思い浮かんだので続きです
最後別キャラ視点あります
「…ほら、着いたぜ」
暫く夜空の旅を体験していると、森の上を通過し、廃墟のようにも見える苔やツルに覆われた家の前へと到着した
俺は跨っていた箒から降りると、ガクリと片方の膝が抜ける
膝が抜けたのは長い間空を飛んでいたから力加減を間違えた訳ではなく、この森に入って身体の感覚がおかしいから
魔法の森…だったか?魔理沙が言うには瘴気か何かが常に発生してるから一般人が入ると体調不良になるらしい
先程から少し身体の平衡感覚がおかしい、目眩もするし力も抜ける…これが瘴気によって起こる体調不良か?
「ッ…!」
「大丈夫か?無理するなよ?」
「心配するな、余計なお世話だ…一人で歩ける」
心配して近寄るを魔理沙に手で牽制してきちんと立つ
だが身体というのは正直なもので、気をつけなければ再び膝が抜けたり、転けることになるだろう
少し瞼を閉じ、軽い深呼吸をして魔理沙の方を見る
「それで…ここがお前の家か?」
「あぁ、そうだぜ。案内するが…本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって言ってるだろ…」
「そうか…」
心配そうな声で話し掛けてくる魔理沙にイライラとした声色で返す
魔理沙は俺の様子をみて納得してなさそうだが、自分の家へと向かって行った
離れたか…はぁ、気分が悪い
瘴気が常に発生しているのならここに入ればいるだけ瘴気を吸い込むことになるだろう
建物に入ったら軽減…でもできればいいが
今の気分は正直最悪だ…脳は直でシェイクされ、耳元で爆音を聞かされたような、そんな感覚
頭は痛く、耳鳴りは起こり、平衡感覚はまともに機能していない
今、歩こうと前に出た瞬間、そのまま受け身を取れず転ぶ自信がある
体調の悪さから、呼吸が浅くなってきた頃、それは訪れる
どこからか、そよ風が吹きつけ、俺を包んだ
それと同時に俺を蝕んでいた不調が嘘のようになくなる
…
俺は右側頭部に着けている逆さとなったあわじ結びの髪飾りを撫でる
「…ありがとう」
誰にも聞こえないような小さい声だったが、微かに藤の匂いがした
「家の鍵開けてきたから早く入…ん?お前さっきより顔色良くなかったか?」
「知らん、それより今日は早く寝て神社に行くぞ」
「あぁ…それもそうだな」
解錠して戻ってきた魔理沙は完全に元に戻った俺の様子を見て不思議そうにしている
だが、何が起こったのか教える気のない俺は魔理沙を置いて魔理沙宅へと歩み玄関の戸を開ける
「お邪魔します」
玄関へ入ると、古木の臭いとほこり臭さが鼻を突き抜ける
次に、ぼんやりと見える辺りにの床を見ると、散らばった小さなゴミが目に入る
…長年掃除をしていないのだろうか、とても清潔だと思える環境ではなかった
「汚いな」
「おい!思っても言うんじゃない!私だって乙女なんだぜ!?」
「部屋はどこだ?」
「おい!無視するなよ!」
魔理沙の声を無視して中へとどんどん入っていく
何を言っても届かないと諦めたのか、魔理沙は「案内するぜ」と言って先を歩く
魔理沙についていく途中、いくつか部屋の扉が開いていたのでその中を見てみたが、どこも本や紙などが散乱しているのがうっすらと見え、とても人が生活している家には見えなかった
「ここが普段生活している場所だ、そこのベッドで休んでくれ」
魔理沙に案内された部屋は先程から見えていた部屋よりもいっそう酷く、使われているであろう机には実験道具のようなものと紙が、床には本や紙の他にも植物の葉や空になった小瓶などが散らかっていた
指を指しているベッドも、他よりは綺麗だが本が数冊置いてある
コイツ、生活力皆無なのか?
「なぁ、客室はないのか?」
この部屋で過ごすのは流石に嫌なので、魔理沙に別の部屋がないか聞いてみる
「ないな…というか、誰か人を招くこと自体がなかったから他は空き部屋なんだよ。ベッドもこれしかない」
「…汚い部屋で1夜明かさないといけないのか」
「う、うるせぇ!掃除はまとめてやる派なんだよ!」
「そうか、俺は適当な空き部屋で寝るからお前はここで寝ろ」
コイツを相手にするのが疲れた俺は、適当に返事をして部屋を出ようとする
ここより散らかり具合がマシな部屋があったので、そこで寝るとしよう
「いやいや、流石に客人を床で直に寝かせる訳にはいかないだろ。私は別に平気だからここを使えって」
しかし、それに気付かない
…コイツには人の言いたいことがわからないのか?
