ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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邂逅!ラディッツ!

 

「よし、準備万端、と!」

 

 せっかく悟空君が見聞を広める旅に出ているのだ。

 俺もちょっと周りを覗きに行くいい機会である。

 

 ここに来て6年ほど。

 そろそろ相手の探知対策も形になってきたところだ。

 

 実は、ここに来てからずっと妙な奴が俺のことを探しているんだよな。

 向こうの術理なので詳しいことはわからないが。

 おそらくは宇宙中の条件に合う奴を上からピックアップしていくタイプの力だろう。

 どこか機械的というか、管理者側の権能のように思える。

 

 あの怖げな猫が「ウイス」と呼んでいた男の術だろう。

 あれがある限り、俺は下手な動きができない。

 

 だが、俺もただ隠れ潜んでいたわけではない。

 「夢と幻の外套」と名付けた術により、すでに俺の姿はおおむね隠れている。

 この星を隠れ蓑にしなくても、外での活動が可能というわけだ。

 

 というわけで、俺は現在アタックボールを弄っている最中である。

 荷物を置いて、最終確認を行う。

 

「えー、この記載がこうだから、つまり逆算して母星はここ。………やっぱなにもないやんけ」

 

 俺がポッドを魔術で復旧して、そのシステムを読み解いていく。

 

 それは一人用として極限まで作り込まれている。

 この小型の形の中に自動航行システムや長期睡眠機能、大気圏突入と着陸まで素人でもこなせるだろう。

 宇宙人の自家用車、イ=ス人とは別方向の技術力の粋と言えよう。

 

 だが、記録を辿ってみても、このポッドの出発地点に星らしきものは何もない。

 なにかデブリが大量にばら撒かれているだけだ。

 大規模な破壊の跡、とでも言えようか。

 

 もしかしたらあの猫みたいな生き物が沢山いて、ここらを気まぐれに壊したのかもしれない。

 恐ろしいことだ。

 

 俺はそっと一人で震えた。

 

 だが、これは困ったことになったものだ。

 できれは悟空君が戻ってくる頃には彼のルーツを突き止めておきたかったのだが。

 早くも頓挫してしまったようだ。

 

 他に当てがあるわけでもないので、ひとまず行くだけ行ってみようか。

 

 俺の権能を起動して、何も無い宇宙空間に焦点を合わせる。

 

 権能とは神が持つ権利、己のルールそのものだ。

 俺の持つ権能は多少複雑だが、概ね「移動」を司ると言えよう。

 

 だから星から星への移動もひとっ飛びとなる。

 

 家の戸締りを最終確認。

 内側を自動で清掃する魔術を展開してから発射準備OK。

 

 

 にゅーーーん、と大跳躍を果たす。

 

 

 そこは、周辺をふわふわと岩石が舞うばかりの空間であった。

 何か機械の残骸がないかも探したが、何もかも星ごと吹っ飛んでいて見つかりそうもない。

 

 やっぱり無駄足だったかあ、と肩を落としかけたその時。

 

 空を宇宙船が飛んでいくのが目に入った。

 アタックボールと同型らしき、多少古いが整備の行き届いた船だ。

 間違いなく同じ文明圏の船だと思われる。

 

 宇宙を征くにしてはかなり速度が遅い。

 この辺に……いや、隣の惑星に着陸しているのだろう。

 

 俺はこっそりニョロニョロ、その宇宙ポッドの後を追った。

 

 隣の惑星は穴だらけだった。

 距離が近かったから、おそらく破壊された惑星の破片が大量に激突したのだろう。

 穴だらけ砂煙だらけの寒い星であった。

 

 遠く砂煙に紛れて見守る。

 着陸した宇宙船の中から出てきたのは、モコモコに着込んだ一人のサイヤ人であった。

 妙なモノクルのようなものを付けていて、それで周囲を確認している。

 いや、あれが噂のスカウターというやつか。

 

 んん?

 「戦闘力たったの5か。ゴミめ…」の人か?

