救えなかった手と、それでも伸ばした手 ~元自衛官が行く、異世界戦記~   作:ホビット

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第二十八章 引き受けるもの

 夜明け前。

 王国軍の野営地には、まだ霧が残っていた。

 

 オルウェンは、天幕の外で空を仰いでいた。

 夜明け前の、灰色の空だった。

 

 昨日の作戦会議から、ずっと考えている。

 

(……あの表情は)

 

 机を叩き、会議室を出て行く時の、エリシアの顔。

 あれは、覚悟を決めた者の顔だった。

 

 世間知らずの子どもだと思っていた。

 しかしあの娘は、何かを見ている。

 

(ならば)

 

 オルウェンは、静かに息を吐く。

 

 急ぎすぎた。

 それは認めよう。

 

 柔和な笑みを、もう一度顔に乗せる。

 夜明けの空が、少しずつ白んでいた。

 

**

 

 朝。

 

 途中解散となってしまった会議について、

 続きを改めて話すため、幹部や騎士たちは、

 エリシアの天幕に集まっていた。

 

 皆、表情には、

 まだ昨日の戸惑いが残っている。

 

 エリシアは、全員が集まったことを確認する。

 小さく頷いた後、上座から声を降ろした。

 

「まず、皆さんにご報告があります」

 

 場が静まる。

 

「オルウェン司祭には、これまで、

 物資の調達から民の支援まで、

 数多くの場面でお力添えを頂いてきました」

 

 護衛騎士たちが、オルウェンへ視線を向ける。

 頷く者。微笑む者。

 

「本日より、正式に、

 陣営の一員としてお迎えしたいと思います」

 

 騎士の一人が、立ち上がり頭を下げた。

 

「司祭殿、今後ともよろしくお願いします」

 

 続いて、いくつかの祝辞が続く。

 

 オルウェンは、柔和な笑顔で一礼した。

 いつも通り、完璧な作法だった。

 

「身に余る光栄です。

 微力ながら、精一杯お支えいたします」

 

 パチパチ、と拍手があがる。

 

 ローデンは、腕を組んだまま、

 黙って前を見ていた。

 

 遼は、その横顔を一瞬だけ見た。

 複雑そうな表情だった。

 何も言わないのが、ローデンなりの答えだった。

 

「もう一つ、お話することがあります」

 

 エリシアは、続けた。

 再び、天幕が静まる。

 

「遼と、ミレイユを、

 引き続き私のそばに置きます」

 

 場の空気が、わずかに変わった。

 

「これは命令ではなく、私自身の意思です。

 ……誰の進言によっても、変えるつもりはありません」

 

 一瞬の沈黙。

 その静寂を、柔らかな声が破った。

 

「……姫殿下」

 

 オルウェンだった。

 

 声のトーンは、いつも通りだった。

 穏やかで、慎重で、心配そうだった。

 

「ひとつだけ、よろしいでしょうか」

 

 エリシアは、視線を向けた。

 

「突出した兵士たちの件について……

 皆さま、それぞれに思うところがあったかと存じます」

 

 場の空気が、また重くなった。

 

「民も、兵も、今は不安を抱えています。

 そのような時こそ、姫殿下には、

 揺るぎない象徴としての姿を、

 皆に示していただく必要があるのでは、と」

 

 言葉を切る。

 

「……リョウ殿とミレイユ様の存在を、

 否定するものでは決してありません。

 ただ、姫殿下の安定が、

 皆の安心に繋がると、私は考えています」

 

 断言はしなかった。

 提案のように、包んでいた。

 正論だった。

 善意だった。

 

 だからこそ、逃げ場がなかった。

 

 遼は、じっとエリシアの背中を見ていた。

 ミレイユも、動かなかった。

 

 場の視線が、静かにエリシアへ集まっていく。

 

 オルウェンの言葉に、

 頷きかけている者が、何人かいた。

 

 その言葉に。

 エリシアは、俯かず、顔を逸さなかった。

 

 オルウェンの言葉を、最後まで聞いた。

 エリシア自身も、正論だ、と思った。

 

 だが。

 

「……受け入れられません」

 

 静かに、言い切った。

 

 誰かの「…え?」という声とともに、

 場に、困惑の静寂が訪れる。

 

 エリシアは、続けた。

 

「司祭の仰ることも、

 皆が不安を抱えていることも、分かっています」

 

 一歩も下がらない。

 

「ですが、私は、

 誰かのために象徴であろうとするのを、

 やめることにしました」

 

 一瞬、遼とミレイユに、視線を送る。

 

 遼は、小さく、強く頷く。

 ミレイユは、ただ、

 エリシアを見守っていた。

 

「私がそばに置きたいから、置きます。

 それが、私の選択です」

 

**

 

 オルウェンは、エリシアを観察していた。

 

(……なるほど)

 

