名だけの幸せは何を得るか   作:磁石とオニスズメ

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 妖忌は孫と主人公君とで行ってる稽古が全く違いそう。


魔法の森って(((

修行を始めて早一ヶ月………。

 虹星は弱音を吐きつつも、何とか喰らい付いていた。

 

 虹星 「つ、疲れた………。」

 

 修行を終え、満身創痍となった虹星が博麗神社に戻ってきた。帰ってくるなり、力尽きたように縁側に倒れ込む。

 

 霊夢 「………ねぇ、あんたさ…もう一度魔法の森に行ってみない?」

 

 隣に座った霊夢が虹星を一目見てそう話しかけた。

 

 虹星 「あ、あの修行…?でもまだあの時から一ヶ月と少ししか経ってないし…まだ無理なんじゃ…。」

 

 霊夢 「私の見立てでは、きっともう出来る。」

 

 虹星 「………ま、まぁ妖忌さんが何て言うか分からないし………。」

 

 霊夢 「………そう言うだろうと思って…。」

 

 魔理沙 「私が事前に老人に許可を得てきてやったぜ!」

 

 二人の前に何処からともなく魔理沙が現れた。

 

 虹星 「ま、魔理沙!?………そ、それで妖忌さんは何て言ったの…?」

 

 魔理沙 「逃げ出したり失敗したら足もげるまで走らせるって。」

 

 虹星 「やだっっっ!!!やる!やります!」

 

 霊夢 「(即答…。よっぽど嫌なのね…。)」

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の午前十一時………。

 虹星は再び魔法の森へと入っていった。

 

 虹星 「また此処に来る事になるなんて…。昼なのに相変わらず真っ暗だなぁ…。でも僕、すっごい成長してる気がする!」

 

 虹星は鍛錬の成果に驚いていた。

 

 虹星 「此処にいても全然疲れて来ない!それに空も今までよりずっと高く飛べる!六時間じゃなくて半日でも行けたかもなぁ〜!」

 

 虫の様に空を飛ぶ少年は誰の目から見ても明らかに調子に乗っていた。

 

 

 

 一方、霊夢と魔理沙の二人は再び香霖堂を訪れ、霖之助に茶菓子を強請っていた。

 

 霖之助 「う〜ん、煎餅しか無いんだけどそれで良いよね?」

 

 霊夢 「まぁそれで勘弁してあげるわ。」

 

 魔理沙 「…なぁ、今回は虹星の奴大丈夫だよな…?」

 

 霊夢 「もう何も問題ないわ。六時間じゃなくて一日中にしても良かったくらい。」

 

 魔理沙 「それはそうなんだろうけどさ…何となく………上手く行かなそうな気がするんだよな…。…御札は仕込ませてるんだよな?」

 

 霊夢 「………心配ないと思って今回は仕込んでないわね。大丈夫よ、妖怪なんて滅多にいないし、いても妖精くらいでしょ。流石に妖精程度には負けないわよ、きっと。」

 

 魔理沙 「……虹星を信じて待つしかないのか…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 クスクス…クスクス………

 

 虹星 「………?何だろう?何処かから声が…?」

 

 クスクス…見て…人間よ……。

 

 本当だわ…それにとっても弱っちそう…。

 

 悪戯しちゃいましょう…?

 

 虹星 「………この声、確か…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妖忌 「良いか童、この幻想郷には妖怪や神だけではない、魔女、霊、仙人、妖精………実に多種多様な種族が存在しておる。特に目にする事が多いのが妖精じゃ。妖精は面倒じゃぞ。童のような弱そうな見た目では、悪戯と称して弾幕を放ってくる事が多いじゃろうしな。」

 

 虹星 「この状況じゃ何にも頭に入って来ないんですけど!!!」

 

 虹星は両手に50kgの重りを持ちながら、延々と同じ体制をキープさせられていた。

 

 虹星 「(霊力で身体能力向上させられるって言っても自分の体重より重い物を片手ずつ持たされるなんて…いよいよ持って拷問だよ………。)」

 

 妖忌 「儂は弾幕については疎い、故に助言してやれる事は少ないが…妖精の悪戯と言えど、小童には致命傷になりかねん。出来る限り相手はしない事じゃ。」

 

 

 

 

 

 

 虹星 「こんな所に人はいない…つまり妖精!」

 

 そう思った矢先…虹星を目掛け、弾幕が四方八方から放たれ始めた。

 

 

 

 虹星 「…来た!………あの時の丸田の修行に比べれば………!」

 

 虹星は放たれた弾幕を拙いながらも躱していく。

 

 虹星 「良し…!躱せる!妖忌さんに感謝しないとな………いっつも死ぬ思いしてるから嫌だけど。」

 

