顔整いは強いの法則です。
『星穹の線路』。
この学校の第一期生で、在学時からずっと告白され続けて、断り続けて。
卒業して、大学に進学して、卒業して、教師になって、また告白してきて、完全に根負けした現在の妻が作った、児童養護施設だ。
といっても、拓人に三七に、恒の三人しか、施設の子はいないがな。
「ヨウ先生。お待たせしました」
「あぁ。あまり気にするな。久しぶりだな。元気だったか?恒」
「えぇ。滞りなく」
星穹恒。
現
イケメンランキング一位を取れるくらいには美しい顔だ。アイドルとかやってけると思うぞ。
「………二人は、クラスメイトと過ごすそうですね」
「あぁ。三七は、坂柳有栖さん達と一緒に、イルミネーションに行くらしい。
拓人は、潮田くん達と二夜連続のクラスパーティなんだと」
二人がこうして、クラスメイト達と楽しそうに学校生活を送れているのは、ここが全寮制であることもまた、理由の一つだろうな。
家庭環境に問題がある生徒は、出願した場合、基本的に入学させている。
親元から三年間引き剥がして、自立できるだけの力を付けさせることもまた、成守さんの目的の一つだ。
成守さんはずっと、生徒の未来を想っている。
…………まぁ、現実との板挟みにあって、苦しんでいるがな。
「そう、ですか」
「恒は、そういうのは無いのか?」
「まぁ、はい」
「そう、か」
恒は、基本的に、人が嫌いだ。
それは、施設出身ということで、ずっとやっかみを受けてきたから。
恒にとって大切なのは、『星穹の線路』のみんなだけ。それ以外は、心からどうでも良いと、そう想っている。
「…………ただ、その」
「何だ?」
「────最近のクラスは、居心地が良いです」
「…………そうか」
子供の成長は、早いな。
「南雲が休学してから、朝比奈を中心に、生徒達は変わり始めています。
南雲に全てを背負わせて、潰れさせてしまったことを、悔いているのでしょう。
…………俺は正直、クラス間競争も何もかも、どうでも良かったんです」
そうだな。恒は、一人で未来を切り拓けるだけの実力を、入学当初から持っていた。
入試の成績は、確か三位だったか?
満点が卜部。一問ミスで、二位が南雲。そして、鬼龍院と同率の三位、だったな。
その上で、クラスに愛着も何も無かったから。
「でも、その。
本気で変わろうと、頑張り続けてきた朝比奈を見てると、俺も、何かをしたいような、そんな気持ちになります」
「…………そうか。それで?」
無駄話は基本的にしない。
何かを頼みたい時、何かを求める時、恒は、長話を始める。
「…………今回の特別試験、気持ち悪いくらいに、朝比奈の思考が読まれていました。
スパイがいる可能性も、排除出来ないくらいに」
…………成程。やはり二年生も化物揃いだったか。
二年Cクラスにも、一人出てきたようだな。メンタルトレースの使い手が。
…………こんなワゴンセールみたいにポコじゃか生えるものでは決して無いんだがな。
「────やはり、ヨウ先生は、心当たりがあるんですね」
「…………まぁ、な」
「教えてください。スパイでないなら、彼らは、二年Cクラスは何をしたんですか?」
「教えても良いが、それを知って、どうするつもりだ?」
「…………俺も、身に付けたいです」
「文字通りの命懸けだ。それでも、か?」