 何かが、腑に落ちた。

 

 昨日の覚悟を決めた顔。

 あの目の意味が、今、分かった。

 

 この娘は、もう動かない。

 

 象徴として消費しようとしていた。

 だがこの動き方は、その計算の外になる。

 

 ならば。

 

 オルウェンは、深々と頭を下げた。

 

「……差し出がましいことを申してしまい、

 申し訳ございませんでした」

 

「あとは、姫殿下の御心のままに」

 

 それ以上は、言わなかった。

 

**

 

 ローデンが、鼻を鳴らした。

 だが、その目は、どこか満足そうだった。

 

 遼は、小さく息を吐いた。

 

 ミレイユは、じっと見つめたまま、

 かすかに肩の力が抜けていた。

 

「それと、さらにもう一つだけ。

 この場で皆に伝えておくことがあります」

 

 エリシアは、

 すぅ、と一息を吸い、瞑目する。

 

『選びなさい』

『何を捨てるのか』

 

 あの問いに、まだ答えを伝えられていない。

 

 エリシアに問いを投げた、

 セリアの表情も、言葉も、理由は分からない。

 

 けれど。

 

 決意を、伝えねばならない。

 そう、思った。

 

 皆が注目する中。

 

 小さく息を吐き、目を開ける。

 エリシアは、決然と言い放った。

 

「セリア将軍と、一騎打ちをします」

 

 息を飲む音が、部屋中から鳴る。

 場の空気が、一瞬で変わった。

 

「……な」

「姫殿下、それは」

「お待ちください!」

 

 声が重なる。

 反対意見は、当然だった。

 

「相手は帝国随一の将です!

 正気とは思えません!」

「万一のことがあれば、

 この陣営はどうなるのですか!!」

 

 遼は、声を上げなかった。

 

 ただ、静かに、

 拳を握った。

 

 エリシアは、反対の声に、

 耳を傾けていた。

 

 遮らなかった。

 急がなかった。

 

 全て聞き終わり、声が収まる。

 重苦しい静寂の中、また、言い放った。

 

「それは、

 私の意思で、決めます」

 

 エリシアの目は静かだった。

 だが、揺れていなかった。

 

「アイゲンシルトは、正攻法で落とせない。

 ですが、このまま膠着が続けば、

 無駄な流血が増えるだけです。

 私が行くことで、止められるなら、

 私が行きます」

「ですが、危険です。

 他の方法が――」

 

「……エリシア」

 

 誰かの反論を、別の声が遮った。

 

 ミレイユだった。

 

 表情は見えない。

 顔を俯かせ、

 唇を噛んでいることだけ、分かった。

 

 いつもの彼女なら、止める。

 絶対に、止める。

 

 それでも。

 

「……あなたを、信じます」

 

 絞り出すような声だった。

 

 場が、静まった。

 

 エリシアは、何も言わず、

 ただ静かに、ミレイユへ頷いた。

 

**

 

 午後。

 アイゲンシルト城塞。

 

 セリアは、執務室の中で、

 帝都からの報告書に目を通していた。

 

『属州の一部にて反乱の兆しあり』

『アイゲンシルトへの物資輸送計画は要修正』

 

 どれも、良い報せではない。

 

(帝国の支配に、揺らぎが出ている。

 ……あの娘、か)

 

 会談で出会った時に見せた、

 怯えていたような表情。

 一方で、ここまで辿り着いた事実。

 

 セリアが物思いに耽っていると、

 不意に、背後から声をかけられた。

 

「セリア将軍」

 

 振り返ると、伝令兵だった。

 顔には、隠しきれない困惑が浮かんでいる。

 

「反乱軍の使者から、伝言がありました。

 敵将エリシアより、セリア殿下へ申し入れがあるそうです」

「内容を報告してください」

 

 淡々と、伝令に続きを促す。

 すると、何やら言いづらそうに、報告した。

 

「……それが、その……。

 敵将エリシアより、セリア殿下へ、

 ……『明日の夕方、一騎打ちを望む』と」

 

 部屋の中の空気が、変わる。

 戸惑いと緊張が、静かなざわめきになった。

 

「……将軍」

 

 古参のひとりが、慎重に口を開いた。

 

「率直に申し上げます。

 一騎打ちに応じるメリットは、ありません」

 

 真っ当な意見だった。

 

「現状、我々は城塞で守りを固めています。

 このままでも、我々に敗北は無い。

 わざわざ、将軍が出る必要は、どこにもありません」

 

 正論だ。

 何人かが、頷く。

 

「…………」

 

 セリアは、答えなかった。

 脳裏に、あの娘の顔が浮かぶ。

 

(――確かめなければならない)

 

 セリアは、静かに口を開いた。

 

「受けます」

 

 ざわめきが広がった。

 

「し、将軍!?

