名だけの幸せは何を得るか   作:磁石とオニスズメ

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 凄い分かりづらいですが前話からの続きです。
 


吸血鬼は星を狩る

 

 

 咲夜 「メイド秘技「操りドール」!」

 

 咲夜が投げた赤、青、緑のナイフが二人を目掛けて飛散し…その周囲と二人に突き刺さった。

 

 虹星 「ぐぅっ…げほ…!だ、いじょうぶ…お前一人にだけ、痛い思いはさせないから…。」

 

 フラン 「ッ…!動ケオマエラッ!!!」

 

 その言葉に動きを止めていた三人のフランが動き出し硬直状態の二人に飛びかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美鈴 「………っ!させませんっ!」

 

 そこに気を失っていた美鈴が目を覚まし、三人に立ち塞がった。

 

 美鈴 「(虹星君に頼らないといけない自分の不甲斐なさに腹が立つ…けれど、今はもう頼るしかないっ…!)此処は私が時間を稼ぎますっ!虹星君は妹様をっ!」

 

 虹星 「美鈴さんっ…!今ですさっさん!もっかいお願いしますっ!」

 

 咲夜 「くっ…!まずい…間に合わない…!」

 

 咲夜は直前のスペルで虹星の頭にナイフが直撃するのを避けるべく…結果として予想以上に魔力と体力を消耗していた。

 

 虹星 「………はぁ…はぁ、さ、っさん…早く…!」

 

 フラン 「ハ、ナ…セェッッッッ!」

 

 虹星 「(フランの魔力が強まって来てる…!もう時止めが破られるのも…!?)」

 

 フラン 「グゥッ!?」

 

 不意にフランへ星形の弾幕が飛散し、直撃した。

 

 虹星 「この弾幕は…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔理沙 「虹星っっ!!! 何やってんだっ!今すぐフランから離れろっ!」

 

 パチュリー 「………あの馬鹿…!」

 

 同じく気絶していた魔理沙とパチュリーも目を覚まし、魔理沙は状況に慄き、パチュリーは虹星の意図に気づいて腕を震わせていた。

 

 虹星 「………っ…! 魔理沙っ!僕とフランに向かってスペルを放てっ!!!」

 

 魔理沙 「っ…!駄目だっ!お前にも当たるっ!」

 

 虹星 「構わないっ!打てぇっっっ!!!」

 

 魔理沙 「駄目だ…そんな身体じゃお前は今度こそ…!」

 

 魔理沙の目から映る虹星の姿は酷く痛々しいものだった。頭以外の至る所にナイフが突き刺さり、腹部はフランの手によって貫かれていた。

 

 パチュリー 「………っ!どきなさいっ!」

 

 パチュリーが魔理沙を押し退け、スペルを詠唱する。

 

 パチュリー 「月符 「サイレントセレナ」!」

 

 虹星とフランの足元に魔法陣が展開され、青い光弾が真上から降り注ぎ、二人を射抜いた。

 

 虹星 「げぼっ゛…ごぼっ゛…!あ゛ぐ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっ!!!」

 

 フラン 「グ…………!!!」

 

 フランの身体から少量の血が、虹星の身体から多量の血が零れ落ちる。

 

 魔理沙 「………あ…

       な、何やってんだお前ぇっ!」

 

 魔理沙は激昂し、パチュリーの胸ぐらを掴んだ。

 

 パチュリー 「まだ分からないのっ!?」

 

 魔理沙 「………!」

 

 パチュリー 「あの子の意図を汲めば…あの子が何を望んでいるかは実に簡単な事の筈だけれど!?あの子は…あの子は命を捧げようとしているの!つい出会ったばかりの姉妹の為なんかにねっ!あの子はとっくに覚悟決めてるのっ!アンタも…いい加減に覚悟決めなさいっ!」

 

 魔理沙 「嫌だ………嫌だそんなの…!虹星が死ぬなんて………絶対そんなの駄目だ…!」

 

 魔理沙が虹星をちらりと一眼見る…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔理沙 「………あ。」

 

 魔理沙に目線を合わせ微笑んでいた。これから起きる事に、魔理沙の行いに、恨みも後悔もしないと言うように。

 

 魔理沙 「………ああ、許してくれ…。虹星…お前に甘えてしまった弱い私達を…。」

 

 魔符「スターダストレヴァリエ」…!

