはちょっと苦手だ。図面書いてる時もあんまり字は上手じゃないというか、アルファベットは慣れないのだ。
「そういえばニーカさん、今日は休みなんです? ここって────」
「会社ー。今、トラ〇スフォ〇マーのタ〇タンな基地モードの原作再現着脱可能パーツみたいなの作ってる」
「えっ? えっ、な、何?」
「おー、もー、ちゃー、作ってる。……3Dプリンターの代行というか、請負というか、そんな感じの小規模事務所みたいな?」
「へぇ……」
「ちなみに一緒にやってる友達の本業はモデルだから、こっちはあんまり稼げてない」
「駄目じゃないですか!?」
はっはっはー、とニヤリと特に理由もなくドヤ顔とポーズを披露して、バイトがんばってね~と軽くエールを送っておいた。
ドクペどコーラの缶を冷蔵庫から出して、右手でジャグリングしながら左手でピザを運搬するボク。
オリヴィアはそんなボクを見て……、何? そのにやけ顔。
「なんか男の声聞こえたけど、何何? ニーカ、
「違う違ーう。別な会社の後輩。新人クンだから、ま、ゆるーく面倒見てるって感じカナ?」
「なーんだつまんない。エロい話とかニーカ割と食いつくし、親しそうだったからてっきり……って炭酸飲料をジャグリングするのは止めなさいよ、すぐ飲めないじゃない爆発するから!」
「ほれほれ、天罰のコーラ缶じゃー」
ぽいっと投げた私の缶を、オリヴィアは嫌そうに受け取った。
ちなみにピザは当然のように冷めてたけど、まあ、こういうもんだよネって感じでまあまあ美味しかった。
†††††††††††††
────今回の顛末。
うん、いきなり今回の顛末なんだよネ。
なんでかって言うと、あの直後にレオナルドが色々巻き込まれてなんやかんやあったというくらいしか、翌々日のボクに情報が回ってきていないから。
まあ、蚊帳の外なのは仕方ないケド。人間じゃない相手にはちょっと改造スタンガンだけじゃ対処難しいし。……ボクも育った環境が環境だから多少は荒事慣れしてるけど、
で、あれやこれやとしてる間に
『入院? いや、そんなにレオナルドも身体が強そうってわけじゃないケド……』
『そこはほら、かくかくしかじかで』
そんな感じで、これこれうまうまと直近の事件についてうっすら教えてくれたのが番頭のスティーブンさん。男前だけどリアクションが大きくて、ちょっと三枚目感じのところもある人。
ついでにチェインちゃんが惚れちゃってるヒトだったりする。……マー本人的には妹分みたいな扱いをされてる気がするケド、藪をつついて蛇を出す必要もないカナ。かく、乙女心は複雑なのだ。
……それ言いだすと初恋の養父替わりの
いやさ、原作のボクというかニーカちゃんってば、そういう意味ではすごい肝が太いというか、覚悟決まってるというか。パトリックの相棒はボクだけだし、これからもずっと一緒にいるしって言うのに、恋愛感情を混ぜた腹のくくり方を出来なかったんだ。
ボク、そこまでメンタル超人じゃないからサ。貧弱ってわけでもないケド。
事件的にはレオナルドが持つ「神々の義眼」のパワーで、なんかすごい今まで見破られてなかった人体
その副産物というか巻き込まれというかで、身体ボロッボロ。
なんだかんだ面倒見が良いっていうか、仲良くなったザップの奴が色々文句垂れながら病院で警戒したりしてるーってことで、今はいなかったり。
『……で、女のハシゴのヒモ・デリバリーを強要されてパシられた時に密売人とか発見したと。原因、ザップか。
うーん絶対ブチギレたでしょレオナルド。流石に可愛そうだし、もうちょっと治ってから見舞ってくるかナ…………、今いっても反応できないから辛いだろうし』
