「今日も修学旅行だ」
帝都を観光して、思う存分堪能した次の日。
普段の授業に戻るかあ、と思っていたら、先生の口からそんな言葉が跳び出した。
また?
「アンナには実地の方が良いと理解したからね」
座学は諦められたってことなんだろうか。
それはそれでものすごく複雑なんだけど。
「まあ……、機会があれば……、座学も……、やるよ……」
諦められてる、これ!
そこまで絶望しなくてもいいじゃない!
「そんな事は置いておいて」
そんな事て。
「今日行くのはシルドア王国だ」
シルドア王国。
はて、以前どこかで聞いたことがあるような、無いような。
「ルチル君の姉君が嫁がれた国だよ」
「あぁ~」
そうだったそうだった。
確か一番上のお姉さん、第一皇女様だったっけ。
それが、ええっと、なんだったか……。
「和平の締結」
「そうそれ」
帝国と戦争してた状態なのをやめさせるためにお嫁さんに行ったんだったっけ。
思い出した、思い出した。
でも、と思う。
「そんな国に、帝国の人間が行って大丈夫?」
「私は帝国の民である前に、局の公認魔導師だから大丈夫」
「……そういうもん?」
「そういうもんなんだ」
そういうもんと言われたら、そうなのかと納得するしか無い。
だって良くわかんないから。
よくわかんないことは考えないようにしつつ、昨日のように修学旅行の準備をしてから、先生の研究室に向かい、出発することにした。
一瞬視界が眩しくなって、もとに戻ったと思ったら、知らない景色……ではなく、知っている景色だった。
研究局の支部って、どこも同じ様な作りになってるんだなぁ。
「やあやあいらっしゃい、ミナカミさんじゃあないか」
「…………あれっ」
「どうした?」
と思っていたら、知っている顔までいた。
…………?
どういうことなんだろう?
「ラウさんだ……。仕事場移ったのかな」
「お、いいとこに気がついたな」
「?」
先生はなにか知っているようだった。
帝都から別の国まで移動だなんて大変だなと思ったけど、今しがた自分たちが便利な方法で移動してきたことを考えると、ラウさんも同じように“ポータル”を持っているのかもしれない。
それはそれで、毎日別の国で仕事なんて大変だと思うけど。
「挨拶してくると良い」
「……? うん。あの……」
「おぉお、アンナ少女じゃないか。覚えてるよお。わたしの特技は人の顔と名前を覚えることだからねえ」
「あ、どうも。えっと、仕事場所変わったんですか?」
「いんやあ? わたしはずっとここで仕事してるよお?」
「……えっ? だってこの前は帝都に居て……」
「ふっふっふっふ、さてなんででしょお」
不敵な笑みで返されてしまった。
なにか隠しているようだけど、わからない。
昨日帝都にいたのに、ラウさんはずっとここにいる……?
……? ………………??
「アンナ、彼女はな、分身を生み出す魔導の使い手なんだ」
「あぁあ、いけないんだあ、ミナカミさんがネタばらししたあ」
分身とな。
分身というと、もう一人自分を作り出すという、あの。
ということは。
「え? それってつまり……」
「あぁ、帝都にいた彼女と同一人物だ」
「ええええええええ!?」
「あっはっはあ、驚いてる驚いてる。初見のこの反応が楽しみでやってるとこあるんだよねえ」
まさかの答えが飛んできたのである。
わざわざ分身までして他所で同じ仕事をするなんて、大変どころじゃないのでは。
「じゃ、じゃあ、こうしてこっちで仕事してる時は、帝都では寝てるんですか?」
「いんやあ、そんなことないよ。どっちも起きてるよお」
「えぇ……?」
「彼女は分割思考の天才なんだよ」
「ぶんかつしこう」
「一緒に別の物事を考えるってことさあ」
つまり……、帝都の支部の仕事も、シルドア王国での支部の仕事も、同時にこなしている……?
…………なにがなんだか、わけがわからない……。
可能なんだろうか、そんなことが。
「ちなみに、彼女は世界中にある支部全てで、受付の業務をしているよ」
「していまあす」
「……!?」
二箇所だけどころの騒ぎではなかった。
嘘じゃないよね?
