名だけの幸せは何を得るか   作:磁石とオニスズメ

18 / 18


 主人公君、急に覚悟ガンギマリ




吸血鬼は星を見る

 レミリア 「………やめ…て…フラン…。」

 

 フラン 「ナンデェ?ワタシ、オ姉様トオハナシシタイノヨ?敵トオ喋リスルニハマズ弱ラセナイト。」

 

 フランが力強くレミリアの首を掴む。

 

 宙ぶらりんのレミリアの周りにはその愉快な仲間達が力無く倒れ込んでいた。

 

 「マズ始マニ倒レタノハパチュリーダッタナァ。体力ト魔力ヲ端カラ消耗シテタカラ…勝手ニ自滅シタ。小悪魔ハ言ウマデモネェ。」

 

 「次二魔理沙、ソコソコシブトカッタデスケド…美鈴ガ崩レテ守リキレナクナッテカラハ一瞬デシタネェ。」

 

 「最後ニ美鈴、流石ニ頑丈ダッタワァ。魔理沙ガ倒レテカラモカナリ抵抗シテキタケレド…三人相手ジャ無理モナイワネ。」

 

 フラン 「……サァ、後ハオ姉様ダケヨ。モウ守ッテ、助ケテクレルノハ誰モイナイ…。オ楽シミノ時間ガヤッテキタワァ…!先ズハ………!」

 

 四人のフランが懐から銀製のナイフを取り出し、レミリアに四方から突き刺した。

 

 レミリア 「あっ………ぐ………がぁ…!」

 

 苦痛に声を漏らし、顔が大きく歪む。

 レースの服が真っ赤に染まり、地面に血溜まりが出来始めていた。

 

 フラン 「勝手ニ死ナナイデネ?オ姉様…オ楽シミハコレカラナンダカラァ…!」

 

 「次ハ身体ノ骨ヲ一本ズツ砕ク。モウ折レナイクライグチャグチャニナルマデ全部砕ク。」

 

 「ソウシタラ今度ハ動ケナクナルマデ水ヲ浴ビセマス。抵抗スル力モ無クナルマデ。」

 

 「最後ニ日光デジックリ炙ル。全身灰ニナルマデユックリネ。」

 

 四人のフランがケタケタと笑う。大袈裟にお腹を抱えて全身を揺さぶる姿は側から見ても実に楽しそうだ。

 

 レミリア 「あ………あ………!だっ、誰か……!

助けて……お父…様、お母…様……!」

 

 フラン 「ナニ?コノ期二及ンデマダソンナ事言ウノネ。………二人ガ死ンダノハオマエノセイナノニ。」

 

 「オマエガ余計ナ事言ウカラ、オ父様ハ死ンダ。」

 

 「アンタガオ母様ヲ強ク引キ留メテイレバ、オ母様モ死ナズに済ンダ。」

 

 「貴方ガ強ケレバ、弱クナケレバ………コンナ事ニハナラナカッタッ!!!」

 

 レミリア 「─────っ…!う………ひぅ…。」

 

 大きな紅色の瞳から零れた涙が血溜まりの中に数粒落ちた。

 

 フラン 「………ハァ。泣カナイデヨウザイナァ…。ウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイウザイッッ!!!」

 

 フランは苛立ちに身を任せ、レミリアを壁に投げ飛ばした。

 

 壁に衝突したレミリアはよろけながら立ち上がったものの、目は虚でもう闘う気力は残っていなかった。

 

 フラン 「気ガ変ワッタ。取リ敢エズ………モウ泣クナンテ馬鹿ナ事出来ナイ様ニィ………ソノ脳ブッ壊シテアゲルッ!!!」

 

 フランが杖を持ってレミリアに襲いかかった。

 

 フラン 「先ニ言ッテオイテアゲル!バイバイオ姉様ッッッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ、此処で頭を潰されるのね。

 

 本当、我ながら最低な姉だったわね。

 

 折角、一人で無くなったあの子をまた一人にさせてしまうなんて。

 

 多分………助けて欲しいのは…私自身じゃない。

 

 あの子を助けて欲しい。

 

 私が死ねば…あの子は本当に壊れてしまうと思う。

 

 首を吊って、自死を選んでしまうかもしれない。

 

 でも…私には何も出来ない。

 

 レミリア 「ごめんね………情け無い、不甲斐無いお姉様を許して頂戴…フラン………。」

 

 レミリアは死を悟り、ゆっくりと瞼を閉じた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリア「……………?」

 

 レミリアが次に感じ取ったのは痛みではなく…誰かに抱き抱えられた感触だった。

 

 次に聞こえたのは何かが裂けた音、真横から聞こえた轟音に恐る恐る目を開けると………。

 

