-NEON BONES- うるさい新人と壊れかけの街   作:冷凍マカロン

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初投稿


うるさい新人

ヴェインシティ中央管理局。

巨大モニターに赤い警告表示が浮かぶ。

《中層区大型ノイズ反応》

《第三警戒レベル》

警報。

怒号。

走り回る職員達。

慌ただしい空気の中心で。

「……帰りてぇ。」

黒コートの男がソファに沈んでいた。

机には始末書の山。

缶コーヒー四本。

完全に終わった目。

「黒瀬さん。」

女性職員が声をかける。

「新人来てます。」

「新人ぃ……?」

男――黒瀬ジンは、 だるそうに顔を上げた。

資料を見る。

『火乃宮カガリ』

適合率:A

戦闘傾向: 高火力・高騒音。

「最後ステータスなのか……?」

その瞬間。

バァン!!!

扉が勢いよく開いた。

「火乃宮カガリです!!よろしくお願いしまーーーーす!!!」

跳ねた赤髪。

赤橙パーカー。

腰には炎色スプレー。

立ってるだけで騒がしい。

ジンは資料とカガリを見比べた。

「あー……。」

「?」

「なるほど。」

「何が!?」

ジンは頭を掻く。

「姉妹揃って騒がしいわけだ。」

カガリの表情が少し止まる。

「……姉ちゃん知ってんの?」

「まあな。」

「今どこに――」

《WARNING》

《中層区大型ノイズ反応》

警報が鳴り響く。

ジンが端末を見る。

「悪い新人。 歓迎会代わりに出動だ。」

「タイミングゥ!!」

「第八班ってそういう職場。」

――――。

NEON BONES専用ヘリ。

夜のヴェインシティ上空。

赤と青のネオンが、 雨に滲みながら窓を流れていく。

空中広告。

立体ホログラム。

幾重にも重なる高速道路。

遠くでは巨大モニターが、 ノイズ警報を流していた。

その下。

光が届かない下層区。

崩れかけた建物群。

止まったままの旧文明列車。

都市の光と影が、 上空からはっきり見えた。

カガリは窓へ張り付く。

「うわぁぁぁ……。」

「すっげぇなこの街。」

「未来!!って感じなのに、 同時に終わりかけてもいる……。」

後部座席。

深海みたいな青髪の少女が、 ちらりと窓を見る。

冷たそうな目。

短く切り揃えたショートヘア。

細い指で青い杖を軽く回していた。

でも、 どこか少し楽しそうに笑っている。

「ヴェインシティは、 旧文明の上に無理やり建て直した都市だから。」

カガリ。

「つまり“応急処置で動いてる世界最大都市”ってこと?」

少女は少し笑った。

「だいたい合ってる。」

「ルミナ・ヴェール。」

「よろしく、新人。」

「あ、思ったより普通に喋る!!」

「第一印象失礼だな……。」

「いや絶対もっと無口系かと!」

「隣に本物いるから。」

カガリが隣を見る。

黒いオーバーパーカー。

ゆるく垂れた白髪。

半分閉じかけた眠そうな青い瞳。

その横には、 本人より大きい骨槌。

どう見ても重武装なのに、 本人だけ妙にゆるい。

「……あと五分。」

「寝てた!?」

「武器と本人の温度差どうなってんの!?」

少女は薄く目を開ける。

「……グレイヴ・ノクス。」

「あ、名前だけ教えてくれるタイプ。」

「……眠い。」

「自由すぎるだろこのチーム!!」

グレイヴが少しだけカガリを見る。

「……声、大きい。」

「お前ら全員それ言うな!?」

ルミナ。

「ヘリのローター音に勝ってる。」

ジン。

「才能だな。」

「嬉しねぇ!!」

ヘリがネオン街上空を抜ける。

カガリが窓の外を見る。

「……綺麗だけど、 なんか息苦しい街だな。」

ルミナが少しだけ目を細める。

「いい感性してる。」

「珍しく褒められた!?」

ジンが操縦席から言う。「一応説明しとくか。」

「おっ、世界観!」

「軽くだけな。」

「ノイズは旧文明エネルギー生命体。」

「教本で見たやつか。」

「実物は初めて?」

「普通そうだろ!! 新人だぞ私!!」

ルミナ。

「昔、人類は感情をエネルギー利用した。」

「うわ絶対やらかしてる。」

「した。」

「即答!?」

ジン。

「今も割と滅びかけてる。」

グレイヴ。

「……割と。」

「お前ら説明が重い!!」

カガリが腰のスプレーを見る。

「そうだ!これは旧文明兵装だっけ?」

ルミナ。

「《アマテラス》。感情燃焼型。」

ジン。

「お前の姉貴が使ってたモンだ。」

空気が少し止まる。

カガリ。

「……。」

ジン。

「失踪現場に、 それだけ残ってた。」

ヘリのローター音だけが響く。

カガリはスプレーを軽く握った。

「……姉ちゃん、 これ置いてどこ行ったんだよ。」

小さく呟く。

でも次の瞬間。

「っていうか私、 今日初実戦なんだけど!?」

ルミナ。

「今さら?」

「いや緊張くらいするだろ!!」

グレイヴ。

「……大丈夫。」

カガリ。

「おっ、励ましてくれる!?」

グレイヴ。

「……死なない程度には。」

