HASAN×HUNTER   作:ガチャの破産

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知らない人のために

・fateとは
聖杯という『全ての願いを叶える願望器』をめぐる物語。『fate/grand order』や『fate/stay night』など複数の物語がある。

・Hunter×Hunterとは
ハンターという”未知”に挑戦する人々の話。作者である冨樫先生の休載の長さはとても有名。

・キャラクター『キングハサン』とは
fateシリーズに出てくる。暗殺教団『山の翁』という所の初代。特定の呼び名は無く、キングハサンや初代様などと呼ばれる。暗殺を極めすぎて”不死に死の概念を付与する”、”死に触れすぎて死ななくなった”という人外級の御仁。強い。


幽谷より

 

 

死んだ。

以上。

 

特にいうことはない。ありふれた、ごく一般的な一生であった。

強いて言えば11周年のガチャ石が悉く爆死してしまったことぐらいだろうか。

 

天井…、聖晶石…、う、頭がっ!

 

とはいえそれも瑣末。

死人である今では、特に関係なし。

 

薄れゆく走馬灯の中、微睡ながら最後の魂とも言える意識を閉じようとしたのだが。

 

何かと、何処かの男に繋がってしまった。

 

大昔の、中東なのだろうか。

とある宗派の、財政に関することを記録する文官についての記憶。

彼が持つ武への高潔な精神。新たな物事を学び、古き慣習に捉われない自由な頭。名門の御曹司でありながらも挑戦し続ける清廉な生き方。

 

ーーーそして地獄の旅路。

その果てに起こり得た、決意とそれまでの人生を軽く覆すような、狂気にも至る信仰。

 

内臓を抉りぬき、“生”を超えて“死”に至り、アズライールから山の翁となった一人の男。その一生。

 

修練の若き日を見た。

地獄を歩く日を見た。

幽山を開く姿を見た。

大剣を振る姿を見た。

 

彼の人生の破片であれど、断片であれど。

その長大で、重厚で、崇高にも届くそのマボロシは私にとって。

 

凡俗で、彼のような決意もなく、人類最後の彼/彼女のような波乱の人生を送っているわけでもない一人の少女には、あまりにも猛毒で、思った以上に劇物だった。

 

 

あぁ。

 

あぁああ!

 

 

信仰なぞ!宗教なぞ‼︎私には程遠いものであると思ってはいたが!こうも美しいものだとは!

 

無論、聖教や回教のしでかした歴史に思わぬところがないと言って仕舞えば嘘となる。

しかしだ!

 

私が今!垣間見てしまった、いや、奇跡的にもお見えにできた彼の姿は!

真に、神への信仰を体現していた!

 

信仰のために、自身の体を使う狂気!

信念のために、全てを捨て去る決意!

 

なんとも美しい生涯!なんとも素晴らしき教義!

 

研ぎ澄まされた武!鍛え抜かれた肉体!高みに至りし精神!

それらをいざという時には使い捨てよう、と心の底から思っている狂気と紙一重の清き信仰‼︎

 

 

あぁ、これはだめなものだ。

 

死ぬ寸前までゆらゆらとしていた私はいなくなってしまった。

 

ここにいるのは一人の、狂人に目を焼かれてしまった愚かな少女。

とは言え死んだ今としてはどうしようもない。

 

ふざけるな。

これが最後なぞ認めたくもない。認めたくもない。

このような、劇物を見せてきて運命は私を愚弄しているのか?

 

気合いで薄れゆく記憶を保持する。

 

消えゆくはずだった魂を止める。

 

流れゆく奔流に砕かれぬよう、気持ちを強く押し固める。

 

そしてーー

 

異なる世界に、まごうことなき狂気が舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

とある宗教の、神官の娘だった。

 

赤子の時から、産みの親に酷く嫌われていたと思う。

妙に賢い赤子で、おかしいぐらいに察しがよく、普通に赤子らしく泣きも笑いもしなかったらそりゃそうか。

 

複数人の侍女に育てるのは任せられ、離れに移されるのはそう遅くは無かった。

 

今世の父母や姉兄ともぜひ仲良くしたいとは思っていたのだが、致し方なし。

あちらが離れたいというのであれば、すり寄る理由もない。

 

とりあえず本を読んだ。

時代としては各国が新天地に乗り出しているあたり。世はまさに大航海時代…!