 先ほど申し上げたとおり、戦略的に――」

「ルヴァンを失い、帝国の生産力は減少しています。

 ……属州にも不穏な動きがあるなか、

 これ以上の流血があれば、致命傷となりかねません」

 

「私が手を下す。

 ……それが、最も早い解決方法です」

 

 淡々と、理由を告げる。

 

 続けて、わずかに目が細くなった。

 

「それと。

 ――この私が、負けるとでも?」

 

 試すような言葉。

 周囲の空気が、少しだけ強張った。

 

「……そ、それはそうですが」

「では、問題ありません」

 

 言い切ると、セリアは、

 それきり何も言わなかった。

 

 その様子に、

 副官も、周りの部下たちも、

 それ以上言えなかった。

 

(……選ばせる)

 

 セリアは、内心で静かに決めた。

 

 あの娘に、選ばせる。

 命か、理想か。

 

 それが、自分にできることだ。

 

 レオンハルトは、

 部屋の端で、黙って眺めていた。

 

(……嬢ちゃん)

 

 何も言わず。

 ただ、見ていた。

 

**

 

 翌日の夕方。

 

 前回、会談があったのと同じ場所で、

 二人の将が立っていた。

 

 白銀の将が、静かに歩み寄る。

 金髪の姫が、決然と相立つ。

 

 セリアは、エリシアを見た。

 

 前回と、目が違う。

 あの時は、縋るような目をしていた。

 

 今は、違う。

 

(……何かが変わった)

 

「……また、お会いしましたね」

 

「はい」

 

 エリシアは、下がらなかった。

 

 二人分の、剣を抜く音。

 風が、細く鳴いた。

 

**

 

 遼は、少し離れた場所から、

 二人が間合いを取るのを見ていた。

 

 セリアの構えに、無駄がない。

 感情でも憎悪でもない。

 ただ必要な力が、必要な場所に収まっていた。

 

 対して、エリシアの構えは、懸命だった。

 

(……実力差は、明らかだ)

 

 ギリ、と歯を食いしばる。

 拳にも、自然に力が入った。

 

 その隣では、

 ミレイユが祈るように手を組んでいた。

 

**

 

 最初の一撃。

 

 エリシアが、弾かれた。

 

 足が、一歩後退する。

 

 二撃目。

 また、下がる。

 

 セリアの剣は、速く、迷いがなかった。

 対するエリシアの剣は、震えていた。

 

 恐怖ではない。

 

 何かを伝えようとして、

 言葉の代わりに剣を握っている人間の、

 必死の震えだった。

 

 何合かの打ち合いを経て。

 セリアが、問いかけた。

 

「なぜ、あなたは。

 『諦めるべき』と分かっていても、

 戦えるのですか」

 

「この城塞は落とせない。

 帝国も、まだ終わっていない。

 それを知っていて、なぜ」

 

 問いと共に、セリアの剣が振られる。

 

 なんとか防いだが、

 エリシアの足が、また一歩下がった。

 

 それでも、剣を捨てない。

 

 腕は痺れている。

 足は崩れかけている。

 

 それでも。

 

「捨てたくない、から」

 

 小さな声だった。

 

「……選べなかった人を」

 

 ほんの一瞬、

 大切な二人に目を向ける。

 

 遼。ミレイユ。

 

 二人の顔を見るだけで、勇気が湧いた。

 

「私は。

 自分の選んだ結果を、捨てたくない。

 だから私は、ここに立ち続けます」

 

 その言葉に。

 ほんの一瞬、セリアの身体が硬直した。

 

 しかし、次の瞬間。

 今までよりも重い一撃が、エリシアを襲う。

 

 エリシアは表情を歪め、歯を食いしばった。

 それでも、目だけは逸らさない。

 

 一撃。

 二撃。

 

 セリアは、力のままに、剣を振った。

 

**

 

 レオンハルトは、

 セリアの剣に、変化があったことに気付いた。

 

(……嬢ちゃん)

 

 レオンハルトは、唇を噛んだ。

 

 身体は、動かなかった。

 

**

 

 エリシアは、押されていた。

 

 腕が限界に近い。

 足が、崩れかけている。

 

 これまで耐えられたこと自体、

 奇跡的と言えるだろう。

 

 このまま続ければ、

 間違いなく、死ぬ。

 

 それでも、目を逸らさなかった。

 セリアの目を、見ていた。

 

 あの目の奥に、何かがある。

 怒りではない。

 冷静でもない。

 

 何か、もっと深いところにある、

 燃えているものがある。

 

 ガキィン!!

