博麗霊夢の弟、個性〈迷い迷わせる程度の能力〉   作:紡縁永遠

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博麗霊夢の弟

 「霊夢〜」

 「何?紫、」

 「いいじゃない迷夢(めいむ)目でてるだけなんでしょ、ちょっとお願いがあるのよ。正確には迷夢にだけど」

 「アンタ、何言ってるかわかってる?今でこそ落ち着いてるけど迷夢は喘息持ちよ!さらに盲目、両足損失、左手もね。……いい?迷夢に何かあるようなら私がアンタを倒すわ」

 「わかってるわよ、それに貴方じゃできないから頼んでるのよ、迷夢の〈迷い迷わせる程度の能力〉が必要なの、」

 「なにに必要なの?」

 「外の世界へ行ってもらうの」

 

 私は紫を殴り飛ばした。そのまま八方鬼縛陣で紫を固定する。迷夢を愛でるためにやることをすべて終わらせたというのにやっぱり妖怪はすべて殺したほうがいいかもしれない。でも迷夢の為にもそれはできない。

 

 「先日の迷暗(めいあん)異変で消耗させたばかりでしょ!それで今度は外にいけと?アンタ自分が何言ってるか理解してる?」

 「当たり前よ!それに迷暗異変は私も想定外よ!とばっちりだわ、それに今回の件は幻想郷の存続に関係するものなのよ、勿論迷夢だけに行かせるわけではないわ、貴方にも行ってもらう、」

 「それで 、なんでそんなことになったの?」

 

 私は納得できないまま紫に詰め寄り理由を探る。

 

 「外の世界には数年前から個性という超常能力がで始めたのよ。あくまで細胞に刻まれた現実としての力なのだけど、そうなると幻想としての能力の印象が弱くなるでしょ?だからそれの調査をしてほしいのよ。迷夢の能力なら幻想郷の住民でも外に出れるでしょ?」

 「そうね、でも、迷夢の石を優先させるからね」

 「それはもちろんよ」

 

 私は博麗霊夢、忘れ去られし者の最後の楽園、幻想郷の守護者だ。妖怪が人に恐怖を与えるために起こす異変の対処に当たっている。

 そして私には弟がいる。妖怪との戦闘と、博麗の血を色濃く受け継ぐ私とともにお腹の中にいたせいか、弟の博麗迷夢は両足欠損、盲目、さらには喘息持ちという不遇っぷり。さらには、お母さんが亡くなって、私が仕事に行っている間報復に来た妖怪に左腕を食い千切られ、今では右手くらいしかまともに残っていない。

 ただ、周りから好かれる力と〈迷い迷わせる程度の能力〉を合わせることで、他人の能力の持ち主であることを迷わせて、白狼天狗の〈千里先まで見通す程度の能力〉で視力をカバーし、造形神の〈偶像を作り出す程度の能力〉と河童の技術で義足と義手を製作。八意永琳の〈ありとあらゆる薬を作る程度の能力〉で喘息を最大限に抑えることでなんとか暮らしている。

 迷暗異変は、先月起きたルーミアの封印が解けたことと、それに巻き込まれた迷夢が防衛反応から最大出力で能力を使用して起きたものだ。何も見えないというわけではないが闇が幻想郷を覆い、目的地にたどり着けなくなり、さらには程度の能力が入れ替わってしまうという幻想郷最大の危機に陥った。

 なんとか異変は解決したんだけどルーミアの封印は解けたまま、月に一度迷夢が遊ぶことを条件に人を襲わない約束を取り付けた。今回の件はそれを破る可能性もある。

 

 「何?霊ねぇ」

 「紫が外の世界へ調査に行ってほしいって言いに来たのよ、正直言って私もついていくとは言え反対よ。ただでさえ体の弱い貴方が外に行ったら……それにルーミアの件はどうするのよ」

 「それは、交渉するしかないでしょ」

 

 ケタケタと軽い笑いをする迷夢、かなり無理をしているのがうかがえる、この様子だと機能なにかしてたわね。

 

 「わかったわ、答えを出すのは今日の夜、それまでじっくり考えなさい」

 「わかった」

 「それじゃぁ寝室に行くわよ」

 「なんで?」

 「寝不足でしょ?眠気まで迷子になった?」

 「……」

 「図星ね、ほら行くわよ」

 

 迷夢を抱え上げて寝室に行く、逃げないようにしっかりと抱き着き、邪魔なサラシをほどいて迷夢を胸に押し込む。こうでもしないと、弱い身体で抵抗をしてくるのだ。お客さんは無視して、私もそのまま昼寝をする。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 霊ねぇは過保護だ、特に左腕を失ってからは余計にそうなった。迷暗異変の時は一週間離れてくれなかった。ちなみに今の僕の視界は何も映っていない、わざわざサラシを外して顔を胸に沈めるのは何故か分からない、ただ動いちゃいけない気がして、どうしようもない。

 ルーミアには説明をすれば許してくれるはずだから、後は他の人達だ魔理沙や咲夜さん、アリスさん達などの人間側の人達は結構構ってくれる。咲夜さんは一度レミリアさん達のお世話を丸投げして来たこともあった。アリスさんは何故が僕に似た人形を作っていた。しかも生首のやつを。霊ねぇや魔理沙のやつもある。

 魔理沙はとにかく破天荒だ一時時期接触禁止令が出ていた時もあった。そう考えると、おとなしい人のほうがいいのかもしれない、

 さて、外の世界に行くことを考えよう。現状使える能力は〈迷い迷わせる程度の能力〉これだけだ。他人の能力は出力が著しく落ちる。〈千里先まで見通す程度の能力〉は20メートルが限界だ。霊ねぇは僕のことに限って30メートル先でも分かるらしい。結局僕にできることは何もない、ならできることをしようと思う。

 まずは動けないので寝る。少しは回復しないといけないから……

 

 「迷夢、起きなさい」

 「んゅぅ……何?」

 「夕方だからね、少しは疲れも取れた?」

 「うん、」

 

 霊ねぇに起こされて夕ご飯を食べる。皆と関わる前とは見違えるくらい豪華なご飯、こういうのは宴会やその翌日にしか食べられなかったからなぁ。

 

 「それで答えは決まったの?」

 「うん、行くよ、外の世界」

 「……そう……わかったわ。ただし、今から言うことを守ること」

 「うん」

 「無茶をしないこと、一人で出歩かないこと、一人で戦わないこと、必ず連絡をすること、夜には私の目の届く範囲にいること。まずはこれくらいね」

 「わかったよ、」

 

 ご飯を食べ終えて、家の裏の温存に入ろうとしたら霊ねぇに捕まった。今だに混浴はどうかと思う。一応僕ら15才だよ?気を抜けば他の人も一緒に入れてくるし。別に風呂に入りたくないと言っているわけじゃないのに入れてくる。

 夜も抱き枕にされながら寝て、翌日紫さんが来ていた。

 

 「そう、よかったわ。なら向こうに送るわよ、一応外の博麗神社を拠点にして戸籍も作ったから、この一年はネット活動でもして知名度を稼ぎなさい。戻る時にその存在を消せば、別の意味で幻想の扱いになるわ」

 「なるほど、」

 「でも念のために、迷夢、お願いね」

 「うん、迷符〈迷幻夢生(めいげんむしょう)〉」

 

 これで僕と霊ねぇは外の世界に行っても存在が希薄で痕跡を消せば忘れるくらいに弱い存在となった。そのためのネット活動だ、あまりに薄すぎると幻想郷に戻ってきてしまうので多くの人の目に残るものに記録をつけて、帰るときに消すこの方法で僕達は外の世界に行くこととなった。

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