何か不思議なパワーがあるらしく、妙に歴史の推移や技術発展もおかしく感じる。そんな未知に対抗するためには知識しか勝たん。

翁殿もそう言っておられた。

 

経験則こそが身を助ける…!

とは言えこの世界平面なの?世界一周を達成していないってまじ?あ、天体運動や地殻から平面なのは立証されている?

え〜、本当でござるか〜?

 

5歳にも関わらず分厚い本を読む私を見て侍女らは「悪魔の子よ…」「薄きみ悪い笑顔だし…」と囁いている。

が、まぁどうでもいい。些事些事。

 

続いて、体を鍛錬した。

倉庫にあった、古ぼけた大剣を振るう。

 

体にあるなんか不思議パワーを意識しながら、全身を浸すように。

剣の切先にまで届くようにしながら体を動かす。

 

思い描くはあの時みた彼の姿。

狂気と信仰を持って幽谷に至った、彼の剣技。

 

ほぼ毎日奮って7つになった日に、一人の男がやってきた。

戦闘職とは思えぬ風体。足運び。気配だけは一丁前のチグハグな姿。

 

何のようだ、と言ったらお前を鍛えに来てやった、と言った。

 

…こいつに?私が?

 

とりあえず話を聞けば、父が私を戦士に仕立て上げようとしたらしい。

自分の子供としては認めたくもないが、手駒としては手におきたい。そんなところだと。

 

それでなぜ貴殿が出てくるのだ、と聞けばそりゃあお前を従順に育てるためだよ、と帰ってきた。

 

すぐさま拳を振りかぶってきたので、顔面、腹部を叩いてすぐ黙らせた。

何だこいつ。

 

技術は未熟。肉体を鍛えもしていない。気配だけはデカいし、肉体も硬いが人間柔らかいところなどいくらでもある。

不思議パワーを拳の先に集中させればこともなし。

 

余裕たっぷりでのそのそ歩いていた男は、目の前で悶絶していた。

齢10つにも満たない少女に負けたのだ。それは信じたくもないだろう。もう一度殴りかかってきた。

今度は拳に過剰なほどのオーラを纏わせて。

 

普通に避けて肩を思いっきり叩いた。

 

何をしたいのだろう…、と思っていると何やらベラベラ喋り出した。

 

「なんでこんなガキが“念”を使えるんだ!」「ふざけるな、俺様は」だの何だとか。

 

念とはなんだ、と聞けばニヤリとしてまたベラベラ喋り出した。

 

ふむ。

なるほど?

 

どうやら生体エネルギーの総称らしい。強化系だとか、操作系だとか。

そのエネルギーで不思議なこともできるのだとか。

 

ほう。

まあそんな気はしていたが。

 

目で視れば分かる。

俺が教えてやるからうんたら言っていたが、すでに不必要。

 

顎を殴り気絶させ、適当な屋根の下に放り投げた。

 

その後はたまに母や父、見知らぬ兄弟を遠目に見かけることはあれど殆ど関わることはなかった。たまにちょっかいをかけてくるぐらいで。

赤子を連れている姿は見えていたので、ぜひとも少しぐらいは触らせて欲しいと思ったのだが…。残念無念。

 

 

 

数え8つとなった日。

 

 

初めて家の外に出してもらえた。嫌っているとはいえ、実子だというのに。

飯もいただき、家もある。本を読めるのはここぐらいだと、活版印刷ではない明らかに手書きの本を見て判断し、今まで大人しくしていたのだが。

今日。やっと外に出してもらえた。

 

 

 

