吸血鬼の旅路   作:Ama-11

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処女作です。
完全に思いつきで始まってるので、プロットも何もありません。助けて下さい。


俺の記憶力がおかしいって……弱すぎるって意味だよな?(そうです)

___悪くない人生だった。

 

 いや、恵まれた人生だったろう。一生を捧げたい人に出逢えた。目に入れても痛くない娘と自慢の息子を育て上げた。つい先日、孫が産まれた。惜しむらくは彼女らを置いていくことくらいだろうか。

 

 こうして皆に囲まれて死ねるなど、現代ではそうそうない。最期が孤独というのは、なんとも悲しいことだろう。その点を鑑みれば、やはり私の人生は恵まれていた。

 

 もう既に声は聞こえないが、泣いていることくらいは分かる。息子よ、お前の泣いた顔など、孫の出産のとき以来じゃないか?そこと同列なのは素直に嬉しいな。

 

 あぁ、とうとう私の顔まで見れてしまった。天に昇る、とはよく言ったものだ。このまま召されて、輪廻転生するのだろうか。それとも完全な終わりが訪れるのだろうか。はたまた、娘がハマってたアニメみたいに異世界転生とやらをするのだろうか。

 

 なんでもいいが、非常に満足のいく人生だった。間違いないだろう。品行方正とは私のことだった。歴史に名を残すことも出来た。

 だからこそ、私は思うのだ。

 

 "1回くらい、悪いことしてみたかったな。恐れを振り撒き、畏れられるような、そんな帝王みたいなことしてみたかったな"

 

 昔見たアニメではどこか悪の親玉がかっこよく見えていたのだ。悪い奴なのに、一貫した信念を持っていて、主人公の前に立ちはだかる。あらゆる手練手管を使って主人公を追い詰める、そんな魅力溢れる敵。終ぞ、悪の親玉とは似ても似つかない人生を送ってきたが、心のどこかで常に思っていたのだ。

 恐れられてみたい、畏れられたみたい、と。

 

 さて、別れの時は近い。視界が白んできた。今こそ今生の別だ。さらばだ私。次は、多少我の強い俺に生まれ変わることを祈っておこう。

 

 

 そんなことを考えながら、光に身を委ねていると、なんかものすごい力で横に引っ張られた気がした。その手が冷たくて冷たくて。凍えるほどに恐ろしくて。そしてどこか、神聖さを感じられて。

 

 私は、やはりこれまで送ってきた人生のように、流れに身を任せてその手に引っ張られていくのだった。

 

………

……

 

「おーい!起きてー!もう朝だよー!ここに昼夜の概念なんてないけど、私が朝と言ったら朝なんだよー!だから起きなきゃ!はりーあっぷ!」

 

 なんか小うるさい声が聞こえる。なんだろう。わらかせてやりたいと強く感じるようなメスガキの声が聞こえる。

 ん?メスガキってなんだ?すっごく頭の中が掻き回されて知らん単語が次々と浮かんでくる。取り敢えず、俺の心がこのセリフを言いたがってるから言うとしよう。

 

「知らない天井だ」

「君の第一声がそれで本当にいいの?大切な産声をそれで消費していいの?」

 

 なんか冷静な口調の声色も、それはそれでイラッとくるな。

 よく分からんが、目の前には10歳くらいの女の子がふよふよ浮いていた。なんかドン引きしてる顔だ。腹立つ。

 しかし、よくみてみればその頭からは立派な角が2つ生えており、眼は真っ赤だ。鋭い爪と長い漆黒の尻尾がある。

 そう。彼女はどこからどう見ても悪魔であった。

 

「きゃー!悪魔がいるー!!犯されるー!」

「犯さないわよ!!なんで殺されるー!とかじゃなくて犯されるー!なのよ!てか君、前世からキャラ変わりすぎてない!?いくら望んでたからと言っても限度があるでしょ!」

 

 ふぅ。びっくりした。挨拶も無しに人の顔を覗き込むなど、このガキには常識がないのだろうか。てかよく見なくてもガキじゃん。なんだザコか。

 

「抑えるのよ。抑えなさい私。ここでぶっ殺したら次がいつ釣れるか分かったもんじゃないわ。私は神よ。魔族共の神であり、最強の悪魔。この程度の男に怒りを覚えるなんてナンセンスだわ。落ち着くのよ私」

「神だって。ぷくく。こんなのが神だなんて魔族とやらも浮かばれないね。さて、おままごとはまた今度付き合ってあげるから、大人の人を呼んでくれないかな、お嬢ちゃん」

「絶対に殺す」

 

……

 