星穹恒は、思い出す。
体育祭で、南雲が倒れた時。
クラスは、騒然とした。
その後、心配するクラスメイト達に、大丈夫だと言い張って。無理を続ける南雲を見て。
……………俺は、後悔した。
嘗て、俺は、クラスのリーダーを務めることになった南雲に、ハッキリと言ってしまった。
『クラス間競争には興味がない、か?』
『あぁ。AクラスだろうとDクラスだろうと、自分の未来を自分で切り拓くだけの実力は、既に身に付けている。
わざわざ特権を求めるほどでもない』
『まぁ、それは別に良いんだが』
『だから、必要最低限のことしかするつもりはない。安心しろ。利敵行為になるようなことも、手を抜くようなこともしない。
だが、積極的に勝ちに行くことも、俺はしない。
そこだけは、理解してくれ』
『…………ま、分かったよ。代わりと言っちゃなんだが、定期テストでは手を抜くなよ?』
『あぁ。それは勿論』
俺は、人嫌いだし、競争も嫌いだ。
だから、態々恨みを買うような戦い方をする南雲に、正直嫌悪感を抱いていた。そこまでしなくても勝てるだろうと、そう思っていた。
…………卜部藤乃という少女の恐ろしさに、選挙の時にようやく気付いた。
それまでは、南雲に壊された被害者だと思っていた。
どう考えてもおかしいだろう。
何故、一年以上の空白期間を挟んでいるのに。まともな信頼も実績も無いのに。
初月からポイントを伸ばす、異次元のAクラスのクラスリーダーと。
一年生の一学期で、DクラスからBクラスまで昇格するような、歴代最高の元Dクラスのクラスリーダーと、殆ど互角に渡り合える。
何だ、この化物は。
……………これほどの化物だと、知っていたのか。南雲は。
確かに手段は選ばない。けれど、あそこまで悪意に満ちた罠を仕掛けるほど、悪辣な人では無かった。
当時は、それを俺の見る目が無かっただけだと、そう思っていたが。
もし、南雲が、この少女の恐ろしさを知っていたのなら。こうでもしないと勝てないと、そう思っていたのなら。
──────そして南雲が、このクラスの誰も彼もを、頼れなかったのだとしたら。
あの日以来、過剰なまでに勉強して、過剰なまでに鍛えるようになった朝比奈を、思い出す。
あの日以来、どんな命令でも、必ず、何としてでも達成するように、死力を尽くし続けていた影乃を、思い出す。
………………そうか。
二人は、それを知っていたのか。
そうして、俺の言葉を、思い出す。
『だが、積極的に勝ちに行くことも、俺はしない』
下駄箱に入っていた、髪や爪の入っていた手紙たち。
わざわざ聞こえるように、話してきた陰口。
身勝手な好意をぶつけてくる女子は嫌いだ。身勝手な悪意をぶつけてくる男子も嫌いだ。
可能な限り目立ちたくはなかった。
…………だが。
…………何の為に、俺は、勉強を重ねてきた。
…………何の為に、俺は、身体を鍛え続けてきた。
『恒。あんたは、何がしたいの?』
嘗て、施設の先生に。
星穹
俺は。
『みんなを、守りたい』
そうだ。
三七を守りたいから。拓人を守りたいから。この施設だって守りたいから。だってみんな、血の繋がりこそないが、家族だったから。
だから俺は、強くなる為に。守る為に。
────今の俺に。身勝手な理由で、南雲を傷つけた俺に、守れるのか?