そして、久方ぶりともなる父と対面した。

 

豪奢な部屋に贅沢な絨毯。

とても聖職者の部屋とは思えない部屋の中に、父はでっぷりとその腹を揺らしていた。

 

形式的な挨拶を交わした後、私は聞いた。

ーーー私が本棚で見た聖典にはこう書いてありました。日々清廉であれ、神に正直であれ、万民に優しくであれ、と。とても素晴らしき教えだと私は思います。

   聖典に書かれた文字からも、写本を行った人間の信仰が垣間見えました。

 

父は答えた。

ーーーあぁ、そうだったな。と

 

ーーーですが街を見れば疑念を思います。

   この家の周囲ばかり豊かで、農民らや幼子らは飢えておりました。

   教会を覗いて見れば、どうかお恵みを、と願う母娘に水をかけておりました。

   清貧を尊しとするはずの彼らは、信仰を持つ教会の者たちは酒を飲み、淫蕩に明け暮れていました。

   父よ、この街は、どうなっているのですか?

 

私は聞いた。この街の大司教でも、実質的支配者でもあるその人に。

 

ーーーどうもこうもない。

   彼らは信心が足りんのだ。だから飢える。

 

ーーー信心が足りんのだから、教会に入れるべきでもない。

   そも、聖典には“万民に優しく”と書いてあるが、あれらは奴隷であり獣だ。勘違いしてはならん。

 

ーーーあれは信仰の結果だ。

   捧げ物である御神酒を一部いただき、汚れた者たちの体を私たち聖なる者たちが浄化しておるのだ。信心深く励んでおる彼らを愚弄してはならんぞ?

 

薄気味悪く、我が父は笑った。

そも、と父はいい加えた。

 

ーーー私の家が信仰する教義のもとでは女など男の付属品のように頭を下げるべきだが、伝承にある悪魔のような心をしていながらも顔だけは美しい。

   戦士としての力もあるようだし、小間使い程度であれば家に置いてやろう

 

そんなことを言ってきた。

娘であるはずの私を、下卑た目で見ながら。

 

ーーー母君は、兄弟らは、侍女らはそれをお知りで?

 

ーーーああ、当然知っておるとも。それがどうしたのだ?

 

ああ、なるほど。

そうなのか、と今世の家族に落胆してしまった。

 

聖職者の家族に生まれた、と気づいて、“彼”のような境遇になったのは運命だろうか、と最初は心躍ったというのに。

信仰の素晴らしさに気づき、道は違えども家族たちの信仰を少しでも知れて嬉しいと思っていたというのに。

 

家族らは、彼らは、先人からの教えを曲解し、自分の都合の良い形に変えていた。

 

 

父は言う

 

ーーーそうか。

   なら仕方ない。

 

父は手元にあったハンドベルを鳴らすと、後ろのドアから多くの男たちがゾロゾロとやってきた。

おそらく私の落ち込んだ目を見て、ダメだな。と思ったのだろう。

 

私の周りを囲んだ男たちは言う。

 

教育だ、悪魔を祓い聖なる心を持つのだ、司教様には好きにしていいと言われてんだ、顔だけはいいからな、薄汚い顔め、獣のような目をする女だな、女など家にいて大人しくすればいいものを。

 

口々にいう、下卑た視線を向けている彼ら。

 

娘であるにも関わらず、今からの行方を楽しそうにニヤニヤと見ているだけの父。

 

そして男たちの中には長兄の姿や、あの日叩きのめした男の姿もあった。

 

ーーーはははっ!いつもは気丈に振る舞っているが、こうも囲まれちゃあ怖いよなぁ!大丈夫、初めては優しく教えてやるよ!