「ナマ言ってマジすんませんした。あなたこそ神です」

「はぁ...はあ...分かればいいのよ。分かれば。てかこんなやつ初めてだわ。この私に真っ向から歯向かってくる命知らずなんて」

 

 このガキ...いや、この神様はいと恐ろしき方であった。なんだあの顔。夢に出るわ。死なないように殺されるのってマジで怖いんだな。戸締りしとこ。

 

「全然懲りてないじゃん!なんで私がこんなに心乱されなきゃならないの!」

「口調変わりすぎて笑える。その年で若作りは大変ですよww神様www」

「〇〇!」

 

……

 

「トラウマになる...。え?この世ってこんなに恐ろしいことあったんだ。神様、もうからかいません。だから許してください」

「………。」

 

 やばい。神様ブチ切れてる。そろそろ生産性のある話題をした方がいいかも。

 

「えぇっと…。先ほど俺のことを釣ったと仰いましたよね。何か俺に求めたいものがあるのでしょうか。」

「………。」

 

「っすー……。あー……。神様が俺に求めることをなんでもします。なんでも従います。なので許してくれませ」

「言ったわね!!言質はとったよ!!許すわ!!」

 

 やられた。こいつは見た通りに悪魔だった。なんだその顔は。腹立つ!!

 でも本当に怖かったからもう逆らえない。いちごのショートケーキを目の前でひたすら食われるとかどんな拷問?光り輝く甘味を目の前で貪られることが、こんなにもツラいことなんて知らなかった…。

 

「うぅ...。悪魔だ。悪魔がここにいる...」

「君が私を煽るからじゃない。生みの親くらいもう少し敬いなさいよ」

 

 ん?今こいつなんて言った?生みの親??

 

「うあえ?」

「ショックすぎて喋れてないんだけどwwウケるwww」

「殺す!」

「は?」

「なんでもないです。すみませんでした」

 

 くそぅ。俺の心に恐怖が刻み込まれてしまった。このメスガキに俺は一体どんな無茶をさせられるんだ。

 

「はぁ。話が進まないわね。いい?君はベッドの上で死んだ。そして召されていく途中で私に釣り上げられた。ここまでいい?」

「はい。」

 

 やはりあの冷たい手はメスガキだったのか。神様だからそりゃ神聖だわな。

 

「で。釣り上げた理由はただ一つ。私の子供達である通称:魔族がお互いにいがみ合ってるの。このままだと人族に一網打尽にされちゃうわ。だから人族に対抗できるように、魔族をまとめて欲しいのよ」

「ふむ。そんなことか。いいよ。怒らせちゃったし、協力してあげる」

「そうよね。難しいのは分かってるわ。だから私の祝福を……ん?あれ?いいの?」

「?もちろん。そもそもなくなるはずだった命だ。拾った…というよりは釣り上げた神様が使い道を決めるべきだろう。あと祝福は下さい」

 

 なんか神様が呆気にとられてる。そんなに俺変なこと言ってるか?そもそも俺は悪いことをしてみたいのだ。悪魔からのお願い事を受けるだなんて、これ以上に悪いことなんてないだろう。

 

「……。ありがとう。やっぱり君は優しいんだね。じゃあ祝福を2つ授けよう。どんなことでも叶えてあげる。どんと私に任せなさい!」

「こういうのって普通3つじゃないの?ケチじゃない?」

「感動を返して!てかその思考パターンと私の因子を嵌め込んだ体をあげたんだからそれで1つよ!悪の親玉とやらになりたいんでしょう?それを叶えるために祝福を1つ使ったと思いなさい!」

 

 あぁ。なるほど。妙に思考がはっちゃけてると思ったら神様が指向性を持たせたのか。あと今気づいたが俺身長高くなってる。180はあるぞ。尻尾の感覚もあるし、見た目は俺も悪魔になってるのか。生みの親なんて妙なこと言うから身構えたけど、この状態なら言い得て妙か。

 

「そう言われると確かに祝福ですね。じゃああと2つお願いしてもいいですか?」

「分かればいいのよ、分かれば。てか急に畏まられるとむず痒いわね。もういいわよ。敬語使わなくても。わたしも調子狂っちゃったわ」

「一瞬で化けの皮剥がれてらww年増にあの口調はキツいっすよwwwはりーあっぷwwwww」

「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇!!」

「魔族をまとめて欲しいんだよな?だったら支配するにせよ、サポートするにせよ、力が必要だ。ということで力をつけるために修行したい」

「渾身の怒りをスルーしないで!!おかしい!私が手玉にとるつもりだったのに!!悔しい!!!」

 