割と眠くてイライラしていることもあり、俺は強めに言葉を返す
「言いたいことがわからんか?こんな汚い部屋で過ごしたくないって言ってるんだよ、幽霊でも住み着きそうな廃墟だぞここ」
「お前、泊めてもらう人に失礼すぎるぞ!部屋が汚いのは確かに…その、悪いけどよ…だからって言い過ぎだ!」
「知らん、片付けていないお前が悪い」
さっさと寝かせてくれ…
俺が怒りと疲れでそう思っていると、魔理沙はまとハズレなことを言い出す
「…はは〜ん?さてはお前、この魔理沙ちゃんが使ってるベッドだと緊張して寝れないんだろ?」
「…あ゛ぁ゛?」
「こんな可愛い女の子が普段使ってるベッドだから、匂いが気になっちゃうんだよな?わかるぜ、男なら仕方ないことだろうし…だけど安心しろ、お前が私の匂い嗅いだって別に気にしないからよ!いや、多少気にするし必死に嗅いでたら流石に少し引くけど…」
…コイツは一発殴っても、多分許されるんじゃないだろうか?
しかしまぁ、暴力沙汰を起こして面倒なことになったら困るのでこちらも言葉で返す
「お前みたいな奴の匂いに緊張?ハッ、する訳ないだろ。現実見ろよ、お前からはこの家のように古木みたいな臭いがしてたまったもんじゃねぇよ。勝手に想像して自己解決するのは結構だけどよ、的外れなことを言って決めつけてくるな」
嘲けるように言いながら魔理沙の言葉に反論する
俺の言葉に「嘘っ!?」と言いながら自分の臭いを嗅いでるような動きをする
嗅ぎ終わったのか、魔理沙はこちらへ右腕を突き出してきた
「お前!女の子に向かって臭いとか、そういった言葉は禁句だぞ!これでも匂いには気にしてるんだからな!?」
「知るか、さっさと寝て明日にでも部屋を掃除するんだな」
もう魔理沙と向き合うつもりもないので、さっさと部屋を出て近くの空き部屋の扉を開ける
部屋には床に本や紙が散らかっているのは予想していたので、何の反応をすることもなく
部屋の隅へ向かい、腰を下ろす
そしてそのまま首を下に向けて、瞼を閉じて状況の整理をする
(星空眺めてただけなのになんで幻想郷とかいう変な場所に飛ばされたんだか…しかも失礼な奴にも出会うし、散々な日だ
…それにしても、空を飛ぶ箒か…流石に夢だろう)
俺は今日起こった出来事が夢であることを願い、深い眠りに意識を落とした
目を開けるとそこは、現代のような都市が逆さとなり空に浮かび、逢魔が時を連想させるような赤い夕暮れ時の現実離れした空間だった
俺は魔理沙と出会った時のように動揺はせず、前にある小さな祠へと歩く
やがて祠の前へ足を止めると、閉じていた扉を開ける
そこにはヤマガカシのような、赤と黒で構成された一松柄の蛇がとぐろを巻いた像が鎮座している
俺は目を閉じ、その像に手を合わせる
暫く手を合わせていると、後ろから鈴の音と共にふわりと風が吹いた
この鈴の音と風は
俺は目を開けると合わせていた手を下ろし、後ろを振り向く
そこには、160くらいの大きさの少女が立っていた
少女はショートボブのような髪型で、綺麗な黒い髪の所々に赤い髪が混ざっている
服は黒い留袖には所々、赤い梅の花があしらわれている
彼女は黙ったまま
俺は彼女に向かって優しい口調で言葉を話す
「久しぶり」
「うん、久しぶりだね」
俺が話かけると、待ってましたといわんばかりにすぐに言葉が返ってきた
「最後に会ったのは高校入学した日だったっけ?」
「そうだね、あの時よりちょっと背伸びた?」
「そうかもな、まだ成長が止まった訳じゃないから」
俺に近付いて、自分と俺の頭に手を置いて背比べする彼女に軽く笑う
彼女は「あっ」と何かを思い出したような声を出し、その後すぐに頬をぷくりと膨らませた
「▒▒▒、また危ないことしたでしょ」
「危ないことはしてないけど、少し訳あってちょっと危険な場所には…」
「もう!私がいないと死んでたかもしれないんだよ?」
「本当にごめんって、特殊な事情があって…」
「へぇ〜?じゃあ聞かせてくれない?」
俺の言葉を信じていないのか、疑うような口調で訳を話せと言ってくる彼女
俺は幻想郷へ迷い込んだこと、魔理沙のこと、魔法の森での体調被害など全てを包み隠さずに話した
すると、彼女は納得したのか「大変だったね」と言いながら俺の頭を撫でる
「…くすぐったいからやめてくれると、助かるんだけどなぁ?」
「ダメでーす、私を心配させた罰だと思ってくださーい」
随分と可愛らしい罰だな、そう思いながら大人しく撫でられる
彼女について軽く紹介しておこう
彼女は蛇の神様だ
昔、地元の山の中にある神社の境内で弱っていた蛇を助けたら色々訳あってこうなった
何も信用できず、敵にしか見えない中で彼女だけが俺の味方であり、助けてくれる
彼女も俺を好いてくれており、頭に着けている髪飾りも彼女からのプレゼントである
「…それにしても、大変だね」
「まぁね、君が心配するようなことが起きないように善処はするよ」
「本当に?」
「本当本当」
「うーん…まぁ信じてあげる」
「ありがとう」
「そろそろ時間だから、また次の時に話そうね」
「そうだな、また話そう」
「…早く死なないでね?」
「
俺の言葉を聞いて彼女が笑みを浮かべた瞬間、ピシャリと強く戸が閉じる音と共に視界が暗転した
…鳥の囀る声が聞こえる
俺は目を開け、辺りを見る
窓からほんのり光が差していて、物が床に散らばった部屋がよく見える
どうやら夢ではなかったらしい
今何時だ…?