 

ガタガタ震える私を見て一人の男がそういう。

頭を下げ、顔を隠す私は、言葉を返すこともできなかった。

 

ーーーどれ、味見だ。二、三発殴りでもすればすぐ大人しくなるだろうさ。

 

男たちの中で一番偉そうな風体の、背丈のでかい男が近づいてくる。

彼はその手を…

 

 

 

少女に届かせることなく、首が飛んだ。

 

 

 

静寂が部屋を包む。

ごぽ、と言う音と共に断面から血が溢れ出し、そのまま骸は膝から崩れ落ちた。

 

どさ、と絨毯に落ちる。

 

少女は言った。

怒りで歯を振るわせながら。

 

ーーー反吐がでる。怒りで腑が煮え繰り返る。聞いているだけで頭が真っ白になる!!

   汝らに、ではない。私にだ‼︎

   8年間もあったと言うのに、日々剣に明け暮れ‼︎

   仮にも家族の行いに目を向けず‼︎

   今世の同胞だろう、と考え家を出ず‼︎

   これでは山に、否‼︎…山麓に足を踏み入れる資格すらない‼︎

   “山の翁”に憧れておきながら、なんという体たらく‼︎

 

激怒。

 

そう表現するのが正しいだろう。

オーラが迸る。全身から、鬼のように。

 

それでいて制御は完璧だった。

揺らいでおらず、波は立たず。雄大な巨岩の如き様相。

 

そして右手には恐ろしい大剣を持っていた。

黒い刃と白色の芯。釘のようなもので止められている藍色の布は柄を覆っている。ひび割れていて、赤い血がついていて。

…剣からは、死の気配が狼煙の如く迸っていた。

 

 

ーーー私、いや我が身、未熟なれど今一時この剣を振わん。

   愚父よ。清貧にあらず、身を宝石で覆い尽くし何を得た?傲慢な心の贅肉か?

   愚兄よ。剣を握り、何を護る?卑屈に埋め尽くされた嫉妬心か?

   堕ちた信徒らよ。信仰を捨て、教えを破り何に至る?神の御元でなく、地獄にか?

 

 

頭上に構えていた大剣を振り、付いていた血を振り払う。

それは歳を8つに届いたばかりの少女にはあまりに大きく、無骨で。

 

しかしその構えと立ち振る舞いは、この部屋の中で最も戦士だった。

 

ゆっくりと歩き出した彼女に、周囲の男たちは恐怖のまま動き出す。

 

拳を握るもの。

どこからともなく剣を呼び出すもの。

両手から火を噴き出すもの。

 

逃げ出すもの。

倒れるもの。

椅子から転げ落ち、腹を揺らしながら這っていくもの。

 

それら全てが、私には。

 

否。我が眼には留まって見えた。

 

 

「幽谷には我が心未だ至らねど、我が技未熟なれど、我が信仰をここに示す」

 

「同胞であろうとも、謂れのない慈悲も悪であり、謂れなき免罪もまた悪なれば!」

 

「晩鐘は汝らの名を指し示した‼︎」

 

 

鐘の音が鳴る。

 

重厚な、終わりを告げる鐘の音。

それが幻聴であったとしても、本当だとしても。

 

彼らにとって、それが最後となった。

 

 

 

 

 

「首を出せ!」

 

 

 

 

 

これは彼女の首を狩る者としての始まり。

あるいは冠位指定の日である。




具現化系念能力 “幽谷より”
霊廟より『無銘の大剣』を呼び出す。それは理想にして行く果ての到達点の具現。
今はまだ霊山に踏み入れる第一歩であろうとも、やがて霊廟に至る。
彼女は未だ真に使い手にあらず。晩鐘が鳴る時、代行として首を断つ。未熟であれど。未踏であれど。
その信仰は真なれば。

特質系念能力  “辿志・晩鐘”
本来ありし儀礼の模倣。先人の道を目指す憧憬の形。
偽典なれど、元は真。その鐘の音は、汝の天運を示す。運命の果て、終わりの時。それこそが安らかに眠るための死の知らせである。








走馬灯に何かバグが起きたのはグランドクソ野郎のせい。
なんかミスってなんか流しちゃったらしい。

ごめんね♪てへぺろ
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