『あっ優しい…………』
『別に~? ん、こう、色々こっちに来たての頃にお世話してたし、多少はね。チェインちゃんも来る~?』
『さっき行ってきたので』
ぶーぶー、と軽く両手で指さしてブーイングするも、なんで? と苦笑いのチェインちゃん。
まあ本当ボク別に優しいてわけでもないケド。レオナルド、そもそも弟分というほど親しい訳じゃない。身長ボクより20センチは大きいし。並んだらなかこう、妹みたいに見られそうで腹立つし。
でもボク、そこまで薄情な気質ってわけでもないのだ。
伊達に友達いっぱいこっちで作っていない。
『それはそうとチェインちゃんはレオナルドと仲良くしといた方が良いって思うケド。オトモダチ~、オトモダチ~』
『いや、どうして……?』
『あれ? リーダーとか番頭とか言ってない? ボクすぐ気づいたケド』
話を振ってみるけど、クラウスさんもスティーブンさんもよくわかってなさそうな表情。
『チェインちゃんの能力特性というか、
多少関係深かったら、名前とか忘れられても違和感と言うか存在の跡とか残ってるの見つけられるんじゃない? と。
その言葉には納得を示す二人と、だからどうして仲良くした方がって話に? と不思議そうなチェインちゃん。お口を「
『痕跡が残ったって、その相手について何も知らなかったら、結局「誰か居た!」以上の情報はないわけじゃん』
『……?』
『例えば酒癖が悪いーとか、ちょっと小賢しいーとか。そういうエピソードみたいな記憶が残ってた方が、違和感の痕跡とかひっかかりが大量でしょ?』
「いや、別に酒癖悪くもないですけど……」
『というわけで、レオナルドの印象に残るくらいに仲良くした方が良いと、ボク思うわけです』
『仲良くか……。まあ、とりあえず
『いやそれいつも通りィ』
指さしてブーブーと言うと、けらけらと悪い笑みを浮かべるチェインちゃん。つられてボクも悪い笑みを浮かべて笑ってるのを、リーダーは冷や汗、番頭は「ほどほどにな」と苦笑いしてた。
ザップの扱いに関しては、K・Kさん含めて大体女子メンツとしてボクらの見解は一致してるのだ。
……マー、ボクがザップを雑に扱うのは初対面の時にパトリックから年齢聞いてたはずなのにガキンチョ扱いしてきたからなので。
以降、色々あって姐さんとか呼ばれてるケド、それもあんまり好きじゃないって言ってるのに止めないし。最近は諦め気味だった。
────という回想を挟んで、一週間たたず数日後。
「幽霊と、友達ってなれるんですかねニーカさん」
「………………」
「いやそこちょっと引かないで!? 別に頭ぶつけて脳がアレして精神がアレしてアレなことになったりとかしてる訳じゃないですから!!? いや本当! 見舞いに初日以外誰もこなくて寂しいとかないですから!!」
ほらこの通りあと2、3日で退院ですし! と。大慌てなレオから、ボクは半眼で微笑みながら距離を取った。
病院にお見舞いと言うことでせっかくだから王道を征くシチュエーションな感じで、林檎の皮でも剥いてあげようかとその辺で美味しそうなのを見つくろって1つ買って。件の病院の中、ベッドの上で写真を見返してるレオに「やほ~」と声をかけて。
少し挨拶なり、災難だったね~、とか、ザップずっとあんな感じだから強くなれよ~、とか色々話した後の第一声がそれだった。
ユーレイと友達ねぇ……。
りんごショリショリ皮剥きながら、レオの発言の真意を探ってみる。
「ま、別に疑ったりはしてないケド」
「だったらその笑顔何なんですか」
「なんだ~? 人のチャームポイントに文句付けるか~?
