マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん! 作:八雲ネム
「おぉ………やっぱ、権威のある人間の発言は強いねぇ」
「そりゃあ、何だかんだで武家が残ってるぐらいだしねぇ?」
「一般ピーポーよりも、大企業の社長さんとかの話の方が発信力があるしね」
「そうなるのは仕方ないとして、武家社会の方は何とかしたいよなぁ」
香月博士から渡された内容を、反乱軍と定義された強襲してきた部隊の無線をジャックして放送すると戦闘を止める奴らが加速度的に増えていき、最終的には反乱軍を扇動した首魁と思われる極少数のメンバーが騒ぎ立てるだけになった。
その為、ヴァルチャーにそいつらを取り押さえてもらう一方で香月博士と改めて連絡を取った。
「戦闘が終了しました。投降してきた連中はどうします?」
『一先ず、国軍に引き渡すわ。武装解除させた後、そっちの中型シャトルを使って今から指定する場所に向かわせて頂戴』
「分かりました。ただ、負傷者が多数出ましたので病院の手配をお願いしても良いですか?」
『わかったわ』
短いやり取りながら、的確な指示に従って投降した反乱軍を武装解除してから負傷者の応急処置や遺体の回収など、戦闘終了後の作業が多くなったので外で待機していたチェルシーを呼んで彼女にも手伝ってもらった。
「 全く、女の気配が1ミリもしなかった奴が2人も連れてくるなんて想定外よ!」
「爆笑されるんなら、連れてきた甲斐がありましたな」
「見れば見るほど、外見は普通の女性ですな」
「実際、機能としては自分と同じ物を使用してますからなぁ」
事が終わり、メカゴジラシティに呼び戻したチェルシーと共に死傷者の集計と病院への搬送、そして捕虜となった反乱軍の引き渡しを終えた所で香月博士達の呼び出しを受けたので、一緒に行動したがるメカゴジラ達と共に向かうと驚いた2人に事情を説明した。
すると案の定、香月博士が爆笑する一方で芹沢博士はメカゴジラのをじっくりと観察して感心していたので、2人とも研究者だなぁと思っていると真面目な話に切り替わった。
「そう言えば戦闘のデータと記録映像、見たけど自爆した衛士を1発で仕留めて脳みそとか、侵食しなかった理由って聞いて良いかしら?」
「大した理由はないっすよ? ただ単に個人の心情と経緯からやりたくなかったってだけで」
「ふぅん?」
「彼らは彼らなりの考えを持って敵である自分達に攻撃してきた。これは理解できる。囮となって敵に損害を与える目的で自爆するのもまぁ、理解できる。死を讃美しない事が前提だけど。ただ、ただ単に演算能力の向上の為に敵である彼らをナノメタルに取り込むのは絶対に、誰に何を言われようとも、何が何でもしたくはねぇ。これは膨大な人命をすり減らしながら俺らを作ってくれたアトランティス文明と、彼らに技術を提供したビルサルドに対して失礼だと判断したからだ」
実際、効率だけを考えればメカゴジラシティに侵入した連中を片っ端から槍状に変化させたナノメタルで突き刺して侵食し、演算能力の足しに使った方が良いと言う理屈も人的資源の有効活用と言う点では分かる。
ただなぁ、既にやってんだわ。アトランティス文明の人達で。
彼らは、次の文明の礎になる為に文明リセットボタンでオカルトレベルにまで存在を消滅させたメンバーとは別に、割合で言うならごく僅かではあるが数十人レベルで喜んで侵食されるのを受け入れてくれたメンバーもいる。後は今の文明を理解する為に近くを通った何人かを取り込んだぐらいか。
前者は狂信者かってぐらいには嬉々としていた一方、後者は当事者として事故に遭遇した際の混乱や悲しみと言った負の感情を持ち合わせていたものの、両者に共通しているのはこちらを利用しようとしていなかった点だ。
勿論、彼らや彼らの関係者の各々が失った悲しみに報いる為にも今の文明を存続・発展させる事を意識しているし、今の自分が生きる上での主目的にしているものの無節操に人間を侵食するのは単なる野生の獣か、機械の歯車でしかねぇんだわ。
そんな獣や機械の歯車に落ちぶれて、無節操に侵食する存在になってまで拡張を続ける程、次の文明に託した彼らの決死の思いや願いは軽いものなのか?