 似てる気がする。

 

 ゆっくりと、警戒されないように横から視界に入るように近づいていく。

 俺の姿に気づいた男が尊大に首を傾げた。

 

「なんだ貴様は」

「旅人だよ。この妙に荒れ果てた惑星に偶然立ち寄ったら貴方がいたから、声をかけただけさ」

「馬鹿なのか、貴様は。この戦闘ジャケットが見えないのか……いや、これでは見えんな」

 

 自身がモコモコに着込んでいるのに気づいたようだ。

 うむ、と少し恥ずかしそうに男は頷いた。

 

 これからニタリと凶悪に嗤ってみせる。

 

「俺はフリーザ軍に所属するサイヤ人だ。これがどういう意味かわかるか?」

「お、貴方もサイヤ人なのか。奇遇だな、俺が面倒見てる子もサイヤ人でさ。少し話を聞きたいんだ」

 

 にこっと愛想よく笑いかければ、「なんだと!?」と男が目を見開いた。

 

「それは本当なのか!?俺たち以外に生き残りがいたのか!」

「生き残り…何があったのかは知らないけど、俺と暮らしてる子はサイヤ人で、今も生きてるよ。あの砕けた惑星って、母星になにかあったのか?」

「巨大隕石が衝突して破壊された。俺を含む数人は偶然助かったが、ほとんどのものは星と共に命を落とした」

 

 随分と壮絶な話だ。

 俺がごくりと生唾を飲むと、男は「それで、この星には定期的に遺品が漂着していないか探しにきている」と言葉を締めた。

 

 だから一人でこんな何もない星に来ていたのか。

 男は咳払いしてからジロリと俺を見た。

 

「それで、生き残りのサイヤ人はどこにいる?」

「俺が仮住まいしてる、その宇宙船だとここから六日ぐらいは離れた場所の星だよ。案内するけど、できれば略奪も殺戮も無しにしてほしいな」

 

 俺は眉を下げて頼み込んだ。

 明らかに男は昂っていたし、サイヤ人の気性を思えば心配だったからだ。

 悟空は頭を打ったから多少大人しくなったと聞いているが、元はあれは結構乱暴な種族だったと俺は想定している。

 

 男は悪辣にせせら笑った。

 

「貴様を殺して、その宇宙船を奪えば済む話だ。サイヤ人の子を迎え、手始めにその星を滅ぼす」

「血気盛んだなぁ。平均的なサイヤ人ってみんなそんな感じ?」

「俺は大人しい方だ」

 

 割とマジレスだった。

 ちょっと面食らって、しょっぱい顔になってしまう。

 戦闘は避けられそうにない。

 男の顔は「返答はどうあれお前を嬲る」と言っていたからだ。

 

「なら仕方ない、相手をしよう。彼我の力量差がちゃんと分かったら大人しくついてきてくれよ」

「なよっちい見てくれにしては大きく出るな。教育しがいがあるというものだ!」

 

 まず挨拶代わりの拳が一発。

 

 俺は無造作に人差し指一本でそれを受け止めた。

 ドラゴンボールといえばこれ、みたいなイメージがあったからだ。

 人間相手にこれをやると相手の拳に負担がかかり過ぎるからやらないが。

 サイヤ人なら問題なかろうよ。

 

 男は目を見開いて俺を凝視した。

 

「戦闘力、0だと?死体か何かか貴様!?」

「生きてもいないし死んでもいない。それが旧支配者ってもんさ」

 

 再び拳が放たれ、それは連撃となって俺の無防備な腹へと叩き込まれる。

 何か超巨大なブニブニしたものを殴ったような感触が男に伝わる。

 

 俺は小揺るぎもしなかった。

 

 地面からずろろ、と触手が立ち上がる。

 超高層ビルの如き、雲を突く巨大な触手が5本。

 細かな触手を伴って、男を取り囲む。

 

 男は呆然と硬直したようだった。

 

「ええっと、俺の自己紹介がまだだったな。俺はハスタ。見ての通り、君より強いナニカだ。君の名は?」

「………あ、ありえん…!俺はサイヤ人だぞ!辺境惑星の獣などに気圧されるなどっ!」

 

 構え直して果敢に飛び上がり、一番太い触手へと突貫していく。

 

 どうやら全力の攻撃を叩き込むつもりらしい。

 その威力は凄まじく、地球ならば十分に蹂躙できる、都市を破壊するレベルの凄まじい強さだった。

 地球の神程度なら手も足も出ないだろうとも思わせる。

 

 でも、俺にとっては誤差の範囲内。羽虫に過ぎない。

 触手にきちんと張った表皮は厚く強固で、なんの痛痒にすらなりはしなかった。

 

