Re;IRISは思春期!   作:how-kyou

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このくらいのラブコメ下ネタギャグが好き。
でも…伏せ字しなきゃダメか?
いや、擬音だからセーフだろ。

なんかカラオケ番組とかでも見た気がするし。


⭐︎言葉が足りなくて、失くしてしまう物ばかりだね。Luna say maybe…

Re;IRISは思春期4

 

言葉が足りなくて、失くしてしまう物ばかりだね。Luna say maybe…

 

 ここは、放課後の廊下。

 

 月村手毬は、いつも通り無表情で歩いていた。

 足音は静かで、気配も薄い。本人曰く「普通に歩いてるだけ」らしいが、後ろから見ると、どこか眠そうな猫に近い。

 もっとも本人は、今日の晩ご飯は何だろう、と考えているだけだったのだが。

 

 手毬にとって、それはレッスン後の重要課題である。

 

 ツルッ

 

 だから、磨かれたばかりの床への警戒が少しだけ遅れた。

 

 ドシン

 

「あ痛っ!」

 

「月村さん!? 大丈夫ですかっ!?」

 

 ほぼ同時に、どこからともなくやせいのプロデューサーが現れた!

 

「……プロデューサー、どこから湧いたんですか?」

 

「湧いてません! たまたま近くにいただけです! それより怪我は!?」

 

「歩いてて滑ってちょっと転んだだけだから…ケガは無いです」

 

「ほっ……そうですか。それにしても……くっ、俺が月村さんを支えられていれば……!!」

 

「…気持ちワル。変態なんじゃないですか」

 

 手毬の発言をスルーしたまま、プロデューサーは屈み込み、彼女の手を確認した。

 

 手のひらに大きな傷はない。

 ただ、手首を少し動かした時、手毬が小さく眉を寄せた。

 

「…痛みます?大丈夫ですか?」

 

「…ゴメン、ちょっと痛い。でも平気です」

 

「本当ですか?」

 

「本当です。手首がコキってなった程度だから…」

 

「それで平気と言い切るには少し不安ですね。一応、保健室に行きましょう。湿布だけでも巻いておきます」

 

「…ん、分かりました」

 

 手毬は素直に頷いた。

 

 プロデューサーは少しだけ安心する。

 この時点では、まだ普通の怪我対応だった。

 この時点では。

 

「……プロデューサー?」

 

「はい?」

 

「また転んだら、今度はそっちのせいだから」

 

「えっ、俺のせいなんですか?」

 

「さっき近くにいたのに支えられなかったんでしょ?」

 

「さっき気持ち悪いって言われた気がするんですが?」

 

「まあ、過ぎたことはいいよ」

 

「都合がいいですね⁉︎」

 

 手毬は、湿布を巻いていない方の手を少しだけ差し出した。

 

「だから」

 

「だから?」

 

「……手。貸してもいいですよ?」

 

 プロデューサーは一瞬、言葉に詰まった。

 

「……ええと」

 

「転ばないためです。勘違いしないで」

 

「まだ何も言ってません」

 

「顔が言ってる」

 

「俺の顔、そんなに信用ないですか?」

 

「ないです」

 

「即答……」

 

 結構酷いことを言われた気がするが、

 それでも、

 プロデューサーはそっと手を取った。

 

 手毬は視線を逸らす。

 

「今回だけだから」

 

「分かりました。今回だけです」

 

「……あと、歩くの遅くして」

 

「痛むんですか?!」

 

「違います!!転んだら嫌だから…」

 

「分かりました」

 

 手毬は小さく頷いた。

 

 廊下を歩く二人の速度は、少しだけ遅くなった。

 手毬は無表情のままだったが、握った手を離そうとはしなかった。

 むしろ、遅く歩いていることに…満足気だ。

 

 そしてプロデューサーは、今の状況を誰かに見られないことだけを祈り、内心ドキドキしていた。

 

 

 

 

 手首に湿布を巻き終わり、数分後の教室。

 

「遅かったじゃーんてま……手毬、どしたん、その手」

 

 明るい顔から一転、

 秋の空を思わせるように神妙な表情に豹変したことねが、

 手毬の手首に巻かれた湿布を見て声をかけた。

 

 その言葉に反応し、咲季もすぐに顔を上げる。

 

「手毬ィィ!!? あなた怪我したのっ!?」

 

「大丈夫だから、ことねと咲季は気にしなくていいよ」

 

「いやいやいや気にするでしょ!?フツーさ!!」

 

「…本当に、大丈夫なの?」

 

「うん、激しいダンスはダメみたいだけど」

 

 手毬は巻かれた手首を、二人に見せた。

 

 激しいダンスはダメ。

 

 それを言ったのは…実はプロデューサーだった。

 

 理由は単純、

 保健室の先生は、たまたま席を外していたからだ。

 待つ間に炎症が進むかもしれない。

 だから仕方なく、プロデューサーが湿布を貼り、剥がれないように巻いてくれた。

 

 処置としては普通だった。

 ただ、手毬の手首を見るプロデューサーの目が、やけに真剣だった。

 

『…今日は激しいダンスレッスンはやめておきましょう。いいですね?月村さんのためですからね??』

 

 そう言われた。

 

 その光景を思い出す。

 

 そう…あまりに真摯な目で言われたものだから、手毬は少しだけ、巻かれた自分の手を見てしまう。

 痛いはずの手首が、なんだか大事なものみたいに見えた。

 

 だから、次の一言は。

 

 ことねや咲季ではなく、プロデューサーの方を見たまま、口から出た。

 

 出てしまった。

 

「手コキしちゃって、プロデューサーに巻いてもらった」

 

「「プロデューサー!??」」

 

「どんな略し方なんですか!?俺は無実ですって!!」

 

 プロデューサーは即座に両手を上げ、壁際まで後ずさりした。

 

 対応が早い。

 日頃の学習の成果だった。

 

「ちょっ!月村さん、原因はあなたの説明ですから!なんとかしてください!!」

 

「説明したじゃん!」

 

「出来てません!」

 

「…手コキなっちゃった?」

 

「そこを端折らないでくださいって!」

 

 プロデューサーは懇願する。

 

 まさしく阿鼻叫喚な現状に対して、咲季は叫ぶ。

 

「手首ィ!手毬がコキってなったんでしょ!?じゃあそう言って!」

 

「咲季、ソレ逆じゃね?」

 

 ことねは額を押さえた。

 

 教室に、いつもの騒がしさが戻った。

 

 やいのやいのとしたガヤを聞きながら、

 手毬は愛おしそうに、もう一度自分の手を見る。

 

 湿布は綺麗に巻かれていた。

 

 しかしプロデューサーは、話題を煙には巻けなかった。

 

 




しばらく聴いてて
開始のあのね。と終わりのあのね、
の違い初めて知りました。

感動ですね。
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