ポケットの中のスマホを確認…しようとしたが夜空を見に行く時は家に置いていることを忘れていた
家に戻ってないんだから、そりゃスマホもあるわけないか
諦めてその場を立ち上がり、部屋を出る
昨日の魔理沙の自室を覗いてみると、魔理沙はまだ寝ているようで綺麗にされたベッドの上でじっとしている
「…朝飯でも作っておくか」
一応、一晩泊めてもらった訳だから朝飯くらい作っておいてやろう
そう考えていると、ふと彼女の机が気になった
朝になったことでいっそうごちゃごちゃとしているのがわかる机
俺は魔理沙を起こさないようにそっと机に近付いて、その上にある物をみる
「よくわからない文字列に注意点やらなんやら書き込んでるな
こっちは漫画か何かの技の研究か?」
そこには見たことのない言葉で書かれている本や、似たような言葉の文字列にポイントや注意点を書き込んでる紙などが置いてあった
「…見たところで何もわからなんな、それよりさっさと朝食でも作るか」
俺はすぐにその場を離れ、キッチンを探す
部屋数は多くないのでキッチンはすぐに見つかり、食材を入れているであろう冷蔵庫を探す
探すが…見当たらない
その代わりに大きめの木箱が置いてあり、その中にキノコが大量に入っていた
…コイツマジか
俺は魔理沙の食材の管理方法と、そのあまりの偏りに絶句しながら朝食を作るのだった
「んぅ…あ?もう朝か」
外来人を保護した翌日、私はベッドで目が覚める
…そうだ、あの失礼なやつ。こんなにふかふかで綺麗な私のベッドを汚いなんて言いやがって、後で文句言ってやる!
段々と意識がはっきりとしてきて、不意に「きゅう…」とお腹が鳴る
…アイツがいなくて助かったぜ、聞かれてたら恥ずかしいし
そう思いながら私はキッチンへと向かう
「…ん?なんか良い匂いがするな」
私が拾ったキノコにこんなに香りを放つものなんてあったか?
不思議に思いながらキッチンへ入ると、テーブルにいくつかのキノコ料理が置いてあった
どうやら先ほどから漂っていた良い匂いの正体はこのキノコ料理だったようだ
「だとしたらアイツはどこ行ったんだ?ここにはいないっぽいが」
私が料理した訳がないので、おそらくあの外来人がこの料理を作っているはずだ
なのに外来人の姿が見えない
…まさか魔法の森に?
そんな訳ない、と言いたいが昨日からあの外国人は自分と関わることを極度に嫌っていた節がある
それに、私が野宿の危険性を説いても野宿をすると言い張る奴だ…朝起きて森を歩いてるなんてこともありえる
そう思っていると、ガチャリと扉が開く音が聞こえた
私は早足で玄関へ行くと、そこには例の外来人の姿が
やっぱり、勝手に外に出ていた
「お前、魔法の森は危な……ッ!?」
私はこの外来人がどれほど危険なことをしていたのか怒ろうと近付き、気付いた
左腕が血塗れになっていた
左腕の肉が抉れており、上半身には緑色の液体が飛び散っていることから何かに襲われたのだと確信する
私は怒りを忘れて男を心配する
「お前、大丈夫か!?それにその腕…誰にやられた!?」
「うるせぇ、飯食ったならさっさと行くぞ」
「い、いやいやいや!霊夢のところに行くよりもその怪我をどうにかしないと…」
「平気だって言っているだろ、行くぞ」
「…まだ、朝飯は食べてない」
「そうか、なら食ったら教えろ。そしたら行くぞ」
「…わかったよ」
心配の言葉を邪魔だと言ってくる男
いつもならもう少し何か言い返すのだが、何故か私は言葉が出なかった
アイツの目を見て、返せなかったが正しいか
私を見ていたその目は、無機質で今にでも殺してきそうに見えたから
私はアイツが空き部屋に入ったあと、作られた朝食を食べた
料理の味は美味しいと思ったけど、どこか冷たくて寂しいような気がした
藤の花言葉には、決して離れないというものがあり、逆さのあわじ結びには、弔事(葬式などの亡くなった人を弔うこと)で悲しみを繰り返さないようにという意味があります
蛇の色は、黒には強い保護・魔除けが、赤には強い生命力、警告などの意味があるそうです
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