…………俺は、確かに。
二年生でも、トップクラスの実力だとは、自負している。
俺と同格の総合力の持ち主がいるとすれば、鬼龍院か、南雲だけだと。
そう、もし、俺が。
俺が、最初から、南雲の力になると。
共に、戦うと、そう言っていたなら。
…………………もしもの話でしかない。もう既に、全ては終わったことだった。
それでも、あの日、コスプレ大会の準備の日。
堀北先輩の手引きで、クラスを訪れた南雲に、思わず、言ってしまった。
『その、すまなかった。南雲』
言った後で、すぐに気付いた。
謝罪は、ダメだったはず。
また、俺は───。
『気にすんな』
『……………気に、するだろう』
俺は、俺だけは、きっと。
助けになれたかもしれないのに。
『……………もしもの、話だ。
嘘は、着かないでくれ。
もし、俺が、最初から。
お前の力になると、そう言っていたなら。お前は───』
『……………まぁ、どっかで、手は借りてたかもな。
お前の実力なら、十分以上に、戦力になっただろうし』
『……………そう、か』
『だとしても、気にすんなよ。最終的に、選択をしたのは、俺だし』
『……………それでは、俺の気が済まない。
お前が戻ってきたのなら、俺は今度こそ、俺の全てを賭けて、お前の為に戦おう』
『……………俺の為じゃなくて、クラスのために、戦ってくれ。今から、この、クラスのために。
約束、してくれるか?』
『……………あぁ。
約束しよう。俺は今から、このクラスの為に、全力を尽くす、と』
俺もまた、本気で、戦う。
本気で、変わる。
人は嫌いだ。今も嫌いだ。競争だって好きじゃない。クラスメイトの大多数も、いまだに苦手でこそある。
それでも、南雲と、約束した。
ひたむきに、真っ直ぐ、進み続ける朝比奈を、眩しいと思った。
だからこそ。俺は。
「────えぇ。約束の、為にも。クラスの為にも。
俺は、命だって、賭けます」
「…………良いだろう。さて、早速授業を始めよう。
その生徒が誰かまでは分からないが、二年Cクラスの生徒が身につけた、特殊なスキル。
────メンタルトレースについて」
正直な話、おれが生徒会に入れたこと、未だに、堀北の判断ミスなんじゃないかって、そう思う。
単純な実力だけなら、おれよりもほむらの方がよっぽど上だったし。
アイツは、多分、絶対、間違いなく。性格でDクラスに落ちたんだろうが。
まぁ、それ以外で落ちる理由なんか無いし。
『今回の特別試験、相手は、藤乃ちゃん率いるBクラス、だね?』
『あぁ。宣戦布告されたからな』
『まー、藤乃ちゃんならそうするよね。うん』
卜部と、正面戦闘、か。
…………勝てるか?
『卜部さんかぁ。私あんまり知らないんだよね。ほむらは結構付き合いあるし、森くんは、今生徒会一緒でしょ?どんな感じなの?』
両沢の言うように、このクラスで卜部と関わりがあるのは、おれたちぐらい。
うーん。生徒会での卜部かぁ。
『始めたばかりの頃は、下校時間ギリギリまで仕事してたな。
ここ数週間で、だいぶ改善されたけど』
『ふーん。九十九ちゃんのお説教が効いたんだね』
『あー、うん。九重凄かったな』
数週間前のお説教は、結構凄かった。
三日分の仕事を一日で終わらせて、残りの二日の時間は、ずっと改革案の作成をしていたらしい。
アホだと思った。頭の良いアホだコイツ。
『あれから、一番早く仕事を終わらせるようになったんだよな』
生徒会の仕事は、放課後十五時過ぎから、大体二時間半程度。
実質的な部活動、といった形だ。
『ふーん。生徒会の仕事って、どんな感じなんだ?』
『あー、生徒の要望をまとめたり、各部への予算分配を提案したり、改革案を整理したり、
『……………それさ、生徒会でやる仕事じゃなくね?』
『あー、うん。堀北先輩の前までは、学校の方でやってたらしいけど、より生徒の要望をダイレクトに活かす為に、こう言う形になったんだとさ』
『ふーん。生徒会も大変なんだな』
軽いな。後藤のやつ。
まぁ、そういうところのお陰で、色々楽なんだけどな。
『ねぇねぇ森くん。最近の生徒会活動どんな感じなの?ちょっと気になるからさ、教えて?』
『あー、うん。
生徒会室に来た生徒から、それぞれの役職に割り振られた仕事をやって、その日の分の仕事が終わったら、もう帰っていいよって感じだな。
まぁ、なんだかんだ居心地良いから、完全下校時間まで駄弁ったり遊んだりしてるけど』
因みに完全下校時間は十九時である。
『良いなぁ。楽しそうで』
『さっきの話聞いてたの?施設の経営管理までやってるんだよ?絶対仕事量やばいって』
両沢の言う通り、最近はみんなも慣れてきたから、遊ぶ余裕も出来たけど、それまでは大変だったんだよな。
おれはまだ慣れてないから、一番仕事終わるのが遅いんだけど。
『─────その仕事ってさ、具体的にどんな順番で終わるの?最近は、さ』
『タイムスケジュール的な話か?
