「……」
珍しくルミナスムーンはげっそりとした顔を見せていた。
「大丈夫か?」
「そう見えるなら、貴方は指揮官としてやっていけませんね」
インヘルト、そしてゴッデスとの共同作戦。現在は目的地へ向けて移動中である。
「全く、作戦前だってのにあの子ときたら……」
ブツブツと呟きながらルミナスムーンは先行する。
「相当活発なんだな、その双子は」
「ええ、ホントよ! あの試練の時もめちゃくちゃすぎて大変だったんだから!」
「はい。凄まじい火力でした! あれは学ぶべき箇所がありますね……」
アニスが苦い顔をする一方で、ネオンは目を輝かせていた。
「その双子もセシルが作ったのか?」
「いいえ。あの二人に関してはルナの手で作られました」
背後からドロシーが呟いた。
「ニケの製造も出来るのか?」
「そうみたいですね。本人は二度とやらないと言っていましたけど」
「エデン創設時には既に作られていたらしいが、中でもあの二人はルミナスムーンに一番程遠い」
「……中では?」
ヨハンの言葉で気になる箇所があった。
「あの子達は元々冷凍保存された脳から生まれた存在です。他にも数人おり、皆血は繋がっていませんが、事実上はルナの子供ってことになってます」
「……子供」
「お母さんだったんですね!」
「お話のところ申し訳ないですが、ラプチャーです」
ひと足先に歩いていたルミナスムーンが立ち止まる。
「そうか。ノア、指定した地点にシールドを展開しろ」
「は〜い」
「イザベル、上空で待機し10秒後に全弾発射しろ」
「はい、指揮官」
「ハラン、ウイルスは撒き終わったか?」
「もちろんよ。爆発の合図だけお願い」
ヨハンの指示でインヘルトのニケ達は手際良く体勢を整えていく。
「ドロシーの射撃と同時にルミナスムーンとピナは射撃による残党の掃討を開始しろ」
「了解」
「分かりました」
全員が位置に着いたことを確認し、ヨハンはドロシーに合図を送る。
そして、ドロシーの射撃により引き寄せられたラプチャーがノアのシールドによって密集していき、その中にハランのウイルス、イザベルの誘導兵器が突き刺さる。
『……ギギ』
だが数体のラプチャーは首の皮一枚残っている状態で生き残っていた。
「……最近はああいうタイプが多くなった。面倒この上ないな」
「問題ありませんよ」
残党となるラプチャーはルミナスムーンとピナが射撃して残党を掃討し、場が沈黙する。
「私のレーダーでは反応は確認できません。セシル、そっちでは?」
『こちらでも反応は見られません。ラプチャー全機、沈黙を確認』
セシルの言葉で各々の構えを解いた。
「……いや、まあね。キャリーしてもらうのも楽でいいんだけど。このままじゃ、な〜んにもやることないじゃない」
アニスがつまらなそうに呟く。
「私たちはニヒリスターと戦う本命だから、力を温存しておけってことじゃないですか?」
「プッ、違いますけど〜?」
「やめなさいノア。ただでさえ汚れ役を押し付けたんだ。私達がとやかく言う筋合いはない」
「え〜? 事実を言って何が悪いのさ」
「それを言うなら、さっさとラエンとホウライに勝つことだ。最近は負けの回数すら数えてないぞ?」
ルミナスムーンの言葉に耳が痛いのか、ノアは文句を言い続けているが、そんな事は気にしない様子で、ルミナスムーンはこちらに向き直る。
「すみません。こういう性格なもので」
「いや、大丈夫だ」
「前線に立つお前達を見れば、傲慢なニヒリスターはお前達を捨て駒のように見るだろう。だが、そこから一斉に攻撃を仕掛け、疲弊した奴にアンチェインドを撃ち込む。奴を油断につけ込めるかはお前次第。忘れてはいないな?」
「……作戦は必ず遂行する」
「今のお前からは戯言にしか聞こえないな」
そうこうしていると、再びセシルから通信が入る。
『ニヒリスターが移動を開始しました。あまり離れすぎないでくださいよ? 広域スキャンが限界になっては遅いんですよ』
「先を急ぐぞ」
ヨハンは足早に歩いていった。
「素直じゃないですねぇ」
「行こう」
私たちはその後をついて行った。
───