「基準が怖ぇよ!!」

ジンが笑う。

「安心しろ。」

「第八班は意外と死なねぇ。」

ルミナ。

「その代わり街は死ぬ。」

カガリ。

「不安になる情報増やすな!!」

ヘリが下降を始める。

窓の外。

巨大ショッピングモール。

その壁を、 黒い何かが這っていた。

ぐちゃり。

ぐにゃり。

粘土みたいに歪む巨大異形。

ノイズ。

カガリ。

「うわっ。」

「教本よりキモいなアレ……。」

――――。

中層区ネオンモール。

悲鳴。

逃げ惑う人々。

その瞬間。

子供の泣き声。

瓦礫の近く。

小さな男の子が転んでいた。

ノイズが腕を振り上げる。

カガリ。

「ッ!!」

考えるより早く飛び出していた。

「待ってろォ!!」

ルミナ。

「新人!?」

カガリがスプレーを構える。

「《フレアタグ》!!」

爆炎。

ノイズの腕を吹き飛ばす。

子供を抱えて滑り込む。

「セーフ!!」

だが。

黒い腕が再生する。

カガリ。

「うわ早っ!?」巨大な腕が振り下ろされる。

直前。

轟音。

白骨構造が割り込んだ。

「《骨壁》。」

グレイヴだった。

巨大骨槌で攻撃を止めている。

「前出すぎ。」

「助かった!!」

グレイヴが踏み込む。

「《粉砕》。」

骨槌がノイズを吹き飛ばした。

轟音。

だが。ノイズは崩れない。

床だけが砕け散る。

カガリ。

「うわっ!! モールの方がダメージ受けてる!!」

ノイズがグレイブに向け突進。

グレイヴ。

「《骨壁》。」

再び骨壁展開。

だが。

ヒビが走る。

グレイヴ。

「……重い。」

ノイズが骨壁を砕いた。

衝撃。

グレイヴが吹き飛ばされる。

「グレイヴ!?」

壁へ激突。

コンクリが割れる。

でも。

グレイヴは普通に立ち上がった。

「……痛い。」

「お前頑丈すぎるだろ!!」

ルミナが子供を抱き上げる。

杖が発光。

「《ウォーターライン》。」

水流が滑走路みたいに伸びる。

子供がそのまま安全地帯へ滑っていった。

「えっ浮いてる!?」

「避難完了。」

ノイズが暴れる。

黒い身体が粘土みたいに歪む。

《アクアリング》すると水がノイズ身体に巻き付き動きをとめる。

ルミナが目を細める。《ハイドロ・インサイト》発光

「……そういうこと。」

カガリ。

「何かわかった!?」

ルミナ。

「あいつ、 粘土みたいに不安定。」

「核が身体の中を動いてる。」

カガリ。

「え、どういうこと!?」

ルミナ。

「攻撃される瞬間、 核位置をズラしてる。」

グレイヴ。

「……だから効かない。」

カガリ。

「うわ面倒くさっ!!」

ノイズが再び暴れる。

《アクアバインド》が弾け飛ぶ。

ルミナ。

「っ……。」

カガリ。

「拘束切れた!?」

ルミナが周囲を見る。

天井。

スプリンクラー。

「……水が足りない。」

「もっと水量があれば、 核位置を固定できる。」

カガリ。

「固定?」

「動けなくする。」

カガリがニヤッと笑う。

「派手に壊せばいいんだな?」

ルミナ。

「嫌な予感しかしない。」

カガリはスプレーを天井へ向ける。

「《フレアタグ》!!」

炎色のタグがスプリンクラーへ描かれる。

ルミナ。

「待っ――」

ドゴォン!!!

爆炎。

スプリンクラー全破壊。

次の瞬間。

大量の水がモール中へ降り注いだ。

「うおおお!?」

豪雨みたいな水量。

床が一気に濡れる。

ルミナの目が変わる。

「……おもしろいわね。」

《ネレイド》発光。

周囲の水が空中へ浮かび上がる。

巨大な水流が空間を巡った。

カガリ。

「うわっ!? 急にスケール上がった!!」

ルミナ。

「《レインフィールド》。」

水流がノイズ内部へ侵入する。

粘土みたいな身体が歪む。

ルミナ。

「見つけた。」

「核捕捉。」

青い水流が一点へ集中。

ノイズ絶叫。

ルミナ。

「今なら逃げない!!」

グレイヴ。

「……穿骨。」

巨大骨柱が地面から突き上がる。

ノイズ完全拘束。

骨が軋む。

グレイヴの腕も震える。

ルミナ。

「新人!!」

「核固定10秒!!」

カガリ。

「短っ!!」

グレイヴ。

「……急げ。」

カガリが笑う。

地面中へ赤い塗料が走る。

「派手に行くぞォ!!」

「《クロスブラスト》!!!」

連鎖爆破。

炎がモール中を走る。

ノイズ絶叫。

ルミナ。

「まだ!!」

カガリ。

「ラストォ!!」

ノイズ身体を紅く染める炎が渦巻く。

「《紅蓮祭》!!!!」

巨大爆炎。

固定された核へ直撃。

轟音。

黒い身体が崩壊していく。

静寂。

水だけが降り続いていた。

カガリ。

「……勝った?」

ルミナ。

「モールは死んだ。」

グレイヴ。

「……全壊。」

カガリ。

「結果オーライ!!」

メキ。

全員。

「あ。」

天井が崩落した。

 

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