 

 箒に乗り、虹星とフランのすぐ横を通り過ぎ…ばら撒かれた星形の弾幕が二人を襲った。

 

 フラン 「ウゥゥゥゥゥ!」

 

 虹星 「…………!………っ…あ…。」

 

 まだ余裕のあるフランに対し、虹星はもう限界寸前…既に意識を失いかけていた。

 

 虹星 「ま……だ……だ…!(臓器を浮かせるのを忘れるな…!此処で倒れたらもう後は無い…!最後の最後まで王の前の歩兵として…捨て駒として役割を果たせ…!)

 ま……だ…倒れ…る訳…には行かないんだぁっ!」

 

 フラン 「ギィッ…!フザケナイデ…アンタ死ヌマデソウスルツモリッ!?」

 

 虹星 「ふふ…ばーか、そんな覚悟…僕にはないよ…フラン、お前が止まるまでだ…!」

 

 パチュリー 「はぁ………!ああっ!!」

 

 日符「ロイヤルフレア」!!!

 

 巨大な火球が辺り一面を焼き尽くし…虹星とフランの周りで大爆発を引き起こした。

 

 虹星 「…………ぁ………ぅ…。」

 

 フラン 「ハァ…ハァ…!グ…ゥ…!」

 

 フランも相当応えたらしく…とうとうフォーオブアカインドは解除され、三人のフランは霧のように消えてしまった。

 

 一方、虹星はもう身体の殆どが棺桶に突っ込まれている状態だった。

 

 美鈴 「………!分身が消えた…!虹星君っ!早く妹様から距離をっ!」

 

 美鈴が虹星に呼びかけるも時すでに遅く…。

 

 フラン 「オ、マエ…!イイッ…加減ニィ……!クドイイイッッッ!!!」

 

 フランの左目がより紅く輝いたと同時に…虹星の右腕が跡形もなく消し飛んだ。

 

 虹星 「………っ!!!!!?」

 

 右腕が吹き飛んだ事による激痛に、かろうじて続けていた霊力の使用が途切れてしまった。

 

 フラン 「コンナ…コンナモノオッッ!!!」

 

 更には咲夜の不完全な時止めも解除され…。

 

 咲夜 「まず…い…!

     逃げなさいっ…虹星っ!!!」

 

 魔理沙 「フランっ…!

        やめろ…やめてくれぇっっ!!」

 

 二人の叫びも虚しく…動けるようになったフランは力任せに何度も虹星を殴りつけた。…姉と同じように。

 

 フラン 「シネェッ!!シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネェッッ!!」

 

 

 

 一発、また一発と殴られる度に虹星の身体からぐちゃぐちゃと血と肉と骨の砕ける音が入り混じった不快な音が鳴り響き…辺りに多量の血が飛び散った。

 

 それでもフランは殴るのを辞めず…再び虹星の腹部に穴を開け、今度は虹星の腸を引き摺り出してしまった。

 

 途端、虹星の口と腹部からごぽごぽと音が鳴り、両方から大きく血を吹き出して仰向けに倒れる………その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラン 「ハッ…ハハハハハッ!!!ヤッタァ…ヤット邪魔ガイナクナッタァ…!コレデ虹星ノ仇ヲトリニ……………アレ、ナンデ私…虹星の事ヲ殴ッテ…………ア、アレ、ナンデ?エ…エエエエ?………ア、アアアアアアアアアアアアッ!???」

 

 自身の真っ赤に染まった手と、虹星の腸らしき物を目に捉えたフランは発狂し…地面にへたり込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虹星 「(ああ………やっぱり僕なんかじゃ駄目かぁ…本当に…役立たずだなぁ。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………でも、時間はたっぷり稼ぎましたし、機会もちゃんと用意できましたから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後頼みましたよ……………レミリアさん…!