 優しく優しく、できる限り手加減した上でペシっと触手で跳ね飛ばす。

 

 男はピンボールのように跳ね飛ばされて、岩に激突。

 飛び出た岩の柱が崩れる音が響いた。

 流石にちょっとやりすぎたか。

 

 男は「ご、は………」と喀血して倒れ伏した。

 

 流石に可哀想なので素早く治療魔術をかけてやる。

 体が軽くなったことを察して、男は苦虫を噛み潰したように顰めっ面になった。

 

「き、貴様……何を……」

「俺との実力差は分かったろ?俺としてもサイヤ人の文化とか聞きたいから殺すつもりはないよ。で、まだ戦う気はある?」

 

 長い沈黙を挟んで、男が嘆息する。

 

「ない。このスカウターの故障で貴様の戦闘力は分からんが、尋常でない強さなのはわかった。好きにするがいい」

「故障してるのそれ?まあいいか。抵抗しないならよし」

 

 俺はほっと息をついた。

 悟空君と同じ種族を痛めつけたら嫌われてしまうかもしれないし、無事に済ませられたならそれ以上のことはない。

 

 俺は寒さを凌ぐための魔術の炎を灯し、焚き火の姿勢に入った。

 椅子を二脚取り出して、片方に座る。

 男は思ったより素直にもう片方の椅子に座った。

 弱者は何をいう資格もないと思っているらしい。

 

「まず名前だ名前。事情聴取の基本だな。君の住所と名前を教えて」

「……ラディッツだ。今はフリーザ軍に身を寄せているから、定住している場所はない」

「ふむ。この星には遺品を探しに来てたんだよな。悟空、じゃなかった。カカロットって名前に聞き覚えはあるか?」

「カカロットだとっ!?!?」

 

 いきなりカッと目を見開いて、ラディッツとやらが立ち上がった。

 俺の胸ぐらを掴もうとして、すんでのところでやめて座り込む。

 

 俺が無礼に憤って睨みつけたら怖くなってしまったらしい。

 ガタガタと青ざめて震え出した。

 

 すまんやで。

 でも羽虫が人の胸ぐら掴んじゃダメなんやで。

 

「知り合い?」

「……俺の弟だ。飛ばし子として他の惑星の侵略のために送られていたが。そうか、無事に現地種族を皆殺しにして星を支配できたんだな」

 

 若干ほっとした様子で息を吐く。

 だが言ってることはすんごく物騒だ。

 

 お前今人間を皆殺しにするって言った???

 

 ラディッツはまた小さくなってしまった。

 ハリネズミみたいなか弱き命であることよ。

 

 などと言っているうちに俺の魔術がアラートを鳴らす。

 探知の術式を検知したのだ。

 

「げっ、もうバレた!!」

「な、なにがだ?」

 

 ラディッツが突然慌て出した俺の様子に困惑している。

 

 新技「夢と幻の外套」の寿命も短かったな。

 地球は雑多な命がノイズになって多少のことではバレにくい。

 しかしこういう閑散とした場所だと、俺が僅かでも顕現すれは検知されてしまうということか。

 

 しかも今回、地球じゃないからって余裕ぶっこいてちょっとデカめに顕現したからな。

 

 凄まじい速さで迫ってくる位置情報に、俺は素早く撤退を決めた。

 アデューのポーズを決めてさっさと走り出す。

 

「また用ができたら会おう!俺は逃げる!ラディッツ君も五分以内に星から脱出しないと命はないぞ!」

「は!?!?おい待て、どういうことだ!」

「さらばだ!!」

 

 

 

 一時間後、隠れて俺が再びその星を覗き見ると、綺麗さっぱり消滅していた。

 猫が出たんだ。怖いね。

 悟空君のお兄さんも無事ヒイコラ言いながら脱出できた模様。

 

 よかったよかったと胸を撫で下ろし、俺は今晩のご飯を何にしようか考えるのであった。

 





・ラディッツ
ラディッツが多少情に厚い世界線。
でも別にいい奴なわけではないので、腑抜けた悟空に憤って100人殺してもってこいとは言うタイプ。
同時に情に厚いので、完遂すれば「急に脅して悪かった。お前のことが心配だったんだ」と謝って色々丁寧にサイヤ人の常識を教えてくれる。

・猫
あっあいつまた逃げたのか!
星破壊しとこ!!!
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