「止まれ。ニヒリスターの痕跡だ」
そこには焼け爛れた地面が広がっていた。
「……何に向かって撃ったのでしょうか?」
「警告の意味が込められているのかも。私たちに対する」
「……一理ありますね。これ程派手に痕跡を残していますからね。あちらも私たちの存在には気づいている事でしょう」
「……」
『ヨハン? どうかしましたか?』
「セシル。少し席を外す」
『えっ──』
ヨハンはオペレーターとの通信を切った。
「一つ聞く。お前の価値観についてだ」
「どういうことだ?」
「簡単なことだ。お前が我を通して、それで何になる?」
立ち止まっていると、ルミナスムーンのレーダーに反応が見え始めた。
「邪魔が入りますね。まだかかりそうですか?」
「少しな」
「なら、掃討してきます」
そう言うとルミナスムーンはすぐさまブースターを点火して飛び出していった。
「話を戻そう。お前が我を通してその先に何がある?」
「……私の戦闘を通じて、より多くの人々を救うためだ」
「そうか。では聞くが、お前はこの戦況を変えられる程の秀でた能力を持っているのか? 様子からしてニケのサポートなしでは生き残ることさえ不可能に見えるが?」
確かに私が実際に最前線へ戦いに行くことはできない。しかし、彼女たちへの指揮がなければ、満足な戦闘を行う事はできない。
「私の能力は指揮をすることにある」
「……指揮か。確かに指揮官である以上はそれが最優先事項だ。だが、その指揮を完璧にこなせると胸を張って言えるのか?」
「……それは」
「全てを完璧に行える程、人間は万能じゃない。しかし、それに近づける事はできる」
空中から飛行音が聞こえてくる。ニヒリスターかと思い一度警戒するが、黒髪がなびいていた。
「あれ? まだ終わってなかったんですか?」
ラプチャーの残骸を手持ちにしながら、ルミナスムーンが立っていた。
「もう済む。どうだ? これを機にお前の指揮を見極めてやろう。もし単に見栄を張っているだけならば、すぐにわかる事だ」
───
こうして指揮官さんとヨハンの指揮力を見極める仮想敵の試験が始まってはや半日が経過していた。
「……殺伐としてるわね」
「一瞬のミスが命取りになる世界なんですから仕方ないですよ」
「これ! 次にこのライフルの火力を聞きたいです!」
「はいはい。今説明しますから」
指揮官二人が口頭で訓練している中で、私はネオンに火力について質問されていた。
「二人とも随分と熱中していますね」
「あの偽物が無能なだけじゃないの〜?」
「指揮官に後輩ができると言って疑っていましたが、いい意味で裏切られましたよ」
インヘルトは二人の様子を眺めていた。
「こうして作戦を共にするのは久しぶりですね。大丈夫ですか? ピナ」
「そうですね。戦闘が鈍ることはいい事なんでしょうけど、仕方ありませんよ」
「問題が起こったらすぐに助けを求めてくださいね? 何かあってからでは遅いんですから」
「それは勿論そうしますけど、色々と過保護過ぎますよドロシー様! 私だって皆さんを守る盾になったんですよ!」
「それでもです。私があなた以上に大切な物があると思いますか?」
相変わらず二人でノロけているドロシーとピナ。
そしてこの場にいない一人の存在。
(これ、絶対怒られるな)
未だ通信を切っているセシル。本当なら私の方でも通信を行う事はできるが、指揮官さん達の能力向上の為にもここは知らんぷりをした。だが、これで私も怒られる事が確定した。
「はい! 次はこれを──」
ま、その時考えればいっか。
私は現実逃避した。
「上空から爆撃するように奴は攻撃を仕掛けてくる事もある。前衛はピナやノアが守っているとしても、後方でただ射撃をするだけでは一網打尽だ」
「なら、ルミナスムーンのスラスターによる接近戦を仕掛け、高度が下がってきた所にハランのウイルスで攪乱。交代したルミナスムーン、ドロシー、ラピの三人で集中射撃を行い、再び飛翔を始めた所にイザベルのフェザーを発射して妨害する。そこから、後方のアニスやネオンが攻撃を仕掛ける」