なんで出来るの、そんなこと。
「人件費削減とか言ってさあ、局長にやらされてるんだよねえ。まあ、わたしは別に楽しんでるからいいんだけどねえ」
「楽しんでるんだ……」
「楽しいよお、毎日色んな人とお話出来るからねえ」
「す、すごい……」
「そう? 照れるねえ」
世界中に支部がどれだけあるかわからないけど、それを全部同時にこなすのを楽しめるとは。
どんな脳みそしてるんだろう。
考えるだけで頭がパンクしそうになる。
「じゃあ、我々は昨日と同じように、課外授業をするので」
「はあい、いってらっしゃあい」
全く同じように、頬杖をついてひらひらと手を振るラウさんに見送られ、支部から出た。
ああいう動きも、同時に同じようにやっているんだろうか。
それとも、その時その時でバラバラに動いているんだろうか。
……どんな脳みそしてるんだろう…………。
◆
「ここがシルドア王国の首都、クラッバだ」
「へぇー、首都なんだ。てことは、王都?」
「そうなるな。基本的に、支部は首都にあるから」
帝都と同じように、石造りの綺麗な道路が続いている。
でもなんていうのかな、建物の雰囲気が違う。
窓の建付けとか、ドアの配置とか。
細かい所が、帝都と似ているようで違うものだった。
「目の付け所がいいな。やはりアウトドア派か……」
褒めているのか褒めていないのか、微妙な判断を出されてしまった。
それじゃまるで、座学じゃ何も覚えられないみたいではないか。
いや、まあ、否定はあんまりできないんだけども。
よく見ると、行き交う馬車も、人々の服装も、帝都のそれとは異なっている。
生活そのものが違うんだろう。
別の国に来たんだなあ、と実感させられる。
「なにか気になる施設はあるか?」
「料理屋さん!」
昨日の帝都の一件で文字通り味を占めたあたしは、まず真っ先に食事を取りたかった。
村の外の食事はどんなものか。
ましてや、別の国になるや。
興味が湧いてしょうがなかったのだ。
「そうか。では、有名店を────」
先生が案内を始めようとした時、慌ただしい声が急にかかってきた。
「ああ、あんたら、魔導研究局から出てきたってことは、魔導師さんかね!?」
「いかにもそうですが、どうしました?」
「噴水が急に故障して、通りが一面水浸しなんだよ! すぐに見ちゃくれんかね!」
「それは……。わかりました。救急招集に応じましょう。アンナ、悪いけど此処で待っていてくれ」
「えっ? あ、うん……」
そう言うと、先生は慌てた男の人に連れられて、走っていってしまった。
ぽつんと一人残されるあたし。
他の国で一人になるなんて、ちょっと不安だなあ。
なにか怖いことなければいいけど。
そう思っていた途端。
「そこの貴女、ちょっと来て!」
「へ?」
綺麗な声と、綺麗な服装をしたお姉さんに手を引かれ、連れて行かれてしまった。
「え、え、ええええ!?」
「いいから早く!」
なにがなんだかわからないうちに、あたしはお姉さんに連れられて走り出した。
◆
「終わったぞ、アン……。アンナが居ない」
「王妃、王妃ーっ! 何処におわします、王妃ーッ! ……はぁ、あの方のお転婆にも参ったな……」
「もし、どうしました」
「ん? あぁ、魔導師の者か。いや、王妃の“いつもの”だ。困ったものだよ、全く」
「…………。……こりゃ、何かあったな」
◆
「はぁ、はぁ……。ここまでくれば大丈夫ね」
息を切らしたお姉さんは、ようやく立ち止まると、肩で息をし、呼吸を整えているようだった。
あたしといえば、別になにも疲れては居ない。
この程度の距離で息が切れるなんて、運動不足じゃなかろうか。
お姉さん、ちゃんと運動してる?