ま、でもアレだよね。現代医療というか、異界医療ってスゲーっていうか。全身包帯まみれで骨折も相当アレだったって聞くけど、4日でほぼ回復してるとか。1週間も入院してないじゃん」
「普通なら全治一か月以上どころか、再起不能だって言われましたよホント……」
そりゃ災難、と苦笑いしつつも、ちょっと色々と過去の、ライブラの事件簿でボクが聞けている範囲の話から思い浮かべる。
「幽霊、幽霊ねぇ……。今のところそういうのとは遭遇したことはないんじゃないかナ? リーダーとか番頭とかからも聞かないし」
「やっぱそうなんですかね」
「意外とこのヘルサレムズ・ロット、オカルト案件とはいえオカルトなりに物理というか。味付けはSF風味だから、ご都合主義みたいなテキトーな奇跡とかってそう起こらないしね。宇宙人はいるんだけど」
「いるんだ、宇宙人……!?」
驚くレオナルドにとりあえずニヤニヤとダブルピースかましとく。深い意味はない。
それはそうとして幽霊か。……本当にいるのなら、もっともっと賑やかというか、救いのある世界なのかもしれないケド。
まあ……、人事を尽くした先にこそ奇跡はある、がこの街で一番大事なこと。
やれるだけのことをやっても助からないし、天に祈るくらいしか希望がない、という絶望的な話かもしれない。
「写真には写るんですよね。だから、やっぱ自称なのかなあ……」
「心霊写真とかはよくわからないけど、映る以上は物体か何かであるって思いたいところだ。……あっできた。はいっ」
「あっ、ありがとうございます…………! いや本当!」
「なんで泣くんだ~、っていうか泣き方汚いなレオナルド……」
鼻ずっびずびで目くしゃって閉じて、なんかリアクションめちゃくちゃ大きいのは相変わらず。可愛いっていう感じじゃなくって、大型犬みたいな? あんまりぱっとしない感じの。
でもこれはこれで庶民派みたいな感じで、レオナルドらしいと言えばレオナルドらしい表情だ。
さて。ただ剥くだけだと面白くないし、せっかくだから色々飾りつけたりする。ウサギとか前にチェインちゃんに教わったのもやってみたり。
「いやでも何か本当、みなさん忙しいのは分かるんですけど、まともにお見舞いされたって感じですごい有難いっす……!」
「まともってナンダって感じだケド、ねぇ?」
「ザップさんは一回も見舞いに来ないし。いえ、ザップさんが助けてくれなかったらそもそも僕も誘拐されてたってのは理解してますし、感謝もしてますけど……!」
「巻き込まれた原因がザップだから素直に感謝できないのはわかる」
「そうそう!!」
やっぱりリアクションと声が大きい。
声質の感じがちょうどアニメ銀〇のメガネのそれなので、聞いてて飽きないというか、条件反射で笑ってしまう
ただまあ、ほんの少しだけ名誉回復はしても良いだろう。感謝ポイントが増えたところで人間の屑が屑なのはかわりないから大差ないとは思うケド。
「でもそうは言いつつ、ザップもレオナルドのことは気に入ってるとは思うケド? 毎日、
「…………そりゃ、まあ、感謝はしますけど」
「屋上でタバコ吸ってたら注意してくる看護婦一人この間誑し込んだって酔っぱらって自慢してて、チェインちゃんに頭スコーン! って蹴っ飛ばされてたケド」
「どうして素直にありがとうございますとか言わせてくれないんでしょうかねぇ!!? ホントあの人!」
予想はしてましたけど! と絶叫気味に立ち上がるレオに、やっぱりボクは笑わざるを得なかった。
素直に誉めたりできないところも、まあ、あのクズのある意味で良いところということで。あんまり思いつめたりせず、気安く接することが出来るだろうし。レオナルドにとっても良い兄貴分なんだろうから、そこはトントンってところカナ。
あーん。
「って、りんご、自分で食べるんですね……」
「んー? 看病っぽいことして欲しかった? ほれ、あーん」
「だ、だ、だから、そういうの良いです!」
しゃきん! みたいな擬音が聞こえてきそうな感じで背筋伸ばして両手を腰にそろえて座ったまま起立するみたいに、レオは何故か