名だけの幸せは何を得るか   作:磁石とオニスズメ

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 霖之助さんと主人公君の関係についての詳細もまた後々…。


紅い館の一日

 レミリアさんが部屋を出てから少し経ち………

 

 「こうせいくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんんん!!!!!!」

 

 誰かが部屋の扉を蹴破り、飛び掛かってきた!?

 

 虹星 「………!?あっ、り、霖之助…さん?」

 

 霖之助 「大丈夫かい!?何処か痛いところは!?苦しくない辛くない!?〜〜〜〜っ…!!!無事で良かった生きててよかった………!」

 

 虹星 「あー………い、生きてます、怪我も痛………くないです大丈夫です!」

 

 霖之助さん顔がぐちゃぐちゃになって………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虹星 「………わっ!?な、何だ何だ!?」

 

 今度は部屋の扉が爆散した。あまりの轟音に心臓がバクバクと音を鳴らした。

 

 「………おはよう?」

 

 おーまいがー………部屋に入ってきた紅白の少女、顔は笑っていたがそれ以外の全てが怒りに燃えているのが目に見えた。

 

 少女はそのまま、自分にしがみついていた涙でぺしょぺしょの男性を振り解き、ベットに佇んだ自分の横に立つ。

 

 虹星 「い、いだだだだ!!いはいほれいふ!!」

 

 少女は自身の頬をありえない強さで引っ張ってきた。

 

 霊夢 「……どうして私を呼ばなかったのっ!!」

 

 虹星 「………えっと、あの時は時間も無くってですね………。」

 

 霊夢 「そんなの理由にならないわ…あんたが闘ったって無駄死にするだけでしょう…?」

 

 虹星 「………で、でも何とかなったから…。」

 

 霊夢 「………なってないでしょう…こんな、こんなボロボロになるまで、無茶をして……。」

 

 霊夢が悲しそうな目で傷ついた顔にそっと触れてきた。

 

 虹星 「……………。」

 

  「そこまでにしてやっても良いんじゃないか?」

 

 更に白黒の少女が部屋にそそくさと入ってきた…爆散した扉には少々戸惑っていたが。

 

 魔理沙 「凄かったぜ?虹星………無茶しすぎってのは同意だけどな。」

 

 霊夢 「………あんたも霖之助さんも虹星を甘やかしすぎ。」

 

 魔理沙 「そうでもないだろ?妥当な評価だと思うぜ…なぁ虹星?お前は頑張ったよな〜!」

 

 虹星 「ちょっと、僕の頭を両手でわしゃわしゃしないで!?」

 

 魔理沙 「撫でてるんだよ!よく頑張ったぞ〜!」

 

 霖之助 「………さて、僕はやらなければならない事があるから一旦お暇するよ。」

 

 床に伏せて話を聞いていた霖之助さんが立ち上がった。

 

 虹星 「霖之助さん、体調は大丈夫なんですか?それに、やらなければならない事って…?」

 

 霖之助 「体調は問題ないよ。虹星君が目覚めたって聞いたら一瞬で回復したから………さて、取り敢えず店から丸太とにんにくと杭を持ってこなければ───」

 

 虹星 「ちょ!?ちょっと待ってください!?そんな物騒な物で、何するつもりです!?」

 

 霖之助 「何って………吸血鬼退治だよ?僕の虹星君を殺そうとしたんだ………僕から虹星君を奪うなんて事………許せる筈ない。死をもって償わせるよ。」

 

 虹星 「えぇ!?だ、駄目です!もうレミリアさんたちとは和解しましたよ!」

 

 魔理沙 「………そうだぞ、香霖…あー………気持ちはわかるけれど辞めといた方が良い。」

 

 霊夢 「………霖之助さんってこんな人だった?」

 

 霊夢は怪訝そうな顔をして、魔理沙に耳打ちした。

 

 魔理沙 「………虹星と一緒に過ごす中で変わっちまったんだよ、多分………。」

 

 霖之助 「〜〜〜〜〜っ!!!嫌だぁっっっ!!ぼくの、ぼくのこうせいくん………ぜったいにゆるしてなるものかぁぁぁぁぁ!!!」

 

 霖之助さんが部屋の中心で仁王立ちし、天を仰いで叫ぶ。

 

 パチュリー 「………何この状況。」

 

 そこにパチュリーさんがやってきた。部屋で叫ぶ霖之助さんに、爆散した扉に…情報整理が追い付いていない様だった。

 

 パチュリー 「………はぁ、大体察したわ……取り敢えず、霊夢と魔理沙はこの眼鏡を部屋の外に連れ出してくれない?虹星に伝えないといけない事があるから。」

 

 魔理沙 「お、おう。じゃ、私たちは此処でお暇するわ〜。行くぞ、霊夢に香霖。このままだと邪魔になっちまうぜ〜。」

 