「……高度を下げると言う事は悪くないが奴は火炎放射器を持っている。下手に暴れてルミナスムーンが接近する事が出来なければ、ここまでの作戦は全て無駄になる」
「……そうか。なら──」
そこから仮想戦を計100回行った。肝心の結果はと言うと。
「100戦中82敗10引き分け8勝。終盤につれて引き分けや連勝する箇所もあったが、改善すべき点だらけだな」
「終盤の動きは中々上達していたと思います。まずはそこを褒めるべきでは?」
「予想外の動きをして相手を攪乱する事は出来ても、その殆どに致命的な弱点が存在する。それでも、随分と持ち直したな」
指揮官さんとヨハンも中々に良い関係が出来てきていると実感した。
「お疲れ様でした。指揮官」
「まぁ、勝率は1割にも満たないですけど」
「余計なことは喋らなくていいのよあんたは!」
マジレスしたらアニスに怒られた。事実なのに。
「あんたたまに無遠慮になるわよね! その余計な一言で台無しなのよ!」
そんなやり取りの中で、私はある事がずっと気がかりだった。
『……』
セシルである。
『いきなり通信を切ったかと思えばヨハン。ルミナスムーン、あなたもです。どうして半日も通信が繋がらないのですか?』
「……」
「まぁ、その……複雑な事情が絡みに絡んで……」
『なるほど。では今からその複雑な事情を私が納得できる形で説明してもらえますか?』
怒っていた。それはもうあり得ないぐらい。
『ヨハン。あなたは何故黙っているんですか? 様子からして随分とあの指揮官と話し込んでいましたね? なのに私とは話せない理由を教えてくださいよ』
ヨハンも私も、一切の弁解の余地はなかった。
「……見事に二人とも怒られてますね」
「あの人間味のない男もそうだけど、ルミナスムーンも怒られることなんてあるのね」
「私たちとしては、ルナは一番説教を受けていると思いますけどね」
「はい! もはや常習犯ですよ」
「そうなのか……」
説教が終わり、そこから更に進行していく。
この作戦で本来カウンターズはアンチェインドを手に入れる事はできない。指揮官さんに渡した弾丸もブラフだ。
しかし、既に指揮官さんの血液の情報は頭に入っている。
これならば、わざわざ貴重な弾丸を消費しない手立ては生まれる。
そして、これからの為にも──
「指揮官さん」
「……どうした?」
「指揮官さんは、ニケを自由にする事が行動原理なんですよね?」
その為に、本人の許可を貰わなければフェアじゃない。
「そうだ」
「なら、貴方は多少の事ならその身をニケの為に捧げられるということですね?」
「そうとも言うな」
「なら、少し貴方の身体を貸してくださいますか? なーに、痛みは一瞬ですし、必ず後悔はさせませんから」
カウンターズ、インヘルト、ゴッデス、そのどれとも共有する事のない計画の為、全員の目を盗み、私は指揮官さんに針を突き立てた。
進行を続け、ニヒリスターの領域に到達した所で熱源を感知できないとし、イザベルが超高度まで飛翔した時、地面が揺れ始めた。
「……来たか」
『コードネーム・ニヒリスター! 上空から超高速で接近中!』
「……えっ? 雲の上からくるの?」
「揺れがどんどん大きくなってます!」
爽やかな空の雲が半分に割れ、その隙間から流れ星のようなものが大気を燃やしながら落ちた。
事故や大気の摩擦で生じたような轟音を響かせ、地面に着地したのはコアまで火で覆われたような赤黒い火竜だった。
「……ニヒリスター。クイーンの先鋒。とうの昔に朽ち果てるべきだった古代の遺物……!」
「ヘレティック……」
隣で指揮官さんが微かに震えていた。
「……ハァ。この楽園の虫けらどもが。挑発しただと? ……この俺を? 灰になりたくて仕方ねぇみたいだな! その願い、叶えてやるぜ!」
『ニヒリスターのコア出力、急上昇中!』
「指揮官! センサーに通常範囲を超える熱源が感知されました!」
「あっ、そう。触れた瞬間溶けるってことね?」
射線を避ける為、遮蔽に移動する指揮官さんをニヒリスターの銃口は捉えていた。
「……ん? なんだよこれ」
『??コア出力が再び下降します。ニヒリスターはなぜ……』
