【Fate×ネギま】正義の味方の在り方   作:そもゆえに

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エミヤが警備員の仕事で忙殺されて、開店準備が進められない。受肉したことで睡眠や、食事なども必要がある。
開店準備までの1幕。


15-5話 交差する想い

 

深夜の麻帆良で僅かなプシュッとサイレンサー独特の射撃音と、薬莢のカランと転がる音。

 

その先では蜘蛛の形をした式神が、悲鳴を上げる間もなく消える。

 

黒い長髪が風でたなびかせて、冷静に周囲を視ている少女。実年齢からは考えられない成熟した引き締まった、見るものが見れば判る鍛えられた体躯。

2-A出席番号18番、龍宮真名の姿があった。

 

 

今日は夜の警備担当で、視界に入った外敵を撃ち抜く。

外部からの侵入を撃退及び遅延行動を行い、連絡するのが主な役割───だが、私の魔眼及び射撃の範囲を想定して他の者より広めの範囲を割り当てられている。

その分、報酬は旨みがある。

 

こうして傭兵稼業をしている以上はキッチリと仕事はする。

それにエミヤさんに助けてもらった時のような規模の侵攻は、本来早々起こるものではない。

今のところ殆ど大きなトラブルはなく経過していた。

 

しかし、野良の呪術師や、時には魔法使いからも干渉を受ける事もある。世界樹という巨大な霊脈に惹かれて怪異なども夜に活発化する。

 

実際さきほどの式神ように小物が偵察に送り込まれたり(若干嫌がらせじみている)警備員としての仕事は多い。

 

魔法や呪術は秘匿されるべきなのを、律儀に守って(協会にリークされないように)人気がないのをいいことに、夜に散発的に襲撃があるので気を張る必要がある。

 

ふっとひと息をはいた───その瞬間に新たに麻帆良結界ギリギリ、その境界線の地面に穴が空き、何かが飛び出してくる。

 

ギチギチと甲殻と関節を軋めかせながら、予想以上に素早く身を隠せる水路に向かって奔る。

流石に森などの遮蔽物が多い場所や、内部に繋がるような水路入り込まれると拙い。

 

式神でなく異形の怪異の部類だけに、一度侵入を許せば何をするか分からない。

 

先程仕留めた式神の方角と反対だか、既に視界に捉えた瞬間には弾丸を撃ち出して───貫くと思った必中の弾は、甲虫がぐるりと関節を丸め射角を読んでいたのが如く装甲の丸みによって反らされた。

 

恐らく他の侵入者の撃ち抜かれて落ちていくのを、じっくりと観察して来たのだろう。あのタイプの怪異にしては恐ろしく知恵がまわり、想定以上の甲殻の柔軟性と硬度。まったくの無傷とはいかなかったようだが、撃たれた反動を活かして回転速度を速めて進んでしまっていた。

 

直ぐに次弾を装填───した時には撃ち抜かれていた。

 

「余計なお世話だったかな、真名。そろそろ交代の時間だ。中学生が起きているには少々時間が遅い」

 

気配が直前まで分からなかったが、私から離れた位置から弓の一射で仕留めた青年。

 

年齢は二十代後半~三十代、時には老成さすら滲ませる年齢不詳かつ経歴不詳の男。私の肌色ににているが、また違う鈍色を感じさせる。

コートを脱いで黒いボディーアーマーを着た彼は、

超の捜索網をもってすら痕跡を掴めず。唐突に現れた。

だが初めて逢った夜から警備員として共に何度も仕事をし、経歴はともかく腕は確か。

超の依頼もあり自分が非番であったり担当が違う時も、最初に助けられた借りを返して貸しを作る───という建前で共同戦線を提案したが、私の負担や生が夜中に必要以上の危険を負うことになる。

そう渋るなどの少々のやり取りがあったが、青年の警備を手伝うコトもあった。

ソレが今では依頼抜きでも心強さと、心地よさを感じる時がある。仕事のときは余計な事は考えず淡々と任務をこなす私が、だ。

 

彼が警備の時に手伝ってもらってるお礼の夜食と称してサンドイッチなど提供されると舌鼓をうつ、普段の自分では考えられない行動。

若干餌付けされている感もあるが。

そういうやりとりをしている中で、真名と名前呼びをしてくれと私の方から言った。

刹那は名前呼びだし、私もこだわりはないので許した、いや自分から提案しておいて許したというのもなんだが。

 

折に触れて経歴を尋ねたところぼやかされながらも、答えてくれた。

彼はNGOには属さないフリー。死んでいく人を見たくない、助けられるものなら助けたい。そんな独りよがりの生活をしていたと、と。

 

確かに彼からは、私以上に戦場を潜り抜けた臭いを感じる。

だがどちらかというと、(人を助ける)と言ったときの何とも言えない皮肉気に、何処か苦々しい表情が意外であった。

何処か達観したような、此処ではない何処か遠い虚空を視ているような表情。

 

だが、その話題以外はサンドイッチを一緒に頬張る私を笑顔で眺めたり(気恥ずかしさを感じたが)笑顔を見せる彼。

敵に対する鋭利な矢、いやどこか研ぎ澄まされた刃のような表情。

 

何故が彼を彷彿させた。

 

何故か?恐らく《彼》に似ていたから。

容姿や外見ではない。

 

自分でなく、他者の為に己の総てを賭せる在り方。

 

だから、より深く彼を識りたいと思っての提案だった。

 

この感情が何なのか───まだ、解らない。

 

《彼》を喪って二年。

 

対して出会って半月にも満たない。

 

なら───焦る必要はない。

 

彼が何者なのか。

 

自分が何を求めているのか。

 

その答えは、もう少し時間を掛けて探せばいい。

 

 

ふと視線を上げる。

 

学園都市の並木道の向こう。

 

開店前なのに刹那やあのエヴァンジェリンなど裏の人間達から、最近やけに噂になっている店の話を思い出した。

 

この警備員になった赤い外套の男が開く料理店。

 

『calor』

 

ラテン語で《温もり》。

 

「……温もり、か」

小さく呟く。

 

正直、そういう柄ではない。

だが。

あの男が作る料理には、少し興味があった。

 

それに。

 

答えを探すなら、まずは知ることから始めるべきだろう。

 

龍宮真名は静かに立ち上がる。

 

開店の日。

 

少しだけ、その店を覗いてみようと思った。

 

なんせ、男にとっての本業は料理店だというのだから。




真名が来店するフラグが発生しました。
次回、いよいよカロル開店。宣言通り刹那が初めてお客さんとなるけれども───

※誤字脱字報告ありがとうございます。
評価や感想も励みになっています。

今後の料理店に来店して欲しい人。※項目に無ければその他で、感想で希望する人を。クラスメイト以外でも可。話の流れで直ぐには反映出来なかったりします。

  • 神楽坂明日菜
  • 龍宮真名
  • 長谷川千雨
  • 宮崎のどか
  • 古菲
  • 長瀬楓
  • その他
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