 そう思いながら弾幕を躱していると………

 

 

 黄妖精 「………む〜、何よ!ちょっとくらい当たってくれても良いじゃない!」

 

 白妖精 「そうよそうよ!大人気ないわ!」

 

 黒妖精 「どう見たって子供じゃないかしら…?」

 

 虹星 「君らが妖精…? なんかカラフルだね…。

白、黒、黄色…色々あるんだね。羽と背丈の低さは何となく想像通りだけど…。」

 

 黄妖精 「だっ、誰がチビよ!!」

 

 虹星 「言ってないよ!?」

 

 白妖精 「あんただって私たちと対して変わらないじゃない!」

 

 虹星 「いやー…多分15cmくらいは離れてると思うけど…」

 

 黒妖精 「身長の話はさておき……悪戯再開よっ!」

 

 妖精たちが再び弾幕を放ち始めた。

 

 虹星 「(………避ける事は出来るけど…反撃の仕方が分からないな。こんな小さな子たちに刀を使う訳にはいかないし、弾幕を出して霊力を無駄にもしたくないし…。)」

 

 白妖精「何よ!弱っちそうな見た目の癖に!」

 

 黒妖精 「全く当たりそうにないわ…完全に見切られちゃってる。」

 

 黄妖精 「こうなったら一旦戦略的撤退を…。」

 

 虹星 「(寧ろ逃げてくれた方が此方としては…!!)黄色の妖精っ!!!後ろっ!!!」

 

 弾幕を躱していた虹星の目に映ったのは…以前自身を襲った犬の様な異形の妖怪だった。

 

 虹星 「飛び掛かる一歩手前だ…!間に合うか…?………いや、間に合わせるっ!!!」

 

 虹星は走り出し、妖精との距離を一気に縮めた。

 

 黄妖精 「……ふふ、馬鹿じゃないの?そんな分かりやすい罠に引っ掛かる訳………えっ?」

 

 黄妖精が振り向いた瞬間…妖怪はすでに首元目掛け飛び掛かっていた。

 

 虹星 「間にっ………合えっ!!!」

 

 虹星は右手を突き出し、間一髪黄妖精を押し出した。

 

 しかし…

 

 虹星 「………っ!!!」

 

 妖怪としては標的が妖精から虹星に変わっただけに過ぎず…虹星は右肩を深く噛みつかれてしまった。

 

 犬妖怪 「グルルゥアッ!!!」

 

 虹星 「何度も………同じ事させるかっ!!!」

 

 間髪入れずに飛びかかろうとした犬を刀を振るい牽制した。

 

 虹星 「って……! ……はぁ…相当………肩がお好きみたい…だな…!」

 

 黄妖精 「あっ…貴方、私を庇って…。」

 

 虹星 「……え?あ、あー…だ、大丈夫。僕の自己満足だから気にしなくていい。」

 

 白妖精 「で、でも…酷い傷じゃない…!」

 

 虹星 「へ、平気だよ…。寧ろ…肩が無くなって肩凝りも解消された……へへ…好都合だよ…!っ…。」

 

 当然強がりだった。右腕に上手く力が入らず刀を地面に落としてしまう。

 

 黒妖精 「に、逃げましょう!あんなの相手にしたって無意味だわ!」

 

 虹星 「ごめん…多分無理かな…。かなりすばしっこいし…逃げてもすぐ追い付かれると思う。

 だから…君らは逃げな…。彼奴は…僕がなんとかしてみせる。」

 

 黄妖精 「む、無茶よ…!その剣も上手く握れてないのに…殺されちゃうわ…!」

 

 虹星 「…ぐっ………も、問題無いよ。君ら、包帯か何か…持ってたりしないよね…?」

 

 黒妖精 「悪戯用のロープなら…。」

 

 虹星 「それで良いよ…貰って良い?」

 

 虹星は妖精からもらったロープを使い…震える右手で刀を掴み、それを左手で押さえたのち…口を使って上手く両手をロープで固定した。

 

 虹星 「これで…刀は振るえる。逃げるのが怖かったら、僕の後ろに居てもいいよ…。絶対に勝つし…君らには指一本触れさせないから…!