「ったく、じれってぇなぁ……」
ニヒリスターの影が一瞬で消えた。
「こんないい土産持ってきてんなら先に言えっての!!!」
ニヒリスターは指揮官さんの胸ぐらを掴み、腹部に尻尾の先端を突きつけた。
「……お前、しゃべるラプチャーを知ってんだろ? お前がトーカなんとかって呼んでた奴のことだ」
「トーカティブがどうした……?」
「……どうしたって? あいつはなぁ、俺がかなり大事にしてた手下なんだよ。お前とあのボロボロな巡礼者と、そこの楽園に住む寄生虫にな」
ニヒリスターは私を指差した。
「寄生虫とは酷い言い草だな、ニヒリスター」
「はっ、媚びへつらうだけのお前なんかにわざわざ用はねぇよ」
ニヒリスターはニヤリと笑う。
「そもそも、退屈な復讐劇を期待しているなら悪いけどよ。俺、そんなに情に厚いタイプじゃねーんだよな。お前にとってはラッキーだろうけどよ。だからよ、お互いにとって利益のある話をしようぜ」
ニヒリスターの尻尾が指揮官さんの体に触れると、今にも皮膚が張り裂けそうになっていた。
「実はよお、トーカティブが死ぬ前、すっげえ興味深い話をしてくれてな……お前を捕まえて、身体の中をひん剥いたら、そこに俺の望むものがあるはずだって言っててよお……」
「私はただの凡人だ」
「秘密っつーのはよ、抱えてる本人も知らねえ時ほどおもしれーんだよな。あいつにその話を聞いた時からお前に会える日を待ってたんだ。なぁ、一体その体に何が入ってんだ?」
ニヒリスターの尻尾が圧迫感を強めていく。
「トーカティブの奴、俺の望むものが何だと思って、あんなリスクまで背負いながらコイツを俺に差し出そうとしたんだ? そう、そう思ってたらよお……この楽園の青二才どもが、自らブラックボックスを持ってきやがった!」
すると、再び轟音が鳴り響いた。
「今度は何!?」
「コイツを手に入れるついでによ。俺の手下どもがお前らを殺したくて疼いてたんだよ。俺はこいつを手に入れ、ついでに手下どもの悦楽にもなる。一挙両得って奴だ!」
『!?これは……ラプチャーの反応がいきなり現れました!』
「ま、お前らもせいぜい楽しめよな」
そう言い終えると、突然竜に変身したニヒリスターは辺り一面をめちゃくちゃにして、混乱の隙に指揮官さんを掴んだまま飛び上がった。
「……えっ? ヘレティックが偽物を拉致しちゃったよ? あれ大丈夫?」
「イザベル、すぐに追撃を……!」
「いや、撃たない方がいい。もし指揮官さんにでも当たったら一大事だ」
「ちょっと! 肝心な時になんで役に立たないのよアンタは!」
「無理言わないでください! あんな機動力は流石に持ち合わせてないんですから!」
まさに危機的状況と言っていいが、計画としては順調に進んでいるというジレンマ。
「……あんたたち、何してんの? ほら、捕まって!」
高く飛び跳ねたパピヨンがニヒリスターの尻尾にぶら下がった。
続いてアニス、ネオン、最後にラピが続いていく。
「ヨハン! ドロシー! そっちのラプチャーをお願い出来ますか!?」
「ルナ、あなた何を……」
「カウンターズの援護に行くんですよ」
そう言って、私はニヒリスターの尻尾を掴んだ瞬間、とんでもない高度で飛び上がった。
「……本当勝手ですね」
「ひとまずこの場を乗り切るぞ。すぐに我々も後を追う。それでいいなドロシー?」
「ええ、構いません」
「こんなデカブツさっさと倒しちゃうんだから!」
インヘルトとゴッデスの前に立ち塞がった二体のラプチャー。
『…………』
『GRRRR……』
その二体はゆっくりと部隊を見下ろしていた。
───
「アハハ! イヌみてえに走り回んのも、そろそろ飽きてきただろ? 逃げてばっかりいねーで俺と戦おうぜ? もっとあったかく気持ちよーく焼いてやるからよお、なぁ?」
カウンターズの援護に向かったはいいが、ニヒリスターは嫌がらせの如く、私にラプチャーを送り込んできた。
「くそ……雑魚どもが」
一気に吹き飛ばす事も考えたが、カウンターズに流れ弾が当たる可能性があり断念した。
「大丈夫か?」