「貴女、急に連れ出して悪かったわね。ちょうどいいところにいたから、つい」
「あ、いえ。それほどでも」
本当はかなり困惑したが、隠しておく。
シャコージレーってやつである。
「それでえっと、お姉さんは……」
「私はマク……、じゃなくて、えっとそうね、ルース。ルースって呼んで」
「ルースさんね」
すごく綺麗な身なりにしては苗字がないのが気になったけど、人の名前についてはあまり詳しく聞かないのがマナーってもんである。
多分。
こう見えて、どこかの村の出身なのかもしれないし。
「あたしはアンナ。よろしく」
「アンナちゃんって言うのね! 素朴な名前!」
褒められているのか、褒められていないのか。
まあ、こういう時はあまり気にしないのがマナーってもんである。
多分。
おそらく。
「で……、なんであたしを引っ張ってきたんです?」
「あっ、そうよ! 私、今追われているの!」
「えっ」
「だから、ボディガードしてくれない?」
「ええっ」
「報酬は……そうね、私と一日デートってことで!」
「ええええ!!」
急に女の人とデートと言われましても。
というか、それ以前にボディガードと言われましても。
出来るかわからないんですけど。
ルースさんはツッコミを入れる前にどんどん話を先に進めていく。
「この格好も目立つわね……。まずは服屋に行きましょう!」
「あっ、ちょ、待って、待って下さいて!」
なんとなく流れに流されて、後を追ってしまった。
無視して放っておけばよかったものを、何故か放って置けない雰囲気があったのだ。
なんでだろう?
そうして入っていった店は、とても豪華な服がずらりと並ぶ、いかにもお金持ちの人御用達というようなお店であった。
「ねえ、どれが良いと思う?」
「と、言われましても」
どれもお似合いです、としか言えない。
「そうじゃなくて、貴女はどれが目立たないと思う?」
「えぇ……」
目立つ目立たないで言うなら、どれも目立つとしか言えなかった。
「……、……そう? ……そうか、それでいつもすぐに見つかったのね……」
「ええええ」
この人、誰かからいつも逃げているのだろうか。
だとすると、服選びからして間違っているとしか言えない。
もっとこう、自分でいいたかないけど、あたしみたいな地味な服を選ばないと。
「うーん、ちょっとピンと来ないわ! 貴女が見つけてくれるかしら?」
「あたしが!?」
「乗りかかった船だと思って!」
「う~ん……」
このちょっとわがままな感じ、村の子供達に似ている所がある気がする。
だからだろうか、放って置けないのは。
とは言っても、この国に来たのは初めてなので、新しく別の店を探すことは出来ない。
必死こいて、豪華な服の中から、少しでも地味めに見える服を探し当ててはルースさんに見せてみた。
「ちょっと地味すぎない?」
「地味なのが良いって言ったのに!?」
ツッコミを入れる羽目になってしまった。
どうやらこのお姉さん、感性があたしたち庶民とは別物で出来ているらしい。
どんどんもっと地味、もっと地味とグレードダウンさせていった結果、まぁ、街に居てもおかしくないかな、くらいの見た目にはすることが出来た。
「へぇ……、変装する時はこういう服を着るのね。勉強になったわ」
「と言われましても……」
やっぱり根っこからお嬢様なのだろう。
すごい人に捕まってしまったものだ。
「これらは買い取って頂戴」
「畏まりました」
「えっ」
当然のように、今まで着ていた豪華な服を売りさばくルースさん。
目が飛び出るような紙幣がやってきた。
店員さんも驚いていない辺り、当然のやり取りなのだろうか。
恐ろしい世界がそこにはあった。
「さあ、変装もしたし、デートの始まりよ!」
「ええええ、本当にデートなんですか」
まさか、男の人とデートするよりも前に、女の人とデートすることになるとは、夢にも思っていなかった。
ルースさんはあたしの手を引いてずんずんと進んでいく。
首都の地形が頭に入っているのだろう、その足取りに迷いはない。