えっと、そうだな。卜部が一番早くて、いつも一時間で仕事終わらせるんだよな。それで、そこから大体五、六分で、浅野が仕事終わらせて。
そこから二人でチェスとかやってる。
で、次に綾小路が仕事終わらせて、そこからは三人でできるボードゲームとかトランプとかやってるんだよ。
次に早いのは、堀北と赤羽だな。ここはいつも殆ど同じ。そこからは五人で大富豪とか色々やってる。
その次は朝比奈だな。たまに五人に混ざって遊ぶけど、基本的には勉強してる。
で、雪村と櫛田が仕事終わらせて、二人で全員分の紅茶とか淹れてて、紅茶を淹れ終わる頃に、一之瀬も仕事終わらせて、全員に配って、そこから三人でお茶会始めてる。
意地でもお茶会に参加したいのか、始まる頃には須知が絶対に仕事終わらせてて、朝比奈も巻き込んで、五人でのんびり話してる感じだな。
で、大体五人でのお茶会が始まった頃に、榎中も仕事終わらせて、葛城以外の一年生男子でスマブラやりながら葛城煽ってる。堀北と卜部は一対一でチェスやってるな。
半ギレで仕事終わらせた葛城が、スマブラに参戦して、五人で大乱闘って感じだな。
おれはいつも二時間ぐらいで仕事終わらせて、そこから完全下校時間まで生徒会室でスマブラしたり、たまに運動部に乱入してスポーツしたりしてる感じかな』
『生徒会室でスマブラやってんのかよ。楽しそうじゃねぇか』
『たまにマリカーとかスプラもやってるぞ?』
『うっわ。俺も生徒会入りてー』
『後藤くんは完全下校時間までに仕事終わらないと思うよ?』
『おいほむら。俺のことあほだと思ってない?』
『あほでしょ』
『あほよ』
『まぁ、あほだな』
『安心しろよ後藤。お前はあほだ』
『みんな酷いっ‼︎』
現Dクラスの暫定首脳陣、花咲ほむら、森悠政、両沢眞子、社佑の全会一致により、後藤圭はあほであるとの結論に至った。
(…………ふーん。森くん、二時間で庶務の仕事終わるんだ。
────それがどんなにヤバいことなのか、本人自覚ないの面白いな)
嘗て、浅野学秀に聞いたことがある。
生徒会の仕事は、どういうものなのか、どれくらい時間がかかるのか、と。
『そうですね。僕はいつも一時間と少しで終わっていますが、今やっている副会長の仕事は、
一番仕事量が少ないのは庶務ですが、
森はまだ仕事に慣れていないので二時間も掛かってしまうが、慣れれば九十分程度で終わる。
(うん。森くんなら、ここから死ぬ気で仕込めば、九十九ちゃん抑えられるぐらいにはなるかな)
さて、今日から死ぬ気で特訓を始めようか。
その前に、いったん試験対策の話し合いに戻ろう。
『卜部に勝つってのは、南雲に勝つってんなら、超えなきゃいけない壁だろ?南雲に負けたやつに負けるようじゃ、南雲に勝つなんて、夢のまた夢だし』
…………そうだ。
確かに、後藤の言うように、卜部は、南雲に負けた。
そう。そう、なん、だが………。
『馬鹿かよ。どう考えてもヤベェのは卜部だろうが』
『はぁ?何言ってんだよ?』
社の言葉に、花咲は、満足そうに笑っていた。
『いや〜〜お友達が褒められると嬉しいね〜。────それで?何で社くんはそう思ったの?』
『選挙であの浅野と堀北とやり合ったのもそうだが、一年生の無人島試験と船上試験でのアイツの敗北、あんなの事故みたいなもんだろ』
そうだな。まさかあんな事件が起きるなんて予想外だっただろうし、振り回されて真っ当に実力を出せなかったんだろうな。
『………まぁ、分かるわ。あんな事件が起きた後で、真っ当に戦えるわけないもの』
『そんで、もし、仮に、あの事件を、南雲が仕込んでいたんだとしたら?』
『いやいやいやいや。流石の南雲でも、そこまでやらんだろ』
………いや、でも、そうか。
『───社は、南雲が倒れたのは、罪悪感のせいだと、そう思っているのか?』
『それ以外ねぇだろ。アイツが過労でぶっ倒れるタマだとは、オレは思えない』
まぁ、過労も要因の一つでこそあるだろうが。
それでも、確かに。社の推理は、筋は、通っていた。
『んで、正面戦闘でも死ぬほど強いアイツが、そこまでしなくちゃ勝てないって、そう判断したってことだぞ?