 霊夢 「………また来るから、黙って寝てなさい。」

 

 霖之助 「こうせいくぅ〜〜〜ん!いずれかたきはとってあげるからねぇ〜〜〜!!!」

 

 魔理沙と霊夢が半ば強引に霖之助さんを引っ張りながら部屋の外へと出ていった。

 

 パチュリー 「全く…騒がしいったらありゃしない。」

 

 虹星 「………そうですね、はは…。僕もちょっと疲れちゃったかもです…。部屋に来てくれる事は嬉しいのですが…。」

 

 パチュリー 「………まぁ、それはさておき貴方に伝えたい事があるの。」

 

 虹星 「………伝えたい事?義手とかの事です?」

 

 パチュリー 「………いや、貴方の身に残った………隠された後遺症についてよ。」

 

 虹星 「後遺症…?腕、目、耳の他にもです…?お腹や顔の傷は治癒魔法で治して頂けると聞きましたし…本当にそんなもの、あるんですか?」

 

 パチュリー 「ええ。貴方にとって辛く苦しい傷………になると思うわ。けれど…恐らく貴方は、これをそのまま伝えても、それを信じようとはしないでしょうね。だから、私からは教えない事にするわ。」

 

 虹星 「………えー…?良いじゃないですか、折角存在を仄めかしたんですから、ハッキリと伝えてくださいよー!」

 

 パチュリー 「良いのよ。今ここで知らずとも……何れ、嫌でも思い知る事になるのだから。」

 

 パチュリーさんはそう言うと、本当に何も教えてくれぬまま医務室を後にしてしまった。

 

 ………焦らしに来ただけ?

 そう思ってしまった。

 

 虹星 「………お腹空いたなぁ。」

 

 恐らく寝ていた間は食事を摂っていなかっただろうしなぁ………

 

 空腹にお腹をさすりながらそんな事を思っていた時…

 

 咲夜 「そういうと思って、食事の準備は出来ているわよ坊ちゃん。」

 

 虹星 「………!さっさん…準備いいですね…。」

 

 ふと気がつくと、自身の目の前には小さな机。その上にプレートが所狭しと並べられていた。

 

 虹星 「……折角用意していただいたし、頂きます!」

 

 食欲をそそる上品な料理の数々に、空腹に抗えずに手を伸ばそうとしたその時…。

 

 咲夜 「………あら、ごめんなさい…これ人間用の食事じゃないわ。」

 

 虹星 「………ん!?そ、それってつまり…。」

 

 咲夜 「ええ!人の血肉が混ざってるわ!」

 

 さっさんは満面の笑みで自信満々にこたえた。

 

 虹星 「う、うわああああっっっ!!!い、今すぐ取り替えてくださいっ!!!」

 

 咲夜 「何よ、我儘ねぇ。」

 

 虹星 「共喰らいは御免ですっ!!!」

 

 咲夜 「しょうがないわね、急ぎで何か作ってくるから要望とかある?」

 

 虹星 「………オムラ…イス………?」

 

 咲夜 「別に良いけど、何でオムライス?好物なの?」

 

 虹星 「………僕にも…分かりません。何故か、オムライスが食べたくて…?」

 

 咲夜 「………貴方は記憶喪失って魔理沙から伝えられているから理解しているわ。きっと貴方の好物だったんじゃない?それじゃ、急拵えで作ってくるから。」

 

 虹星 「よろしくお願いします…。」

 

 その後、数分と経たずに食事が届けられた。

 オムライス………の他にコンソメスープとやけにおしゃれなトマトときゅうりの彩りサラダ。

 

 どれもとても美味しかったけれど………オムライスは何か違う様な感じがした。

 

 虹星 「………ご馳走様でした!物凄い美味しかったです!」

 

 咲夜 「お粗末様。………それじゃ、ガウン脱いで?身体拭くから。」

 

 いつの間にか、机には湯桶とタオルが。

 

 虹星 「ゑ。えー………お、お願いします。」

 

 あまりに醜い自身の身体なんて、見せたくは無いのだけれど…人の好意を無碍にする訳には行かない。

 

 さっさんに手伝って頂きながら、自らの包帯をほどいていく。

 

 咲夜 「………酷い傷ね。全く、一体誰がこんな事を。いたいけな少年にこんな惨い事を出来る奴の顔が見てみたいわ。」

 

 虹星 「……………。」

 

 ブラックジョークが過ぎますさっさん………。

 

 咲夜 「そう言えば貴方…意外とがっしりとした身体付きをしてるのね。」

 

 虹星 「鍛えてますので…。」

 

 確かに、ここに来たばかりの時はヒョロっとしていた身体も少しは様になってきている気がする。

 

 ………ボディービルダーの様な筋骨隆々には程遠いけれど。

 

