アティ先生に召喚されて戻ってきたらなんか色々変わった銀ちゃん。 作:ルール
界を越えて出会った二人は、界を越えて再会をはたした。
召喚者と護衛獣、今度は立場を逆にして。
「これからは私がギントキを御主人様って呼ばなきゃいけないかな?」
「ゴフッ、止めてくれませんかそんな呼び方。銀さんが周囲にあらぬ誤解をされてしまうじゃないの!
というかお前がやると破壊力半端ねぇからガチで止めてくれ」
フフフと笑いながら銀時に言うアティ。
彼女のような美人が上目遣いでそんな発言をしたら世の男共が正気でいるのは難しいだろう。
「そっか。じゃあ今まで通りギントキだね」
「おう、御主人」
「む、ギントキは御主人呼びじゃない」
忘れられた島での呼び方のままの銀時にアティは不満があるようだ。
「いーんだよ俺は侍だから」
刀を預けてる奴を主と呼んで何が悪いと銀時は開き直る。実はアティ相手では名前呼びが恥ずかしいだけなのだが。
「イチャつくのは良いけどネ、ササと紹介するヨロシ」
「えっと、聞いてる限りでは銀さんを昔召喚された方ですよね。
僕もどうやったら異世界に行けますか!!」
ほっとかれた神楽が不満そうに、新八はやたらとくいついてそう言った。
「さっきからうっさいヨ新八。そんなに異世界行きたきゃトラックの前に飛び出せヨ」
「僕がしたいのは異世界転生じゃねえ異世界召喚の方じゃあああ!!
僕はね、召喚してくれた美人美少女と深い繋がりを持って異世界ライフを送りたいんだよおおお!!」
「「「うわキモ」」」
アティを除いた二人と一体は声を揃えて青年のささやかな魂からの願望を否定した。
「えっと、そのギントキの召喚は殆ど事故だったからどうやるかはわからないかな?」
するとアティは困ったように頬をかきながら言った。
「あれ、そうなん?
そういえばあの呑兵衛もギャースカうるさかったような」
坂田銀時の元の世界への送還は、初代エルゴの王と契約した竜姫の力があってこそ。
しかし鬼妖界シルターン最高位の竜姫にして四界の巡りに介入できる彼女の力をもってしても銀時の送還は困難だったのだ。
「まさかランダムヒットで人が出るなんて」
「おい待て御主人」
無属性最低ランク召喚術ランダムヒット。
坂田銀時はその分銅やら錨などの一種として召喚されてしまったのだ。
「ボクの夢の異世界召喚ライフがああああ!」
その事実に銀時以上に新八の方がダメージを受けてしまった。
「そもそも召喚されても普通はあんまり良い扱いじゃねーぞ」
「特に私の故郷である帝国はね。
メイトルパの亜人とか労働力扱いされてるから」
「そこはゼロの使い魔と同じネ。きと藁の寝床に古鍋の風呂の生活ヨ」
「・・・・・・夢見てもいいじゃないですか。だって現実はこんなに辛いもの」
と、脱線したところでアティが自己紹介をする。
「私の名前はアティ。
元は家庭教師で今は島の先生をやっています。得意なのは召喚術で武器は杖です。
好きな物はナウパの実、あとは皆で囲うお鍋です」
「今じゃ集まりつったら鍋だもんな」
「ジルコーダの時から定着したよね」
幻獣界メイトルパから迷い込んだ召喚獣ジルコーダ。メイトルパの住人ですら忌避するその巨大蟲との戦いは熾烈なものだった。
「先生アルカ。確かにそんな感じヨ」
「つってもただの家庭教師じゃねえ、軍学校に入学させる為の家庭教師だ。戦闘に召喚術にサバイバル技術まで一通りできるからな」
人当たりの良さそうな外見から教師っぽいと神楽も感じたようだが、アティは大概のことをこなすことができるのである。
「なんか、本当に凄い人なんですね」
伊達に軍学校首席卒業生ではない。
「そらスゲーぞ御主人は、剣の一振りで空は荒れ大地は震え海は乱れる、まさしく天変地異を統べし者」
「誤解を招くようなことを言わないで!」
「事実だろ」
色々と気になることはあったが、新八と神楽は優しそうな人で美人で教師でなんか色々できて凄い人なのだと理解した。
「んじゃ、とりあえずバーさんにも紹介しにいくか」
「お登勢さんにですか?」
「同居人が増えるわけだから大家に説明しないわけにはいかねーだろ」