 レミリア 「………え…?な、なん………で…?」

 

 虹星 「………はは、は…間に合って良かった…。」

 

 そこに居たのは…自分が散々馬鹿にした、散々傷つけた…全身傷だらけ血塗れの少年だった。

 

 フラン 「ハ?………エ、エ?」

 

 フラン等四人も虹星の突拍子もない行動に面食らい、狼狽えていた。

 

 虹星 「レミリアさん…その身体の傷は………僕のせいですね…ごめんなさい。」

 

 レミリア 「こんなの大した傷じゃない…それより貴方の顔が…!」

 

 レミリアの眼に映る虹星の顔は酷く…凄惨極まりなかった。

 

 レミリアを庇った事により…脳の損傷は避けれたものの、左顔が大きく引き裂かれ、耳は千切れており…眼も完全に潰れて、左顔全体が真っ赤に染まっていた。

 

 虹星 「こ、これくらい平気…では、無いですね…ふふ………レミリアさん……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  自分との約束………ちゃんと守って下さいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虹星 「おおおおおおおおおっっっ!!!!!」

 

 呆然とするレミリアとフランを差し置いて、虹星が雄叫びを上げながらフランに斬りかかった。

 

 その大声により、我に返ったフランの内の一人…クラブが通さんとばかりに立ち塞がった。

 

 クラブが魔法を唱えようとした時───

 

 虹星 「覚えてるかフランっ!此処でもトランプで良く遊んだよなっ!ババ抜きとかっ!」

 

 その言葉を聞いたクラブの腕が震え、動きが止まり…とうとう何もせずに虹星に横を通らせてしまった。

 

   「…ッ!何ヤッテンデスカクラブサン…!」

 

 ハートもそれを見て我に返り、虹星を迎え討とうとしたものの………。

 

 虹星 「それでさっ!全くお前に勝てなくてイカサマ疑ったんだよっ!そしたら案の定僕の後ろに使い魔なんか置きやがってさっ!!!」

 

 ハートもその言葉に激しく動揺して、地面に蹲ってしまった。

 

  「ヤメロ…ヤメロッ!!!来ルナ虹星ッ!!!」

 

 虹星 「でも!負けてもイカサマされてもっ!お前の笑顔見てたら、別に良いやって思えたんだよっ!」

 

 最後に残ったダイヤも持っていた武器を地面に落とし、そのまま立ち尽くしてしまった。

 

 虹星 「おおおっ!!!」

 

 フラン 「………ッ!」

 

 虹星は走りながらフランの持つ杖に向かって斬りかかり、フランも虹星の刀を杖で受け止めた。

 

 虹星 「なあっ…もうこんな事辞めよう、フラン?

こんな事したって僕は嬉しくないし…フラン達に傷つけあって欲しくもないんだよ…!」

 

 フラン 「………ッ!嫌ッ!!!」

 

 フランは鍔斬り合いとなっていた虹星を軽く押し飛ばし…。

 

 虹星 「分かったよ…!だったら、お前の中にある苦しみも悲しみも…全部僕にぶつけてみろっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラン 「………!私は………私はっ!」

 

 お父様とお母様が死んで悲しかった、辛かったっ!

 

 自分の力が抑えられなくて怖かったっ!!

 

 何もかも壊してしまう自分が嫌だったっ!!!

 

 だからこそ一番大好きな人に……お姉様に側に居て欲しかったっ!!!

 

 レミリア 「……………!」

 

 虹星 「フラン………。」

 

 でも………お姉様は私を恐れて逃げ出した!

 

 だから私には虹星が必要なのっ!今の私を見ても恐れない怖がらない………優しい貴方がっ!!!

 

 虹星を傷つける奴は何があっても許さないって決めたっ!!!

 

 だからだからダカラッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラン 「私ノ邪魔ヲ

     スルナァァァァァッッッ!!」

 

 レミリア 「………っ!    

      やめてっ!フランっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フランは自暴自棄になりながら虹星に急接近し………虹星の腹部を腕で貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラン 「ハハハッ!ハ………ア………!」

 

 フランが自分のしてしまった事に青ざめた瞬間…。

 

 虹星 「げほっ………ごめんな…。フラン………僕、馬鹿だからさ………こんな方法しか思いつかなかった…!」

 

 フラン 「………!?」

 

 フランが異変に気付く………何故か、虹星を貫いた腕が微塵も動かなかった。

 

 というか、可笑しいのはそれだけじゃない。

 腹を貫かれたのだ、臓器もいくつか潰れた筈。

 とても喋れるような状態では無い。

 

 フラン 「ソウカワカッタ………霊力デ臓器ヲ浮カセテ…臓器ヘノ負傷ヲ避ケタノカ…!ソシテ霊力デ私ノ腕ヲ固定サセテ…!デモ、他ハ使エルヨッ!!!」

 

 フランが杖を持った右腕を振りかぶったその時…。

 

 虹星 「…………さっさぁんっ!!!」

 

 フラン 「……………ッ!?首から下ガ動カナイ!?マサカ………!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咲夜 「………はぁ、はぁ…!