どっちがボディガードなのか、わかったもんじゃなかった。
◆
結局、ルースさんがデートと称した街巡りは、夕暮れまで続いてしまった。
料理屋さんにいって食事をしたり。(川魚のゼリー寄せという料理は、控えめに言ってもあまり美味しくなかった)
潤沢な資金により、市場で買い物をしたり。(荷物を持たされるのはあたしであった)
宝石店に入っては、あれがいいこれがいいと高価な品を選んでいたり。(あたしの分まで買ってもらってしまった。値段が怖い)
本屋さんに寄っては立ち読みを堪能したり。(あたしはほとんど読める本がなかったので、絵本ばかり読んでいた)
街角で行われていた見世物に立ち寄っては、拍手したり。(おひねりとして札束を突っ込もうとした時は、思わず止めた)
花屋さんに立ち寄り、あれがかわいいこれがいいと品評してみたり。(実際には買わなかったので、冷やかしかよ、という目で見られた)
強引に連れられたデートだったけど、あたしとしても、初めて来る国の観光になり楽しいものであった。
「あぁ、ここまで首都を堪能したのは初めてだわ」
ルースさんもそうだったのか、気持ちの良い汗をかきながら、街のベンチに座って、笑顔で空を仰いでいた。
この街に住んでいるのに。首都を堪能したことがないなんて、不思議な話もあるもんだ。
「ルースさんは、この街に詳しくなかったの?」
「街のことには詳しいわ。でも、実際に見て回ることはなかったの」
「ふーん……?」
よくわからないけど、お嬢様ってそういうことなんだろうか。
ベンチから立ち上がり、軽い足取りでまた歩き出すルースさん。
もう日も落ちかけてきたのにまだデートかあ、と思っていると。
路地裏からルースさんに向かい伸びる手が見えた。
「危ないっ!!」
「きゃっ!?」
思わず、ルースさんの身体を強引に引っ張る。
「チッ」
ルースさんを路地裏に引き込もうとしていたのは、ナイフを片手にした痩せたおじさんであった。
危ない人なんだろう。
一目でわかる。
いくら強引でも、ボディガードを任されたのだ。
ルースさんをかばうように前に出る。
「……誰ですか、なんの用ですか」
「しらばっくれんじゃねえよ、見てたぜ。さっきの店で財布からとんでもねえ札束を出すのをよお。それを少しばかり分けてくんねえかと思ってさあ」
「……って言ってますけど」
「…………!」
一瞬何が起こったのか解らなかったみたいだったけど、あたしが声を掛けるとハッとしたように気丈な顔つきになった。
「無礼者! 貴方のような賊に渡す金銭などありません!」
「ケッ、お高く留まりやがって。どこのお嬢様だか知らねえが、ちいと痛い目見ねえとわかんねえみたいだなあ!?」
そう言うとおじさんはナイフを振りかぶって突進してきた。
視界の端に、誰かが置き忘れたのだろう木製のモップが見えた。
思わずそれを引っ掴んで、おじさん目掛けて突き出す。
「ていや!」
「おぐッ! て、てめえ、やりやがったな……!」
おじさんの目つきが変わったのを見て、こりゃ本格的に危ないな、と思い、ナイフを持っている手を強かに打ち付けた。
「痛ッ……! てめ、こいつ……!」
おじさんの手からナイフが落ちる。
それをどっかよそに蹴っ飛ばしてやった。
「あ、この……」
「くらえー!」
「いでえッ!!」
その隙に、おもいっきりモップでぶっ叩いてやる。
何度も何度も。
「これでもか! これでもか! これでもか!!」
「ぐえええッ! ぐえッ! ギエーッ!!」
とりあえずおじさんが何も言わなくなるまでぶっ叩いた。
セートーボーエーってやつである。
「ふう」
「あ、貴女……、やりすぎじゃないかしら……」
「“危ない時は相手が反撃してこなくなるまで攻撃しろ”って教わったから」
「なかなか苛烈な教えね……」
先生から教わったんだから、間違いないだろう。
多分。
そう思っていたら、おじさんが出てきた路地裏から、さらにたくさんのナイフを持ったおじさんが出てきた。
…………まずいんじゃない?