 ………ふぅっ…!別個体だろうと関係ない…!あの時のリベンジマッチだ犬っころ!!!」

 

 恐怖を掻き消すように大声で自身を奮い立たせた。

 ………内心、虹星は妖怪を恐れていたのだ。だが、あの時とは状況がまるっきり違う。自分にはかつてとは異なり、抗えるだけの力があり、何より守るべき存在がある事が虹星を鼓舞した。こんな所で逃げ出す訳には意地でも行かなかったのだ。

 

 虹星 「うおおおぉっ!!!」

 

 妖怪目掛け刀を何度も振るうも大振り過ぎるがあまり、容易く躱され…更には刀を振るった後の隙を狙われ、刀を振るうたびに額、頬、腕、足とどんどん傷が増えていってしまった。

 

 黒妖精 「み、見てられないわ…。」

 

 白妖精 「こ、このままじゃあの人本当に…!」

 

 黄妖精 「…私のせいであの人は上手く戦えてないの。だから…私があの人を助けなきゃ…!」

 

 虹星 「くっ…そ……!刀が上手く振るえない…!せめて刀に霊力を回せれば…!」

 

 犬妖怪の攻撃を何度も受けた虹星は地面に膝をついてしまった。その隙を見逃す訳も無く…。

 

 犬妖怪 「ガルラルゥッ!!!

 

 虹星 「…しまっ…………。」

 

 犬妖怪が全体重をかけた体当たりが虹星の後頭部に直撃した………と、思いきや…

 

 犬妖怪 「………グルゥッ!?」

 

 虹星 「………何てね!」

 

 虹星は間一髪、刀に霊力を回すことを成功させ…犬妖怪の体当たりを刀を後ろに回す事で受け止め、阻止していた。

 

 虹星 「才能ナシでもいざとなれば光るものもあるみたいだな…!んでもって…これで決めるっ!!!」

 

 体当たりを受け止めた事で出来た隙を最大限活かすべく、虹星は振り向きながら刀を大きく振るった。

 

 犬妖怪 「グルルゥ………グルァッ!?」

 

 対する犬妖怪もそれを恐れて距離を取ろうとするも…背中に衝撃が走り、動きが抑制された。

 

 黄妖精 「いっ、今よ!やっつけちゃえ!」

 

 黄妖精の放った弾幕が確かに犬妖怪を捉えていたのだ。

 

 虹星 「……!ありがとちびっ子!!!」

 

 虹星の振るった刀が犬妖怪を切り裂いた。力が上手く入らず傷は浅かったものの、驚かしには十分だった。

 犬妖怪は鳴き声を上げ、その場から逃げ出したのだった。

 

 虹星 「…ふぅっ………。い…意外と何とかなるもんだな…。」

 

 妖怪を撃退した事で安堵し、へにゃへにゃと地面に座り込む。

 

 虹星 「いってて………でも、ビビリで泣き虫の僕が逃げずに立ち向かえたのは…我ながら本当に成長したって実感できたな…。あぁ、そうだ。」

 

 振り向き、辺りを見渡す。

 妖精たちは隠れているようだった。

 

 虹星 「黄色い子ー!さっきは助けてくれてありがとねー!」

 

 妖精たちに聞こえるように大きな声で言葉を発した。

 返事は返ってこなかった。

 

 虹星 「………逃げちゃったみたい。妖怪が戻ってくる前に僕もここを離れるか…。」

 

 虹星がその場を離れようとした時…

 

 黄妖精 「あっ、あの!」

 

 虹星 「………! 態々戻ってきてくれたんだ。さっきは助けてくれてありがとう!」

 

 黄妖精 「わ、私こそ………そ、その…弱っちそうって言ってごめんなさい。………か、格好良かったよ。

 ま、またねっ!!」

 

 黄妖精は照れ臭そうにそそくさとその場を去っていった。

 

 虹星 「………へへへ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十七時───。

 霊夢と魔理沙は時間通りに魔法の森へと戻ってきた。

 

 魔理沙 「……虹星は?まだ戻って来てないのか?」

 

 虹星の安否が心配で辺りをキョロキョロと見回す魔理沙に対し霊夢は…。

 

 霊夢 「………!魔理沙、あれ見て。」

 

 霊夢が指差した方向に目を向けると………森の奥からよろよろと此方に向かってくる虹星の姿が見えた。

 

 虹星 「………全身痛い…。

           けど、やり遂げたよ…!」

 

 魔理沙 「………ふぅ。全身傷だらけだけど…心配は杞憂だったみたいだな。」

 

 霊夢 「………これで漸く、最低限って所ね。

でも………よく頑張ったわ虹星、おめでとう。」

 

 霊夢は自身より少し背の低い虹星の頭を撫で、優しい笑みを浮かべた。

 

 虹星 「………!………へへっ。」

 

 対する虹星もどこか誇らしげに破顔した。

 

 魔理沙 「……所で、その傷はどうしたんだ?てか、肩の傷だいぶ深そうだな…。一先ず香霖に手当てしてもらって…その後に今日あった事、聞かせてくれよな!」

 

 虹星は魔理沙に手を引かれ、二人と共に魔法の森を後にするのだった。

 

 






 片鱗が見えてますねー。あとやっぱり適当
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