          幻象「ルナクロック」…!」

 

 壁にもたれかかるようにして何とか立っていたのは気絶させた筈の咲夜だった。

 

 フラン 「コノ声ハ咲夜…!サッキ一撃デ気絶サセタ筈ナノニ…!」

 

 虹星 「さっさんっ!!お願いしますっ!!!」

 

 咲夜 「…………っ!ええっ!分かってるわっ!!」

 

 虹星 「(此処に来る前に誓った事…決めた事!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡り………

 虹星がレミリアの部屋を出た直後───

 

 咲夜 「待っ…てくだ…さい…!」

 

 声が聞こえ振り返ってみると…壁に手を沿わせながら咲夜が此方に歩いて来ていた。

 

 虹星 「………!さ、咲夜さんっ!」

 

 咲夜 「私も連れて行って下さい、虹星様…!」

 

 虹星 「で、ですが頭から血が…!」

 

 咲夜 「……私一人だけ、寝ている訳にも行きませんわ…!それに…怪我は貴方様の方が酷い筈です。」

 

 虹星 「………分かりました。でも、くれぐれも無茶はしないで下さいね。」

 

 咲夜の肩を担ぎ、共に図書館へと向かう途中………。

 

 虹星 「咲夜さん………これは個人的な見立てなのですが…恐らく、今のフランは僕では止められません。確かに、フランは僕が受けた仕打ちに怒っています。

 けれど、フランが今暴走し出した理由はそれだけじゃないと思うんです。

 きっと………あの子はずっと寂しくて、悲しくて…誰かに近くにいて欲しかったんだと思います。

 それは姉のレミリアさんに対しての想いで…それが叶わないから代わりに僕を選んだんだとも思います。」

 

 咲夜 「ふぅ………今はもう余裕が無いから…堅苦しい喋り方は一旦無しで…。それは確かにそうね。

 お嬢様はこれまで妹様の事をずっと思いながら生きてきたわ。そしてその事は妹様も重々理解していらっしゃる筈…。」

 

 虹星 「今のフランを止められるのは…恐らくレミリアさん一人だけです。

 ………だから…咲夜さんに一つだけ頼みがあるんです。………レミリアさんとフランが話し合う機会を作るにはまず、周りにいた分身?それを対処しないとなので…自分がフランの動きをどうにか止めて見せるので、咲夜さんの力で時を止めて、フランが冷静に話ができるようになるまで、周りの分身が消えるまで…フランに弾幕を撃って欲しいんです。勿論、フランにとってちょっと痛いぐらいの弾幕で…。」

 

 咲夜 「………それは却下します、不確定な事項が多すぎるもの。まず一つ、妹様に負荷がかかったとしても、他三人の妹様が消えるとは限らないわ。」

 

 虹星 「そ、それは………分身ってほら、本体叩けば大体消えるじゃないですか………。」

 

 咲夜 「それは何処で得た知識なのよ…まぁ、それを抜きにしても二つ目、妹様の動きを止める方法も明確じゃないわ。」

 

 虹星 「それも………例えばほら、自分のお腹をわざと貫かせるとか…霊力で臓器も浮かせられるので致命傷は免られるんで……。」

 

 咲夜 「………はぁ、最後に三つ目。時を止める対象を単体に絞るとした場合、範囲はその対象の周辺二から三m程度にまで及ぶわ。それ即ち…貴方も時が止まり、私の弾幕を受ける事になるの。………妹様にとっては少しの痛みでも貴方にとっては深傷になり得るわ。

 それに、対象に負荷を与えられる不完全な時止めはいつ破られるかも分からない……。だから───」

 

 虹星 「それで大丈夫です!危険は承知の上ですから!」

 

 咲夜 「………流石に少し面食らったわ。何がそこまで貴方を惹き動かすのか…。」

 

 虹星 「約束を守りたいんです。フランとの約束もレミリアさんとの約束も。それに………自分にも目指してるものがあるので!その目標の為にも…此処で引き下がる訳にはいかないんです。」

 

 咲夜 「………まったくこの坊ちゃんは…。」

 

 

 

 

 ─────仕方ないからその策に乗るわ、虹星。

 

 

 






 何処ぞの責務全うする人みたいな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。