大魔王ベリアルの暴虐

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第1話

「大魔王ベリアル様の前に(ひざまず)け!」

王を(まも)らんとした甲冑の衛士達の呻吟(しんぎん)と嗚咽に埋め尽くされる。

「ベリアルとやら、(なに)が望みだ?」

王の言葉に

「やっと、その気になったか。くっくくく」

ベリアルが舌舐(したな)めずりすると

「お待ちなさい!」

玉座の間に連なる露台(バルコニー)から女の声がした。

「なんだ、貴様は!」

白の(ころも)(まと)った女の桃色の髪が、きゅぴん♡と跳ね上がり

「一曲、歌わして貰うぜ」

小指を立て棒状の道具を持ち歌い出した。

古代神聖魔法語(ハイエンシェント)!?何を(たくら)んでやがる」

呪文を詠唱しようとするが

「♪いっつっかっ、めぇぐりぃあ~う〜、いじげんっの、は~とでぇ〜」

歌声は構わずサビに突入し

「そのマジックアイテムは!?うわぁっ〜!」

ベリアルは魔力の奔流(ほんりゅう)に呑み込まれた。

 

「こんな所で寝ていると風邪を引くよ」

男に揺り起こされ

「うわっ!やはり古代神聖魔法語。俺の(からだ)を女の子にして、異世界に飛ばしやがった」

状況を把握し愕然となった。

「日本語話せる?」

「大魔王ベリアル様が修得していない魔法語など無い。んっ、女の子の体で、デモンズメイルの重さは…」

「その魔王のコスプレ重いよね?僕ねべリっちにピッタリな衣装を持っているんだ。ピンクのアホ毛付きヅラもあるよ」

男がリュックサックから衣装を取り出すと

(あの女と同じ形状の衣。元の世界に戻るヒントになるかも)

ベリアルは構わず脱ぎ出そうとし

「ああっ、タンマ、タンマ」

男が慌てて止めに入り公園の木の陰で着替える事になった。

 

「一曲、歌わして貰うぜ」

男が小指を立てハンディカラオケで歌い出す。

(タブレットと言うのか、絵が動いている。素晴らしい。愛と友情。仲間と協力して強大な悪に立ち向かう正義の戦い。俺はどうだ、天才と呼ばれ(あら)ゆる魔法語を修得し、魔法学校を首席で卒業。遂には滅亡した超帝国の暗黒魔法さえ復活させ、大魔王ベリアルに(さか)らえる者はいなくなった。そうして俺は何を得た?孤独だけだ…)

タブレットを抱えしゃがみ込む。

「ベリっちも一曲どうだい?」

 

「ガーリーエンジェルだ!」

子供が叫ぶと

「おっさん、ありがとう」

少女は空に浮かび上がり、速度を上げる。

(大魔王ベリアルを(たお)せるのは美少女天使ガーリーエンジェルしかいない。この歌声に古代神聖魔法語の魔力をのせ、次元の壁を超越する!)

 

王宮の露台に、美少女天使ガーリーエンジェルが降り立つ。

「やっと、その気になったか。くっくくく」

大魔王ベリアルが嘲笑し舌舐めずりする。

「お待ちなさい!」


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