 ………筋肉についてはこんな事もあったっけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「妖忌さん!良い加減に剣技教えて下さい!」

 

 「じゃーかーらー、儂は教えるつもりなんぞ毛頭ないと何度も言っとるじゃろうが!剣技を使える様な肉体には鍛えておるからどうしてもと言うなら見て盗めぃ!」

 

 最後の修行に移る少し前の事だったっけ。

 

 「滅多に見せてくれないからこうして頼んでるですよ!?それに、剣技を使える様な肉体って言いましたけど、あまり筋肉ついてないじゃないですか!」

 

 「あー!?儂は質の良い筋肉に鍛え上げておるのじゃ!見かけ騙しの筋肉なぞ必要ないわい!」

 

 「とか言う貴方はバッキバキの癖に!」

 

 「儂は質の良い筋肉を鍛え抜いた先におるからな!小僧がそうなるのはまだまだ先じゃわい!」

 

 「ぐ〜!もういい!基礎鍛錬やってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて事もあったなぁ………。

 

 咲夜 「拭き終わったわ。じゃ、包帯巻き直すわね。」

 

 虹星 「………あっ、お願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身体を拭いて貰った後は、歯を磨きに洗面所まで連れて行っていただいた。

 

 さっさん、僕の事をすっごい軽そうに持ち上げるけれどその華奢な身体の何処にそんな力が…?

 

 そんな疑問を抱きつつも歯を磨き終わり、再び医務室へと戻った。

 

 咲夜 「それじゃあ、後は寝るだけかしらね。………子守唄でも歌いましょうか?それとも絵本がいいかしら?」

 

 虹星 「遠慮しておきます…。」

 

 咲夜 「あらそう、まぁ、気が変わったら呼んで頂戴。その二つが嫌なら普通に眠くなるまでお話でも良いからね。それじゃあ、おやす─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「虹星君!!!一人で寝るのは寂しいだろうし今日は私と一緒に寝よ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って部屋に滑り込んできたのは美鈴さん。

 

 虹星 「あ、あちゃー………タイミングの悪い…。」

 

 この後の展開が目に見えて、思わず目を手で覆った。

 

 美鈴 「………って、さ、咲夜さん………。」

 

 咲夜 「………めーいーりーんー?色々聞きたい事はあるけれど、取り敢えず一つ。………この子と同じベットで寝るつもり?」

 

 さっさんは笑いながら話す。目は笑ってないけれど…

 

 美鈴 「だ、だってぇ………虹星君に寂しい思いさせたくないしぃ…中々寝付けない時には話し相手にもなれますしぃ………。」

 

 美鈴さんは両手の人差し指を合わせ、もじもじしている。

 

 咲夜 「………ふむ、下心は?」

 

 美鈴 「………無いに決まってるじゃないですか〜。相手は子供なのに〜。」

 

 咲夜 「………へぇ、服の下の格好についてはどう弁明するのかしら?」

 

 その言葉を聞いた途端、美鈴さんの顔が真っ赤に。

 

 美鈴 「………み、見たんですかっ!?ひ、酷いですよ咲夜さん!乙女の秘密を…!」

 

 咲夜 「なーにが乙女よこの馬鹿!今すぐ門番の仕事に戻りなさいっ!!!」

 

 美鈴 「そ、そんなぁ…とほほ………。」

 

 美鈴さんは渋々部屋を出ていき、門番の仕事に戻った。

 

 咲夜 「………坊ちゃん、あんな奴の相手をしては駄目よ。部屋には入らないようキツく言っておくけれど、もし来たら拒絶して突っぱねちゃいなさい。分かった?」

 

 虹星 「は、はい…。」

 

 咲夜 「………それじゃ、今度こそお休みね。」

 

 虹星 「はい、お休みなさい。」

 

 さっさんが消えたと同時に、部屋の光も消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「め、美鈴さん…服の下に一体何を…?」

 

 ………ちょっとだけ想像しようとして…顔が熱くなりそうだったのですぐ辞めた。

 

 「だ、駄目だ駄目!こんな事考えるのは良くない!さっさと寝よ!」

 

 布団を被り、目を瞑る。

 

 ……………今日は色々あったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………さっきは冗談みたいに受け流していたけれど…やっぱりレミリアさんやフランは人を食べるんだ…。

 

 という事は………人を…。

 

 ………きっと、生きる為に仕方のない事なのだ。

 

 レミリアさん達にとっては、人間は牛や豚みたいなもの………なんだと思う。

 

 弱肉強食、自然の摂理には抗えない。

 

  ……………寝よう、寝て忘れてしまおう。

 

 忘れる様に、逃げる様に目を瞑り。

 

 僕は一日を終えた。

 






 主人公君、良い悪夢を!
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