自分で自分を追い詰めるくらいに、罪悪感を抱えるような一手で。
──────あの、南雲が、そこまでやって、まともに戦えない状況に、追い込まなかったら、勝てないって、そう判断したってことだぞ?
どう考えても卜部の方がヤベェだろ』
『………………いやまぁ、社の言いたいことも分かるんだけど、さ。
ほら、南雲のやつ、一学期の終わり際から無人島試験直前までさ、やけに卜部と仲良くしてたじゃん?』
あー、うん。
それまでバチバチだったのに、ちょっと意外だったな。
『もし社の言うように、南雲があの事件を仕込んでいたならさ、仲良くなったのは、まず間違いなく卜部の警戒を外す為になるだろ?
そんなの実質ハニトラじゃん。
俺嫌だよ?南雲がハニトラして勝ったって結論』
空気が、凍った。
両沢は、そっと、天を仰いで。
社は、凍り付いて。
おれは、眉間を揉みながら、一旦整理して。
ほむらは、大爆笑してた。
そう、かぁ。
一旦端末で、ハニートラップについて調べる。
ええっと、何々。
ウィキさん曰く、スパイが色仕掛けを用いてターゲットに近づき、機密情報を聞き出したり、弱みを握って脅迫したりする諜報活動のことです。
…………まぁ、色仕掛けはしてないし、ハニトラでは、無いと、思う。
『いや、色仕掛けだけがハニトラって訳じゃないだろ?
相手に好意やら親近感やらを持たせて、警戒を緩めて、弱点を聞き出したり、突いたりする訳で。
南雲のやったことって、実質的なハニトラじゃね?』
『やめて。それ以上口を開かないで』
『…………オレの推理間違ってたことにならないか?』
『いや、その、これに関しては、後藤の軽はずみな言動のせいだと思う。
社の推理は、その、合ってるはず。うん』
『その結論が余りにも認め難いんだよ‼︎
なんだよハニトラって‼︎オレらそんなのに負けたのかよ⁉︎』
『あっははははははははは‼︎待って、はははははっ、お腹、痛いぃ、くくくくくくくっ』
まじで、後藤は、さぁ。
お前本当に。本当に、さぁ。
ほむらも笑い過ぎだろ。あのな、割と真面目に洒落にならない被害が出てるんだぞ?分かってるのか?コイツら。
……………はぁ。
『はー、はー、ふー。
よしよし、それじゃあ、南雲のハニトラに引っかかって負けた藤乃ちゃんに、勝つための作戦を考えよう!』
『あんた友達でしょ?それで良いの?』
『面白いからいーのっ‼︎』
『絶交されても知らないわよ』
本当にそれな。
マジでどうしてくれんだよ。生徒会で顔合わせんのキツくなっちまっただろうが。
『ふー、落ち着いた。ま、ハニトラ云々は、ぶふふっ、置いとくとして。
藤乃ちゃんは実際、わたしらの学年で最強なのは間違い無いよ?わたし藤乃ちゃんに勝率四割しか無いもん』
『……………思ったよりもあるくね?』
『アホは一旦黙ってろ。オレも両沢も、コイツに勝率二割切ってんだ。二割あんのは森だけ。
それを踏まえれば、オレらと卜部の力の差がよくわかんだろ』
『卜部はほむらの1.5倍強い。そしてほむらは、おれの四倍は強い。単純計算で、卜部はおれの六倍強いってことか』
