C国これに目をつけた。
蚊は新たな兵器となり得るのだろうか?
刺されると痒くなるのは普通の蚊。
これは血を吸う際に刺す箇所を麻酔で麻痺させたり、
血を固まりにくくする為に体が防衛反応として
炎症、痒みを起こすせいだと言われる。
ちなみに世界中で3500種類もの蚊が確認されており、
その総数は人間を超える110兆匹もいるという。
そして、世界で一番人間を殺す生き物。
それも蚊である。
この蚊を軍事的に利用してやろうという国があった。
某共産主義を名乗る独裁国家C国である。
C国は品種改良の末、
脳内で発生するドーパミンに似た物質を注入する蚊を偶然生み出す。
ドーパミンとは、脳内で働く神経伝達物質で、
主に「快感・報酬・やる気」などへの期待に対して体内で生成される。
分かりやすく言うと
「うれしいことがあると出る」
「うれしくなりそうな予感でも出る」
という特徴がある。
ドーパミンはモチベーションの維持に必要な物質だが、
過剰に摂取すると依存性がある上、
眠れない・落ち着かない、現実感が薄れ暴走する
といった問題にも繋がることがある。
そんなドーパミンをその蚊はなぜ注入するのか?
ドーパミンには快感よりも
「もっと欲しい」
という欲求を強める方向に働きやすい性質があるからだ。
この蚊は、血を吸うのをバレない様に麻酔をかけるのではなく、
「もっと血を吸って」
と相手に思わせる事で血を安全に確保する様に進化したのだ。
アヘン戦争というものをご存知だろうか?
イギリスが今は中国が出来る前にあった清国にアヘンを売り付け、
清国の国民は麻薬中毒者ばかりになり大変な事になった。
清国は必死に取り締まろうとするが、
麻薬の魔力に国民は既に骨抜きになって手遅れ状態。
仕方無く清国政府はアヘンを焼却しようとするが、
それにイギリスが、
「うちのしのぎに何してくれとんじゃい、コラッ!」
と激怒して怒った戦争だ。
勝敗はもちろんイギリスの圧勝。
清国は麻薬でボロボロにされた上に、敗戦の賠償金まで払うハメになった。
実はこのアヘン。
日本も標的にされていた。
しかし、日本ではアヘンはそれほど蔓延せずに済んだ。
日本人の真面目さ、法律を重んじる遵法精神の賜物だ。
ん?何が言いたいのかって?
本題は実はここからなのだ。
日本人は真面目で自ら法を侵してまで麻薬に手を出さなかった。
「御上が言うなら止めておこう」
日本人にはそういう特性がある。
しかし、その反面、それが不可抗力によるものだと、
途端に抵抗力が無くなる。
どういう事か?
分かりやすい例えを出すと『祭り』だ。
「今日は祭りの日だからハメを外しても大丈夫」
と言う状況になると、
日本人は意外とその状況に流されるのだ。
事実、民俗学的に祭りの日に乱交を行う地域は、
昔、かなり多かった。
祭り=乱交と結論する民俗学者もいるくらいだ。
いまだに大阪の南の方、祭りが活発な地域では祭りの日に
女性が一人で出歩く事は性的承諾であるとみなす
危険なエリアもある。
要するに自らが進んで禁忌を犯したわけではないという言い訳。
環境的に防ぐ事は困難であったと言う状況。
それさえあれば、日本人はいとも簡単に籠絡されてしまう。
そういう性質があるのだ。
そして、この麻薬蚊という兵器はものの見事に日本人の弱点をついた。
C国は大量に繁殖させた「麻薬蚊」を日本各地にばら撒いたのである。
事態が緊急かつ危険であると判断した日本政府はすぐさま、
緊急事態宣言を発令の、
「麻薬性毒を持つ蚊が大量に発生している為、
国民の皆様には、不用意な外出は控えて頂きたい」
と戒厳令を発した。
しかし、日本人は止まらなかった。
「蚊の方から寄ってくるから仕方がない」
「小さな蚊を防ぐ事は難しい。防ぐのは不可能だ」
そんな言い訳をしながら、多くの日本人が用事もないのに
湿度の高い草むらや雑木林をウロついた。
そして、口から涎でも垂らしていそうな程ダラシのない顔で
草むらや雑木林から出てくるのだ。
一度、知った快楽を求め、人々は夢中になった。
性犯罪や突発的な傷害事件が多発したが、
誰一人気にする様子も無く、薄着で辺りをウロついた。
日本人は瞬く間に麻薬中毒だらけとなった。
しかし、麻薬中毒者にありがちな麻薬を買う金欲しさに
犯罪に手を染めるという事態は起きなかった。
なんせ麻薬は雑木林や河原、藪に行けば
勝手に手に入るのだから。
ただ人は働かなくなり。
常に快楽を求め。
寝食も忘れてウロつく。
そういう存在となった。
その頃には取り締まる側の人間も皆、彼らに混じって
蚊を求め彷徨っていた。
日本はついに無政府状態と化す。
そんな悲惨な状況の中、街にC国の軍隊の軍靴が響いた。
表向きは、社会崩壊により困窮する日本国民を救う為。
事実はただの侵略だ。
危機的状況にも関わらず、
日本人は、ただ蚊のいる場所を求め、
彷徨い続けるだけだった。