「あーあーこのバカ、しくじりやがって」
「ったく、出来れば殺しはしたくなかったのによお?」
「仕方ねえ、捨てる場所にも困るってのになあ」
「こいつの分まで楽しませてもらってから殺るとしますかあ」
ぞろぞろ出てくる。
何人もいる。
まずいんじゃないかな……。
「あ、貴女、この数相手には……」
「ちょっと自信ないかも……」
「ど、どうするのよ!」
「どうしよ……」
困った。
大変困った。
どうすればいいのかな。
「そういう時は、保護者を呼ぶと良い」
「呼ぶと良いったって、どうやって呼べばいいのさ」
「天に向かって大声でも上げてみたらどうだ」
「あ、それいいかも。先生ぇーー!! たーすけてー!!」
「わかった」
「って、居るー!?」
気がついたら先生が私の側に立っていた。
い、いつの間に。
「もっとも、助けるのは私じゃないけどね。衛兵の皆さん、お仕事ですよ」
「応!!」
「貴様ら、最近王都で幅を利かせている一団だな! 覚悟せよ!」
「大人しく縛に付け!」
「げッ! 王宮兵どもだ! 野郎どもずらかるぞ!」
「逃すかッ!」
やばいと思っていたおじさん達は、これまたどこからともなく現れた兵隊さん達に、あっけなく捕まってしまった。
これがプロかぁ。
頼りになるなぁ。
というか……。
「先生、もしかして……」
「見てたよ」
「いつから?」
「アンナが初めてのデートを始める辺りから」
「ほぼ最初からじゃん! もっと早く助けてよ!」
「最初の一人は対応できそうだったから、これも勉強かなと」
「そっちじゃなくて!!」
もっとこう、助け舟を出して欲しかった。
切実に。
「貴方は……」
「私めの生徒の学びの場をお作りいただき、感謝申し上げます、王妃様」
「…………」
「へ?」
先生がルースさんに跪いて挨拶する。
お仕事を終えた兵隊さん達も、それに倣っている。
………………。
……王妃様?
「え? え? 王妃様? 誰が?」
「こちらにおわすは、シルドア王国の王妃様、マクダレーネ・エルメンガルト様であらせられる」
「……………………。ええええええええええええ!?」
「あーあ、捕まっちゃった」
とんでもない人とデートをしていた。
あれ?
そういえば、マクダレーネって名前、どこかで聞いたような……。
あ。
「もしかして、ルチルちゃんのお姉さん!?」
「ルチル……? 誰かしら」
「アウレリア皇女のご疎開中の偽名、といえばお分かりに成られるでしょうか」
「アウレリア! 懐かしい名前を聞いたわ! あの子、宮廷から避難してたとは知ってたけど、こんな頼もしいお友達が出来ていたのね!」
「ええええ、やっぱりそうだった!?」
これですごい身分の人の知り合い、二人目?
なんだかすごいことになっちゃったなぁ。
「これからもアウレリアと仲良くしてあげてね。じゃあね、今日は楽しかったわ」
そう言うとルースさんは、兵隊さん達に連れられて、王宮の方へ歩いていった。
なんだか、地味めな服が兵隊さんに似合わないなあ、なんてことをあたしは思っていた。
「…………」
ちょっと寂しい。
強引に連れられたとは言え、あたしも楽しんでいたところがあったからだ。
「ま、かっこよかったんじゃないか。王妃様を守るボディガードだなんて」
「きがるにいってくれるなあ」
見ていただけの先生はラクでいいよ、本当に。
大変だったんだから。
あたしはぶちぶちと先生にグチを言い続けるのであった。
◆
「王妃様、お手紙ですか」
「ええ! 本国に居る妹に出そうと思うの!」
「ほう」
「今日は、とっても楽しいことがあったって!」
◆マクダレーネ・エルメンガルト・シルドア
【性別】女性
【種族】
【身長・体重】168cm 52kg
【年齢】23歳
【好きなもの】夫 散歩 豪遊
【嫌いなもの】縛り付けられること
【特技】追手(配下)を撒くこと
【食事の嗜好】スパイスがあまり使われていない料理
【性格】陽気で細かいことは気にしない
【一人称】私
【武器】剣と盾
・ソディア帝国第一皇女。
和平締結のために隣国のシルドア王国へ嫁いでいった。
皇帝二人目の子であり、女児であることからわりと自由奔放に育てられたせいか、束縛を好まない性格になった。
そのため現在は王妃という立場でありながらも、気軽に王城を出奔しては市井を見て回り、護衛にとっ捕まって戻される日々を送っている。
政略結婚ではあったが、夫である国王の事は愛しており、元敵国であろうとシルドア王国の事も好きになろうと努力しているがゆえの出奔である。
ただし、夫の内気で消極的なところは直したほうが良いと内心思っているようである。
実は子供好きだが、いまだ子宝には恵まれていない。