『あー、補足で説明すると、四割ってのは、通算での話ね。
つい最近吹っ切れるまで、本気出せてなかったから。
直近一ヶ月だと、大体二割ってところかな?』
『……………お前先にそれ言えよ。話だいぶ変わってくるじゃねぇかよ』
『……………単純計算で十六倍か』
『えっへへへ!みんなの困った顔見れるから、こっちの方が面白いかなって!』
『……………クソガキ』
両沢がクソガキって言った………⁉︎
『Bクラスは三十九人で、Dクラスは二十八人。
藤乃ちゃんはわたしの四倍は強くて、わたしはみんなの四倍は強い。
そしてBクラスには、わたしが勝率五割の九十九ちゃんもいて、九十九ちゃんと同じくらい強いらしい鬼龍院もいる。
そこに加えて、わたしの次に強い森くんと同レベルかそれ以上の桐山に神里に雲雀。
うん!量でも質でも完敗してるね!勝てる気しないわ!』
『お前もうほんっとに…………』
『現状を理解しないと!』
『で、打開策は?』
『勿論あるよ!』
『あんのかよ』
まず森くんには、わたしと五割のところまで来てもらいます。
『えっ』
…………まぁ、負けたんだけどな。
恒くんは大体鬼龍院とか高円寺みたいな感じですね。実力はあるけどやる気はない。
後々面倒ごとになりたくないので、先んじて競争には参加しないって宣言した感じですね。その結果がこれですが。
現時点での生徒会の仕事量!※改革期なのでいつもより増えてる。
庶務。→一般生徒だと十二時間。
森はまだ慣れていないので二時間も掛かる。
書記。→一般生徒だと十三時間。
榎中はある程度の生徒会経験もあるので一時間四十五分程度。
須知は死ぬ気でお茶会に間に合わせるので一時間三十五分程度。
広報。→一般生徒だと十三時間。
茅野は普通にこなして一時間二十五分程度。
一之瀬は慣れもあって一時間三十分程度。
会長秘書。→一般生徒だと十五時間。
櫛田は普通にこなして一時間二十五分程度。
生徒会監査。→一般生徒だと十七時間。
朝比奈は次の日も早めに終わらせる為に翌日分も少しだけやっておくので、一時間十五分程度。
会計監査。→一般生徒だと二十二時間。(施設の経営も関係している為)
赤羽はのんびりこなして一時間十分程度。
会計。→一般生徒だと二十二時間。(会計監査と同じく)
浅野は真面目にこなして一時間五分程度。
葛城は真面目にこなして一時間五十分程度。
副会長。→一般生徒だと二十五時間。(一日超えちゃった)
卜部は翌日分も少しだけやっておくので一時間。
綾小路は完全に未経験なので一時間七分程度。
会長。→一般生徒だと三十時間。(また一日超えちゃった)
堀北は慣れもあって一時間十分程度。
改革期以前との目安としては大体二時間のプラス。
一之瀬。浅野。堀北。元生徒会一年は終了時間に変化なし。
元会計。桐山は二時間。丁寧にこなしている為。
元副会長。南雲は一時間五分。死ぬ気で学び続けた結果。
元広報。金織は一時間五分。
元会計監査。神田も一時間五分。※会長代理時も変化なし。
元会長秘書。橘は一時間十分。
元会長。堀北学は五十分。翌日分も半分程度はやっておく。