 

 乾いた音が、平野に響いた。

 

 ついに、エリシアの手から、

 剣が弾き飛ばされていた。

 

 膝が、折れる。

 地面に手をつく。

 

 空気が、止まった。

 

**

 

 セリアは、剣を構えたまま、

 エリシアを見下ろした。

 

(……終わりです)

 

 諦念に似た、静かな決意だった。

 

 終わらせなければならない。

 

 これ以上引き延ばすことは、

 残酷なだけだ。

 

 エリシアは、顔を上げていた。

 

 倒れたまま。

 剣もないまま。

 

 それでも、目だけは、逸らさなかった。

 

(……なぜ)

 

 逸らさないのか。

 

 セリアは、剣を振り上げた。

 

**

 

 剣が振り下ろされる、その一瞬。

 

 遼は、思わず駆けだす。

 ミレイユは、祈る様にギュッと目を瞑る。

 

 エリシアの目には、

 剣を振るセリアの動きが、

 やけにゆっくり見えた。

 

 白銀の刃が煌めき、

 エリシアの表情が、一瞬、映り込む。

 

 手に、剣は、もう無い。

 それでも、決して目だけは、逸らさない。

 

 誰かが、何かを叫んだ。

 

**

 

 ガキンッ!!

 

 金属同士のぶつかり合う音が、

 静寂の戦場に、よく響いた。

 

 ――レオンハルトの槍が、

 寸でのところで止めていた。

 

「……レオンハルト。

 なぜ、止めるのですか」

 

 一段、低い声だった。

 

 レオンハルトは、セリアの、

 この声を何度も。

 ーーそう、何度も、耳にしてきた。

 

「……嬢ちゃん」

 

 かつての呼び方のまま、

 レオンハルトは、静かに言った。

 

「もう、終いにしようや」

 

 場が、シンと静まった。

 セリアの目が、わずかに揺れた。

 

「……終い、とは」

「嬢ちゃんは、十分やった」

 

 低く、だが、はっきりと。

 

「切り続けた。守り続けた。

 ずっとずっと、一人で背負い続けた」

「……余計なことを」

「余計じゃない」

 

 セリアの言葉を遮る。

 レオンハルトは、引かなかった。

 

「あんたが苦しんでいるのを、

 俺たちはずっと、見てた」

 

 レオンハルトは、ゆっくりと、

 セリアに視線で促す。

 

 その動きに促されるまま、

 セリアは、周囲を見渡した。

 

 部下たちの顔があった。

 

 長く、隣で戦ってきた顔。

 命令に従い続けてきた顔。

 

 その目が。

 レオンハルトと、同じだった。

 

 責めていない。

 憐れんでもいない。

 

 ただ。

 ―ー休んで、いい。

 

 そういう、目だった。

 

(……)

 

 セリアは、何も言えなかった。

 剣を持つ手が、わずかに止まる。

 

 ――「私が、引き受けますから」

 

 かつての自分の声。

 

 だが。

 

(……いつから、これが)

 

 地面に膝をついたまま、

 エリシアが、まだ、こちらを見上げていた。

 

 目を、逸らさないまま。

 

「……」

 

 セリアは、長い間、

 その目を見ていた。

 

 そして。

 

 ゆっくりと。

 剣を、下げた。

 

「……見極めさせてもらいます」

 

 静かに、言った。

 

「あなたが、何を背負えるか」

 

 エリシアは、頷いた。

 

「……はい」

 

 エリシアの返事に、セリアは背中を返す。

 

 場の空気が、静かに変わった。

 遠くで、誰かが息を吐く音がした。

 

 自陣に向けて、セリアは歩き出す。

 続くように、レオンハルトが隣に並んだ。

 

 二人は、何も言わなかった。

 ただ、並んで歩いた。

 

 風が、二人の間を、静かに抜けていった。

 

**

 

 一騎打ちの余韻も冷めぬまま、

 セリア軍は、整然と引き上げていた。

 

 遼は、その背を見送りながら、

 エリシアに声をかけた。

 

「……立てるか」

「……すみません。

 腰が、抜けてしまいました……。

 腕も、もう、力が入りません……」

 

 エリシアが、困ったように笑う。

 

 ミレイユが、そっと隣に寄り添い、

 一言だけ呟いた。

 

「……相変わらず、無茶しすぎです」

「全くだな。見ているこっちの身になってほしい」

 

 遼も、頭を掻きながら、

 ミレイユの言葉に同意した。

 

 どことなく、むず痒い雰囲気。

 

 エリシアは、少しだけ恥ずかしそうに、

 視線を落とした。

 

 すると。

 

「……さぁ」

 

 声とともに、落とした視線の先で、

 二人分の手が差し出されていた。

 

 顔を上げると、

 遼も、ミレイユも、何も言わず。

 ただ、静かに微笑んでいた。

 

 エリシアは、もう一度だけ俯き、

 何かを飲み込むと。

 

 二人に支えられて、立ち上がった。

 

 夕陽に染まる荒野。

 顔を上げた先に、

 赤く染まるアイゲンシルト城塞が見える。

 

 その門は、静かに。

 しかし、ゆっくりと、開いていた。

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