「雑魚処理で手間取っている様じゃゴッデスは名乗れませんから」
最後の一体を切り捨てたが、その間、カウンターズの疲弊は益々酷くなっていく。
「ドロシー達が合流するまで、果たしてどれだけかかるか分かりません。それまで耐える……ことは難しい様ですね」
「はい。丸焼きにされかけましたから」
「正直、限界と言ってもいいわね」
カウンターズの中では敗戦という空気が立ち込めている。
「アンチェインドを……使うべきだろうか?」
指揮官さんがそう呟いた。
「それは貴方が言ってはいけない言葉ですよ」
「そうですよ! 今までやってきたことが、水の泡になるじゃないですか!」
既にカウンターズの覚悟は決まっていた。
「ラピ。提案があります」
「?何かしら」
「今から私が──」
ラピに作戦の一部を伝えると、苦い顔をされた。
「危険よ。単身で行くなんて」
「この中で一番動く事が出来るのは私なんだ。アンチェインドを持って帰りたいなら、こういう賭けも必要だと思いますけど?」
「……」
ニヒリスターの攻撃で崩れる遮蔽の中で、ラピは静かに頷いた。
「ネオン、アニス、パピヨン!出来るだけこの場から離れて指揮官さんを囲む様に守っててください!」
「待って、あんた何する気なの?」
アニスが私を止める。
「奴を撃退するならこれしかない!ラピも頼みましたよ!」
そう言って私はブースターを起動し、遮蔽から飛び出した。
「おっ。情けなく逃げる時間は終わりか?待ちくたびれたぜ」
「ええ、いい算段が見つかりましたから……ねっ!」
ナノマシンを槍型に変形し、投擲と同時に抜刀とニヒリスターへの急接近を行う。
「面白ぇ!ようやく愉快な戦いが出来るってもんだ!!」
私の刃とニヒリスターの装甲がぶつかる。
「ほら、どうした!そんな鈍で私が切れると思ってんのかっ!!」
お返しとばかりに装甲を叩きつけられ、近距離で炎が噴射される。
しかし、炎が放たれる直前に私とニヒリスターの間に壁を生成したが、完璧に防ぐことは出来ずに被弾する。
「熱っ!?」
「鈍いんだよウジ虫!!」
壁の中から、装甲が鋭く私に伸びてくる。
「……っち」
ブースターを点火し一度離れると同時に、ショットガンを連射する。弾丸は壁を貫通しニヒリスター側へと着弾していくが、命中しているのかは不明。
「そんな豆鉄砲で、俺に傷をつけられると思ってんのか!!」
だが、そのまま突撃をかましてきたニヒリスターによって、私は吹き飛ばされ岩場に激突する。
「うぐっ!?」
「はっ! あんだけ余裕かましてた割には随分呆気ねぇな。期待して損したぜ」
ニヒリスターは倒れ込んだ私にゆっくりと近づいてくる。
「終わりだ」
ニヒリスターの装甲がゆっくりと私にトドメを刺す為に動いた。
そう、この瞬間だ。
「ふんっ!」
私はブースターを点火すると同時に立ち上がり、ニヒリスターの腹部目掛けて切り込んだ。
「ぐっ!?」
反応が間に合わないニヒリスターは一度たじろいだ。
「……っち。面倒な真似しやがって。だがな、この程度で──」
「今だ、ラピっ!!」
私はニヒリスターの横をすり抜けると同時に、私の背後から弾丸がニヒリスター目掛けて飛んできた。
「がっ……! これは……あのニケか。お前もアイツも無駄な足掻きが──あん?」
ニヒリスターがラピの弾丸で怯んだ瞬間に、私は再び奴の懐に忍び込んでいた。
瞬時に納刀を行い、私とラピが抉り、再生を始めた傷に目をやる。
「はあああっ!!」
抜刀した瞬間、刃には赤い液体が纏わりついており、そのままその傷に居合切りを行い、そのままの勢いで刀ごとニヒリスターの腹部に突き刺した。
「クソが……ウジ虫の分際で……!!」
顔を歪ませたニヒリスターは私を掴み上げると、その圧力を強めた。
「あああああ!?」
「!? ルミナスムーン!!」
ラピが瞬時にニヒリスターに射撃するが、殆ど意味をなしていない。
ボディが悲鳴を上げる。作戦に私の五体満足は保証されていない。
「俺の足元にも及ばないお前のせいでっ!!」
私は地面に何度も叩きつけられ、カウンターズの方面に投げ飛ばされた。
「……痛い」