 

 虹星が倒れたと同時に、その背後からレミリアが飛び出した。紅槍を手に持つ彼女の瞳は…確かにフランを射抜いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虹星はずっと囮として…この体勢じゃ避けられない。

 

 でも、もういいや。

 

 お姉様にあんな事言ったのに、結局私も一緒だった。

 

 いや………それ以上に酷い事をした。

 

 私は………皆を傷つけた、虹星を………殺した。

 

 私なんか生きてたって…また誰かを傷つけるだけ。

 

 それだったら…此処でもう死んでしまおう。

 

 虹星…皆………私なんかが今まで生きてて…ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フランは抵抗するそぶりも見せずに項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラン 「………?」

 

 自分は槍に貫かれるのだろうと思った…でも違った。

 

 レミリア 「………フラン、いつの間にか貴女、こんなに大きくなっていたのね。」

 

 レミリアは槍を投げ捨て、フランを力いっぱい抱きしめていた。

 

 フラン 「………エ…?何デ…?」

 

 レミリア 「………フラン、私ね…貴女が怖かったの。お父様みたいになってしまいそうな貴女が…。

 だから貴女から遠ざかってしまったの…自分も貴女も傷つけたくなかったから。

 でも、命知らずの馬鹿な人間に言われたの。

弱くても馬鹿でも無知だとしても…それは何もしない事の言い訳にはならないって。

 ………今まで地下に閉じ込めて…ごめんねフラン。

もう、もう大丈夫よ…お姉様はもうこれからずっと貴女の側に居るって約束するわ…!」

 

 フラン 「………違ウ……違ウッッッッ!!!」

 

 レミリアの涙ながらの抱擁を…フランは押し退けてしまった。

 

 フラン 「私ハ……沢山酷イ事ヲシタ…!取リ返シノツカナイ事ヲシタッ!!!私ハ………私ハオ姉二嫌ッテ欲シカッタ…殺シテ欲シカッタノッ!!!ダカラッ…タガラダカラダカラッ!!!私ヲ殺シテお姉様ァァァァッッッ!!!」

 

 フランは杖を持ち、泣きじゃくりながらレミリアに襲いかかった。

 

 ………しかし、レミリアは避けようともせずその場に佇み続けた。

 

 レミリア 「大好きよ………フラン。」

 

 フラン 「あ…ああ……あああああああっっ!!」

 

 杖が身体を貫く音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリア 「………!」

 

 フラン 「あ…ああ…。」

 

 その間に割り込んだのは…殺したと思っていた筈の虹星だった。

 

 それを見たフランは、声に抑揚が戻り…虹星を貫いたスペードの杖が跡形もなく消えた。

 

 フラン 「ど、どうして………?なんで私を殺してくれないの…?私、またこんな風に暴れるかもしれない…皆を傷つけるかもしれないのっ!

 だから早く───」

 

 フランが言葉を言い終える前に…虹星がフランの頭をチョップするように軽く腕を置いた。

 

 虹星 「…何でなんて…友達だからに…決まってるじゃん………。それに…暴れたって…何の問題もないよ………お前が暴れる…その度に……何度だって…僕達が止めてやるから…。」

 

 フラン 「………!」

 

 虹星 「………まぁ、僕が…こんな事…言うには…ちょっと…力不足かも…知れないけどさ。」

 

 フラン 「………そうだよ…力不足だよ…!でも、ありがとう…。」

 

 虹星がにっこりと微笑みかけ、それを見てフランも笑った。

 

 虹星 「………さて…お姉様と…お話して…仲直りしてこい…。」

 

 フラン 「………うんっ!」

 

 フランはレミリアの元へと駆け寄り、面と向かって話し出した。

 

 フラン 「ごめんなさいお姉様…私………。」

 

 レミリア 「………良いの、もう良いのよフラン。私は貴女とこうやって話し合える様になれただけで…それでもう貴女にされた事なんて…もう全部忘れちゃったもの。」

 

 フラン 「………お姉様っ…!」

 