神楽と定春が住むことをを許したお登勢がアティが住むことを拒む筈がない。
だからまずは挨拶だと万事屋から出ようとするが、その前に、
「そうそうヴァルゼルド、床に空けた穴は塞いでおけよ」
と召喚された時に頭から床に突き刺さった機械兵士へと銀時は告げた。
「もっと早く声をかけて欲しかったであります」
てっきり忘れられていたのかと、とズボリと身体を引き抜いてヴァルゼルドはこぼした。
「あとよ。久しぶりだなポンコツ、会えて嬉しいぜ」
そして銀時は再会した仲間へと笑いながらそう言うのであった。
「自分もであります。銀時殿」
忘れられた島、機界集落ラタリスクの廃棄場で出会った壊れた機械兵士。
銀時が偶々持っていたこの世界のメモリースティックのおかげでバグであった人格は保存され、こうしてボディに適応できたのである。
「・・・・・・ところでなんでお前右手が掃除機なの?」
基本的に銃を握るその手は、場合によってはドリルを装備したりもするがなぜか掃除機になっていた。
「教官殿と銀時殿の家を掃除中だったのであります」
いつ銀時が帰ってきてもいいように、そんな想いから風雷の郷にある彼の自宅は本人が寝泊まりしていた時よりもよほど綺麗でピカピカなのだ。
階下、スナックお登勢。
「おう、バーさん。
ちょいと紹介したいヤツが居てな」
「あんだい銀時、またメガネやらチャイナ娘やら犬やら拾ってきたのかい。たく仕方ないね、煮物できてるから持ってきな」
夜ともなれば酒と癒やしを求めた者達が集うその場で、かぶき町の顔役であるお登勢さんがせっせと仕込みをしていた。
かつて行き倒れていた行く宛のない銀時を拾い、居場所を作ってくれた恩人である。
「いや、その、よ。
メガネでもチャイナ娘でも犬でもなくな」
なんと言えば良いか、頬を掻きながら銀時は、彼女を前に出す。
「御主人様です」
「アティと申します。
うちの召喚獣がいつもお世話になっております」
「なんだその自己紹介」
「アティ姉もテンパってお目々ぐるぐるよ」
お登勢という人物が坂田銀時にとってどんな人物かはアティもよく聞いていた。
そのため、アレ?コレって嫁入りの挨拶では、とテンパりこんな挨拶になったのだ。
「ああリィンバウムの娘だね、銀時からよく聞いてるよ。住む場所はどうする?いっそ建て替えて3階建てにするかい」
しかしそこはかぶき町で生まれ育ち多くの者達との付き合いのあるお登勢。
平然とアティの存在を受け入れるのであった。
「いつまでも神楽も押入れで寝かすわけにもいかねえしな(夜兎的にはむしろ良いらしいが)そのうち自分の部屋も与えてやりてえし」
「お父さんかアンタは」
「ウチのパピーとは大違いネ」
なんだかんだと島でもベルフラウやスバルやパナシュやマルルゥの面倒を見ていたからかもしれない。
「ま、しばらく御主人は和室で寝かせて俺は事務所のソファか折りたたみベッドで寝るわ」
「二階もすっかり手狭になってきたねえ」
アティとの共同生活などあの島で過ごした銀時からすれば今更である。
送還できるかも微妙なので生活できるように準備をするだけだ。
「近いウチに歓迎会でも開くかね、そん時は鍋にでもするよ」
「流石はバーさんだ。
ガスコンロ用意して待ってるぜ」
「締めのうどんくらい自分で用意しな!!」
大家とな店子ではなくまるで親子のような関係に万事屋の面々+アティはほっこりとするのであった。
「んじゃ、御主人の生活用品を買うついでにかぶき町の案内をしてくるわ。
店が忙しかったらいつでも呼べよバーさん」
「手伝いよか飲みに来て金を落としな」
筑前煮を鍋に小分けして渡しながらお登勢はそう毒つくのであった、
「こいつを置いたら買いもんだ。
あ、バーさんあと機械兵士も一体追加だから」
「・・・・・・・・・一体くらいウチに置いとくかい?」
問題ねえよとひらひら手を振りながら万事屋一行の新しい日常は始まるのであった。
なお、万事屋として町内で顔を知られている銀時がアティという美女を連れ歩き生活用品を購入し歩いたため、あの銀時に嫁ができたと大騒ぎになったとか。
銀時達は翌日から届きまくるお祝いの品の数々に頭を抱えることになる。