意識が朦朧とする。ラピが何か言っているがよく聞こえない。
「もういい。お前ら全員今すぐ消し炭に──」
刀を引き抜き、近づいてくるニヒリスターの動きが突如止まった。
「は? 何だ……これ……自己修復が」
ニヒリスターはよろめき、動揺している。
「まさか……お前ぇ!!」
私が何をしたのか、その真意に激昂したニヒリスターが迫り来ようとしたが、それは後方からの弾丸によって阻止された。
「全く。あなたは何度も言わせれば気が済むのでしょうか。ピナ、手当てを」
「はいすぐに! また無茶をして、もう!」
ドロシーがニヒリスターを迎撃し、ピナが私を後方へと下がらせる。
「次から次へと……がはっ……」
ニヒリスターは立ち上がろうとするが、うまく力が入らないのか跪いた。
「またお前の策略か? ルミナスムーン」
「はは、まぁ、そうとも言いますね」
「作戦としては破綻しているが、貴重な弾丸を消費しないで済んだんだ。そこは評価してやろう。総員、一斉射撃」
ヨハンの指示で、ゴッデス、インヘルトがニヒリスターに向けて照準を合わせた。
「フェザー全機、最大火力で展開」
「盾にもレーザービームがついてるの知らなかったでしょ? 今度から覚えておいてね〜」
イザベルとノアの攻撃がニヒリスターに命中していく。
「どうなっているんだ?」
「さあな。後であいつには存分に聞いてやるとしよう。今は手を貸せ、押し切るぞ」
カウンターズも合流し、ニヒリスターに集中砲火を浴びせる。
「チクショウ……! 俺の足元にも及ばない虫ケラどもに!!」
「そろそろ終わらせる時が来たようね」
ハランが死の鎌をニヒリスターに向けた。
「やめろ……やめろって。そしたら俺が……お前たちの代わりに殺してやるから。この手で殺してやるからさあ! クイーンを!!」
「射撃をやめてください!!」
ドロシーが間に割って入る。
「ゴホッ!ゴホッ!あぁ、クソ……しくじったな……」
ドロシーの後に続こうとしたが、うまく力が入らず再び倒れ込んでしまう。
「何してるんですか! 急に動いたら損傷が悪化するんですよ!?」
私の手当てをしていたピナに叱られ、大人しく行末を見守ることにした。
「俺に……計画がある。ずっと前から……考えてたんだ。リリスのボディについて……知ってるか?」
「リリスのボディだと?」
「クイーンの前身であり……地上に残った唯一の未練さ……! それさえ見つかれば、この手でクイーンを殺してやる……だから──」
「うるさい……」
突如、空気が冷え込んだ。
「どうして……どうしてみんな、そんなにおしゃべりが好きなの?」
悪寒の正体。まだ余力を残している状態で音もなく現れた。ソレ。
「情けない姿ね、ニヒリスター。あなたなんかより、あの子達の方がよっぽど賢い選択が出来る」
リバーレリオはボロボロになったニヒリスターを支えた。
「……指揮官、攻撃しましょうか?」
「……いや。目の前に見えているのは氷山の一角だ。今の戦力でどうにかできる相手じゃない」
ヨハンの言う通り、今の状態でまともに相手をする存在じゃない。
「察しが良いね……その察しの良い頭を、これからはもっと低く静かに動かすようにして……もし、今度また私を起こしたら、その時は、その楽園って場所ごと深海に葬るから」
「……はは。一先ず、目的は……完遂したか……」
リバーレリオと対面している部隊の後ろで、私の意識は遠のいていった。
改変によるキャラクターの口調や本作の進行はどのような方向性にして欲しい?
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積極的に変えて
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原作っぽさを残しながらも変えてほしい
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あまり変えないで欲しい
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原作そのままで