 二人は互いに涙を流しながら…強く抱きしめ合った。

 

 小悪魔 「………う〜ん…はっ!あ、あれ?確か………お嬢様と妹様は…?ま、まぁ何はともあれ一件落着って事ですよね、パチュリー様?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パチュリー 「………虹星、何処に行くつもり?」

 

 その言葉に、全員が虹星の方を向いた。

 

 虹星はよろよろと動きながら、この場を立ち去ろうとしていた。

 

 虹星 「………もう…日も暮れてしまったので…香霖堂に帰らないと………霖之助…さ…にしんぱ…かけちゃ………。それ…と………お別れの…言葉も………言わなきゃ…………………」

 

 そう言い切る前に………虹星は地面に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔理沙 「虹星っ!!!」

 

 地面に倒れた虹星の側により、抱え込んだ。

 

 虹星 「まり………さ…れい………と……り……さん………にごめ…………って……。」

 

 魔理沙 「は、はぁ!?何言ってんだ馬鹿!まるで死ぬみたいな口振りしやがって!お前は死なないって!ほら、今から傷なんて直ぐ治すからっ!」

 

 魔理沙は涙を溢れさせながら虹星の身体に治癒魔法をかける…誰から見ても、焼け石に水だった。

 

 魔理沙 「お、お前ら何やってんだよ!ぼーっと突っ立ってないで手伝えよ!美鈴、咲夜!レミリアとフランも…早くこっち来いってぇっ!!!」

 

 しかし…誰もその呼び掛けには応えなかった。

 

 美鈴は顔を手で覆い、その場から動こうとしなかった。掌から零れ落ちる水滴の音が酷く煩わしい。

 

 咲夜は顔を伏せ、何も言わなかった。

 

 レミリアとフランはそんな事信じられないと言わんばかりに…瞳孔を見開いてその光景を眺めていた。

 

 皆…とっくに分かりきっていた…少年はもう助からないと。

 

 虹星 「まり………さ……もういい……よ………」

 

 魔理沙 「ふ、巫山戯るなよ………こんな所で…私の友達辞めさせるかよ…!これからも…お前が努力するとこ…ずっと見てたいんだよ…!だから頼むよ…死なないでよ虹星っ!!!」

 

 虹星 「まり……さ……皆………ぼ、く…みん………とともだ………になれ………て……しあわ…せだった…よ………。」

 

 魔理沙 「………っ…!

        ─────!〜〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう駄目だ もう 何も聞こえないや

 

 

 

 

 

 

 あーあ 折角刀を授けてもらったのに

 

 

 

 

 

 

 折角 師匠に稽古つけてもらったのに

 

 

 

 

 

 

 

 でも 僕なんかが運命を変えられたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアさんの死ぬ運命から 僕の死ぬ運命に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕にしては 頑張った方だってきっと

 師匠も褒めてくれる筈

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ 霊夢 霖之助さん

 

 僕も少しは 二人に近づけたかなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虹星は静かに目を閉じた。沢山の友に囲まれて、幸せそうに微笑んで………。

 

 魔理沙 「虹星っ…?虹星っ、虹星っっっ!!!」

 

 魔理沙が必死に虹星を揺さぶる…反応はもうない。

 

 

 

 

 

 

 レミリア 「ねぇ………馬鹿じゃないの?

あんな………何度だって止めてやるって………言ったくせに………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   死んでんじゃ無いわよ馬鹿ぁぁぁっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアは泣きながら、虹星の身体に縋り付いた。

 

 誰も何も言わなかった…一人を除いて。

 

 パチュリー 「………どきなさいレミィ。」

 

 パチュリーが虹星の腸を持ち、虹星の側に腰を下ろした。

 

 レミリア 「パ、パチェ…?」

 

 パチュリー 「全員、私と魔理沙に魔力を!美鈴はこっち来て手伝いなさいっ!!!………この子は親友の恩人よ…そう易々と死なせてたまるもんですか…!」

 





 紅魔郷リメイク 
 霊符と恋符は難なくいけましたが夢符が難しい
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