 なんか可愛く見えてきたな。地団駄を踏んでる。どうしよう。背伸びした娘だと思うと急に甘やかしたくなってきた。

 

「ちょっ!頭撫でないで!こんな…の…知らない…。ふわっ……。えへ…。えへへ…。んふふ…」

「かわいい好き(こういうのって基本的に時間をかければかけるほど強くなるやつだよな?ざっと500年くらい修行したいんだけどいける?)」

「逆よ。逆。いや、たしかに私はかわいいけど…。す…すきって言ってくれるのは…嬉しいけど…。って違う!こんな男にデレてない!嬉しくなんてないもん!」

「よしよし」

「っ〜〜〜!!!もう!なんなのよ!本当に!というか、修行なんてしなくても力くらいあげるわよ!そこまでケチに見える!?」

 

 思ったよりケチと言われたの気にしてんだな。かわい。

 

「いや、そこはあんまり疑ってないけど、感覚の問題だな。自分で見たもの、得たものを信用してるのさ。その力を使うのは結局のところ俺なのだから、その力と長く付き合いたいのは道理だろ?」

「まぁ。そういうことなら別にいいけど。流石に過去に君を送ることは出来ないから、空間を切り取って時間と時間の狭間に落ちる箱をあげるわ。これで500年経った時でも外界は5日も経ってないはずよ。これが1つ目の祝福ね。ところで吸血鬼の寿命って知ってる?」

「さぁ?1000年くらい?」

 

 てか俺吸血鬼だったんだ。言われてみると俺も神様も八重歯すごいわ。夜の帝王じゃん。やった!

 

「もちろん、例外はつきものだけど、一般的に魔族の中に1000年を生きるものはいないわ。吸血鬼はかなり長命なほうだけど、それでも300年程度が限度ね。だから500年も修行したら君といえど外界に出る前に死ぬわよ」

「えぇ…。じゃあ50年くらいに抑えとくか?いやでもなぁ…。他に欲しいもんないしなぁ…。……。そうだ!じゃあ2つ目の祝福で俺を不老にしてくれよ!そしたら500年でも修行できる!」

「なる…ほど…?たしかにそれなら寿命の問題はなくなるわね。……。そんなに修行したいの??」

「うん。したい」

「あ、そう。じゃあ不老が2つ目の祝福ね。これで私からの祝福は以上よ!魔族を頼んだわよ!ずっと見てるからね!!」

 

 ストーカー宣言された。まぁいいか。減るもんでもないし。

 

「じゃ、行ってきます神様。なんか良さげなところに転送よろしく」

「なんか軽いわね…。まぁ、いいわ。……。魔族をまとめて欲しい、なんて言ったけど、もう君の人生は君のものだ。向こうで君の生きる理由を見つけたのなら、それを優先していいからね?」

「急に母性を感じさせるじゃん。いいの?魔族は子供達なんでしょ?彼らが死んだら悲しいから俺を釣ったんじゃないの?」

「君も私の子供よ。そこに優劣などないわ。私はただ、君たちの元気な姿を見たいだけなのさ」

 

 最後に神様らしいことを言われてしまった。カッコつけやがって。カッコいいじゃねぇかチクショウ。

 

「……。まぁ、行けるとこまで頑張るよ。その過程で幸せになってやるさ。それじゃ、今度こそ行ってくるよ。見守ってくれよ、母さん」

「!!!うん!応援してるわ!いってらっしゃい、アマ・クーヘン!!」

 

 そうして俺は黒い光に包まれていった。必ず夜の帝王として名を馳せる。悪の親玉として悪いことをする。そして幸せになる。目の前の母さんに誓いながら、俺は徐々に意識を失っていった。

 

………

……

 

「さて、じゃあ早速箱を起動するか」

 

 特になんの感慨もなかった。空は黒く、辺りは何もない荒野が広がっている。生物の気配がしない、不毛の土地であった。

 

「ポチっとな」

 

 俺は早く修行したくて仕方がなかった。前世でもコツコツと作業をしたり自分を磨くのは好きだった。

 期待に胸を膨らませつつ、俺は箱に飲み込まれていった。

 

………

……

 

 空気が変わった。景色が変わった。それでなんとなく思い出した。

 あぁ、500年経ったのか、と。なかなか充実した500年だった。話し相手がいない中で1人で500年過ごせるの地味にすごくないか?

 

 さて、力はついたと思う。いや、この世界の住人に一度も会ってないはずだから、基準がないけども。割と全能感に溢れてる。たぶんいける。この力を使って魔族達を……魔族達を……。

 

 

 あれ?俺なんのために力つけたんだっけ??

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