これに関しては、実際に経験してみないと分からんだろうが当事者である俺から言わせれば、その疑問に対して俺は確固たる意思で否だと断言できる。
それぐらいの覚悟を持って、事に当たってるんだ。そう簡単に言わないで欲しいものだ。
「そう。失礼な事を聞いたわね」
「いえ、構いません。それはそうと 」
だから、目先の事しか考えられない獣にさせないでくれよと思っていると、香月博士は一定の理解を示してくれたのでこの話はここまでと言わんばかりに、話を切り替えて彼女の隣で立っている少女に目を向けた。
「そちらの可憐なお嬢さんはいつ、紹介してくれますか?」
「あら? 少女体型が好みなの? 変態ね」
「いや、違うんですって。彼女達の願いを聞いたらこうなっただけですって」
「あらぁ? こっちの方が好きだって言ってたわよ?」
「うん。言ってた言ってた」
「………」
「言ってない! 言ってないから距離取らないで!」
すると、香月博士はニヤリと笑みを浮かべながら誤解を生む発言をしたので訂正しようとした直後、揶揄い半分でゴジラ・アース達が誤解を助長させる発言をしたので長い白髪をツインテールにし、黒いウサ耳状のカチューシャを身に付けている少女が性犯罪者を見るかの様に俺を見ながら距離を取られてしまった。
いやまぁ、香月博士が信頼の証として連れてきたんだろうけどタイミングが悪い事に、少女体型のメカゴジラとゴジラ・アースを連れてきてしまったので、1つでも誤解を生めばあっという間に警察のお世話になってしまう。
その為、誤解を解こうとしたものの下手に近付けば通報されてもおかしくない状況なので一歩も近付けず、片手を上げながら呼び止める格好になってしまった。
そんな俺を、香月博士は笑い飛ばした後で改めて紹介してくれた。
「社、彼がメカゴジラとゴジラ・アースの特性を持つ人物よ。名前は、えぇっと」
「桐生、桐生 大地です。ここに来るまでに考えました」
「だそうよ? 長い付き合いになるだろうから挨拶して頂戴」
「社 霞です。よろしくお願いしますね、変態さん」
「ひでぇ。言い訳できねぇけど」
人間、第一印象が大事だと言われているが人間体のメカゴジラとゴジラ・アースを連れている以上、変態だなんだと言われても仕方のない事だとは自覚している。
なので、社 霞から見た俺の印象を変えるのが今後の課題だなと思いながら芹沢博士も含めて話していると、時間が来たようで係の人が俺達を呼び出した。
「さて行きましょうか。桐生も大丈夫かしら?」
「大丈夫じゃなかったら拒否できるんですか?」
「無理な相談ね」
「でしょう?」
そんな事を言いながら、待機室を出て係の人を先頭にして軽い口調で話しながら別の部屋へと向かった。
今回の話を分かりやすく説明すると、自分達に危害を加えようとする敵を侵食するのは嫌いな物や苦手な物を無理矢理、食べる様な物に加えてそいつらを取り込む事は、メカゴジラ建設の為に文字通りの心血を注いだアトランティス文明の人達に失礼に値すると言う判断で断固拒否している状態です。
メカゴジラもとい、桐生 大地に言わせるなら人間が言う高尚な目的はゴジラ・アースを侵食して取り込まないと先がない事や将来、現れる強力な怪獣と戦う事に比べれば些事でしかない、との事です。